まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

はるばる来たぜヴェトナムへ

2022-04-27 | イギリス、アイルランド映画
 「MONSOON モンスーン」
 幼い頃、家族と共に戦火のヴェトナムを逃れイギリスへと亡命したキットは、亡き両親の散骨のため30年ぶりに祖国に戻るが…
 佳作「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督の新作。前作同様ゲイの主人公が、失われたものへの喪失感と追憶を通し、新たな自分と人生を見出す物語でした。前作は恋人でしたが、今回の主人公が失ったものは祖国、そしてアイデンティティでしょうか。戦争や政変から逃れるために生まれ育った母国を離れ、外国で生きねばならなくなった人々の苦境や郷愁は、私のような平和ボケした日本人には察するに余りあります。今なお世界のどこかで祖国を去らざるを得ない人々が後を絶たない現実に、ただもう暗澹となるしかありません。

 この映画のキットは幼い頃にヴェトナムを出たので、悲痛な記憶も強い望郷の念もなく、祖国に対しての思い入れとか好奇心は薄く、どちらかといえば30過ぎの男女によくある自分って何?これからどうやって生きよう?な、自分探しの旅っぽかったです。出生に秘密があったとか、両親がヴェトナム戦争の暗部に関わっていたとか、事件に巻き込まれるとか、そういったドラマティックな要素は皆無で、何かモヤモヤした気持ちを抱えながらサイゴンやハノイを放浪するキットの自分探しが静かに淡々と、いくぶん緩慢に描かれているため、観る人によっては退屈な映画かもしれません。「追憶と、踊りながら」のほうが、人間ドラマとしてはかなり上質です。

 ドラマとしては薄口ですが、旅好きには楽しめる映画かも。ヴェトナムの今、光と影がリアルかつ美しく映し出されていました。冒頭の交通風景、まさにカオス!これでよく事故起きないよな~なメチャクチャっぷり。ミャンマーもワイルドでしたが、ヴェトナムはさらに危険!都市部はかなり近代化されてるとはいえ、人々の生活風景などやはりまだすべての面において発展途上国。街の活気や自然の素朴な美しさ、伝統や風習など、アジアならではの異国情緒で旅心をそそられます。キットとルイスが川沿いのカフェで語らうシーンや、蓮茶を作ってるシーンなど、とてもフォトジェニックでした。ヴェトナムにも行ってみたいな~。

 キットはゲイで、ヴェトナムでも現地在住のアメリカ人ルイスや若い男娼などと色っぽい関係を結ぶのですが、ゲイだからって特に困難とか苦悩に直面するわけではなく、性欲処理も恋もノンケと変わりない感じなのが現代的。もうLGBTを特殊なものとして扱ってないのは、喜ばしい反面ちょっと物足りないというのが、正直な私の気持ち。異国で素敵な出会いがあるとか、もうそれだけでも私からしたら映画的。私もキットみたいなイケメンだったら、もっと違った海外旅行にできるんだろうな~でも異国で見知らぬ異人さんとチョメチョメ(死語)とか、恐ろしくて私には無理!

 キット役のヘンリー・ゴールディングは、小澤征悦似?オザユキを優しく薄くした感じ?「クレイジーリッチ」や「ジェントルメン」など、最近よく見ますね。実際にもマレーシア人とイギリス人のハーフで、幼い頃に英国に移住し成人して母国に戻ったという彼、見た目はアジア人ですが雰囲気や挙措は完全に西洋人。キット役にぴったりですね。ずっとポロシャツかTシャツ&短パンというカジュアルな恰好をしてるのですが、すごくおしゃれに見えました。一般人ならただの手抜きファッションになるところですが。BLシーンも頑張ってました。決して過激でも煽情的でもなく、それでいて程よくディープで濃厚な男同士の求め合い。BLやるならこれぐらいは、と思える適度さでした。ルイス役の黒人俳優さんもイケメンでした。やっぱBLはイケメンマスト
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愛怨の川くだり

