「パッセージ」
映画監督のトマスは恋人のマーティンとパリで同棲中だが、魅力的な若い女性アガテに惹かれ彼女と深い関係になる。アガテの部屋で暮らし始めるトマスだったが、マーティンを忘れることができず…
去年の東京国際映画祭は、「異人たち」とこの作品が腐の注目作でしたが、異人たちと違ってこっちは結局日本では一般公開されませんでした。いい作品なのに、何でだろ。異人たちはアンドリュー・ヘイ監督、こちらはアイラ・サックス監督、どちらも独自の感性でBL佳作を発表し続けてる、作家性の強いオープンゲイのフィルムメーカー。この映画は、やっぱ内容と性的シーンが日本人向けではないと判断されたのかしらん。ロマンティックでスウィートな悲しさ、優しさが心に沁みた異人たちと違い、こっちはリアルでシビア、そしてイタいBLでした。実際のゲイってこんな人が多いんだろうな、恋愛もこんな感じなんだろうな、と思わせてくれました。とにかくトマスが自由すぎるというか、クズすぎてイライラするわ~♬by 明菜!
長年の彼氏をあっさり捨てて、若い女に奔っただけでも最低なのに、元カレとも関係を断とうとせず、のらりくらり、かつ忙しく二人の間を行ったり来たりする堂々とした二股ぶり。それの何が悪い?みたいな顔して、厚かましいにもほどがある!女と別れて僕のもとに戻ってきた、とマーティンが信じてしまうようなセックスの後、アガテの妊娠を報告したりする狡さ、無神経さに唖然。しかも3人で一緒に赤ちゃん育てよう、と提案したり。相手の都合や気持ちはお構いなし、ぜんぶ自分のしたいようにするノーテンキな身勝手さは、もはや頭おかしいレベルで滑稽でもあった。ちょっと笑いも狙ってるのかな?と思ってしまうトマスのクズっぷりでした。
クズなトマスが許せないと同時に、振り回されても彼を許して受け入れてしまう、マーティンとアガテの人の善さも理解しがたかったです。あんな二股、屈辱以外のなにものでもないのに。マーティンもアガテも、怒ったり悲しんだりはするけど、トマスへの愛がそれに勝ってしまってつい…の繰り返しがイタすぎる。恋敵なのに、マーティンとアガテの間に憎悪も衝突も発生せず、冷静に距離を置いた分別ある関係を保ってたのも驚き。悪いのは全部トマス、ということがお互い解ってたからでしょうか。もし男を奪い合う相手が同性だったら、きっとありふれた修羅場になってたんでしょうね。何でこんなクズをそこまで?!もうやめとけ!と言いたくなる二人でしたが、蓼食う虫も好き好きというか、ダメでクズなところに惹かれる人も世の中にはたくさんいるみたいですね。だめんず女(男も)が後を絶たないわけですね。クズ男も、それに引っかかる男女も、結局どっちもどっち。そんなグダグダした痴情のもつれ話は、確かに日本の映画ファンにはアピールしないものかもしれません。
マーティン役は、ゲイを演じさせればsecond to noneな役者、ベン・ウィショー。
ベン子さん、今回も生々しくも魅力的なゲイっぷりでした。ノンケ俳優が頑張ってゲイ役やってるのとは、ぜんぜん違うんですよね~。ゲイ=気持ち悪いオカマ野郎、みたいな扱いだった時代はもう遠い過去。ベン子さんこそが、ゲイがゲイ役を演じる意義を体現する俳優の代表格、先駆者ではないでしょうか。ベン子さんの表情、仕草ひとつひとつが、女性にもノンケ男性にもないもの。すごい気が強そうで、みじめなほど優しい、そんなベン子さんasマーティンが痛ましくも可愛かったです。
トマス役は、やはりBL映画である「大いなる自由」で知られるドイツ俳優のフランツ・ロゴフスキ。カープの菊池涼介をすごく薄めたような顔?イライラさせつつも、何か放っておけないような脆さとか愛嬌を振りまく魔性のクズ男っぷりでした。彼のゲイゲイしすぎるファッションがスゴいです。ベン子さんとのセックスシーンが、かなり大胆でリアルでした。ベン子さん、「ロンドン・スパイ」でもケツ丸出しで腰を激しく動かしてましたが、今回はあれを上まわるものでした。お尻の穴も見えそうなほどのアングルと動きは、見ていて気まずさを覚えてしまうほど。今回も彼がタチだったので驚きました。ああ見えてベン子さん、私生活でも攻めのほうなんですかね。
アガテ役は、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロス。若いのにもう熟女の妖艶さが。あのムチムチピチピチさ、そりゃ男はスルーできんわな。夫や彼氏には絶対引き合わせていけない女です。でも、男にはそんなに関心なさそうな、どーでもいいわみたいな冷めた感じ、ドライなそっけなさがカッコよくて好きです。アガテがいちばん大人だった。なのでいちばん可哀想でもあった。それにしても。マーティンがイギリス人、トマスがドイツ人、アガテがフランス人と、インターナショナルな三角関係!
