まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

アメリカンBLクロニクル

2024-08-25 | 欧米のドラマ
 アメリカのドラマシリーズ「フェロー・トラベラーズ」を観ました(^^♪全8話。
 共産主義者と同性愛者の摘発が激化する50年代のアメリカ、ワシントン。国務省の役人ホークは、議会職員の青年ティムと出会い、二人は恋に落ちるが…
 ドラマ化のニュースを耳にした時から待ち遠しくてたまらなかったので、ついに!やっと!と感無量。世界中の腐女子(&ゲイの)映画・ドラマファンの多くが、きっとそうだったに違いありません。内容といい俳優といいラブシーンといい、期待と予想以上にBLの魅力を凝縮&濃縮したドラマに仕上がっていて、ライトでスウィートなファンタジーめいたBLが好きな人には、胸やけ胃もたれがするドラマかも私は堪能させてもらいました!観終わった時は、かなりオナカイッパイ感と疲労感がありましたが毒にも薬にもならない、何の挑戦も衝撃もない無難な映画やドラマでは味わえない満腹感と疲れは、稀有で貴重な体験です。
 このドラマの見どころは、やはり何といっても英米2大イケメンカミングアウト俳優、マット・ボマーとジョナサン・ベイリーの競演でしょう。

 今や芸能人が同性愛をひた隠しにする時代ではなく、堂々と正直にカミングアウトし、ゲイだからこその深みのある演技を武器にしてる俳優も多い。男盛りの円熟期にあるオープンゲイ俳優といえば、代表的な存在なのがベン・ウィショーとアンドリュー・スコットでしょうか。二人とも今や名優の域。ベン子さんとアンスコはイケメンではありませんが、マットとジョナサンはすごいイケメン。女にもモテモテ、でも女には興味なし、抱いてくれない、なんて尊いような、残念なようなマットもジョナサンもカミングアウト前は、さぞや女たちに困惑迷惑したことでしょうね。

 マットはほんと端正な美男子で、死角なしの美貌。でも冷ややかなロボット美男ではなく、優しそうで可愛い童顔。女っぽいところとかキャマキャマしいところなど微塵もなく、すごく男らしいところは腐受けよりもゲイモテしそうな魅力。このドラマでも、まさにオス♂!なフェロモンだだ漏れ!野獣のようなオラオラ性行為シーンなど、思わず独りで観ていることを確認してしまうほどの激しさとエロさでした。ゲイポルノ一歩手前なレベルの男同士の濃密なセックスシーン満載なので、苦手な方は要注意。

 脱ぎっぷりのよさも圧巻なマット。上も下もガンガン惜しみなく露出して、ズコバコヤリまくってます。そこそこ人気も知名度もある、しかも超イケメンのスターが、ここまでする?!世界広しといえど、マットぐらいでは。政府の役人が何でこんなマッチョなの?と訝しんでしまうほどの肉体美を、これでもか!と。男の魅力あふれる美貌だけでなく、演技も素晴らしいです。「ノーマル・ハート」での壮絶な熱演といい、イケメンなだけ俳優と十把ひと絡げにはできません。もっと評価されてもいい役者。作品に恵まれれば、オスカーも狙える俳優です。

 ティムのことは心から愛してるんだけど、抑えられぬ性欲でハッテンバ通い、野心と保身のためにティムを利用、都合が悪くなると切り捨て、ほとぼりが冷めたらまた接近して元サヤ、を臆面もなく繰り返すホークは、かなりズルいゲスなヤリチン野郎なんだけど、傷つくとわかっていても、希望はないと知ってても、ティムがほだされて受け入れてしまうのも納得してしまう魅力にあふれてるんですよね~。まさに魔性の男。美しい男は何をしても許されるんです。並のイケメンではなく、マットのような特上のイケメンという条件がつきますが。