2022-04-24 | イギリス、アイルランド映画
 「ナイル殺人事件」
 莫大な遺産を相続した美貌のリネットは、親友ジャクリーンから彼女の婚約者サイモンを奪い結婚。ジャクリーンは二人につきまとい、新婚旅行先のエジプトにまで現れる。偶然居合わせた名探偵ポワロの不安は的中し、ナイル川を下る客船でリネットは何者かにより射殺されてしまう。乗客全員がリネットと因縁があり、ポワロは彼らを容疑者として捜査するが…
 1978年の旧作も観たくなり、さっそく(^^♪新版も悪くないけど、やっぱこっちのほうが私は好きです。新作が失っていたブルジョア階級の優雅さやリッチさ、そして一堂に会した大物俳優や名優たち、彼らの余裕たっぷりで楽しそうな演技は、まさに娯楽ミステリー映画の見本のようです。アガサ・クリスティのシェイクスピア風アレンジとか、斬新だとは思うけど何か違う感は否めないんですよね~。

 そして何より、旅好きにはたまらないエジプトロケ!新版の最も残念な点は、もろにCGだったこと。どんなに精巧に精緻に作っても、やはり本物には及びません。エジプトの異国情緒がたっぷり味わえるだけで、この映画は一見の価値ありです。本物のピラミッド、スフィンクス、砂漠、ラクダ、そして悠久のナイル川。その神秘と壮大さ、ああ行ってみたい!リネットとサイモンが砂漠を馬で疾走するシーン、ジャクリーンが神殿に現れるシーン、ホテルでポワロたちがタンゴを踊るシーンが特に好きです。

 ポワロたちの旅は優雅でリッチでしたが、実際にはエジプト旅行って大変なんだろうな~。灼熱の暑さや不衛生さ、不便な生活環境、怖い生物など、キャストもスタッフもさぞや苦労したことでしょう。エジプトは夜間は電力不足となるので、夜のシーンはロンドンで撮影したとか。過酷な環境でも、きちんとした服装やマナー、ディナーやサロンでは正装。上流階級の人たちって大変!でも憧れます。身軽な旅ができる下級階級に生まれてよかったとも思うが
 エジプトロケと並んで魅力的なのが、俳優たちが着こなす30年代のブルジョアファッションです。登場人物たちの個性や身分に合わせた衣装の独特さと美しさは、まさに華麗なるファッションショーで楽しい!この年のアカデミー賞衣装賞受賞も納得。巨匠ニーノ・ロータの音楽も壮麗です。

 ↑ 女優たちのファッションも見どころ!
 アガサ・クリスティ映画といえば、やはりオールスターキャスト。この作品もなかなかゴージャス&シブいメンツを揃えてます。ポワロ役は、2度のオスカーに輝く名優ピーター・ユスチノフ。ポワロといえば彼、なイメージの人は多いのではないでしょうか。どっしりと恰幅のいい巨体は頼もしく親しみやすく、エキセントリックな探偵というより知的で温厚な紳士って感じなのも好感。ポアロの友人役はデヴィッド・ニーヴン、リネットの弁護士役はジョージ・ケネディと、やはり往年のオスカー俳優が豪華に配されてます。

 ベティ・デイヴィスとマギー・スミス、やはり2度のオスカーに輝く大女優二人が愉快なコメディリリーフを担当してるのも、この映画の贅沢なところ。毒々しくもオチャメな大富豪の老女ベティと、使用人なのに超エラソーでカリカリしてるマギー、二人のクセがありすぎ、かつ軽妙な珍コンビぶりが笑えます。ベティ&マギーの事件簿、みたいなスピンオフ映画作ってほしかったかも。

 リネット役のロイス・チャイルズは、高慢で冷酷な金持ち女役が似合う美しさ。ジャクリーン役のミア・ファローは、宮崎あおい似?メンヘラなストーカー女にぴったりな神経症っぽい風貌と演技。アンジェラ・ランズベリーのホゲホゲ酔っ払い演技もインパクトあり。可憐なオリヴィア・ハッセー、メイドなジェーン・バーキンも、若かりし時代の美しさで印象的。
 殺人トリックは何度見ても驚きの荒技。かなり一か八だよな~。第二の殺人とか、とりあえず脅迫者を金で黙らせておいて、船を降りてから決行しとけばよかったのに。
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BLスウィートハラスメント♡

