1月8日のNYダウは28ドル下落しましたが、その1つの要因は世界最大の小売業、ウォルマートの下方修正でした。もっともこれは、昨年11月13日の第3四半期の決算段階で、1株あたりの利益は市場予想を上回っていたものの通期の業績は下方修正しておりましたので、再度の下方修正ということになります。
このウォルマートの下方修正は、市場では一過性のごとく捉えられておりますが、かなり大きなアメリカでの個人消費の変調を意味するものではないでしょうか。
案の定、昨年12月のクリスマス商戦も不発に終わりました。そして、ダウは更にその後大きな下げに見舞われ、一時8000ドルを割り込みました。
そこで今日は、信用収縮が実体経済に与える影響について、少し考えてみたいと思います。
今回の金融恐慌からくる急激な信用収縮により、次のような順序で需要が縮小していきました。
1.住宅・不動産市場の極端な悪化。資金繰り倒産の増加。
2.贅沢品や不要不急高額商品の買い控え。(クルマや宝石など)
3.2に絡む産業での設備投資の急減。(鉄鋼や半導体など)
4.2に絡む産業での消費の急減。(デパートなど)
-------第一次雇用情勢の悪化------
5.可処分所得減少による、消費の絞り込み。
6.日常生活購入品での低価格選考の高まり。
-------この段階ではウォルマートはいわゆるまだ勝ち組の一角-------
7.生活最低需要品以外の買い控え。
8.小売業全般への需要急減。
-------この段階を迎えているためのウォルマートの下方修正------
何故、クリスマス商戦が不発に終わったのかについても、こうした現下の需要変動の流れを見れば明らかです。クリスマスプレゼントは、人間関係を良好に保つ潤滑油ではありましたが、生活必需品ではなかったためです。
問題は、この先どこまで消費の収縮が進むのかということですね。
ここまで考えて、筆者は生活必需品の定義を、生存のための必須商品にまで縮小せざるを得なくなりました。
では、生存のための必須商品とは一体どういったものでしょうか?
1.毎日の命を長らえるための食糧品、医療費、その他保健用品など。
2.拡大再生産を途絶えさせないための教育費や一部の教養文化費。
3.最低限の衣・住の維持費。
こうした必須商品への需要の偏りが進んでいることが、総合小売業を標榜するウォルマートと言えども、業績に変調をきたしている理由の1つではないでしょうか。
こうした生存必須品に関係ないビジネスをやっている宝石のティファニーは、1月14日に再度の下方修正を発表しております。日本のイオンの赤字決算も3とは関係ないタルボットの損失や、食糧以外の衣料品などの不振が大きく効いております。
一方、食品スーパーにほぼ特化しているマルエツなどは、好決算を発表しております。
医療費削減の流れの中でも、ジェネリック医薬品業界は、日医工や、沢井製薬、ニプロなど全くといってよいほど影響を受けておりません。
「生存必需品」という概念まで遡ると、自動車は地方では必需品ですので、いずれ耐用年数を超える使用の後での買い替えは起こりますが、都市部ではライフスタイルを少し変えることで、クルマそのものが生存必需品ではなくなります。(アメリカは少々異なります。)よって、日本市場ではクルマの需要は長期低迷すると考えた方が良さそうです。
では、生存必需品に拘わる産業以外の産業は、一体全体今回に恐慌の暴風雨をどうやって凌いだら良いのでしょうか?
1つ、ファーストリテイリングの業績好調の理由にヒントが隠されております。
筆者はどういうものかよく知らないのですが、ヒートテックという冬物の商品が品不足になるほど売れたそうです。
このヒートテック、恐らくこの厳冬でもこの高機能素材を着るとかなり暖かく過ごせるものではないのでしょうか?しかもそれまでの商品よりもかなりお安い値段で。これ、実は生存必需品の一角なのです。これを着れば風邪を引く頻度が減ります。暖房費もひょっとすると節約できます。
こういった、上述の生存必需品の要件を満たす商品を出していかないと、恐らく小売業というのは早晩、人員削減や店舗整理を行うなどして縮小せざるを得ないと思います。
こうした視点からの経営判断は極めて重要ですが、恐らくデパートの経営者はそこまで頭が回りきっていないばかりか、過去の放漫な経営姿勢(単なるテナント貸しのピンハネ業のようなもの)のため、ユニクロのヒートテックのようなヒット商品を企画・開発する能力が、今となっては著しく損なわれているのではないでしょうか?ユニクロは幸いにも、これまで川上から川下まで一貫して手がけておりましたので、デパートと違って商品開発力がそもそもあります。
いずれにしても、企業がこれから生き残るためには、大変な時代に差し掛かっているようですね。
どの業界も、それまでに蓄積した技術や他社にない優位性を生かして、当面は生存必需品を世の中に送り出して行かざるを得ない、厳しい時代を迎えつつあります。