 「ブリジャートン家」で注目されたジョナサン・ベイリーも、マットに劣らぬ役者魂炸裂と脱ぎっぷりです。メガネが可愛い。ピュアでおひとよしすぎるティムは、ヘタな俳優だとイライラするかもしれない役ですが、ジョナサンは流されるのではなく自分の意志と覚悟で愛と対峙している感じで演じて、強く崇高なキャラになってました。若い頃よりもエイズに侵されて余命いくばくもない晩年の姿のほうが、知的で研ぎ澄まされてカッコよかったです。
 50年代から80年代にかけての、激動のアメリカ現代史の勉強にもなりました。50年代に吹き荒れた赤狩り、同性愛狩りの嵐がクレイジーすぎて戦慄。今では考えられない人権侵害、邪魔者を陥れるための監視や密告、誣告。愛国の名のもと、猜疑心と悪意にまみれた冷酷で卑劣な所業。あんなことがまかり通ってたんですね~。エイズパニックに揺れた80年代も、アメリカの闇を感じた時代でした。

 ↑もはやノンケ役で女優とラブストーリー、なんて違和感しかないマット&ジョナサンです

 
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イケメン皇帝のロイヤルアフェア

2024-08-21 | 欧米のドラマ
 Netflixのドラマ「皇妃エリザベート」観ました(^^♪全6話。
 自由を愛するバイエルンの公女エリザベートは、家の利益のために結婚を強いる母親に反抗を続けていた。そんな中、姉のヘレーネが皇帝フランツとお見合いをすることになる。フランツはヘレーネではなくエリザベートと恋に落ちて…
 東洋西洋問わず、時代劇は大好きなんだけど。最近は妙にライトだったりファンタジックだったり、史実をちょっと面白く脚色どころじゃないトンデモ&トンチキ時代劇が多くて、頭が固いわしのようなおっさんにはトホホな現状です。「ブリジャートン家」とかも面白かったけど、あまりにも現代風にし過ぎて、おふざけドラマと化してしまってた。バカバカしくなって、これ以上は無理!とシーズン1でリタイア。ブリジャートン家はまあパラレルワールドの話だからいいとして、歴史上有名な人物や出来事を描いた時代劇は、真面目で重厚なものが観たいです。

 世界で最も有名なロイヤルヒロインといえば、フランスのマリー・アントワネットとオーストリアのエリザベートが双璧でしょうか。エリザベートといえば愛称シシー、シシーといえばやはりロミー・シュナイダーですよね~。他にも何人もの女優がエリザベートを演じてますが、ロミーが完璧すぎてどうしても見劣りしてしまう。このドラマのエリザベートも、残念ながらというか当然というか、すべてにおいてロミーには遠く及んでいません。自由奔放、時には自分勝手で我意が強すぎ反抗的、という性格や言動も、そこに凛とした気品や匂いたつような優雅さがあるから魅力的、なはずのエリザベートなのに。このドラマのエリザベートは、うう~ん、金持ちの家のヤンキー娘って感じでした粗野で下品な見た目とキャラが、宮廷に馴染めない異分子っぽさには合ってましたが。
 まあ、このドラマに関しては、エリザベートはどうでもよかったんです目当ては、若き皇帝フランツ役のドイツイケメン、フィリップ・フロワッサンだったのだから(^^♪


 「ブラック・アイランド」での高校生な彼もイケてたけど、皇帝な彼もちょべりぐ(死語)!彼の魅力はやっぱ、すごい清潔感と優しそうなところ。いつもニコニコ明るい優しさではなく、内省的でどこか憂いと翳りがあるところが好き。立ち居振る舞いも凛々しく優雅。育ちが悪そうなエリザベートと違い、やんごとなきオーラが。長身でスタイルがよく、ロイヤルファッションも素敵に着こなしてます。フェンシングシーンがカッコいい!優しくも情熱的なラブシーン、わしもフィリップ陛下の臥所に召されたい~♡

 帝国の深刻な内憂外患や家族との軋轢に悩み、時に冷徹で狡猾、頑固な面も見せるフランツの複雑なキャラも、わざとらしい大熱演とかでなく静かに怒りや苛立ちを表現していたフィリップの演技力も秀逸。自分が捨てた元愛人を、彼女の女心を刺激して政治のために利用するところなど皇帝陛下、なかなか悪い男で素敵でした。

 サブキャラの面々も、みんな腹に一物ある連中ばかりで面白かったです。フランツの母后ゾフィーが冷酷な性悪姑!上辺だけの優しさ、おためごかしが裏表ありすぎて怖い!すべてをコントロールしようとし、おんな盛りの心と体に煩悶する妖しい熟女!エリザベートより美人!フランツの弟マクシミリアンの胡散臭さ、屈折も話を面白くしてたけど、もうちょっと風貌が退廃的な美青年に演じてほしかったかも。ちびっこの末弟も、おとなしいけど何か怪しい…と思ってたらラストで、え?!な姿に。男の娘?!