2022-04-17 | 韓国のドラマ
 韓国の配信ドラマ「セマンティックエラー」を観たニダ!全8話。
 大学でデザインを専攻するジェヨンは、突然卒業が取り消しとなってしまう。工学部の優等生サンウにその原因があると知ったジェヨンは、サンウにつきまといいやがらせを始めるが…
 日本の映画やドラマでもライトなBL流行りですが、韓国エンタメ界は以前からライト系のみならず、シリアス系のBLも得意としてます。私はどちからといえばスウィートハッピーなBLよりも、ビターで悲しいBLのほうが好きなので、最近人気のBLドラマにはあまり食指が動かないのですが、絶賛の声高いこのドラマはスルーできませんでした。で、どうだったかというと、評判通りの楽しい胸ムズキュンBLでした。コレデモカ!と言わんばかりの怒涛のムズキュンシーンや台詞は、まるで大好きなスウィーツを思いっきり、一気に堪能したような満足感、を通り越して胃もたれな気分

 俺さまハイスペック男子であるジェヨンが、変人の優等生である後輩のサンウにイタズラ心でちょっかいを出しているうちに、それがだんだんサンウの気を惹くためのアプローチになっていって、はじめはウンザリしてたサンウもだんだん心ほだされて、ジェヨンのことが好きになってしまう、という設定なのですが。これって少女漫画の王道でもあります。サンウが男の子になっただけ。非BLの韓流ラブコメによくある話とキャラなので、新鮮味はほとんどありませんでした。フツーの男女の恋愛と変わらないのが、かなり物足りなかったです。せっかくのBLなので、もっと同性愛に対するためらいとか葛藤、試練がほしかったかも。LGBTはもう、昔のように悩んだり糾弾されたりする禁断ではない。そんな作風は現代的と言えるけど、異性とは違う形や展開を同性愛ドラマに求めてしまう私は、同性愛を色眼鏡で見ている一種の性差別主義者なのでしょうか。映画やドラマではBL先進国な韓国ですが、実際の韓国社会は同性愛には日本以上に寛容ではなさそうだけど…

 BLとしては物足りなかったけど、ムズキュンのクオリティは高い!よくこんな萌えシチュや台詞、思いつくな~と感嘆するばかりでした。ジェヨンのやることなすこと全てが、イケメンにこんな風に迫られたい!優しくされたい!恋されたい!でも実際にやる奴ぜったいいない!なファンタジー、いや、女の妄想の産物に近い。イケメンなジェヨンだからハッとしてグー(古っ)だったけど、キモいブサメンがやったらただのストーカー、サンウだってきっと通報したはずです。サンウへのいやがらせが可愛くて、ほとんどいやがらせになってないのも微笑ましかった。学食でジェヨンが、いっぱい食べろ!と自分のおかずをサンウに無理矢理あげるシーンが好き。でもジェヨン、すごい根気と時間とお金の持ち主だよな~と、彼のスウィートハラスメントを見ていて思いました。キスはしてもそれ以上はなし、性的なシーンも上半身裸シーンさえないところも、乙女淑女向けのBLドラマでした。相手への欲望が微塵も感じられないと、ほんとに好きなの?とか思ってしまいます。まあインポなプラトニックLOVEは、韓流ドラマのお約束ですが…

 ジェヨン役のパク・ソハムは、韓流男優らしいスタイル抜群な長身で、すっきり涼やかな顔のイケメン。たまにカズレーザーに似て見えたのは私だけ?カズレーザーをキレイにした感じ?メイクがばっちりすぎて、ほとんど鈴木その子状態なのが気になった。女優じゃないんだから、あそこまでやらなくても。サンウが嫌いな赤色で全身コーデしたファッションも、イケメンだから許される斜め上なセンスでした。

