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世界のサブプライムの損失をIMFが8000億ドルと認めたが

2008-03-20 12:57:22 | 金融全般
昨年10月にIMFが世界のサブプライムの損失額を2000億ドルと発表しましたが、ついに、8000億ドルに訂正です。

日を追う毎に損失額見込みが増えていっております。筆者の初期の想定損失額の1兆ドルはおろか、先日の破天荒な計算による損失見込み額の300兆円まで視野に入ってきました。

何故こうなっているのでしょうか?

1株80ドルしていたベア・スターンズが、たったの2ドルで買収されたとの先日の記事がヒントです。ベア・スターンズは銀行から借り入れをして、住宅関連証券に偏った投資をしていたのが災いしたと言われておりますが、何故か、たったの1日で事態が急変したのです。

既にご承知の通り、13兆ドルの住宅ローンのうち、6兆ドルが証券化されて、それが世界の金融機関やヘッジファンドに転売されております。この6兆ドルには、サブプライムローンの1.3兆ドルだけでなく、オルトAローンや、優良といわれるプライム・ローンまですべて含んでおります。

こうした住宅の資産担保証券(ABS)の市場価格が、サブプライム問題をきっかけとして、全て下落してしまったのが原因です。AAA格でも元本価値を100とすると55に、AA格は更に低く20に、そしてBBB格はたったの15に、この3月段階では下がっているのです。

プライム・ローンはAAA格ですが、これでも55の価値しかないということは、6兆ドルの45%が最低でも毀損していることを示します。2.7兆ドルです。(注)

問題は、株価と同じようにABSの市場価格の下落がこれで打ち止めになるのかどうかです。少なくとも、住宅価格が下げ止まるのかどうかが1つの鍵となります。日本のバブル崩壊の時に、住宅価格が下落に転じてから1-2年で下落が止まったでしょうか?ここにヒントがあります。住宅価格は、その国に住んでいる人々がローンを組んで借りても、その平均年収からして十分に返済できる程度にまで下落調整するのが、その時の教訓でした。

今のアメリカの住宅価格はまだ高すぎます。高値からの下落率はまだ平均で見ても10%程度です。まだまだ下がると見なければなりませんね。(以前から言っている通り、実はアメリカ以上に、イギリスやスペインなどヨーロッパでも住宅バブルとなっており、少し遅れて下落に転じていることも、世界経済の深刻な問題ですが、このことはまだあまり報じられておりません。)

今日の論点は、最低に見たてても、ABSの価値が2.7兆ドル以上も毀損していること、そして、この毀損は今後の住宅価格の下落により、まだまだ進むという点にあります。

仮に2.7兆ドルの含み損が既に世界の金融機関に発生しているとするなら、驚くなかれ、欧米の主要金融機関の自己資本は実質的に既になくなっていることになります。(自己資本総額は2兆ドルと言われております)

これがベア・スターンズがたったの1日で実質的に「倒産」したことの背景でしょう。

また、その前にFRBがAAA格の優良ABSを担保に、現金化が可能な国債を2000億ドルほど金融機関に貸し出して、いわゆる流動性を高めたことの背景かと思います。

そうしないと、金融機関は「既に消失している自己資本」を何とかリカバリーするため、貸し出している金を一斉に引き上げ、手持ちの証券やら株やら何でも換金可能なものは売り飛ばし、とにかく、毀損した含み損失を何とかしなければなりませんでした。その「貸し剥がし」のとっかかりがベア・スターンズだった訳です。

これをやられると、世界の経済がどうなるのかが、いくら何でもFRBも分かっていたための、このところの狼狽的とも思える緊急利下げであり、市場への資金の緊急供給でした。

とりあえず、こうした処置をとらないと、これは確実に世界恐慌への引き金になることが目に見えていたためです。

IMFがついにサブプライムの損失を8000億ドルと4倍にも引き上げたことの意味から、こうした背景を読み解かねばならないとならないと思います。

株式市場はまだまだ一喜一憂しながら「能天気」な上げ下げを繰り返しております。任期切れを間近に控えて何もする意欲のない、あのブッシュの能天気な顔つきと同じように。。。本当にとんでもない大統領をアメリカ人はよくも再任したものです。

まあ、この大変な事態への対処として、主要銀行や証券会社の国有化(資本注入)を一気にやらざるを得ないでしょうが、「もう火の手はそこまで来ております」というのが、今回、ベア・スターンズを生け贄として差し出した市場からの警告メッセージだったという訳ですね。

以上、この程度のことは皆さんとっくの昔にご存じかと思いますが、新聞やテレビなど、日本のメディアが伝え切っていない「ニュアンス」を、筆者のような金融のど素人が勝手に書き殴っております。悪しからずご了承下さい。

注:07年末での住宅ローン担保証券(RMBS)の総額は7.2兆ドルとの試算もあります(第一生命経済研究所 嶌峰義清氏)。このうち、4.5兆ドルはファニーメイやフレディマックの準政府系連邦住宅抵当公庫が保有しております。残りの2.7兆円がくしくも、サブプライム・モーゲージ関連のいわゆる「隠れ不良資産」であり、上記の金額とも一致しております。さらに、準政府系とはいえ、ファニーメイやフレディマックのRMBSもデフォルトの可能性があることは以前に論じたとおりですので、2.7兆ドルは控えめに見た数字ということです。

