どんな市民ランナーも、時にアクシデントや、致命的ではないにしてもアキレス腱や膝、腰などの障害を経験しながら、よりよい走り方が身についてくる。
(3/3)は、25年近い自身のランニング経験から選んだ、自らに言い聞かせるための「障害を回避して楽しく走る心得」のまとめです。
5. ランニング障害を回避して楽しく走る心得
(1) ランニングの基本10則
※ ゆっくり、ニコニコペースで、体調が悪ければペースダウンまたは休養する。
タイムより、安全を前提に楽しみ、ゆとりと健康維持が目的。
むきにならない。
スポーツは、日常生活の緊張を解きほぐすためにあります。
① 絶対に身体を追い込まない
② 苦しいときは止める
③ 疲れているとき、体調の悪いときは休む
④ 練習中毒にならない
⑤ 自分を鍛えようと思わないこと
⑥ 勝負にこだわらないこと
⑦ 暑いとき(こまめな給水)、寒冷時(寒冷対策の服装)は避ける
⑧ 目標は、自ら設定し、他人と競わない、マイペース
⑨ 長く付き合えるスポーツを
⑩ スポーツの疲れを翌日まで残さない
(2) 行うときの注意
① 自分の体を過信せず、運動の許容量を知ること。特に転倒経験のある高齢者は要注意
② 加齢は体力とともに神経機能も低下させる。視力や聴力が衰え、とっさの動作がとれなくなる。
体のバランスが ちょっと崩れると、立て直しができずに転びやすい
③ 無理せず、寝不足や風邪気味など体調の悪い時はしない。
④ 準備体操・整理体操を欠かさない。
特に夏季は暑さの引いた時間帯、冬季は日中の暖かい時間帯に行う。
⑤ 胸痛、不整脈、耳なり、強い息切れ、冷や汗、筋肉・関節痛など通常と異なる症状が出たら、ただちに中止する。
⑥ 運動終了後1時間経過しても疲労が残る場合、運動が過多、やや軽めに
⑦ 食後2時間以内、入浴後の運動は避ける。
(3) 適切な運動の種類・方法
<ウォーキングの方法>
平坦で車の往来が少ない道、木々や草花など四季の変化が観察できる500~1km程度のコースが手ごろ。余力があれば周回してもよい。
暑さ寒さの時は避け、夕夜間の足元が見えない時、寒い早朝を避け、悪天候の日は決してやらない。
防寒に努め、ウォーキングする前は準備体操、終了時には深呼吸などして、クーリングダウン(整理体操)を欠かさない。
<スロージョギングの方法>
「速筋」を使わず、持久力の「遅筋」だけで走る。長~く走れる。(約5km/h)
背筋を伸ばす、やや前傾姿勢、肩甲骨を引き上げる意識、足はけらずに押すだけ、ニコニコ&おしゃべりペース、きついと感じたら歩く
(4) トレーニング、大会参加
1週間のトレーニングの原則: やや速いと思われるトレーニングは、2回/週(水、日)。他の日は、スロージョギングとする。
<チェック1>
① 熱はあるか ない ある
② 体はだるくないか ない ある
③ 昨夜の睡眠は十分か 十分 不十分
④ 食欲はあるか ある ない
⑤ 下痢はしていないか ある ない
⑥ 頭痛や胸痛はないか ない ある
⑦ 関節の痛みはないか ない ある
⑧ 過労はないか ない ある
⑨ 前回のスポーツの疲れは残っていないか ない ある
⑩ 今日のスポーツに参加する意欲は十分にあるか ある ない
・上の項目の中で、1つでも2列の回答の右側の項目に○がついた場合は、当日の練習、参加を避けて休養をとる。
1週間以上症状が続いている場合は、医師の診断を受ける。
その他、
・天候に関わらず、脱水症・熱中症予防のためにスタート前、レース中必ず水分補給をして下さい。
<チェック 2>
① 無理なく走ろう マイペース
② 進んで受けようメディカルチェック
③ タイムより、楽しい走り、健康づくり
④ アタマを使って走りの工夫
⑤ ずっと前の若さと力あてにせず
⑥ 睡眠、食欲、体調チェック
⑦ いつもの練習あってこそ楽しいレース
⑧ エイッ、ここで退く勇気が大人の選手
⑨ いい笑顔、気力も充実、輝く高年
<チェック3>
ア. 高齢者も可能で、安全で効果的な走り
・ややきついと感じるあたりのレベルであること
① 自然な呼吸
② うっすら汗をかく
③ 自然な腕ふり
④ 不自然であるが会話ができる
⑤ 気持ちよく走れる
イ. どの程度の運動量がちょうどいい ?
① 少し疲れるくらいの、日常生活より強い運動をすること
② 運動をやめれば、体力は急速に衰える(体力は貯金できない)
③ 狙った効果を上げるには、それに適した運動がある
ウ. トレーニングの原則
① 心身のバランスのとれた発達を運動の目的とする
② トレーニングの目的や方法を自覚する
③ 初めは、軽い運動から、徐々に持続時間、回数を増やしていく(高齢者は、ほどほどに)
④ トレーニングは、持続すること。上達するに従って回数を増やす( 〃 )
⑤ 本人の体力や健康状態に合った方法や強度を選ぶ
⑥ 安全な時間帯、安全な場所、安全な用具 を選ぶ
(5) スポーツ障害の予防
① 胸痛、動悸、息切れ、めまいは要注意
② 急にスピードを上げない
③ 十分なウォーミングアップ、クーリングダウンを行う
④ ストレッチ(筋肉を反動をつけず、ゆっくり伸ばす)、ヨーガ体操
⑤ 補助運動(腕立て、腹筋、背筋、スクワットを各20回)
⑥ 炎暑、寒冷時は運動しない。または十分な対策(たっぷりな給水、寒冷対策の服装)
⑦ スポーツマッサージ
⑧ アイシング