「マンハント」
大阪に滞在中だった中国人の国際弁護士ドウ・チウは、何者かの罠により殺人犯に仕立て上げられてしまう。警察の追跡と謎の殺し屋の襲撃をかわしながら、ドウ・チウは事件の真相を探ろうとするが…
中国で空前の大ヒットとなった高倉健主演の伝説の映画「君よ憤怒の川を渉れ」を、若い頃から日本映画フリークだったというジョン・ウー監督がリメイク。
久々にコテコテの香港アクション映画を観たような満腹感。かつて「男たちの挽歌」などで一時代を築き、今なおコアなファンも多いジョン・ウー監督ですが、その独特な味わいが不変で健在だったのが、往年の香港映画好きには嬉しい一作でした。とにかく新作でも、ストーリー&登場人物ともにいたって大真面目なんだけど、起きることやってることはほとんどギャグに近いほどハチャメチャで愉快痛快、というジョン・ウー節が炸裂してました。舞台が日本の大阪というのも、ありえなさに拍車をかけ、笑いのスパイスになってました。
銃弾が一発でも発射されたら、車が一台でも暴走したら大ニュースになる、秩序が保たれている平和な日本で、アナーキーすぎる怒涛の銃撃戦やカーチェイス!まるで戦争みたいなことが大阪で起きてるのに、マスコミも警察も政府もほとんどスルー。ここは本当に日本?!日本をイメージしたパラレルワールド!?かなり強引ながら、手を変え品を変えのノンストップアクションは、スローモーションとストップモーションを駆使したスタイリッシュさ、でもハリウッドアクションとは違う香港テイストなドロ臭さ。ジョン・ウー監督といえばのお約束の白いハトも、なかなか効果的かつ心憎く使われていました。
アクションのハチャメチャさはゴキゲンでしたが、お話のメチャクチャさは失笑ものでした。オープニングから、もう何なんこれ?の連続です。ド演歌が流れる中、ドウ・チウが立ち寄った居酒屋の女将と女中(女殺し屋コンビのレインとドーンの変装)が、カタコトの日本語とか。中国語、日本語、英語が交錯するのですが、まったく統一感がなくてメチャクチャなんですよ。日本人に育てられたはずのレイン&ドーンの日本語も変でしたが、日本人と中国人のハーフで、日本で牧場を経営している麻由美なんか、もろに日本人声優の吹き替えで超不自然だった。麻由美の牧場の従業員が、みんな中国語を喋ってたのもわけがわからんかった。いったいどういう牧場なの?!細かいことを列挙すればキリがないほど、すべてがかなり雑です。悪い日本人が中国人や韓国人を非道い目に遭わせたり、支配したり操ったりしているという設定に、ちょっとだけ反日なテイストも。スーパーサイヤ人を生み出す人体実験も、も、大真面目にやってるのが笑えます。
キャストは、なかなか魅力的です。主人公のドウ・チウ役は、「グレートウォール」でも激シブだったチャン・ハンユー。この映画でも、めっちゃシブかった!鋭い眼光、熟年男の濃密な色気がハンパないですね。小柄だけど引き締まったメタボ無縁な体で、おじさんとは思えぬほど俊敏な動きもカッコよかったです。タキシード姿も似合ってて素敵でした。でもドウ・チウ、エリート弁護士にしてはマヌケすぎだし、身体能力が高すぎ!
