面白かったです。国が化学兵器を研究する大学を「特区」で作る計画しています。それに抗う官僚
を察知した内閣調査室(内調)は、彼を抹殺します。若き新聞記者がその「特区」の問題を暴こうと
します。また、先輩官僚の死に疑問を持った若きエリート官僚がその真相に迫ろうとします。
この「特区」の問題はこの映画の重要さではありません。 映画の狙いは安倍内閣の忖度・隠蔽・誤
魔化し政治の批判ではもちろんありません。また、内調や日本社会の危険に警鐘を示すことでも
ありません。あくまで社会派サスペンスとしてのエンターテイメント映画です。
ストーリーはちょっと雑ですが。個性的な感じのする松坂桃李さんは私の好きな俳優です。また、
出色は、何といっても若き韓国人俳優シム・ウンギョンさんです。ちょっと大げさな演技の感じで
すが、完璧ではないですが日本語をとてもうまく話します。このキャスティングは大成功でした。
第74回毎日映画コンクールの日本映画優秀賞、女優主演賞に、シム・ウンギョンさんが選ばれまし
た。また、第43回日本アカデミー賞でも、優秀作品賞、優秀主演男優賞(松坂桃李)、優秀主演女優賞
(シム・ウンギョン)の受賞もしたそうです。
昨今、日本でも世界でもあらゆるところに設置されたカメラでの映像とインターネット、スマー
トフォン、カード等の様々な情報がAIで統合・処理されています。そう遠くない5G以降の将来、私
たちのほぼすべてのことが国家によって監視・把握される、そんな恐怖の時代を予感させる映画
でした。
面白かったのは、テレビのワイドショウのメインコメンテーターで登場する元文部科学事務次官
の前川喜平さんでした。まるでBGMのように頻繁に流れるのですが、彼の話し方はまるでプロの
俳優のように上手かったです。 【1月20日】