株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

今年の世界経済の勝手な予測で、新年早々いきなり頓挫

2008-01-02 01:17:14 | 金融全般
今年の世界経済の行方がどうなるかを左右するいくつかの重要ポイントについて整理してみました。

1.モノライン地雷がどう波及するか?
 米国の地方債や証券化商品への信用保証額が、MBIAやAmbacなどモノライン大手4社で1兆9577億ドル。うち米国外の商品への保証も2082億ドルと巨額。(注1)

→サブプライムの損失がモノライン各社にも波及しており、地方債を含むトリプルAの格付けが下がり始めている。

2.住宅ローン破綻での損失で銀行がどこまで耐えられるか?
 米国銀行の年間純益合計は約23兆円程度。欧州の銀行もほぼ同程度と見られ、今回のサブプライム問題での損失額計約100兆円(注2)は、2年分の純益を吹っ飛ばす勢い。

→オイルマネーや政府系ファンドから出資を受けておりますが、せいぜい数兆円どまりであり、とても間に合いません。

3.GSEと呼ばれるファニーメイやフレディマックも震源地に?
 この2社はフレディマックが3Q決算で20億ドル、ファニーメイが14億ドルという巨額の赤字を計上済み。しかし、両社の2006年末の住宅ローン残高3兆5561億円のうち、ポートフォリオ事業の約1.5兆ドル分は自己資本比率が2.5%を上回るよう法律で決められているが、両社の3兆5千億ドル強の住宅ローンを投資銀行が資産担保証券(ABS)として証券化したものを、フレディマックとファニーメイが「投資家」として、合わせて変動金利分だけで2448億ドルを保有しており、その相当部分がサブプライム関連と見られている。(注3)

→この資産価値が相当に傷んでいるはず。どう資本不足を埋め合わせるのか?

ここまで書いて、筆者もいくら正月とはいえ根気をなくしました。何せ、下の注釈の部分が肥大し過ぎたのです。これ以上本文を増やすまでもなく、サブプラム関連損失だけとってもゴールドマンサックスのエコノミストの最新の概算である約45兆円の2倍以上です。今年の世界経済の予測どころではありません。この100兆円がもし不測の事態?(文末の「補足」参照)の発生で200兆円にもなってしまえば、もう米欧の金融機関は破綻するでしょう。そうしたら、世界経済は一体全体どうなっているのか論じる気にもなりません。日本のバブル崩壊の時のように、ゼロ金利に限りなく近づけて銀行への預金者からの「利益移転」をしつつ、公的資金を投入でもする以外に手はないと思います。しかしその後は、日本の失われた10年のように、世界経済の失われた10年(=世界恐慌)が到来することでしょう。一方で良いこともありそうです。環境問題の解決のための猶予期間が、世界経済の停滞もしくは後退で増えることです。しかし、環境問題の解決のためのお金を一体誰が出すのだろうか??


注1:2007年年末の日経新聞。(日付は確か12月29日あたりかと。)

注2:約100兆円の試算根拠は下記の通りです(筆者固有の試算に注意)

 アメリカの住宅価格が高くなった2003年~2006年までに主として中古住宅ローンを借りた層が破産予備軍となる前提:

  年間平均650万件の中古住宅販売X4年=2600万件と多少控えめに。
   うち、サブプライム利用率:2003年8.8%、2004年18.1%、2005年21.3%、2006年だけデータがないので20%と推定し4年間で年平均17%とする。→2600万件X17%=442万件
  
この442万件についての金利タイプ別利用率を見ると、全期間固定金利は20%に過ぎません。442万件X80%=354万件が返済不能に陥る可能性が大と見ます。354万件X2000万円(平均ローン金額想定)=約70兆円。この分は競売に付して50%の回収率として35兆円(A)が損失として確定。それでもサブプライム関連ローン総額150兆円からすると、たったの?23%のデフォルト率です。

このサブプライムを除いた件数は、2600万件-442万件=2158万件となります。

ローンの平均借り入れ額=2000万円X2158万件=431兆円 

  今後2年間の下落率=30%と想定すると129兆円の含み損失です。(B)
 (日本のバブルの時の下落率は約50%です。)

この含み損失129兆円のうちどれだけ回収できるのかが焦点となります。筆者は不動産関連業者でも何でもありませんが、約50%は未回収に終わるのではないでしょうか?それでも30%下落後の70%+残り30%の半分の15%の回収で、貸した金の85%が返ってくる計算です。日本のバブルの時の経験がある方から見ると少々甘い計算かも知れません。

(B)X0.5=65兆円(C)

 (A)+(C)=100兆円。偶然ですが、キリが良く気持ちの良い数字ですね。

注3:90ページ表3参照。←残念ながら、GSE問題が表面化してから、この某独立行政法人の学術的?なレポートも削除されております。

補足:サブプライム関連の損失予測は、あくまで住宅価格下落と変動金利への移行による借り手の「破綻」に対する金融機関へのダメージをベースにしておりますが、実際にはローン債権を担保とした証券化商品を、大きなレバレッジを効かせて、銀行を含めた世界の投資家が買っております。このレバレッジ分を考慮しての世界経済への影響は、筆者には試算のしようがありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする