ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「少年H」、妹尾河童の戦争時代!

2013-08-14 19:31:19 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

洋服屋一家の戦争時代を描くことによって、戦争のむなしさを描く。

妹尾河童(幼名はじめ)が実際に体験した父と自らの物語を小説にし、かたくなに映画化を拒んできたが、ついに許可。おかげで、壮大なドラマが誕生した。

父は、神戸在住、クリスチャン、外人の服を仕立て、戦争中スパイ容疑がかかる。少年も学校でいじめられる。

冒頭、戦争が近づき、近所の蓄音器でオペラを聴かせてくれるお兄さんが、思想犯で捕まえられたり、女男といわれたお兄さんが、徴用となり、逃げて自殺したり、刻々と近づく戦争の足音が描かれる。

この壮大な映画は、少年が戦争に巻き込まれる姿が描かれていく。

更に家庭では、父が洋服屋をやっていけなくなり、消防団に入団。

少年は、中学校にすすみ、戦争予備軍として育っていく。

そして大空襲、敗戦。神戸大空襲で家が焼け落ちるシーンは一つのクライマックスだ。必死にミシンを助けようという姿が光る。

戦後の貧しい生活。

まあ、この戦争に銃後でかかわった人たちには、身につまされる話が満載。

一方で、少年が戦争や迎合する社会に疑問を持つ姿も描かれていく。

丁寧に話を積み上げていく脚色と演出は、巧みにいろんな話を父親と母親の生きざまを浮き彫りにしながら、戦争下に生きた人々を描いている。

実直な良き父親を水谷豊は、情緒豊かに演じ、その女房役でクリスチャンを伊藤蘭が好演。

モスクワで賞を得たのも納得。

ただ、少年が成長期も演じるため、ややぎこちなく、残念。中学生は、別人の方がよかったかも。



コメント (1)
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