ドウ・チウと呉越同舟となる大阪府警の凄腕刑事役に、福山雅治が起用されたのが日本ではこの映画最大の話題、見どころでしょうか。泥だらけ、傷だらけになって大暴れしてる福山さんは、なかなか新鮮でした。でも、ぜんぜん凄腕のアウトロー刑事に見えなかったわ~。スマートすぎて乱闘シーンでも迫力がないし、50近いのに何か軽くて薄く、シブさとか硬派な魅力が皆無。顔も何かちょっとむくんでいて、メイクのせいで蝋人形みたいだった。いつまで経っても何やっても福山雅治なのは、キムタクと双璧ですね。それはそうと。この映画にはイ・ビョンホンの出演も噂されていたのですが、結局実現せず残念。何の役だったのだろう?福山雅治と違って、キレッキレのアクションと男の色気で魅せてくれたでしょうに。
主役の男二人よりも、女殺し屋のレイン&ドーンのほうがカッコよくて魅力的だった。特にレイン役、私が韓国女優の中でいちばん好きなハ・ジウォンの、鋭くもフェミニンな女豹っぷりに、彼女演じるレインが主役の映画を作ってほしい!と思ってしまった。
私がこの映画を観に行ったのは、福山さんではなくハ・ジウォン目当てです。韓国ではトップ女優の彼女が、ヒロインではなく脇役、しかも悪役、というのも楽しみでした。これでハリウッド映画出演とか言うなよ~と苦笑してしまう日本人俳優みたいに、どーでもいい扱いだったりチョコっと出だったりなのなと思いきや、ほとんどヒロインな美味しい役もらってました。
ジウォンさんのあの鋭い目が好きなんですよね~。「チェオクの剣」や「シークレット・ガーデン」などアクションも得意な彼女、この映画でも華麗に銃ぶっぱなしバイクかっとばし、キャットファイトでは鮮やかな格闘も。敵をバッタバッタと倒していくジウォンさんですが、強いといってもゴリゴリのアマゾネスではなく、毅然としてしなやか、たおやかでもあるところが彼女の魅力です。それにしてもジウォンさん、老けないですね~。あの伝説のドラマ「バリでの出来事」の頃と、ほとんど変わってないし。
悲しい宿命を背負った女アサシン、レイン&ドーンの物語をもっと見たかったです。二人の死と隣り合わせな運命共同体、これって女じゃなくてイケメン同士だったらさぞや萌え~だったろうな。ドーン役のアンジェルス・ウーは、何と!ジョン・ウー監督の実娘!ぽっちゃり系で女芸人風ですが、ドウ・チウに惚れて弱気になる妹分のレインを叱咤激励するクールな姐御っぷりと、ド迫力の大暴れで存在感抜群でした。
日本人キャストでは、悪の親玉役の國村準が「哭声 コクソン」に続いての国際的な怪演。その息子役の池内博之も、スーパーサイヤ人になったりと濃ゆい珍演。パーティーのシーンで踊る彼が可愛かった。テロリスト役で、こんなところにも出てきたよ感がハンパない斎藤工が、意味不明で不必要な出演。何しに出てきたんだよ?な、あっという間の退場が笑えた。その他、竹中直人とか田中圭とかが顔を見せてました。
↑ハ・ジウォンといえば、やっぱ弟のチョン・テスの急死。最近知って、本当に驚きました。自殺?ジウォンさん、ショックで「マンハント」のPR活動をキャンセルしたとか。「トキメキ☆成均館スキャンダル」のチョン・テス、カッコよかったな~。姉に負けない活躍を期待してたのに。ご冥福をお祈りします…
大阪に滞在中だった中国人の国際弁護士ドウ・チウは、何者かの罠により殺人犯に仕立て上げられてしまう。警察の追跡と謎の殺し屋の襲撃をかわしながら、ドウ・チウは事件の真相を探ろうとするが…
中国で空前の大ヒットとなった高倉健主演の伝説の映画「君よ憤怒の川を渉れ」を、若い頃から日本映画フリークだったというジョン・ウー監督がリメイク。
久々にコテコテの香港アクション映画を観たような満腹感。かつて「男たちの挽歌」などで一時代を築き、今なおコアなファンも多いジョン・ウー監督ですが、その独特な味わいが不変で健在だったのが、往年の香港映画好きには嬉しい一作でした。とにかく新作でも、ストーリー&登場人物ともにいたって大真面目なんだけど、起きることやってることはほとんどギャグに近いほどハチャメチャで愉快痛快、というジョン・ウー節が炸裂してました。舞台が日本の大阪というのも、ありえなさに拍車をかけ、笑いのスパイスになってました。
銃弾が一発でも発射されたら、車が一台でも暴走したら大ニュースになる、秩序が保たれている平和な日本で、アナーキーすぎる怒涛の銃撃戦やカーチェイス!まるで戦争みたいなことが大阪で起きてるのに、マスコミも警察も政府もほとんどスルー。ここは本当に日本?!日本をイメージしたパラレルワールド!?かなり強引ながら、手を変え品を変えのノンストップアクションは、スローモーションとストップモーションを駆使したスタイリッシュさ、でもハリウッドアクションとは違う香港テイストなドロ臭さ。ジョン・ウー監督といえばのお約束の白いハトも、なかなか効果的かつ心憎く使われていました。
アクションのハチャメチャさはゴキゲンでしたが、お話のメチャクチャさは失笑ものでした。オープニングから、もう何なんこれ?の連続です。ド演歌が流れる中、ドウ・チウが立ち寄った居酒屋の女将と女中(女殺し屋コンビのレインとドーンの変装)が、カタコトの日本語とか。中国語、日本語、英語が交錯するのですが、まったく統一感がなくてメチャクチャなんですよ。日本人に育てられたはずのレイン&ドーンの日本語も変でしたが、日本人と中国人のハーフで、日本で牧場を経営している麻由美なんか、もろに日本人声優の吹き替えで超不自然だった。麻由美の牧場の従業員が、みんな中国語を喋ってたのもわけがわからんかった。いったいどういう牧場なの?!細かいことを列挙すればキリがないほど、すべてがかなり雑です。悪い日本人が中国人や韓国人を非道い目に遭わせたり、支配したり操ったりしているという設定に、ちょっとだけ反日なテイストも。スーパーサイヤ人を生み出す人体実験も、も、大真面目にやってるのが笑えます。
キャストは、なかなか魅力的です。主人公のドウ・チウ役は、「グレートウォール」でも激シブだったチャン・ハンユー。この映画でも、めっちゃシブかった!鋭い眼光、熟年男の濃密な色気がハンパないですね。小柄だけど引き締まったメタボ無縁な体で、おじさんとは思えぬほど俊敏な動きもカッコよかったです。タキシード姿も似合ってて素敵でした。でもドウ・チウ、エリート弁護士にしてはマヌケすぎだし、身体能力が高すぎ!