個人の生存必需品の観点から今日は書きましたが、企業の生存必需品という観点からの考察も行い、それを供給する会社へと変貌することで生き残る道もあろうかと思います。
このウォルマートの下方修正は、市場では一過性のごとく捉えられておりますが、かなり大きなアメリカでの個人消費の変調を意味するものではないでしょうか。
案の定、昨年12月のクリスマス商戦も不発に終わりました。そして、ダウは更にその後大きな下げに見舞われ、一時8000ドルを割り込みました。
そこで今日は、信用収縮が実体経済に与える影響について、少し考えてみたいと思います。
今回の金融恐慌からくる急激な信用収縮により、次のような順序で需要が縮小していきました。
1.住宅・不動産市場の極端な悪化。資金繰り倒産の増加。
2.贅沢品や不要不急高額商品の買い控え。(クルマや宝石など)
3.2に絡む産業での設備投資の急減。(鉄鋼や半導体など)
4.2に絡む産業での消費の急減。(デパートなど)
-------第一次雇用情勢の悪化------
5.可処分所得減少による、消費の絞り込み。
6.日常生活購入品での低価格選考の高まり。
-------この段階ではウォルマートはいわゆるまだ勝ち組の一角-------
7.生活最低需要品以外の買い控え。
8.小売業全般への需要急減。
-------この段階を迎えているためのウォルマートの下方修正------
何故、クリスマス商戦が不発に終わったのかについても、こうした現下の需要変動の流れを見れば明らかです。クリスマスプレゼントは、人間関係を良好に保つ潤滑油ではありましたが、生活必需品ではなかったためです。
問題は、この先どこまで消費の収縮が進むのかということですね。
ここまで考えて、筆者は生活必需品の定義を、生存のための必須商品にまで縮小せざるを得なくなりました。
では、生存のための必須商品とは一体どういったものでしょうか?
1.毎日の命を長らえるための食糧品、医療費、その他保健用品など。
2.拡大再生産を途絶えさせないための教育費や一部の教養文化費。
3.最低限の衣・住の維持費。
こうした必須商品への需要の偏りが進んでいることが、総合小売業を標榜するウォルマートと言えども、業績に変調をきたしている理由の1つではないでしょうか。
こうした生存必須品に関係ないビジネスをやっている宝石のティファニーは、1月14日に再度の下方修正を発表しております。日本のイオンの赤字決算も3とは関係ないタルボットの損失や、食糧以外の衣料品などの不振が大きく効いております。
一方、食品スーパーにほぼ特化しているマルエツなどは、好決算を発表しております。
医療費削減の流れの中でも、ジェネリック医薬品業界は、日医工や、沢井製薬、ニプロなど全くといってよいほど影響を受けておりません。
「生存必需品」という概念まで遡ると、自動車は地方では必需品ですので、いずれ耐用年数を超える使用の後での買い替えは起こりますが、都市部ではライフスタイルを少し変えることで、クルマそのものが生存必需品ではなくなります。(アメリカは少々異なります。)よって、日本市場ではクルマの需要は長期低迷すると考えた方が良さそうです。
では、生存必需品に拘わる産業以外の産業は、一体全体今回に恐慌の暴風雨をどうやって凌いだら良いのでしょうか?
1つ、ファーストリテイリングの業績好調の理由にヒントが隠されております。
筆者はどういうものかよく知らないのですが、ヒートテックという冬物の商品が品不足になるほど売れたそうです。
このヒートテック、恐らくこの厳冬でもこの高機能素材を着るとかなり暖かく過ごせるものではないのでしょうか?しかもそれまでの商品よりもかなりお安い値段で。これ、実は生存必需品の一角なのです。これを着れば風邪を引く頻度が減ります。暖房費もひょっとすると節約できます。
こういった、上述の生存必需品の要件を満たす商品を出していかないと、恐らく小売業というのは早晩、人員削減や店舗整理を行うなどして縮小せざるを得ないと思います。
こうした視点からの経営判断は極めて重要ですが、恐らくデパートの経営者はそこまで頭が回りきっていないばかりか、過去の放漫な経営姿勢(単なるテナント貸しのピンハネ業のようなもの)のため、ユニクロのヒートテックのようなヒット商品を企画・開発する能力が、今となっては著しく損なわれているのではないでしょうか?ユニクロは幸いにも、これまで川上から川下まで一貫して手がけておりましたので、デパートと違って商品開発力がそもそもあります。
いずれにしても、企業がこれから生き残るためには、大変な時代に差し掛かっているようですね。
どの業界も、それまでに蓄積した技術や他社にない優位性を生かして、当面は生存必需品を世の中に送り出して行かざるを得ない、厳しい時代を迎えつつあります。
個人の生存必需品の観点から今日は書きましたが、企業の生存必需品という観点からの考察も行い、それを供給する会社へと変貌することで生き残る道もあろうかと思います。