 サンウ役のパク・ジェチャンは、うう~ん、ちょっと苦手系な顔かも。イケメンなの?融通のきかない変人ぶりは好演してたけど、ジェヨンがついちょっかい出したくなるような可愛げはちょっと足りなかったような。5、6年ぐらい前のユ・スンホとかキム・スヒョンとかにやってほしかった役かも。ジェヨンの親友やサンウのことが好きな後輩など、女性キャラがみんないい人ばかり。BLの邪魔はせず、男たちを励ましたり心配したりする彼女たちには安堵と好感。大学の図書館がおしゃれでした。それはそうと。女性が男性をオッパーと呼ぶより、男性が男性を(イケメンがイケメンを)ヒョンと呼ぶほうが、やっぱ萌えますね~。

 イルボンリメイクなら、ジェヨンは白洲迅、サンウは岡田健史がいいかも(^^♪でも岡田くんも長身なので、身長差萌えにならないのでダメか。ちょっと小柄なマジメそうな日本人イケメン俳優って思いつかない。
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山のあなたの空遠く

2022-04-13 | 旅行、トレッキング
 K市の倉橋にある火山(ひやま)に登りました~久々のトレッキング!
 今年はアクティヴに!という新年の誓いも、すっかり有言無実行なテイタラク。春の倦怠感のせいで、休日はダラダラ何もせず過ごしてばかり。いつしか桜もはらはら散り始めていました。ああ、ひょっとしたらこれが最後の桜かもしれない…と思うと、急に何もしないことに恐怖を覚え、気づくと山へ向かう準備をしていました。

 快晴の朝、倉橋へ車を走らせる。音戸大橋を渡るのも久々。桜の後はツツジが美しく咲く、K市のお花見名所です。春のうららかな海沿いの道を進み、小1時間で倉橋の桂浜に到着。桂浜の海水浴場には、子どもの頃よく来ていました。何年ぶりじゃろ。桂浜といえばのクロマツ林、懐かし!桂浜温泉館の駐車場に車を駐めて、倉橋温水プールのそばにある登山口から火山に登ります。

 ↑ 先客の元気なご高齢の男性二人
 桜はほぼ散ってしまってましたが、代わりに山ツツジが鮮やかに咲き始めてました。ツツジのアーチみたいな山道が美しく、空気はきれいで空は清らかに青い。ああ、自然ってやっぱいいですね!歩いているうちに、日常のセコい悩みも薄らいでいきます。火山も全然ハードな登山ではなく、子どもでも大丈夫そうな登りやすい山です。体力のない私はすぐにハアハア息切れしますが、もうあかん~と座り込んだりすることなく歩けました。ほどよくしんどい、というのが気持ちいいです。

 中腹ぐらいにあったベンチに座り、ひと休み。見おろす春の瀬戸内海が穏やかで心安らぎます。コースが二つに分かれていたので迷ってると、途中で追い抜いてしまった高齢の男性二人が追い付いてきました。とってもフレンドリーなご老人二人は地元の方々で、毎週火山に登ってるんだとか。『こっちはファミリーコースじゃけえ、若い人は面白うないよ。若い人はあっちに行きんさい』と、千畳敷というコースのほうを勧めてくれました。じーさんズも当然のようにそっちへ。

 年寄りに負けるわけにはいかねえ!と、私も千畳敷コースへ。途中またお先に~♬と二人を追い抜いてズンズン進みます。岩山をロープづたいで登るという、なかなかアスレチックなコースでしたが、そんなにキツくはありません。わんぱくキッズが喜びそうなコース。私も無邪気な子どもに戻って登りました。

