Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

【付下げの別誂え(フルオーダー)第5弾】《図案編》

2016-05-13 23:16:50 | 着物
先月、杏色の「笹に雪輪小花」柄の一つ紋付き付下げが出来上がったばかりでは
ありますが、実は引き続き新しい付下げの制作に取り掛かっています

本当は秋くらいから始めようかと思っていたのですが、今年は出産を控えている
ので出産の記念になる着物を何か作りたいと考えて、急遽決定したのです

ちょうど娘が生まれたときに作った訪問着が古楽器の柄で、メインとなる琵琶は
弁天様の持ち物の象徴として弁天様を連想させるもの。加えて弁天様の御遣いは
蛇といわれていて、巳年生まれの娘にぴったりの柄でした

今回は申年生まれの男の子なのでそれにちなんだものをと思い、申年関連で色々
考えたのですがあまり良い図案が思い浮かばず、申年にこだわらず男の子を連想
させるようなものを選びました


(画像はお借りしました)

良さそうな図案を探しているうちに目に留まったのがこちらの着物。祇園甲部の
芸妓さんが正月にお召しになっていた色紋付きなのですが、すっきりした水色に
おめでたい柄を詰めた矢羽根が描かれています

矢羽根と言えば端午の節句に飾られる男の子(武将)を象徴する道具のひとつ。
これをアレンジして図案を作って頂くことにしました


初めにイメージをお伝えして描いて頂いた図案がこちら。裾模様のメインとなる
矢羽は3つで、そちらにはおめでたい柄を詰め込んでいます。サブとなる矢羽根は
少し小さ目にシンプルなものを2つ描いて。


こちらはメインとなる3つの矢羽根の図案を大きく描いたもので、ラフな図案には
なりますが、どんな柄が描かれるかがわかるものです

上前のもっともメインとなる矢羽根には鳳凰が描かれています。尾を長く引いた
鳳凰は優美なだけでなく瑞鳥として非常におめでたい柄です

その下には菊桐の唐草が。鳳凰は桐の木に棲み竹の実を食べると言われており、
鳳凰と桐は切っても切れない関係です。さらに菊と桐は古来より皇室でもともに
使われていた高貴な文様で、吉祥文様の代表格です

一番下には松竹梅に華亀甲という、こちらもとってもおめでたい文様を詰めて。

男の子というイメージから武具である矢羽根を選びましたが、子供の行事だけで
なくお正月などにも着たいなと思って、いかにも「武具」である矢羽根柄という
よりは「破魔矢」としての矢羽根をイメージして図案を描いて頂きました

吉祥柄を詰め込んでいるので、芸妓さんが着ていらした着物のようにお正月にも
ぴったりだと思います

また、端午の節句に絡めたお茶会などにも使えそうな図案ですので、5月に一番
ふさわしい色である藤色を地色として考えています

今回描いて頂いた図案は矢羽根のみですっきりとしていますが、やはり背景には
少し動きのあるものを入れたいので、矢羽根+背景の柄で、図案の修正をお願い
しているところです

背景は基本的に白上げであまり主張しないようにするつもりです