また、始まった

　相変わらず機械オンチの夫。前にも話しましたが。

　その割には、電気製品・パソコン・カメラ等は「最新」の機材を求めたがる。

　その夫が、娘が出ているCMのメイキングDVDを手に入れた。娘が「命」の夫は、それを親戚や知り合いに見せたくてたまらない。

　でも、ダビングの仕方が分からなくて～。

以前、「韓流」の友人にBS放送を録画してDVDに入れてと、頼まれた事がある。

　録画もダビングもうまく行ったのに、何故か友人のパソコンやレコーダーでは画像が映らなかった。我が家のDVDレコーダーでは映るのだが。その時もずいぶんイライラしながら、ダビングしてくれたっけだが、映らなかったのだ・・・。

　別の友人に聞いたら「貸した相手のレコーダーが最新のではないんじゃない？あなたのとこは、いつも最新でしょ」と言われ。その時は「そんなもんかな？」と納得してしまったが。

　今回、夫は知人に娘のDVDを見たいと頼まれたそうな～。先方は気を遣って言って下さっていると思うのだが、本人はその気になってガゼン張り切っている。

　DVD機器の前に座り込んだ。

　話は変わるが、お彼岸の墓参りの後に義兄の家へ寄らせて頂いた。その時、いとも簡単に義兄が娘のDVDをダビングした事があった。

　義兄は夫より９歳上だ。それを見て、夫の目が僅かにうろたえたのを私は見逃さなかった。

　夫が出来ない事を、夫の兄はいとも簡単にやってのけたのだから。なのに彼の口から出た言葉は、「それ、うちの機種と同じですわ～」

　同じなのは、リモコンだけのような気がするが・・・。


　数日後、一番上の義姉からお礼の電話があった。義兄がコピーして近所に住む義姉に届けてくれたよう。

　義姉は夫より１２歳上だ。７０歳を過ぎて、パソコン教室に通っているのだから、これもまたすごいのだ。とにかく夫の兄姉は、電子機器にはめっぽう強い。

　そんな事を思い出しているうちに、録画は無事終了。夫は何度も画像が再生できるか確認していた。

　が、だ。　渡した方の家では、そのDVDは再生出来なかったらしい。

　その方の知り合いの家でもまた・・・。パソコンでも映らないのだ。

　夫は焦った。何が一体悪いのか・・・・。

「お義兄さんは、簡単にダビングしてはったよね。あなた、うちと同じ機種やっていってはったけど～、あのメニュー画面全然ちゃうかったよね～」

　「もうその話は、今せんといてくれ」
　
おりしも、阪神が負けている。夫はいたく機嫌が悪い。

　さよか。そんなら、あれこれ聞かんといて。

　しばらくして夫は言った。「あれ、原版持って行くわ。それ貸す事にする」

え～っそこまでせんでもええやろ～。かえって迷惑ちゃいますぅ。

　一応反対してみたが、聞く耳もたず。あの様子では、原版を勝手に持ち出すな。夫の事だから原版までこねくりまして、おかしくなるかも知れない・・・・。

　こっそり、DVDを二階へ持って上がる。明日でも、私がやらんとあかんな。しまっとこう。

ほな、お休み

　しばらくして、私が寝ている部屋に夫が来た。「あの。ＤＶＤどこやった～？」

「あぁ、あれ。私が明日、ちゃんと説明書読んでやっとくわ。あなたが持ち出したらあかんから、隠しといた」

　夫はそれを聞いてマジ切れ

「君、ほんまに意地悪やな！！」その後も「意地悪」「意地悪」「意地悪」と３回言ってバタンと戸をしめて寝はった。

　次の日、５時過ぎに私は起きた。まずは、息子の弁当作り。それから、今日は９時に皮膚科の予約があるし、その後は母の定期健診に大阪の病院まで行かなくてはならない。ホンマに忙しいのに～っ。

　　一段落してから、取り扱い説明書を取り出す。なるほど、フンフン。

ＤＶＤを作動させる。

　「この、フォーマットをしますか？ちゅう表示が出てややこしんや～」と夫がよくボヤいていた画面が出る。

「フォーマット」て何？後ろの索引を見てみる。な～るほど、そう言うことかいな。

　どうも、夫が録画した画像は、他の機器で見る為の後処理が出来ていなかったようだ。

　夫が息子を駅まで送っている間、DVDのダビングを始めた。「ファイナライズ」処理も終了。よっしゃ、これでいけるかな？

　帰宅した夫に手渡す。「これ、パソコンで見れるかな？」

　夫は黙ってパソコンにディスクをセット。・・・見れた～。

　「何で？どうやったん？」と夫。

「さぁ？自分でやらはったら～？私、意・地・悪ですから～。

でも、今日はイジメ過ぎちゃったかなぁ～。今夜は夫の好物「ポテトサラダ」でも作ろう。リンゴ入りの。