 やがて無事、山頂へたどり着きました。ヤッホー!岩山のてっぺんから臨む春の瀬戸内海は、まさに平和の一言。世界のどこかで悲惨な戦争が起こってるなんて信じられないほどに。やがてじーさんズも到着。二人の健脚には脱帽!私が彼らの年齢になった時に、登山できる自信はありません。ぽかぽか春の陽気が心地よく、フレンドリーなじーさんズと楽しくおしゃべり。あっちが広島、あっちが岩国、と教えてくれます。夕方になると、岩国の米軍基地の軍用機が空を行き交うそうです。私がK市内の住民と知ると、K市は実は全国でも類を見ないほどの弾薬庫だらけの街で、北朝鮮に狙われてるから有事になったら真っ先に襲撃される、と楽しそうに話してました

 一期一会、じーさんズより一足早く下山。途中、野呂山の時みたいにまたヘンな山道に入り込んでしまい、あわや遭難の危機に陥ってしまいましたが、何とかかんとか命からがら山を下りることができました。山では自分勝手にテキトーに歩かないよう、今後は気を付けたいです。
 遭難しかけたせいで、かなり時間をロス。ランチも遅くなってしまいました。桂浜温泉館のすぐ近くにあるCafe SLOWでランチ。解放感があるウッディなカフェ。ランチメニューはどれも美味しそうで迷いましたが、フィッシュバーガーにしました。

 ボリューミーで美味しかったです。食後は桂浜温泉館でゆっくりまったり汗を流し、さっぱりして帰路につきました。日が暮れる前には帰宅。トレッキング、やっぱ楽しくて気持ちいいですね!やればできる!な達成感が、そんなに頑張ったわけでもないのに得られるのがいい。次はどこに登ろう?灼熱の夏はとても無理なので、暑くなる前にもう一回ぐらい楽しみたいです。
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堀の中の男の子

2022-04-08 | 韓国のドラマ
 Amazon Primeの韓流ドラマ「ある日 真実のベール」を観たニダ!全8話。
 大学生のヒョンスは、夜の街で知り合った女性グクファと一夜を共にするが、翌朝メッタ刺しにされたグクファの死体を発見し逃走してしまう。しがない弁護士のシン・ジュンハンは、逮捕されたヒョンスの弁護を買って出るが…
 韓流ドラマは好きなのですが、長々しいドラマが多くて最近は敬遠気味。このドラマは8話というコンパクトさが私にはありがたかった。ダラダラ引っ張らず濃縮された内容、そして俳優も素晴らしい、なかなか見ごたえのある秀作でした。リズ・アーメッドがエミー賞を受賞した「ザ・ナイト・オブ」のリメイク(ナイト・オブもベン・ウィショー主演作のリメイクなので、3度目?)で、オリジナルにほぼ忠実な設定、かつ韓国ならではの社会事情や国民性、そしてやはり韓国らしい残虐さと下劣さが加味されていました。最近の毒にも薬にもならんドラマに飽き足らなくなってる人向けの、シビアでハードな社会派ドラマです。

 日本ではこういう重苦しいシリアスドラマ、観られなくなって久しい。漫画ドラマ、ジジババ向けドラマばかり。俳優もそれに合わせて軽薄化、鈍化の一途を辿ってるのが悲しい。日本にもいい役者さんはたくさんいるんだけどね~…韓国だって、映画はさておきドラマは軽くて甘々なものがほとんどで、日韓とももうそういうドラマしか受け入れられなくなってるのかな。なので、挑戦的で攻めの姿勢がある配信ドラマのほうに、おのずと視聴が移ってしまいます。

 冤罪がテーマなのですが、ヒョンスのことあまり同情できないんですよね~。無実なので、もちろんあんな非道い目に遭っていいわけないんだけど、あまりにも軽率で思慮に欠けた行動は疑われたり責められたりも当然。まさに火のない所に煙は立たぬ。まあ、あまりにも運が悪かったとも言えますが。まさに神も仏もない悪運。人生、どこに陥穽が待ち受けてるか分からないので、油断せず真面目に生きねばと、あらためて思いました。

