まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

夜のけものみち

2017-01-15 | 北米映画 15~21
 「ノクターナル・アニマルズ」
 アートギャラリーを経営するスーザンのもとに、元夫エドワードから小説の原稿が届く。あるおぞましい事件を描いた小説に、スーザンの心は激しくかき乱されるが…
 世界的デザイナーであるトム・フォードの、映画監督デビュー作「シングルマン」に続く待望の第2作。今回はミステリアスなサスペンスドラマ。ジャンルは違えど、処女作同様に映像も演出もファッションも、他の監督とは一線を画したエレガンスやスタイリッシュさがあって、さすがトム・フォードな作品でした。ようやく日本での公開も決定したみたいで、めでたいめでたい。

 シングルマンは、良い意味でも悪い意味でも趣味が高いというか、トム・フォードの服とは無縁なユニクロ系庶民に用はない、と言わんばかりの高級志向というか、気取ったタカビーさが無きにしもあらず、中年ゲイの自己陶酔がグダグダ続くだけの退屈な雰囲気映画なので、好き嫌いがハッキリ別れてしまう、かなり観る人を選ぶものでしたが、この第2作目はミステリ仕立てでショッキングなシーンや展開もあったり、敷居が低くなってるというか、腐とファッション好き以外の人にも楽しめる映画になってます。
 現在のスーザン、スーザンが読む小説の物語、過去のスーザン、3つの物語が交錯する構成になってます。謎めいた不気味な雰囲気を醸す演出が、洗練した才気を感じさせます。スーザンを取り巻く世界はダークでスタイリッシュ、小説の物語は殺伐と荒々しい、というコントラストも独特でした。小説に動揺するスーザンの不穏すぎる様子から、ひょっとして書かれている悪夢はフィクションではなく事実で、スーザンとリンクしているのか?と観客も想像をかきたてられます。
 この映画、雰囲気映画で終わらずにすんだのは、集結した一流どころの俳優の怪演、熱演のおかげとも言えるでしょう。豪華キャストが濃ゆい演技と個性をぶつけ合ってます。

 ヒロインのスーザン役は、今や名女優としてハリウッドで不動の地位を築いているエイミー・アダムス。彼女もすっかり熟女の貫禄がついてきましたね~。濃ゆいメイクが、いろんな感情や秘密を隠した女の仮面のようでした。明るくて気丈な庶民派アメリカ女なイメージが強いエイミーさんですが、どこか病んだコワレた抑圧女の役してもお上手ですね。
 スーザンの元夫エドワードと、小説の主人公トニーの二役を演じてるジェイク・ギレンホールの熱演もインパクトあり。ジェイク、すっかり怪優になっちゃってますね~。何もしなくても何か怖いんですよ。何かやらかす感がハンパないです。エドワードは静、トニーは動の怖さ。どっちも巧みに演じ分けてるジェイクです。
 ハリウッドの怪優といえばこの人、マイケル・シャノン。彼もジェイクに負けず劣らずの怪演。小説の中の刑事役なのですが、はじめはシャノン氏にしてはフツーっぽいなと油断してたら、ジワジワとヤバい本性をあらわしていって、あ、やっぱシャノン氏だ♪とヘンな安堵を覚えてしまいました。
 スーザンの現夫役で、アーミー・ハマーも出演してます。そんなに出番はないけど、相変わらずカッコカワいいイケメン。若いので、エイミーとは年の差ありすぎ夫婦に見えて仕方なかった。実際、エイミー43歳、アーミー31歳でひと回りも違うし!

 ジェイクもシャノン氏も激ヤバでしたが、最もイカレた役を怪演して美味しいとこどり、見事ゴールデングローブ賞で助演男優賞をサプライズ受賞した、英国俳優のアーロン・テイラー・ジョンソン。不快指数MAXな彼の不潔なキ○ガイっぷり、これは相当の覚悟と役者魂がないとできない汚れ役です。早く死んで!と願わずにいられない有毒男なんだけど、よく見れば、いや、よく見なくてもやっぱイケメンなんですよね~。イケメン崩し、イケメン隠しって難しいんですよね~。彼の屋外排便シーンも強烈。それにしても。なぜあんなところにトイレが?!アメリカではフツーなの?!それはそうと。アーロンってまだ26歳だとか。日本の若手イケメン俳優も、こういう役して日本アカデミー賞とやらを獲ってほしいものです。
 スーザンのファッションや邸宅のインテリア、ギャラリーの作品など、趣味が高尚すぎてちっとも着たいとか住みたいとか飾りたいとか思わないけど、珍奇な魅力があって目には楽しいです。

 ↑アーロン、GG賞おめでと!トム・フォード先生は、イギリス男が好きなのかしらん?次回作も楽しみ。フォード先生のおめがねにかなうNEXT イケメンは誰?
コメント (8)
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