ややこしいタイトル。
『僕は、線を描く』ならすっと入ってくるのに『線は、僕を描く』
思い出そうとして、線は、とは浮かぶけれどその後がなんだったっけと考えるわけ。
意味があるんだろうな。
『線は、僕を描く』砥上裕將著
Amazonの本内容紹介はたった1行。
水墨画という「線」の芸術が、深い悲しみの中に生きる「僕」を救う。
そうなの、その紹介で十分な内容の小説。
でもでも登場人物がなかなか魅力的に書かれていることと、
水墨画の世界が、ちょっとくどいながら素人にも興味深く読めることで、
入門編のようでもあり、そんなところで面白く読むことができた。
ちょうど「ぶらぶら美術・博物館 河鍋暁斎の底力」を観ていたら、
暁斎は、宴の席などで客を前にして描かれる席画一枚を10分で仕上げるとのこと、
筆が早いので有名、と紹介されていたのよ。
《松上一烏之図》(web拝借)
この小説にも水墨画の大家の筆の速さに感嘆する場面がなんども出てきてたから、
筆の速さと画力という部分が重なったりしたわけ。
内容1行感想1行じゃあまりになんなので、別のところからのあらすじ紹介。
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、
アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。
なぜか湖山に気にいられ、その場で内弟子にされてしまう霜介。
反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけての勝負を宣言する。
水墨画とは筆先から生み出される「線」の芸術。描くのは「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、
線を描くことで回復していく。そして一年後、千瑛との勝負の行方は。
こちらから引用させていただいた。
このホームページには水墨画の道具や用語なども紹介されていて、そうなのと。
『線は、僕を描く』が本屋大賞候補とあったから、ちなみに2020年の本屋大賞を調べたら
大賞『流浪の月』凪良ゆう(著)2位『ライオンのおやつ』小川糸(著)
3位『線は、僕を描く』砥上裕將(著)4位『ノースライト』横山秀夫(著)
5位『熱源』川越宗一(著)6位『medium霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼(著)
7位『夏物語』川上未映子(著)8位『ムゲンのi』知念実希人(著)
9位『店長がバカすぎて』早見和真(著)
10位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人(著)
あらまあ、大賞から4位までと7位は読んでいるわ。
私としては大賞は『ライオンのおやつ』にあげたいところ。
で『線は、僕を描く』は3位か、うーん、微妙、少なくとも『ノースライト』
よりは下じゃにの。
なんてえらそうだわね。