刺激的映画です。日本に紹介されることが少ない珍しいベルギー映画です。昨今、LGBTへの
「理解」は広がって来ていますが、まだ十分とは言えません。
ララは、女性バレリーナになりたいと願っています。体は男性ですが、女性の体になりたいと
思っている思秋期の人です。これまでの映画なら、家族からも、友人たちからも理解されず、
孤独に悩み、苦しみ、そして戦うという扱いが多いと思いますが、この映画では、家族や友人
も彼女を自然に受け入れています。特に、父親が最高に素敵で、彼女に寄り添い、支えていま
す。これが、現在のベルギー社会のあり様かは私はわかりませんが、もしそうなら素敵です。
そんなクラスメートですが、彼女にペニスを見せてと迫ります。バレーを踊るシーンとペニ
スを隠したテープをはがすシーンが過剰に多過ぎ、長過ぎです。後半の自虐シーンも賛否が
分かれる所かもしれません。
私は、この映画では容姿が他の女性より美しい彼が主人公ですが、「美しくない顔と体」の人
だったら、そしてさらにその他に体の「障害」を持っていたら、彼女の苦悩はどれほどだった
か、と思いました。それは、映画にするには難し過ぎると思いますが、とまれ、彼女が群衆の中
元気よく真っすぐ前を向いてこちらに向かって歩いて来るラストシーンは素敵でした。
【12月16日】