パリの生活風景も、いい感じに撮られていました。昼と夜のカフェとか、舗道の絵とか、キッチンで使ってる食器、料理とか、なにげなさがさりげなくおしゃれ。
↑ Netflixのテレビシリーズ「ブラック・ダヴ」が、今のところ日本で見られる最新のベンでしょうか。アイラ・サックス監督の新作“Peter Hujar's Day”もベン主演!有名な写真家の話?ゲイ役?楽しみ(^^♪
映画監督のトマスは恋人のマーティンとパリで同棲中だが、魅力的な若い女性アガテに惹かれ彼女と深い関係になる。アガテの部屋で暮らし始めるトマスだったが、マーティンを忘れることができず…
去年の東京国際映画祭は、「異人たち」とこの作品が腐の注目作でしたが、異人たちと違ってこっちは結局日本では一般公開されませんでした。いい作品なのに、何でだろ。異人たちはアンドリュー・ヘイ監督、こちらはアイラ・サックス監督、どちらも独自の感性でBL佳作を発表し続けてる、作家性の強いオープンゲイのフィルムメーカー。この映画は、やっぱ内容と性的シーンが日本人向けではないと判断されたのかしらん。ロマンティックでスウィートな悲しさ、優しさが心に沁みた異人たちと違い、こっちはリアルでシビア、そしてイタいBLでした。実際のゲイってこんな人が多いんだろうな、恋愛もこんな感じなんだろうな、と思わせてくれました。とにかくトマスが自由すぎるというか、クズすぎてイライラするわ~♬by 明菜!
長年の彼氏をあっさり捨てて、若い女に奔っただけでも最低なのに、元カレとも関係を断とうとせず、のらりくらり、かつ忙しく二人の間を行ったり来たりする堂々とした二股ぶり。それの何が悪い?みたいな顔して、厚かましいにもほどがある!女と別れて僕のもとに戻ってきた、とマーティンが信じてしまうようなセックスの後、アガテの妊娠を報告したりする狡さ、無神経さに唖然。しかも3人で一緒に赤ちゃん育てよう、と提案したり。相手の都合や気持ちはお構いなし、ぜんぶ自分のしたいようにするノーテンキな身勝手さは、もはや頭おかしいレベルで滑稽でもあった。ちょっと笑いも狙ってるのかな?と思ってしまうトマスのクズっぷりでした。
クズなトマスが許せないと同時に、振り回されても彼を許して受け入れてしまう、マーティンとアガテの人の善さも理解しがたかったです。あんな二股、屈辱以外のなにものでもないのに。マーティンもアガテも、怒ったり悲しんだりはするけど、トマスへの愛がそれに勝ってしまってつい…の繰り返しがイタすぎる。恋敵なのに、マーティンとアガテの間に憎悪も衝突も発生せず、冷静に距離を置いた分別ある関係を保ってたのも驚き。悪いのは全部トマス、ということがお互い解ってたからでしょうか。もし男を奪い合う相手が同性だったら、きっとありふれた修羅場になってたんでしょうね。何でこんなクズをそこまで?!もうやめとけ!と言いたくなる二人でしたが、蓼食う虫も好き好きというか、ダメでクズなところに惹かれる人も世の中にはたくさんいるみたいですね。だめんず女(男も)が後を絶たないわけですね。クズ男も、それに引っかかる男女も、結局どっちもどっち。そんなグダグダした痴情のもつれ話は、確かに日本の映画ファンにはアピールしないものかもしれません。
マーティン役は、ゲイを演じさせればsecond to noneな役者、ベン・ウィショー。
ベン子さん、今回も生々しくも魅力的なゲイっぷりでした。ノンケ俳優が頑張ってゲイ役やってるのとは、ぜんぜん違うんですよね~。ゲイ=気持ち悪いオカマ野郎、みたいな扱いだった時代はもう遠い過去。ベン子さんこそが、ゲイがゲイ役を演じる意義を体現する俳優の代表格、先駆者ではないでしょうか。ベン子さんの表情、仕草ひとつひとつが、女性にもノンケ男性にもないもの。すごい気が強そうで、みじめなほど優しい、そんなベン子さんasマーティンが痛ましくも可愛かったです。
トマス役は、やはりBL映画である「大いなる自由」で知られるドイツ俳優のフランツ・ロゴフスキ。カープの菊池涼介をすごく薄めたような顔?イライラさせつつも、何か放っておけないような脆さとか愛嬌を振りまく魔性のクズ男っぷりでした。彼のゲイゲイしすぎるファッションがスゴいです。ベン子さんとのセックスシーンが、かなり大胆でリアルでした。ベン子さん、「ロンドン・スパイ」でもケツ丸出しで腰を激しく動かしてましたが、今回はあれを上まわるものでした。お尻の穴も見えそうなほどのアングルと動きは、見ていて気まずさを覚えてしまうほど。今回も彼がタチだったので驚きました。ああ見えてベン子さん、私生活でも攻めのほうなんですかね。
アガテ役は、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロス。若いのにもう熟女の妖艶さが。あのムチムチピチピチさ、そりゃ男はスルーできんわな。夫や彼氏には絶対引き合わせていけない女です。でも、男にはそんなに関心なさそうな、どーでもいいわみたいな冷めた感じ、ドライなそっけなさがカッコよくて好きです。アガテがいちばん大人だった。なのでいちばん可哀想でもあった。それにしても。マーティンがイギリス人、トマスがドイツ人、アガテがフランス人と、インターナショナルな三角関係!
パリの生活風景も、いい感じに撮られていました。昼と夜のカフェとか、舗道の絵とか、キッチンで使ってる食器、料理とか、なにげなさがさりげなくおしゃれ。
↑ Netflixのテレビシリーズ「ブラック・ダヴ」が、今のところ日本で見られる最新のベンでしょうか。アイラ・サックス監督の新作“Peter Hujar's Day”もベン主演!有名な写真家の話?ゲイ役?楽しみ(^^♪