「ふたりのベロニカ」
ポーランドでコンサートの舞台に立っていたベロニカは、突然の発作に襲われ急死する。その時、フランスでは音楽教師のベロニカが強い喪失感に胸を衝かれて…
いい映画、面白い映画は枚挙にいとまがありませんが、美しい映画となると稀。ポーランドの名匠、故クシシュトフ・キェシロフスキ監督のこの作品は、私にとってそっと心の奥にしまっておきたい、大切な小さな宝石のような映画なのです。たまに宝石箱から取り出して、その美しさを愛でたくなる。そんな映画です。いつ見ても、その美しさは永遠不滅です。
お話的には、けっこう難解というか、謎が多く、観る人の解釈に委ねる不思議系なので、小中学生向けみたいなわかりやすい映画じゃないとダメな人には、退屈なだけの意味不明映画かもしれません。私にとっては、そのミステリアスさ、深遠さが心の琴線に触れてくる映画です。
キェシロフスキ監督の作品って、この映画もですが、静かで淡々としてるけど、映像や演出がかなり独特というか、斬新なんですよね~。冷戦時代の東欧の冷たい不気味な社会主義っぽい雰囲気と、フランス映画の高い香りがブレンドされてるというか。哀感漂う静謐さの中に、不穏なドラマティックさがふと現れるところが特徴でしょうか。ちょっと思わせぶりな、不可解な謎シーンや謎人物(ベロニカがすれ違う紳士とか、時おり出てくる老婆とか)も、お約束になってます。
冷ややかさと温かみが混在する、透明感ある映像もキェシロフスキ監督作品の魅力。そして、音楽も効果的に使われています。清澄で荘厳で宗教的なところが、映画をとても神秘的にしています。ベロニカがコンサートで歌うシーンは、何だか怖くなるほどの神聖さで圧倒されます。あと、小道具もいつも印象的。人形劇の人形、透明のピンボール、ベロニカに届く謎のプレゼントetc.どれも意味があるようでないような、ないようであるような、そういう曖昧なところも魅惑的です。演出も脚本も、奇をてらいすぎて鼻につく才気走り系な映画よりも、私は答えのない、答えを求める必要のない美しい謎に満ちたキェシロフスキ監督のような感性のほうが好きです。あと、人形劇も美しくて面白かった。
そして何といっても、ふたりのベロニカを演じたイレーヌ・ジャコブ。“キェシロフスキ監督の宝石”と讃えられた彼女の瑞々しい演技と美しさこそ、この映画を傑作にしたと言っても過言ではありません。イレーヌはこの作品で、カンヌ映画祭女優賞を受賞しました、
まさに宝石のような女優イレーヌ。宝石といっても、ギラギラと輝くダイヤモンドではなく、慎ましくも優美な真珠のような存在。清楚でピュアな美しさと、柔らかで濃厚な女の色香を併せもっています。若く豊満な裸体も惜しげもなく、それでいて自然にさらして魅了してくれます。とにかくイレーヌの、まるで聖女のごとき優しさが崇高。どんなに演技が巧い女優が、どんなに優しい女性を演じても、芯にある性悪さ、気の剛さは隠せない。本当に性質が美しくないと、ベロニカ役は絶対ムリだと思う。見た目の美しさ以上に、演技力以上に、キェシロフスキ監督はイレーヌの人柄で起用を決めたのではないでしょうか。ファンレターの返事をくれたし、イレーヌって絶対善い人!彼女の聖女美がさらに活かされ輝いたのが、キェシロフスキ監督の遺作となってしまった名作、わし史上ベスト映画かもしれない「トリコロール 赤の愛」です。後日、この作品の感想もUPしたいと思います。
ポーランドでコンサートの舞台に立っていたベロニカは、突然の発作に襲われ急死する。その時、フランスでは音楽教師のベロニカが強い喪失感に胸を衝かれて…
いい映画、面白い映画は枚挙にいとまがありませんが、美しい映画となると稀。ポーランドの名匠、故クシシュトフ・キェシロフスキ監督のこの作品は、私にとってそっと心の奥にしまっておきたい、大切な小さな宝石のような映画なのです。たまに宝石箱から取り出して、その美しさを愛でたくなる。そんな映画です。いつ見ても、その美しさは永遠不滅です。
お話的には、けっこう難解というか、謎が多く、観る人の解釈に委ねる不思議系なので、小中学生向けみたいなわかりやすい映画じゃないとダメな人には、退屈なだけの意味不明映画かもしれません。私にとっては、そのミステリアスさ、深遠さが心の琴線に触れてくる映画です。
キェシロフスキ監督の作品って、この映画もですが、静かで淡々としてるけど、映像や演出がかなり独特というか、斬新なんですよね~。冷戦時代の東欧の冷たい不気味な社会主義っぽい雰囲気と、フランス映画の高い香りがブレンドされてるというか。哀感漂う静謐さの中に、不穏なドラマティックさがふと現れるところが特徴でしょうか。ちょっと思わせぶりな、不可解な謎シーンや謎人物(ベロニカがすれ違う紳士とか、時おり出てくる老婆とか)も、お約束になってます。
冷ややかさと温かみが混在する、透明感ある映像もキェシロフスキ監督作品の魅力。そして、音楽も効果的に使われています。清澄で荘厳で宗教的なところが、映画をとても神秘的にしています。ベロニカがコンサートで歌うシーンは、何だか怖くなるほどの神聖さで圧倒されます。あと、小道具もいつも印象的。人形劇の人形、透明のピンボール、ベロニカに届く謎のプレゼントetc.どれも意味があるようでないような、ないようであるような、そういう曖昧なところも魅惑的です。演出も脚本も、奇をてらいすぎて鼻につく才気走り系な映画よりも、私は答えのない、答えを求める必要のない美しい謎に満ちたキェシロフスキ監督のような感性のほうが好きです。あと、人形劇も美しくて面白かった。
そして何といっても、ふたりのベロニカを演じたイレーヌ・ジャコブ。“キェシロフスキ監督の宝石”と讃えられた彼女の瑞々しい演技と美しさこそ、この映画を傑作にしたと言っても過言ではありません。イレーヌはこの作品で、カンヌ映画祭女優賞を受賞しました、
まさに宝石のような女優イレーヌ。宝石といっても、ギラギラと輝くダイヤモンドではなく、慎ましくも優美な真珠のような存在。清楚でピュアな美しさと、柔らかで濃厚な女の色香を併せもっています。若く豊満な裸体も惜しげもなく、それでいて自然にさらして魅了してくれます。とにかくイレーヌの、まるで聖女のごとき優しさが崇高。どんなに演技が巧い女優が、どんなに優しい女性を演じても、芯にある性悪さ、気の剛さは隠せない。本当に性質が美しくないと、ベロニカ役は絶対ムリだと思う。見た目の美しさ以上に、演技力以上に、キェシロフスキ監督はイレーヌの人柄で起用を決めたのではないでしょうか。ファンレターの返事をくれたし、イレーヌって絶対善い人!彼女の聖女美がさらに活かされ輝いたのが、キェシロフスキ監督の遺作となってしまった名作、わし史上ベスト映画かもしれない「トリコロール 赤の愛」です。後日、この作品の感想もUPしたいと思います。