 リストやヨハン・シュトラウス2世など、有名な音楽家も登場。宮廷でのダンスシーンとか、かなり現代風な演出でしたが、恐れていたほどありえない設定やシーンはなかったので安心。イギリスやフランスの宮廷とはまたちょっと違う、オーストリア宮廷の様子も興味深かったです。ドレスがどこかスタイリッシュ。お城や宮殿、庭園も、ヨーロッパの重厚で美しい歴史を感じさせる素晴らしさでした。6話しかないのが短くて観やすい。思いっきり途中で終わってますけど。シーズン2が楽しみ(^^♪

 ↑ フィリップ、可愛い優しそうなので、ドイツ人でもナチス役とかはできなさそう卍
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悪党貴族

2024-07-16 | 欧米のドラマ
  Netflixのドラマ「ジェントルメン」を観ました(^^♪全8話。
 父の遺言で兄を差し置き侯爵家の家督を継いだエドワードの前に、スージーという女が現れる。裏社会の組織のメンバーである彼女から、亡父が金のために領地内で大麻栽培のための場所を組織に貸していたことを知ったエドワードは…
 ガイ・リッチー監督の映画「ジェントルメン」のドラマ版ですが、続きでもスピンオフでもなく、ストーリーもキャラも一新させたアナザーストーリーになってました。裏社会の組織が貴族の領地を借りて大麻を栽培、という設定は同じ。ドラマ版は組織のボスではなく、貴族が主役。元軍人の侯爵エドワード役は、大好きなイギリス俳優テオ・ジェームズ

 テオ、渋味が出始めてイケオジ化が進んでますね鋭く精悍、男の色気もダダ漏れ。ワイルドなタフガイだけど、さすがイギリス人。どんなに暴れても、下品にも粗野にもならないブリティッシュな香りが。ヒューゴ・ボスのモデルをしてただけあって、スーツやタキシード、普段着もクール&ハイセンスな着こなし。若い頃は脱ぎ男だったテオですが、今回は露出なし。ケガの手当シーンで、ちょっとだけ肌を見せてましたが、かなりタルんで見えたそれもまた、熟年の崩れた色気が。

 エドワードのキャラも、クール&クレバーでカッコよかったです。なるべく平和に穏便に裏社会と掛け合おうとする思慮深さ、でもいざとなると腕に覚えありな元軍人の戦闘力を発揮して、悪人どもを叩きのめす頼もしさ。やられたら100倍返し!家族と家名のためなら、冷酷にも狡猾にもなる怖い面もあって、ただの善い人じゃないところも素敵でした。はじめは裏稼業をイヤがってたけど、だんだんそっちの才能に目覚め開花させていくエドワードの奮闘が、ヴァイオレンスと軽快さで描かれてます。

 エドワード以外のキャラに、あまり魅力がなかったのが残念。ガイ・リッチー監督の映画版は、一癖も二癖もある愉怪な連中ばかりで楽しかったけど、ドラマ版は何かイライラする、必要性もあまりないようなキャラが多かったような。エドワードの兄とか大麻栽培係の若い男とか、ほんとならコメディ担当なキャラなんだろうけど、単にウザいだけだった。ガイ・リッチー監督といえば小粋で洒脱なコメディタッチが魅力ですが、ドラマ版はコメディ色が薄口でした。テオはほぼ大真面目。もうちょっとコミカルなテオが見たかったかも。

 テオ以外の俳優は、ほとんど知らない人たちばかりで地味すぎ。映画版はマシュー・マコノヒーにチャーリー・ハナム、コリン・ファレル、そしてヒュー・グラントと、濃ゆい豪華なメンツでしたからね~。スージーの弟ジャックが、なかなかイケメンでした。イギリスの若手俳優ハリー・グッドウィンズ、おじさんになったテオに代わって彼が脱ぎ担。初めてお目にかかりましたが、ちょっとヘルムート・ベルガー似?見事な肉体美を披露してます。