嶌峰氏のレポートによると、ABSの発行残高は11.5兆ドル、CDOの発行残高1兆ドルと更に巨額です。
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明日のモニタリング銘柄(3.21.08)

2008-03-20 09:26:45 | 明日のモニタリング銘柄
まず、OSCの4層分析で水曜日の相場を振り返って見ます。

注釈:①から③に件数が移動するに従い、相場環境の改善を示唆しております。④は中立。
日付の後の( )内の数字はその日の日経平均の前日比。

①OSCが前日同値以下&終値が前日安値と同値かそれ以下で終了
②OSCがコンバージェンス&前日比マイナス引け
③OSCが前日以上&プラス引け
④いずれにも該当せず

1月11日から2月22日までのデータ

2月25日(+414円)①20件 ②7件 ③69件 ④107件
2月26日(-90円) ①78件 ②0件 ③20件 ④101件
2月27日(+207円)①32件 ②12件③92件 ④65件
2月28日(-106円)①46件 ②17件③83件 ④54件
2月29日(-323円)①39件 ②106件③42件④14件
3月3日 (-611円)①147件②21件③12件 ④21件
3月4日 (+0.1円)①77件 ②19件③48件 ④58件
3月5日 (-20円) ①80件 ②21件③31件 ④71件
3月6日 (+243円)①20件 ②13件③119件④51件
3月7日 (-433円)①127件②32件③19件 ④24件
3月10日(-250円)①166件②11件③7件  ④20件
3月11日(+126円)①5件  ②33件③159件④7件
3月12日(+203円)①4件  ②8件 ③97件 ④96件
3月13日(-428円)①125件②26件③25件 ④29件
3月14日(-192円)①110件②18件③22件 ④50件
3月17日(-454円)①103件②43件③36件 ④18件
3月18日(+177円)①26件 ②48件③84件 ④41件
3月19日(+296円)①2件  ②7件 ③160件④31件

明らかに強気一辺倒で、ほぼ全員が③と④にシフトしております。

このパターンは2月21日のパターンが比較的近似しております。翌22日は反落しておりますが、その後日経平均は、今年の反落後の高値の14105円をマークしております。

一本調子に上げることはない相場ですので、明日はころ良い調整になるのか、それとも、二番底を試しに行く一里塚になるのか、少々判断が難しいところですが、ごく自然の流れからすると、ここは、一度押されても再度OSCを50%超へと押し上げる、上昇過程にあるのではないかと思います。(現在は、日経平均が+5%の40%に上げたところ。)

但し、今晩のNY市場で何か異変が起これば事態がコロリと反転しますので注意。

明日のモニタリング銘柄では、ひとまず②の160銘柄は軒並み討ち死にすると見ます。
従って、基本は④や②から候補を抽出します。また、③でも上げが比較的弱かったものに注目します。あくまでも「逆張りへそ曲がり戦術」に徹します。

1.2766日本風力開発

 ①はたったの2件ですが、そのうちの1つがこれです。昨日のあの上げ相場で更にこの株大きく上げていたら、それこそビックリでしたね。要は、これまで上げてきた銘柄の「最後の利確」の時期として、売り優勢だったという訳です。明日はあくまでも押し目狙いです。後15Kほどは押される必要があります。

2.4543テルモ
 この内需優良株に何があったのか?昨日マイナス終了するとは、幾ら何でも変でしょう。5110円で妙に粘っておりますが、過去OSCを30%程度まで落としているこの株からすると、どうも5000円割れは必至のようです。(現在は37%)そこまで調整すると、自ずと買いも入るかと思います。

3.4503アステラス製薬
 これも昨日は元気がありませんでした。OSCの31%は一昨年9月からの記録にはなし。乖離幅も160円もあります。ここは明日の勢いを確認して乗る手かと。

4.5333日本碍子
 筆者は蜜に引き寄せられる蟻のように、この株に引き寄せられては期待を裏切られております。どうやら「悪女」に掴まった感があります。といっても、まだ買ったことはありませんが。以外に値動きが激しく、買いチャンスをいつも逸してしまうのです。明日は当然に押し目を狙いますが、1590円という18日の安値を大きく下回った時がチャンスです。

5.4340シンプレクス・テクノロジー
 この優良金融システム開発会社にも何か異変が。まさか、サブプライムの余波を受けているのではあるまいに。しかし押されたと言っても、今年の安値の33600円からはまだ7000円ほども上にあります。ということは、利確の動きが顕著ということなのでしょう。もう1段、2段の下落はあるかも知れませんが、OSCもわずかにコンバージェンスしております。コンバージェンスに強い銘柄です。とりあえず監視を。

以上です。

他にもへそ曲がり党の皆さん向けには、気まぐれイタリア娘4293セプテーニ、隠れ一発屋1972三晃金属、風力発電部品での忍者株5987オーネックス、6727ワコムあたりを挙げておきます。いずれも、正規のモニタリング銘柄として挙げるのは少々憚れます。正視するに耐えない程にへそが曲がっているためです。
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