音楽の喜び フルートとともに

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7月 酷暑のセレナーデ

2024-07-07 08:43:00 | ロマン派
久しぶりに里山に行きました。
夫と次男が育てて繁殖したオオクワガタを2匹里山に返しにきました。

車載温度計は38度。

こんな暑い午後にはさすがの里山も暑いです。日傘をさしていても肌がヒリヒリします。
外にいるのは私たちだけです。

京田辺市の酒屋神社の裏の蓮池。
ギリギリ間に合いました。
誠蓮
ちょっと咲き過ぎ。

でもよく見たら蕾もまだたくさんありました。
蓮の池は4つあって、奥の方に行くと白い睡蓮が咲いていました。

たぶんスノーフレークと言う種類。

こちらは小舞妃。


目は涼し気ですが、殺人的な暑さでした。

ファニー メンデルスゾーン(1805-1847年)自由都市ハンブルク生まれ、プロイセン王国ベルリン没

夫ヴィルヘルム・ヘンゼルによるファニー・メンデルスゾーンの肖像
ピアノのための組曲
「一年(Das Jahr)」は1841年8月から12月にかけて、作曲されました。
「1月」から「12月」までの各曲に「後奏曲」を加えた13曲からなる55分の大作です。

各曲はすべて調性が異なり、ロ長調→嬰ヘ長調(属調)→嬰ヘ短調(同名短調)と順次関連する調へ移行、緻密な計算がうかがえます。

ファニーは全13曲まとめて一つの作品として構想していました。

単純な三部形式の曲などはなく、どの曲も凝った構成で、聴きこむうちに独創性に魅了されます。

7月 セレナーデ
突然の風が
人を襲う。

牧草地は
活気ある露を渇望し、人々は衰弱している。

–フリードリヒ・シラー(1759-1805年)ヴュルテンベルク公国マールバッハ生まれ、ザクセンヴァイマール公国ヴァイマール没 

ルドヴィケ・シマノヴィッツによる肖像画(1794年)
の『旅』より

7 月、ファニーは夏の暑さがもたらす苦しみについて表現しています。
インスピレーションを得るために、彼女は干ばつと疲労に関するシラーの引用を選びました。

彼女の弟フェリックスも、そのわずか数年後にオラトリオ「エリヤ」で、干ばつ、暑さ、苦しみを音楽で表現しました。
旧約聖書の列王記上と下には、預言者エリヤがイスラエルの腐敗した指導者たちへの裁きとして干ばつを告げています。

フェリックス・メンデルスゾーンは 1846 年にこの物語の音楽化を完成させましたが、1830 年からこのテーマについて考えていたため、彼と姉は音楽でこの特定の種類の苦しみを表現する方法について話し合った可能性があります。

ファニー・ヘンゼルの「 7月」の音楽は、下降する半音階の進行による無気力な和音で始まります。 

下降する半音階は、バロック時代から音楽の中では差し迫った死の表現として使われてきました。 
有名な例としては、ヘンリー・パーセルの『ディドとエネアス』の「ディドの嘆き」が挙げられます。

ファニーは、このテーマを、より速く、より激しいリズムに乗せて展開させ、絶望感が増していくのを感じさせ、最後に静かな悲しみに消えていきます。

夫ウィルヘルム ヘンゼル(1794-1861年)ブランデンブルク トレヴィン生まれ、ドイツベルリン没

の「7月」のイラストも聖書的な方向に向かっているようです。

手前の女性はまるで旧約聖書のヒロインのようです。実際、彼女はウィルヘルムが1836年に描いたファニーを旧約聖書の女預言者ミリアムとして描いた絵に似ています。

1836年ミリアム賛美の歌 ヴィクトリア女王の王室コレクションより
6月と同じく「セレナーデ」と題されていますが、メランコリックで物憂げな雰囲気に包まれた、謎めいた曲です。
左手の低音のトレモロが不吉な感じで印象的です。