 イギリスといえば、やはり貴族!アメリカや韓国の金持ちの、金にあかせたゴージャスさとは全然違う、優雅で洗練された由緒ある趣味の高さが好き。エドワード一家の暮らす屋敷や敷地も広大で美しく、あんなところで暮らしてみたいな~と憧れる。でも管理や維持が大変そう。そのせいで没落したり裏社会に食い物にされたり、美しいものを守るために汚くならざるを得ない貴族たちの現実が、皮肉で切ないですね。

↑ テオ~シブッ!つっても、まだ39歳なんですよね彼。子どもおじさんなニノミ屋とか岡田Jいちより年下!テオの新作は、スティーヴン・キング原作のホラー“The Monkey ”です
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太陽がしょっぱい

2024-05-20 | 欧米のドラマ
 Netflixのドラマ「リプリー」を観ました。全8話。
 ニューヨークで詐欺をしながら孤独に生きていたトム・リプリーは、金持ちのグリーンリーフ氏から放蕩息子のディッキーを家に連れ戻す仕事を引き受ける。イタリアのアトラーニで暮らすディッキーに近づき親しくなるリプリーだったが、ディッキーの恋人マージはリプリーに警戒心を抱き…
 アラン・ドロン主演の名作「太陽がいっぱい」や、マット・デーモンの「リプリー」など、これまで何度も映像化されたパトリシア・ハイスミスの小説の最新テレビドラマ版。3つの中では最も原作に近いリプリーではないかと思いました。アラン・ドロンのトム・リプリーは、ダークで怪しいところは合ってたけど、いかんせん美男子すぎる。退廃的で刹那的な悪い男っぷりといい、わかりやすく魅力的すぎるところが、本来の複雑で異様な人物であるはずのリプリーとはちょっと違う感じ。マットのリプリーは、ほとんどギャグ。あの悪名高い伝説の黄緑色海パン姿など、ファン以外にはキモいだけのミスキャストでした。ドロン版もマット版も、同性愛的なものは何となく匂わせていたけど、あくまでオブラートに薄く浅くでした。今回のリプリーははっきり同性愛者で、それが腐女子をときめかせるような甘く切ないものではなく、隠れゲイの孤独と屈折、底意地の悪さがイタくてキツいです。

 女っけなし、女にいっさい興味なし、どころか嫌悪さえしてる感じのリプリー。マージに対して表向きは礼儀正しく優しいけど、言動や表情には嫉妬や憎悪、軽蔑が小さなトゲのようにひそんでいる…そんな女性以上に女性的な裏表ある陰湿さが怖くて面白いリプリーでした。BL映画やドラマの、美しく優しく勇気ある男たちなんて、やはりファンタジー。生まれ育ちにも社会的地位にも容貌にも特に恵まれず、ただもう攻撃や排斥をされぬよう息を潜めて生きているうちに、自分を守るための暗く狡猾な世知や韜晦に長けてくる…そんなゲイのリアルさもあるリプリーでした。

 厳しく冷たい世間を生き抜くためには、多少は卑屈にも悪賢くなることも必要だとは思うけど。リプリーはそんな生易しいもんじゃなかった。決して関わってはいけない、まるで静かなる毒虫みたいな男でした。これといって特徴のない地味で平凡な風貌、ちょっと胡散臭いけど大した害にはならないだろうと、取るに足らない存在と見なし軽んじて油断すると、すうっと生活や心の隙間から入り込まれ、気づかぬうちに浸食され蝕まれてしまう。悪意や邪気があるわけではなく、そうせずにはいられない寄生虫の本能のような罪の重ね方が、不気味で悲しいリプリーでした。

 都合が悪くなると容赦なく躊躇なく殺人を犯し、隠ぺい工作や詐欺行為に奔走するリプリー、その体力気力が驚異的。なりすましがバレない、警察に捕まらないのも、現在だとありえない。まだ防犯カメラもインターネットもなかった時代だからこその犯行でした。警察も含め、出てくるイタリア人がみんな何だか倦怠的で、何事にも熱意がなくテキトーなところもリプリーにとっては幸運でした。
 リプリー役は、「異人たち」でも高く評価されたアンドリュー・スコット。