 視聴者以外からすると、ヒョンスはどう見てもどう考えても犯人ですもん。実際の死刑囚とかの話を見聞きしても、ヒョンスみたいに疑われても仕方のない人たちがほとんど。よしんばやってないとしても、そういうことに巻き込まれてしまう行動じたいがもう罪深い。殺人事件の真相や裁判など、ミステリー、法廷ドラマとしても面白いのですが、メインは拘置所の中でヒョンスが送る過酷な日々でしょうか。リズ・アーメッド版は、あそこまで地獄じゃなかったような。目を覆いたくなる残忍な暴力描写は韓流映画の十八番ですが、ドラマであれは結構チャレンジングな掟破り。韓国のいじめは世界屈指の悪質さで、私なら一日たりとも生き延びることはできないでしょう。

 ヒョンス役のキム・スヒョンが、想定外の果敢な演技!久々に見たスヒョンくん、「太陽を抱く月」の頃に比べると大人っぽくなりましたね~。とはいえ、やっぱまだ若々しい。30過ぎにはとても見えない。大学生役に違和感まったくなし。時折すごくあどけなく見えるので、痛々しさもいや増す。私好みのイケメンではないけど、たまにハっとなるほど美しく見えることが。尋常ではない輝きを秘めていることは間違いない俳優です。リズ・アーメッドは、善良なはずなのに実は悪の資質もあり、獄中でのサバイバルでそれが目覚めた、といった感じの底の知れなさが不気味だったけど、スヒョンくんは単に可哀想な子って感じだった。終盤、キャラも見た目も変貌するのですが、アーメッドほどの凄味はありません。チョイワルぶってるのが可愛い、というのが正直な感想。でも脱ぎっぷりのよさは、リズ・アーメッドに勝ってました!

 スヒョンくん、脱ぐってイメージ全然なかったので、冒頭の被害者とのセックスシーンや、取り調べと獄中でのシャワーシーンなどでの全裸披露には驚喜。さすが韓流俳優、やっぱいいカラダしてます。若い人気スターがケツまで見せるのも、TVドラマでは稀有なこと。スヒョンくんの全裸だけでもファンは必見です。

 弁護士役のチャ・スンウォンは、豊原功補+アンガールズの田中、みたいな顔?小汚い風貌、ひょうひょうとした演技が楽しく、物語の重苦しさをちょっと薄めてくれる好演です。W主演のキム・スヒョンとチャ・スンウォンよりも私を魅了したのは、堀の中の権力者ト・ジテ役のキム・ソンギュ。めっちゃ男前~!クールでシャープ!研ぎ澄まされた、ユルさ軽さなど微塵もない漢(おとこ)らしさ、そして哀愁ある色気。日本の俳優にはない魅力。韓流男優にしては小柄で細いけど、脱いだら鋼のような肉体!静かに鋭く冷酷、でもヒョンスにだけはなぜか優しい兄貴っぷりに萌え~。

 ナイト・オブではあの役はおっさんだったので、リズ・アーメッドにどこか同性愛的な感情を抱いてるようでも全然ときめかなかったけど、キム・ソンギュはシブいけど若い男前なので、可愛いスヒョンくんとはほとんどBLカップル。ヒョンスがピンチの時には必ず現れて助けてくれたり、きっちり報復の落とし前をつけてくれたり、なにくれなく世話を焼いたりと、とにかくト・ジテの年下の男への愛しさがにじむ任侠っぷりが素敵でした。ヒョンスがブサイクだったら、また話は違ったんでしょうね。やっぱ見た目がいいと得!


