GW旅行初日の5月1日、博多に新幹線で上陸した私は、大型荷物を地下鉄のコインドッカーに預けて、そのまま地下鉄で唐人町駅へ。今回の旅の最初の目的地である福岡ヤフードームへの鉄道でのアクセス最短距離の駅である。
ヤフードームに来るのも5年ぶりである。かつては「ダイエー対近鉄」の試合をレフトスタンドで応援しながら見物したこともあるが、前回は仕事で出張した折、福岡で宿泊することになったので、地元支店の方の夜の部へのお誘いを丁重にお断りしてもちろん入場料も自腹でやってきた。そのときと比べてもスタジアムにフィールドシートができたり、ドームの周りのショッピングモールもパワーアップしたりと充実している。
今回購入したのは三塁側のA指定席。ソフトバンクには同じ西日本のチームを応援している縁でそのまま応援につなげてほしいし、ロッテの場合は「ロッテファンのファン」という状態なので、どちらもがんばってほしいものである。
さて試合前。グッズや食べ物売り場を見て回る。これは普段行く京セラドームの場合と比べてのことであるが、品数も充実しているし、食べ物では特に「九州」というものを前面に出した商品が多い。「食い倒れの街大阪」に本拠を構える球団から見て、いかに「大阪名物」というのが貧相なものであるかを感じてしまう。
結局あれこれ迷った上購入したのが、杉内投手プロデュースとかいう「勝ちとり弁当」。博多地鶏の照り焼きとそぼろ、錦糸玉子、明太子、高菜というシンプルなものであるが、福岡の名物がボリュームよく並ぶ一品。当日杉内は登板しないが、ソフトバンクが勝ちを取りに行けるか。
「今年はやらんといかんばい!」というのがスローガンで、携帯電話のCMに登場する「お父さん犬」がスタジアムのここかしこで声援を送っている。
この試合はアサヒスーパードライの後援シリーズとか。試合前には「カーニバる?」で先日メジャーデビューをしたナオト・インティライミによるグラウンドでのミニライブが行われた。FMで聴いたことがあるが、テンポよくこういう球場では盛り上がる曲である。てっきり何人かのユニットかと思っていたらソロだったんですな。TMレボリューションみたいなものか(例えが古い・・・)。
数日前の試合であるが内容も振り返ってみる。
ソフトバンクの先発は小椋、ロッテ先発は成瀬という両左腕。いずれも序盤から好調で、小椋は140キロ後半の速球で、成瀬は切れ味鋭い変化球でいずれも三振の山を築く。
特に成瀬は3回裏を三者三振に取るなど、3回まで6奪三振。さすがにチーム好調の象徴ではある。
ロッテ打線は3回に里崎、4回に金泰均のソロ本塁打で2対0とリード。韓国の大物の打撃を見ることができて、他チームのファンながらうならせる。
レフトスタンドの一角に陣取ったロッテファンも元気だ。こちらの応援光景を見るのも楽しいものである。今年もいくつか新曲ができたようだが、ルーキーの荻野貴の曲はAメロBメロあっていい感じで耳に残る。
このまま成瀬がスイスイ行くかと思われた5回、ソフトバンクの攻勢が始まる。先頭の多村が左中間に豪快な一発を放つ。これでレフトの一角を除くスタンド全体のボルテージが上がる。この後一死一・三塁となり、打席には9番・山崎。ここでセーフティースクイズを敢行するが打球は成瀬の正面へ。三塁ランナーが本塁で憤死しチャンスもここまでかと思われた。
しかし打席には川崎。初球を右中間へ運ぶ。一人が生還して同点、そして先ほどスクイズ失敗した山崎も本塁に突入する。捕手・里崎とのタックルプレーでボールがはじき飛び、3対2と逆転のホームインとなった。
両者ともしばらく起き上がれなかったが、ミスを取り返そうという気迫のプレーに大きな拍手が送られた。結局このプレーで流れがソフトバンクに行ったようなものである。
6回にロッテも金泰均のこの日2本目のソロが出て3対3となるが、その裏、オーティズが両リーグ10号一番乗りとなるソロが出て4対3と勝ち越し、続く小久保も高々とレフトスタンドへ放り込む。これで成瀬をノックアウト。
こうなれば完全にソフトバンクの試合で、7回に西岡の犠牲フライで1点を返されるものの、7・8回にも追加点が入り7対4。
6回まで投げた小椋の後を受け、7回は甲藤、8回は攝津、そして9回は馬原という必勝パターンで逃げ切ったソフトバンク。この日西武が敗れたこともあり、ソフトバンクが今季初の首位に立った。スタンドが沸く中、「そういえば1ヶ月前は首位を走っていたよな・・・」と、この日も仙台で不甲斐ない試合結果となった我がチームに一人思いをはせる(実はこの連休中まだ一つも勝っていない)。
試合後のヒーローインタビューは小椋と、子どもを連れたオーティズがMVPということでヒーローインタビューを受ける。試合前に登場したナオト・インティライミと、始球式を務めたアサヒビールのイメージガールとのショットに納まる。しかしまあ、激走を見せた山崎、2打点を上げた切り込み隊長・川崎らのプレー、そして随所に見られた好守と光るものは多かった。両チーム合わせて6本の本塁打というのもなかなか見られるものではない。
そしてお待ちかねの試合後のセレモニー。ヤフードームの照明が消え、天井に花火が打ち上げられる。これを合図に「いざゆけ若鷹軍団」が流れ、ドームの屋根がするするとスライドする。
ドーム内に快晴の福岡の青空の光が差し込んでくる。いやあこれは全国どこのドームにも真似のできないイベントである。本当にお腹いっぱいの観戦であった。
ドームを出て玄界灘の潮風を受けながら唐人町に戻るまでの間、面白さともどかしさの両方を感じていた。野球の地域密着化が進む中、「ヤフードームでの野球観戦」というのは、特にファンでない人にとっても福岡観光の一つとして楽しめるものではないかと思う。その一方で大阪・神戸のチームがそれぞれの街の顔となりえていない現状にもどかしさを感じるのである(どうしても、西宮のチームが関西の顔になってしまっており・・・)。ホームの試合でもホームアドバンテージのようなものも感じられず・・・。まずは選手が気迫あるプレーとパフォーマンスを見せないとね。
さて博多駅に戻り、この日は小倉まで「ソニック」で向かう。JR九州らしい大胆なデザインの車内であるが、どうもシートが散髪屋の椅子に見えて仕方ない。それでも快走を楽しみ、「ドリームにちりん」までの時間を過ごすことになる小倉に到着した・・・・。(続く)