 彼ってひょっとしたら、稀代の名優なのかも…風貌も演技も、すべてにおいて地味~なのに、その地味さが派手なものを凌駕しているというか。いかにも演じてます!な感じがしないところがスゴいと思います。「異人たち」と見た目はほとんど同じ、静かな内省的な演技も同じなのですが、キムタクみたいに何やっても同じキムタク、とは全然違うんです。太ったり痩せたり筋肉つけたり肉体改造して見た目を変えることよりも、オーバーな熱演をすることよりも、アンドリュー・スコットの特異なことは何もしない、けど何げない表情や仕草で演じる人物の複雑さや陰影、狂気を表せる演技のほうが、はるかに難しく高等だと思います。男らしくもないけど女性っぽくもない、どこか中性的、ていうか性がない感じも彼の個性でしょうか。演技が巧くてもノンケの俳優には出せない妖しさを、時々なにげに放ってるのが強烈です。ディッキーの服を着て彼のマネをしてる時の様子とか、ラストの肖像画のモデルをしてる時の表情とポーズとか、かなりインパクトがありました。

 ディッキーにあまり魅力がなかったのが残念。ただのお人よしなボンボンで、見た目もフツー。無意識にゲイを翻弄する小悪魔な美青年にしてほしかった。マージはなかなか食えない女で、ラスト近くのリプリーへのいやがらせは、まさに女の性悪さで面白かったです。マージ役は、元名子役のダコタ・ファニング。すでに世間の酸いも甘いも知り尽くしたような、気怠いくたびれ感ある女優になってますね~。ディッキーの金持ちの友人フランキーは、男装した女?おなべさん?演じてたのは、イギリスの大物歌手スティングの娘だとか。女性が男の役を演じることに、何の意味があったんだろう。
 アトラーニからナポリ、ローマ、ヴェネツィア…全編モノクロで獲られたイタリアの風景が美しかったです。ディッキーが暮らす家、路地のカフェ、おなじみのゴンドラと運河、ホテル、美術館や教会etc.イタリアにも行ってみたい!
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御心のままにBL

2024-04-04 | 欧米のドラマ
 ドイツのTV映画「So auf Erden」を観ました。
 敬虔なキリスト教信者で布教活動にも熱心なヨハネスとリディア夫妻は、路上で倒れていたドラッグ中毒の青年シモンを自宅に連れ帰り介抱する。シモンに強く惹かれるヨハネスは、罪悪とされている同性への欲望に苦悩するが…
 愛しのドイツイケメン、ヤニス・ニーヴナーがゲイの青年役(^^♪を演じてるこのドラマ、前からすごく観たかったんですよ!念願かなってIch bin glücklich!

 「Jonathan」の翌年、「マクシミリアン」と同年の作品で、当時25歳のヤニヴ。可愛い~やっぱイケメンですね~。やんちゃさと優しさがいい感じにブレンドされてて、男らしいけど清潔感があって。シモンはストリートミュージシャンなので、ヤニヴの歌声も聞けます。スウィートなハスキーヴォイスあんな男の子が路上で歌ってたら、ヨハネスじゃなくても足を止めてガン見するわ。

 いい役者はたいてい一度はBLに挑戦していますが、好きな俳優のBLはやはり格別なものがあります。ヤニヴを初めて知った「Jonathan」はBL映画でしたが、主演のヤニヴはBLな役じゃなくてトホホ。このドラマでやっとヤニブのBLが見られる!と、期待と興奮で鼻息を荒くして観たのですが…うう~ん…ワクワクドキドキするはずが、かなりガッカリだった。相手がおっさん、いや、おじいさんだったのがちょっと…シモン、爺専だったの?いや、若い彼氏いたよね?爺も抱けるシモンの許容範囲の広さに驚かされました。BLってやっぱヴィジュアルも大事なんですよね~。若い男とお爺さんがキスしたり、激しく求めたって肌を重ねる姿は決して美しくも官能的でもなく、見ていて気まずくなるような異様さでした。

