「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
18歳で未亡人となり、嫁ぎ先のフランスから故郷に戻ったスコットランドの女王メアリーは、従姉であるエリザベス女王に親愛を示しながらも、イギリスの王位継承権を主張。エリザベスはメアリーへの警戒心と情愛の間で苦悩するが…
劇場に観に行きたかったのに行けなかった作品を、ようやくDVDで。時代劇大好き、特にイギリス王室ものは大好物!血で血を洗う骨肉の権力争い、複雑で愛憎にまみれたロイヤル人間関係は、凡庸な平民の私からするとファンタジー以上の別世界。美しい非日常にいざなってくれます。英国王室には映画やドラマにうってつけの史実が豊富ですが、中でも最も有名かもしれないのはエリザベス女王とメアリー・スチュワートの悲劇的な対立でしょうか。「女王陛下のお気に入り」のアン女王もでしたが、栄光と栄華の代償は人間として女としての幸せ。それを剥奪され、常に奈落の底に落ちそうな崖っぷちを歩いている不安と恐怖を味わい尽くさねばならない不幸な人生で、ちっとも羨ましくありません。凡庸な平民でよかった!と心の底から安堵します。
イギリス王室ものといえば、負ければ問答無用に斬首の権力争いなのですが、この映画は私が好きな血なまぐさい陰謀劇ではなく、エリザベスとメアリーという二人の対照的な女性の、それぞれの女ならではの感情や苦悩、悲しみがメインテーマになっていました。現代の女性とカブる部分も多々ある描き方をされているので、それ私もあるある~と共感できるのはいいのですが、そういうのって私はちょっと苦手なんですよね~。日本の大河ドラマじゃあるまいし、女子受けを狙ったスウィーツさやライトなフェミニズムではなく、もっとシビアでハードな政争が見たかったです。
エリザベスもメアリーも、女王なのにいるいるこんな女~なキャラでした。エリザベスはコンプレックスの塊で、自信のなさと不安で欝々としてるけどギスギスと強がってるメンヘラ女。あの時代、よい精神科医いなかったのでしょうか。ウジウジとメアリー処断を迷う姿にイラっとしました。自分よりすべてにおいて上な女は、不愉快だけど憧れるので仲良くしたい…そんな悩める女子高生みたいでした。
一方のメアリーは、魅力的だけど人に愛される魅力ではなく、自分だけ輝ければいい的な身勝手な魅力。エリザベスと仲良くしようとしてたけど、あれって美人がブスを手なずけて自分の引き立て役にしようとするのに近いアプローチ。かなりKYで、結婚や出産といった自分の幸せアピールに、未婚のオールドミスであるエリザベスがどれほど複雑な気持ちになるかなんてまったく忖度なしな無神経さに、エリザベスじゃなくてもイラっ。最初で最後の対面シーンでは、はっきり言ってましたもんね~。私のほうがあんたより上!と。自尊心は誰よりも強いけど、女王としては無能。常に相手より優位に立つことに固執するあまり自滅する、愚かなマウンティング女みたいでした。
感情的で狭量。これだから女ってダメなんだよ…そんなトホホ女王たちでした。誇り高い=自分の我を通す、我慢するぐらいなら周囲を巻きこんで自爆、じゃないと思うのだけど。宮廷劇としてはイマイチでしたが、ガール映画としては面白かったです。善い女よりヤな女のほうが見ていて面白いもんね。二人の女王を熱演したのは、同じ年に違う映画でそれぞれアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた旬の女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー。シアーシャを見たのは、彼女が少女の時にオスカー候補になった「つぐない」以来久々。まだ少女っぽい透明感は残ってますが、ムチムチした体つきとかはもう熟女みたい。シアーシャからは何となくですが、ジョディ・フォスターやシャーリーズ・セロンみたいな男まさり、男嫌いのにおいがするのは私だけでしょうか。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのチャーミングな好演も記憶に新しいマーゴット、なぜアメリカ女優の彼女がエリザベス女王役?と思ってましたが、なかなか堂に入った女王ぶりでした。美貌とともに女であることもかなぐり捨てて、どんどんバケモノみたいな面相になっていくのが怖かったです。白塗りメイクと赤毛、まるで昔のマクドナルドのマスコットキャラだったピエロみたいで笑えましたが。
