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テレマンの12のフルートソロのためのファンタジー

2014-07-01 21:39:11 | バロック
ゲオルグ・フィリップ・テレマンGeorg Phillip Telemann(1681ー1767年)の「ソロフルートのための12のファンタジー」は1732-1733年ハンブルグで発行されました。
これは、テレマンのほかの楽器を伴わないコレクションの一つです。
フルートファンタジーの他に、24のファンタジーがあって、12はソロヴァイオリン1735年発行、12はヴィオラ ダ ガンバが同じ年に発行されていますが、現在それらは失われています。

この曲集は、調性によって整理されています。A majorから、G minorに順番に集められています。 また、テレマンは、ひとつのキーのついた当時のフルートで非実用的な運指の調性を慎重に回避しています。それは、つまり h major, C minor, F minor and F-sharp major.

また、このコレクションは、全体の構造を二つの方法から見ることができます。
一つは、二つのパーツに分けられているという見方です。
事実、7つ目のファンタジーは、フランス風の序曲で始まります。
それは、そこから、新しいセクションがはじまることを示しています。
そういった仕掛けは、ゴールドベルグ変奏曲のヨハン・セバスチャン・バッハによって、その後使われました。

もう一つは、Wolfgang Hirschmannによって提案されました。
12のファンタジーを3つずつ、4つの様式に分ける方法です。
 長調ー短調ー短調 短調ー短調ー長調 長調ー短調ー長調 短調ー長調ー短調

テレマンのファンタジーは、フーガ、フランス風序曲、パッサカリアなどの、ソロフルートでは一見有り得ないような楽章を含むことで、バロック時代のレパーリーの中では唯一のスタイルと言えます。

現在、ブリュッセルの王立音楽院の図書館で唯一の原稿が利用可能で、"Fantasie per il violino senza basso"(通奏低音無しのバイオリンソロのためのファンタジー)というタイトルがつけられています。
しかし、その譜面が書かれている音域と書かれているスタイルの制限(例えば、重音と和音の欠如など)から、その原稿がトラベルソのために書かれたものであることを示していて、ヴァイオリンで上演されるなどとてもありそうにないことから、これが、フルートソロのためのファンタジーの原稿と思われます。

2012年、Euprintにより、それをもとにビオラソロのための編曲が発行されました。 その編曲は、重音、いくつかの多声のパートがつき、本当のポリフォニー音楽の楽譜となっていました。

参照 12 Fantasias for Solo Flute (Telemann): Free scores at the International Music Score Library Project
Zohn, Steven (2008). Music for a Mixed Taste: Style, Genre, and Meaning in Telemann's Instrumental Works. Oxford University Press US. ISBN 978-0-19-516977-5