 脱ぎ男のヤニヴ、今回も潔い脱ぎっぷり。ケツ丸出し!つるん、ぷるんとした美尻!テレビドラマで人気俳優がこんな大胆な脱ぎ、日本ではありえません。ヤニヴだけではく、ヨハネス役のおじいさん俳優も全裸見せ。こっちはあんまし見たくなかったかなそれにしても。隠れゲイ?のヨハネスが若いイケメンのシモンに惹かれるのは解かるけど、シモンがなぜヨハネスに?父親を慕うような気持ちが嵩じて?そういう複雑で妖しい機微を描いてほしかったかも。

 同性愛よりも、現代社会における宗教の矛盾がメインテーマになってるドラマです。宗教ってやっぱ怖いと思った。同性愛は罪悪!邪悪!と、この世の終わりのように絶望し煩悶するヨハネスの様子とか、まるでエクソシストみたいにヨハネスを悪魔祓いしたりとか、狂信的すぎてドン引き。愛だの平和だの平等だのと唱えながらも、教義に反する者はみんな敵で排斥とか、すごい偽善的で狭量。宗教じたいが争いや憎しみを生み出してるようにも思えました。教会の運営や活動のためにいつも金!金!言ってるのも何だかな~。賄賂とか密告とか、教会の人間関係も世俗まみれ。魂の浄化とか救いとか、まったくなされてない。この世に生きるかぎり、ピュアな信仰心を貫くことは困難なようです。

 ↑ ヤニヴ~リドリー・スコット監督の大作「ナポレオン」にヤニヴが出てる!と知り、さっそくチェキってみたのですが。超チョイ役でトホホすぎ!ヤニヴの無駄遣いすんなー!チョイ役でもケツ出してたのがヤニヴらしかったけどヤニヴはクリスチャン・ディオールの半生を描いたTVシリーズ“The New Look”にも出演。またチョイ役じゃありませんように!

 ↑ ヤニヴの最新作映画“Hagen”は、ヴァイキング時代の歴史ドラマ。ヤニヴはワイルドで勇猛な戦士役みたいです。楽しみ!
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僕が愛した娼婦

2022-09-25 | 欧米のドラマ
 19世紀のパリ。貴族や金持ちをパトロンにし、社交界で華やいでいた高級娼婦マルグリット・ゴーティエは、アルマンという青年と出会い恋に落ちる。しかし、アルマンの父から息子の将来のために彼と別れてほしいと懇願され…
 1984年のイギリスのTV映画「Camille」を観ました。これまで何度も映画&ドラマ化された有名な「椿姫」です。グレタ・ガルボ版がいちばん有名でしょうか。パリの社交界の花として艶やかに光り輝く美しき高級娼婦、イケメンとの情熱的で悲劇的なロマンス…マルグリット・ゴーティエは美しさと演技力に自信がある女優なら、一度は演じてみたいヒロインなのでは。このドラマでマルグリットを演じたグレタ・スカッキは、すごい美人なんだけど何だろう、マルグリットのキャラとはちょっと違和感ある美しさだったような気が。見た目も言動もすごく逞しく、ふてぶてしくしたたかな女の強さがあるので、薄幸のヒロインのはかなさとか悲しさが希薄というか。

 最近のキレイカワイイ女優とは違う、その圧倒的な華やかさはまさ美貌の女優!なグレタ・スカッキの美しさでした。たまに武田久美子に似て見えたのは私だけ?すごく健康そうなので、病魔におかされてるようには見えなくて。でも最期はゾンビみたいな顔になって怖かった。美しいまま死んだほうが、アルマンの悲しみを深くしただろうに。

 それにしてもマルグリット、あんなに美しく聡明なのに、娼婦として生きるしかなかったのが残念。娼婦といっても、街角や店で春をひさぐ女ではなく、金持ちの契約愛人って境遇ですが。豪華な部屋、美しい衣装、華やかな遊興etc.贅沢な生活には何の保障もなく、老いて容色が衰えれば何もかも失う不安定な身の上。現代だったら、マルグリットならその美貌と才気で高級クラブのママにでもなれそうだけど、身分制度が厳然としてた時代では貧民出身の彼女には、金持ちの愛人になるしか生きる方法はなかったんだろうな~。あと、優しすぎたのも仇となった。すごい貧乏な超美人は、性格が悪いほうが長生きできそう。
 アルマン役は、当時24歳!のコリン・ファース。か、か、かわいい!かっこいい!