ドウ・チウと呉越同舟となる大阪府警の凄腕刑事役に、福山雅治が起用されたのが日本ではこの映画最大の話題、見どころでしょうか。泥だらけ、傷だらけになって大暴れしてる福山さんは、なかなか新鮮でした。でも、ぜんぜん凄腕のアウトロー刑事に見えなかったわ~。スマートすぎて乱闘シーンでも迫力がないし、50近いのに何か軽くて薄く、シブさとか硬派な魅力が皆無。顔も何かちょっとむくんでいて、メイクのせいで蝋人形みたいだった。いつまで経っても何やっても福山雅治なのは、キムタクと双璧ですね。それはそうと。この映画にはイ・ビョンホンの出演も噂されていたのですが、結局実現せず残念。何の役だったのだろう?福山雅治と違って、キレッキレのアクションと男の色気で魅せてくれたでしょうに。
主役の男二人よりも、女殺し屋のレイン&ドーンのほうがカッコよくて魅力的だった。特にレイン役、私が韓国女優の中でいちばん好きなハ・ジウォンの、鋭くもフェミニンな女豹っぷりに、彼女演じるレインが主役の映画を作ってほしい!と思ってしまった。
私がこの映画を観に行ったのは、福山さんではなくハ・ジウォン目当てです。韓国ではトップ女優の彼女が、ヒロインではなく脇役、しかも悪役、というのも楽しみでした。これでハリウッド映画出演とか言うなよ~と苦笑してしまう日本人俳優みたいに、どーでもいい扱いだったりチョコっと出だったりなのなと思いきや、ほとんどヒロインな美味しい役もらってました。
ジウォンさんのあの鋭い目が好きなんですよね~。「チェオクの剣」や「シークレット・ガーデン」などアクションも得意な彼女、この映画でも華麗に銃ぶっぱなしバイクかっとばし、キャットファイトでは鮮やかな格闘も。敵をバッタバッタと倒していくジウォンさんですが、強いといってもゴリゴリのアマゾネスではなく、毅然としてしなやか、たおやかでもあるところが彼女の魅力です。それにしてもジウォンさん、老けないですね~。あの伝説のドラマ「バリでの出来事」の頃と、ほとんど変わってないし。
悲しい宿命を背負った女アサシン、レイン&ドーンの物語をもっと見たかったです。二人の死と隣り合わせな運命共同体、これって女じゃなくてイケメン同士だったらさぞや萌え~だったろうな。ドーン役のアンジェルス・ウーは、何と!ジョン・ウー監督の実娘!ぽっちゃり系で女芸人風ですが、ドウ・チウに惚れて弱気になる妹分のレインを叱咤激励するクールな姐御っぷりと、ド迫力の大暴れで存在感抜群でした。
日本人キャストでは、悪の親玉役の國村準が「哭声 コクソン」に続いての国際的な怪演。その息子役の池内博之も、スーパーサイヤ人になったりと濃ゆい珍演。パーティーのシーンで踊る彼が可愛かった。テロリスト役で、こんなところにも出てきたよ感がハンパない斎藤工が、意味不明で不必要な出演。何しに出てきたんだよ?な、あっという間の退場が笑えた。その他、竹中直人とか田中圭とかが顔を見せてました。
↑ハ・ジウォンといえば、やっぱ弟のチョン・テスの急死。最近知って、本当に驚きました。自殺?ジウォンさん、ショックで「マンハント」のPR活動をキャンセルしたとか。「トキメキ☆成均館スキャンダル」のチョン・テス、カッコよかったな~。姉に負けない活躍を期待してたのに。ご冥福をお祈りします…