おすすめ度 ☆☆☆☆ (劇場鑑賞)
PG12 万引きとかセックスとか
第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した。
母親の年金目当てに生活する、夫婦と息子、妻の妹が暮らす、高層ビルの谷間のボロアパート。
息子は、父に教えられ万引き生活。
そこに、父親が、拾ってきた女の子、親探しもせず、引き取ることに。
そんな7人の生活を追いかける。
疑似家族のようではあるが、なにか家族の温かみがあふれている。
工事現場で働く父は、怪我をして中休み、母は職場を首になる。空いた家族6人は、海水浴に出かけ仲睦まじさを演出。
だが、転機が。
祖母が亡くなるのだ。そっと地下に埋め、年金を受け取ることに。
だが、息子は、駄菓子屋のおやじに諭され、悩む。
万引きを見つかり、橋の下に飛び降り大けが。
おかげで、祖母のことがばれ、妻は捕まる。
この映画は、役者のアンサンブルと、それぞれの人物構成を念入りに描くことによって、人間と家族、そして愛について語る映画だ。
映画は決して明るくない。大まかな映画になれた若者たちには、胡散臭いかもしれない。
しかし、ぶれずに、家族を描き続ける是枝監督。
特に、子供の演技を引き出すのがうまい。
今回も、万引きを繰り返しながら、正義に悩む息子。
虐待家庭に育った女の子。家族の温かさを知って、元のさやに戻って、はたしてどうなるのか。
祖母役の樹木希林、入れ歯を外しての迫真の演技。
手慣れた、リリーフランキーと安藤サクラ。
妹役の松岡茉優は風俗嬢を演じる。
是枝映画の集大成だ。