これからはスパゲッティは出さんといて

　息子が言う。家庭教師の先生が、お帰りになった後に。

勉強の合間に出したスパゲッティの味が、薄かったらしい。

　いつものパスタじゃなかったせいで、ソースが上手くからまなかったのか・・・。

「もういいから」

息子の言葉が突き刺さる・・・。う。ううっ。

　誰よりも君の言葉が怖いのよ・・・・。

友達を家に呼ぶ時も、息子は「何だすんや～」と鍋の中をチェック


　当分、デパ地下で買ったものを先生にはお出しします。

深く反省した次第です。


　今日の弁当は「たらの西京漬、ししとうと薄あげ煮 かぼちゃ巻きトンカツ、しゅうまい、ミートソース入りオムレツです」ミートソースは味付けしなおしました。トホホ・・・。

ご愁傷さまでした。

　「鳥死んでんで～。でかい鳥」登校する息子を駅まで送り、帰ってきたった夫が言う。

「え～っどこよ」

「○○（お隣）さんと、私とこのちょうど間のとこ」

　それって、びみょーな場所やな～。

「○○（お隣）さんと○○（斜め向かいのお宅）さんの間でもある。」夫が付け加える。

　私の頭の中で、家の前の道路上。三軒の中間地点辺りで、死んだ鳥が横たわっている見取り図が浮かび上がった。

　とにかく現場を見なければ！

　私の想像どおり、三軒（我が家・お隣・斜め向かい）の丁度真ん中に！一羽の鳥が死んでいたしかも、でかい。

　どうしょ～。私も鳥は苦手なのよ。しかも、死んだ鳥！！

それに、「死んでんで～」と夫が言う時は、「君が何とかして～」という意味なのだ！

「うっしが（飼い猫）、吐いてんで～」とかも同様。「ムカデおった～.
どうしょう～」
「ゴキブリや～」もそう。それを聞いて、スリッパや新聞紙持って走りまわるのはいつも私。

　そして、敵をしとめた私に向って彼は言う。

「君って、残酷やな～。ようやるわ」

ほな、どないせえちゅうの？私に。誰がやるんやっ

　思い起こせば遠い昔。

「まりがウンチしてるみたいや～」と娘を抱えてくる時もそうだった。

「うわ～っ。ようやんな、君」とオムツを替える姿を、横で見ていただけの夫。
　さすがに下の息子の時には、見るに見かねて手伝ってくれたっけ。

「私も仕込まれたもんやな～」言いながら。

　要するに、汚いもん・気持ち悪いもんは嫌やねんね～。

とにかく、何とかしなければ。

今は７時だけど、もうすぐしたら交通量も多くなる。

　あの場所では（道の真ん中）車に引かれてしまうだろう。地面にぐちゃぐちゃになって、張り付くのは目に見えている。

　お隣はレストラン経営だから、出かけるのは遅い。斜め向かいの奥様は動物アレルギー。

　しゃあないわ。私がやるしかないか。

　それに、ウチの夫が発見したという事は、私にやりなさいと天から言われてるんだわ、きっと。

意を決して、紙袋とビニール袋を手に玄関を出た。

　山鳩だろうか、それとも渡り鳥？

結構大きな鳥はピクリとも動かない。南の国に帰れずに、取り残されたのだろうか。考えながら、清め塩をかけた。「南無阿弥陀仏・・・」

　丁寧に包んで、紙袋に入れた。可哀相だけど、ゴミ箱の上に仮置きしておく。今は病気もこわいから、庭に埋めてあげるわけにはいかない。ごめんね

「ちゃんとしといたよ。」夫に声をかけといた。

「そうか、やっといてくれたんかご苦労さん」

ご苦労さんたってねぇ。あんさん。