 それにしても。韓流ドラマや映画に出てくるゲスやクズ、異常者って怖すぎる。ここまで人間性って低くなれるものなのとゾっとするほどに。ヒョンスをいじめる受刑者や、犯罪歴のある証人たちなど、言動のみならず顔つき目つきにも日本人にはない下劣さ卑劣さ酷薄さがあって、そういう役をリアルに演じられる役者こそ実は、カッコよくて好感度の高い演技しかできない主役級スターよりもスゴいんだよな~と今回も思いました。あと、韓流バイオレンス映画ではおなじみのメッタ刺しも怖い。グクファの殺害の手口と状況は、日本の世田谷一家殺人事件を思い出させて戦慄。
 このドラマ、日本でもリメイクしてほしいものです。理想のイルボンリメイクキャストは…
 ヒョンス ・・・ 岡田健史
 シン・ジュンハン ・・・ 永山瑛太
 ト・ジテ ・・・ 藤ヶ谷太輔
 これでお願いします!岡田健史くんは年齢・見た目的にはぴったりなんだけど、演技力や脱ぎっぷりのよさがないのでやっぱ無理かな。意外と岸優太くんでもよさげ?キム・ソンギュとほぼ同年齢の藤ヶ谷くんには、ここいらで脱アイドル!悪くてニヒルだけど優しい役は十八番なので、ト・ジテ役もイケるはず!

 ↑ キム・スヒョンくんより、キム・ソンギュ兄貴のほうがチョア~わしも彼のことヒョンと呼びたい~大人の男って感じですが、まだ36歳!松じゅんとか二宮より年下!不敵な面構え、鋭く暗い目、クールな男気。今の日本の俳優が失ってる男の魅力を備えてます。他の出演作もチェキるニダ!

 
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でもこの国が好きよ生まれた国だから

2022-04-05 | イギリス、アイルランド映画
 「ベルファスト」
 1969年の北アイルランド、ベルファスト。9才の少年バディの家族は、貧しいながらも愛と絆で結ばれていた。だが、宗教の対立による紛争が激化の一途をたどり、子どもたちの命も危うい状況に。バディの父は移住を決意するが…
 ケネス・ブラナ監督、アカデミー賞脚本賞受賞おめでとうございます!受賞も納得の佳作です!ケネス・ブラナは俳優としては大好きなのですが、彼の監督作って正直そんなにスゴいとか面白いとか思ったことない「マイティ・ソー」は好きだけど。この半自伝的だという新作が、マイ・ベスト・オブ・ケネス・ブラナ監督作かも。すごい感動!とか、何という衝撃!とか、かつてない斬新さ!とかいった映画ではないけど、奇をてらわない真摯な演出、の中にもなにげにブラナ監督らならではの舞台的なシーンが独特でもあったり、何より憤怒と憎悪に満ちた内容になりがちな北アイルランド紛争ものを、不穏な緊張感を漂わせつつも心温まる優しい家族ドラマに仕立てていたのが秀逸でした。全然お涙ちょうだいじゃない、明るくユーモアあふれる爽やかな、干し草のぬくもり的な人情が心地よかったです。

 モノクロ映像、政治不安で物騒な社会状況の中で明るく逞しく生きる人々、監督の半自伝的な物語など「ROMAローマ」とカブるところがあります。ローマもでしたが、いつどこでテロや暴動が起こるかわからないなんて怖すぎる。私には到底、あんな危険な日常茶飯事に慣れて生きる自信はありません。愛する家族が毎日命の危険に晒されてるのに、頑なにベルファストから出ることを拒むママにイラっとしました。郷土愛や、知らない土地で暮らす不安は理解できる。私だって広島が大好きだし、できれば広島にずっといたいし、今さら県外で暮らすのはしんどい。でも、自分だけならともかく愛する子どものことを考えると、あんな状態のベルファストで陽気に気丈に生きるなんて無理。北アイルランド紛争といい、ロシアVSウクライナといい、日本に生まれてよかったと心の底から思ってしまいます。

 登場人物たちも、それらを演じた俳優たちも、みんな好感度が高くてチャーミング。主役のバディが無邪気で元気!いい子!演じたジュード・ヒルくんも、美少年ではなくフツーっぽいところがよかった。いかにも天才子役です!な鼻につく演技ではなく、すごく自然だったのが返って恐るべし。走り方が独特すぎて可愛かった!バディを子分扱いする年上のツインテール娘(バディの従姉?)もいい味だしてました。