メアリーの二番目の夫となる貴族の青年ヘンリー役は、最近お気にの英国男子ジャック・ロウデン。この映画の彼もすごくカッコカワイかったです!優しそうで背が高くて、スラっとした長身に貴族の衣装が似合ってました。でも役は、とんでもないクズ男、情けないダメ男!メアリーをロマンティックに口説いて結婚したかと思いきや、すぐに本性を現すんですよ。軽薄で節操のないヤリチン、しかも相手は女ではなく男!BLキター!つっても、男同士のラブシーンなどはなし。ヘタレで無能なくせに欲張りで、メアリーほんと男運がないというか男を見る目がないというか。まあ、気が強い賢女にかぎって、ダメ男にハマっちゃうってことよくあるみたいですが。取柄はイケメンなことだけという最低な亭主だけど、ロウデンくんが可愛いので何か憎めないキャラになってました。
もう一人、注目のイケメンが。エリザベスの恋人ロバート・ダドリー役は、「女王陛下のお気に入り」にも出ていたジョー・アルウィン。柔和なロウデンくんとは逆に、目つきが鋭く悪賢そう。ダークな貴公子として悪だくみするわけでもなく、いてもいなくてもいいような存在だったのが残念。エリザベスの側近セシル役は、大好きなガイ・ピアース。枯れたシブい熟年になりましたけど、まだまだ女っけのある役もイケそう。
時代劇といえば、やはり楽しみなのが衣装とかセット。イギリスは質実剛健というか、華美ではなく派手でもないところが好きです。スコットランドの荒涼としつつも美しい自然にも魅了されます。スコットランドにもまた行きたいな~。
18歳で未亡人となり、嫁ぎ先のフランスから故郷に戻ったスコットランドの女王メアリーは、従姉であるエリザベス女王に親愛を示しながらも、イギリスの王位継承権を主張。エリザベスはメアリーへの警戒心と情愛の間で苦悩するが…
劇場に観に行きたかったのに行けなかった作品を、ようやくDVDで。時代劇大好き、特にイギリス王室ものは大好物!血で血を洗う骨肉の権力争い、複雑で愛憎にまみれたロイヤル人間関係は、凡庸な平民の私からするとファンタジー以上の別世界。美しい非日常にいざなってくれます。英国王室には映画やドラマにうってつけの史実が豊富ですが、中でも最も有名かもしれないのはエリザベス女王とメアリー・スチュワートの悲劇的な対立でしょうか。「女王陛下のお気に入り」のアン女王もでしたが、栄光と栄華の代償は人間として女としての幸せ。それを剥奪され、常に奈落の底に落ちそうな崖っぷちを歩いている不安と恐怖を味わい尽くさねばならない不幸な人生で、ちっとも羨ましくありません。凡庸な平民でよかった!と心の底から安堵します。
イギリス王室ものといえば、負ければ問答無用に斬首の権力争いなのですが、この映画は私が好きな血なまぐさい陰謀劇ではなく、エリザベスとメアリーという二人の対照的な女性の、それぞれの女ならではの感情や苦悩、悲しみがメインテーマになっていました。現代の女性とカブる部分も多々ある描き方をされているので、それ私もあるある~と共感できるのはいいのですが、そういうのって私はちょっと苦手なんですよね~。日本の大河ドラマじゃあるまいし、女子受けを狙ったスウィーツさやライトなフェミニズムではなく、もっとシビアでハードな政争が見たかったです。
エリザベスもメアリーも、女王なのにいるいるこんな女~なキャラでした。エリザベスはコンプレックスの塊で、自信のなさと不安で欝々としてるけどギスギスと強がってるメンヘラ女。あの時代、よい精神科医いなかったのでしょうか。ウジウジとメアリー処断を迷う姿にイラっとしました。自分よりすべてにおいて上な女は、不愉快だけど憧れるので仲良くしたい…そんな悩める女子高生みたいでした。
