音楽の喜び フルートとともに

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今日のレッスン

2008-05-31 01:16:25 | Weblog

今日は、梅田で自分のレッスン。午後から曇っているけれど、気温が高く、淀屋橋から御堂筋を梅田まで歩くと少し汗ばむくらいでした。
淀屋橋の橋の上では、ホームレスのおっちゃんがBIG ISSUEを売っていらしたのですが、いつも買わせてもらうおっちゃんではない。そのおっちゃんに義理立てして通過するものの、「発達障害」の見出しが気になって仕方ない。
探しながら歩きましたが、ついにいつものおっちゃんには出会えなかった。ホームレス卒業されたのかなぁ。それだとなのですが、うう、気になる…。BIG ISSUEも買えなかったし。

BIG ISSUEは300円。ホームレスの人を救済するための雑誌です。それを買うと一部がホームレスの生活を支えます。ただ寄付ではなく、支援される方自らが働いてお金を得る。労働することで、誇りと尊厳を取り戻し、リストラや家族離散の精神的ショックからも立ち直り、自ら立ち上がると聴きます。

橋下知事がセンチュリー楽団の補助金を減額反対にたいして、「インテリぶって、府民に音楽が根付く努力をあなたたちはどれだけしたのか?大阪の文化といったら、お笑いの方が大阪らしい。10万人の署名が集まったけれど、その人たちに1000円の会費をとったらどうなるのか?」・・・1億円。4億円減額して、4分の1、給料払えるのか?
いやいや、そんなことより、前部分の発言。

音楽が根付いていないと感じていること。「インテリぶって」というのは、音楽を特別枠に置いて、庶民と分かち合えていない。ということかしら。

全く的外れとは言えないところが痛いです。
音楽は生きていくのにどうしても必要なものではありません。
飢えて死にかけている人にはいっぱいの水や、パンやご飯が必要です。
で、音楽は?・・・そこを言葉にしないと、彼には通用しないんだろうと思います。

難しい・・・でも、ただ生きているだけでは、満足できない人がいるんだと思います。

たくさんの人が世界中で厳しい戦いの中、ただ生きるよりも、自分の信念に順じました。信念というのは、宗教、思想、心情、理想
…ただ生きるより、自分の心を大切にした。っていうことじゃないかと思います。

コルチャック先生はユダヤ人の子どもたちを孤立させないためにガス室に子どもと一緒に自ら入られました。それを現実の拒否というのかもしれない。けれど、そういう行為を全ての大人がとっていれば、アウシュビッツはなかったかもしれない。ただ生き延びるために子どもたちをナチスに売る大人になる可能性は誰にでもあると思います。子どもへの共感性、人種にとらわれ、共感性の無いことが、悲劇を広げたと思います。

音楽は、共感するという行為。師弟と、作曲家と、演奏家同士と、聴衆との共感の時間を持つという行為だと思います。あらゆる殺人という行為とは対極にあると思います。一つの曲を理解する。ということは、その作曲家の時代、物の見方、感じ方などを心と体を通して、知る。という行為だと私は思います。
練習したり、演奏するというのは、その知るという行為。共感するという作業の、訓練をし続ける。ということなのだと思います。音楽教育というのは、その訓練、修養自体が成果であって、経済上の成果は2次的なものだと思います。そして修養をつんだ演奏家は聴衆を共感の渦に巻き込みます。共感するという行為は他人の心を人間として理解できる。と認めることだと思います。ゆえに真の音楽家は人を信頼し、大切にする。決して殺せない。音楽教育や演奏家を育てるということ自体が美しい国や、生き生きとした人を大切にする社会を作ることにつながると私は考えています。

「行政というのは、市民に理想とあるべき社会の方向を示し、そこに至るための具体的な施策をとるところ。」と私は聞きました。

現実を踏まえることは大切ですが、市民の誇り=文化、芸術教養を金のために失った社会が方向性をどこに持つのでしょうか?音楽を根付かせるのはオーケストラの楽団員だけの仕事なのでしょうか?行政や、教育委員会は音楽教育にいままで、投資続けていたのではないのでしょうか?音楽家を育てておいて、食べていけないとはどういうことでしょう?
音楽家は音楽を仕事として誇りをもってやっていけないのでしょうか?

ただ補助金(寄付)をといっているのではありません。BIG ISSUEを買い続けるのは、ただ本が読みたいだけではありません。この雑誌に理念があり、あるべき社会(ホームレスにも補助の手がさしのべられ、立ち上がる機会を与えられる社会)の方向性を明確に示し、その施策が確実に見えるからです。

金が無いのはわかりますが、残念ながら、橋下知事のPT法からは、子育て、教育を大切にするという理念と施策が見えないと思うのは私だけでしょうか?