二度続けて『鹿の王』を読んだあと、今度はその続編とも
言える『水底の橋』の、二度目を読んでいます。
2人居た主人公のうちの、医術師ホッサルのその後の物語。
助手でありパートナーであるミラルとの恋の物語でもあります。
ホッサルはオタワルの貴人で高名は医術師、ミラルは
とても腕のよい医術師であり薬作りの名手でもありますが、
平民‥一般市民なので、ともに愛し合いそれぞれを
かけがえのない存在と思っていても、明るい将来は望めない
状況で‥互いにそれを知りながら、ホッサルはなるべく結論を
先延ばしにし、ミラルは「その日」への覚悟を決めている
ようでした。
オタワルの医術が、この現実世界では西洋医学だとしたら、
ツオル帝国の清心教医術は、漢方などを用いる東洋医学の
骨幹を清心教が支えている形で、さらに今回、その清心教医術の
源流を二人は知ることになると同時に、時期皇帝争いにも
巻きこまれてしまうのです。
二つの医術の対立や、二人の恋の行方‥そこへサスペンスの
要素も加わって、本当に読み応えがあるなあと思いつつ、
「水底の橋」って、何を意味していたのだろう?と一度目を
読み終えた後に思い、そうして二度目を読み始めたのですが。
今回登場するミラルの父親を、橋を専門に作る建築家、とした
ところがさすがだなーと感心し、父親がミラルに、かつて見た
橋の中で、自分が一番感銘を受けたのが、水底に沈んでいる橋
だったと話す場面が、さりげなくあるだけなのです。
でも、「橋」はホッサルとミラルの間だけではなく、二つの
相異なるよう医術の間にも架けられたのだ、と、ある時すとんと
私の胸のうちに落ちてきて、ああこれはやはりミラルの物語
だったのだ、と淡い光に包まれたような気持ちに満たされました。
ホッサルとミラルの物語、またいつか続きを読むことができたら、
とせつに願います。
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私も最初に読んだとき、タイトルの『水底の橋』の意味が
もひとつピンとこなくて読み返したクチです(笑)
医術や身分、それに皇帝争いなど相対するものを描いて
それを最後にうま~くまとめるなんてさすがだなあと感心して読みました。
二人の物語の続きを読んでみたいものですね。
なかなかゆっくり伺うことができず、ご挨拶が遅くなってしまいましたが
今年もどうぞよろしくお願いします。
こちらこそ今年もよろしくお願い致します。
ホッサルとミラルの物語。
ホッサルもステキなんですが、ミラルの方が
上手だなーと思うところ多々ありで、また
それが二人の関係性を深めていって‥なんとも
よいですよね~。
3回目も読んでしまいそうだったので、慌てて
図書館へ返しました(笑)。