一方のメアリーは、魅力的だけど人に愛される魅力ではなく、自分だけ輝ければいい的な身勝手な魅力。エリザベスと仲良くしようとしてたけど、あれって美人がブスを手なずけて自分の引き立て役にしようとするのに近いアプローチ。かなりKYで、結婚や出産といった自分の幸せアピールに、未婚のオールドミスであるエリザベスがどれほど複雑な気持ちになるかなんてまったく忖度なしな無神経さに、エリザベスじゃなくてもイラっ。最初で最後の対面シーンでは、はっきり言ってましたもんね~。私のほうがあんたより上!と。自尊心は誰よりも強いけど、女王としては無能。常に相手より優位に立つことに固執するあまり自滅する、愚かなマウンティング女みたいでした。
感情的で狭量。これだから女ってダメなんだよ…そんなトホホ女王たちでした。誇り高い=自分の我を通す、我慢するぐらいなら周囲を巻きこんで自爆、じゃないと思うのだけど。宮廷劇としてはイマイチでしたが、ガール映画としては面白かったです。善い女よりヤな女のほうが見ていて面白いもんね。二人の女王を熱演したのは、同じ年に違う映画でそれぞれアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた旬の女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー。シアーシャを見たのは、彼女が少女の時にオスカー候補になった「つぐない」以来久々。まだ少女っぽい透明感は残ってますが、ムチムチした体つきとかはもう熟女みたい。シアーシャからは何となくですが、ジョディ・フォスターやシャーリーズ・セロンみたいな男まさり、男嫌いのにおいがするのは私だけでしょうか。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのチャーミングな好演も記憶に新しいマーゴット、なぜアメリカ女優の彼女がエリザベス女王役?と思ってましたが、なかなか堂に入った女王ぶりでした。美貌とともに女であることもかなぐり捨てて、どんどんバケモノみたいな面相になっていくのが怖かったです。白塗りメイクと赤毛、まるで昔のマクドナルドのマスコットキャラだったピエロみたいで笑えましたが。
メアリーの二番目の夫となる貴族の青年ヘンリー役は、最近お気にの英国男子ジャック・ロウデン。この映画の彼もすごくカッコカワイかったです!優しそうで背が高くて、スラっとした長身に貴族の衣装が似合ってました。でも役は、とんでもないクズ男、情けないダメ男!メアリーをロマンティックに口説いて結婚したかと思いきや、すぐに本性を現すんですよ。軽薄で節操のないヤリチン、しかも相手は女ではなく男!BLキター!つっても、男同士のラブシーンなどはなし。ヘタレで無能なくせに欲張りで、メアリーほんと男運がないというか男を見る目がないというか。まあ、気が強い賢女にかぎって、ダメ男にハマっちゃうってことよくあるみたいですが。取柄はイケメンなことだけという最低な亭主だけど、ロウデンくんが可愛いので何か憎めないキャラになってました。
もう一人、注目のイケメンが。エリザベスの恋人ロバート・ダドリー役は、「女王陛下のお気に入り」にも出ていたジョー・アルウィン。柔和なロウデンくんとは逆に、目つきが鋭く悪賢そう。ダークな貴公子として悪だくみするわけでもなく、いてもいなくてもいいような存在だったのが残念。エリザベスの側近セシル役は、大好きなガイ・ピアース。枯れたシブい熟年になりましたけど、まだまだ女っけのある役もイケそう。
時代劇といえば、やはり楽しみなのが衣装とかセット。イギリスは質実剛健というか、華美ではなく派手でもないところが好きです。スコットランドの荒涼としつつも美しい自然にも魅了されます。スコットランドにもまた行きたいな~。