 バディの両親役、ジェイミー・ドーナンとカトリーナ・バルフは、オスカー候補にならなかったのが不思議なほどの好演。失礼ながらジェイミーが、いい男だとは知ってたけどこんなにいい役者だとは思わなかった。超庶民のパパママ役にしては、ジェイミーはイケメンすぎ、カトリーナは美人&スタイルよすぎ、だけど、どんなシーンも絵になって素敵なカップルでした。ラスト近くの歌ってダンスする二人、若い美しい恋人同士のようなアツアツスウィートさ。見とれてしまいました。

 バディの祖父ちゃん祖母ちゃん役は、バイプレイヤーのキアラン・ハインズと泣く子も黙る大女優ジュディ・デンチ。オスカー候補になったのは、こっちのジジババのほうでした。二人とも怖らしい厳めしい見た目だけど、それとギャップのある明るく優しい演技。デンチ女史のアップと台詞で映画は終わるのですが、厳しくも哀切な表情が深い強い余韻を残します。上映時間が1時間半ぐらいなのも、長い映画が苦手な私にはありがたかったです。当時のベルファストの再現もお見事でした。ブラナ監督のポアロシリーズはCGだらけですが、こっちはリアルな生活感、ノスタルジー漂わせるセットが素晴らしいです。

 ↑ ケネブラ氏とジェイミーは同じベルファスト出身だとか。ケネブラ氏がもしポアロ第3弾を作るなら、ジェイミーも起用してほしいです。役者として一皮抜けたジェイミーですが、だからって演技派ぶった仕事せず、セクシー路線は今後も続けてほしいものです
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桜の木の下には…

2022-04-03 | 無事是貴人
 春ですね!🌸桜の花も爛漫、ぽかぽか陽気に誘発されて、ヤバい人や出来事も冬眠から覚めた蛇のように襲い掛かってきそうな今日この頃です(^^♪
 暖かくなるとますます怠惰になってしまい、今年はアクティヴに動こう!という年始の抱負も、すっかり口先だけの有言無実行せっかく手に入れた自分だけの家も庭も、ろくに手入れもせずほったらかし今朝は一念発起して、久々に庭いじりをしました。放置してた庭にも、気づかぬ間に春が訪れていました。

 3、4年ぐらい前、誰かがくれた小さな木瓜の鉢植え、去年の初夏に引っ越した時に大き目の鉢に植え替えたら、大きく成長してきれいな花を咲かせました。ここで一句。思い出せ 誰がくれたか ボケの花 
 
 2年前に種を蒔いて育てていたラベンダーが、ようやく咲きました。大好きなシネラリアは種まきに失敗し、2、3株しか育たなかったでもきれいに咲きました。

 種まきといえば。去年の春に蒔いてこれも2、3株しか育たなかったナスタチウムが、なぜかすごい勢いで茂って夏も冬も越し、今や花壇をジャック状態。

 ホームセンターで買ったスカビオサ(マツムシソウ)とレウィシア。どっちも大好きな花だけど、毎年すぐに枯らしてしまう

 球根の花も無事に育ってくれてました。緑のラナンキュラスが好き。ラケナリアはほったらかしても毎年咲いてくれる丈夫な植物。フリチアリア(バイモユリ)の地味ではかなげな風情も好きです。ムスカリもほったらかしOKの代表格な春の球根植物ですね。

 最近まで裸木だったライラックも、元気な新芽を出してくれてました。エンジェルトランペットとクチナシ、トリカブトも無事冬を越えてたので安堵。花木だけでなく、今年は果物の木にもチャレンジしてみよっかな。ネグレクトされてもたくましく育ってた植物たちの強さに感動!元気をもらいました。トマトやアーティチョークを植える場所を耕したりと、せっせと時間を忘れて庭をいじり。休憩がてらに日向ぼっこ、庭でコーヒー&読書してたりしてたら、いつの間にか陽は傾いていたのでした。心地よい疲労で何もする気が起きず、そのまま実家に行って晩ご飯を食べて帰りました。
 ガーデニングも心身にいいですね!本格的なことはできないけど、楽しみながら夏へ向けて計画を立てたいです。何かオススメの花とか果物があれば乞御教示!
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