 BL映画の金字塔「アナザー・カントリー」と同年の作品なので、当然ながら若い!ピチピチツルツルキラキラしてます。スラ~っとした長身に、時代劇の衣装が似合うこと!ヒロインに負けず劣らず、コリンも衣装とっかえひっかえ!品がありながらも若々しい、まさに上流社会の青年のファッション、それを完璧に着こなしてるコリンにうっとり。ちょっと偏屈で神経質なイメージのコリンが、珍しく一途でロマンティックな役を演じてるのもファンは必見。でもやっぱコリンはコリンというか、恋に溺れてる情熱な若者にしてはすごく冷めた理性的な感じが否めず。たまにすごい気難しそうに見えるのもコリンらしかったです。英国紳士といえばコリン、というのも長年のイメージなので、アルマンがイギリス人にしか見えなかった。「恋の掟」のコリンもフランス人役なのにそうでした。コリンが歩くとパリもロンドンに

 アルマンの父役はベン・キングズレー、マルグリットの最初のパトロン役はジョン・ギールグット、最後のパトロン役がデンホルム・エリオット、イギリスの名優たちが脇役で出演してます。衣装や屋敷だけでなく、マルグリットとアルマンが暮らす田舎の風景も美しかったです。
 それはそうと。よく考えてみれば、マルグリットってそんなに薄幸でもないような。むしろ幸せかも。美貌に恵まれ男たちからチヤホヤされ贅沢三昧、美男に身も心も熱愛されて醜く年老いることなく若く美しいうちに死ぬ、なんてわしからしたら理想の人生じゃわ。
 
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蛇の道はイケメン

2021-10-01 | 欧米のドラマ
 Netflixでドラマ「ザ・サーペント」を観ました。全8話。
 70年代のタイ、バンコク。アランとモニクは宝石商を装って欧米のバックパッカーたちに近づき、薬を盛って殺害しては金品やパスポートを奪っていた。オランダ大使館の外交官クニッペンバーグは、無残な死体で発見されたオランダ人カップルのパスポートを何者かが使っていることを知り、独自の捜査に乗り出すが…

 実際に起こった事件を基にしたドラマだそうですが、にわかには信じがたいです。こんな凄惨で卑劣な犯行がなかなか発覚せず、犯人も捕まらないなんて。アジアでのバックパック旅行、やっぱ危険すぎます。事件のメインステージであるバンコクだけでなく、ネパールやパキスタン、インド、いま話題のアフガニスタンなど、東アジアを股にかけての詐欺&殺人は、インターナショナルで壮大なスケール。各国とも犯罪天国で、たやすく隠したりごまかしたりできる土壌が怖い。シャルル(アラン)の犯罪ってかなり大胆かつ杜撰なのに、誰も気づかない信じないとか怖すぎる。警察や大使館の適当な対応も、先進国では絶対ありえない。パスポート偽造や指紋とかで、すぐにシャルルの足はつくはずなのに、そうはならないアジアのユルさが戦慄ものでした。

 シャルルの犯行以上に、欧米バックパッカーたちの警戒心のなさに驚かされました。お気楽すぎ、スキがありすぎ。あんな惨い目に遭っていいわけはないけど、外国では用心深く!が鉄則な私からしたら、自殺行為に近いハメのはずしっぷりでした。彼らの自由な振る舞いには、どこかアジアを見下したところがあって、自分たちは何をしても大丈夫、許されるという傲慢さが透けて見えました。そんな驕った西洋人へ、シャルルは憎悪の鉄槌を下しているようにも思えました。

 それにしてもシャルルとモニクの犯行は、まさに鬼畜の所業。知能犯罪である詐欺+暴力犯罪である殺人は、「復讐するは我にあり」のモデルになった西口彰の犯罪とカブります。被害者になりすまして生活するところは、身代わり連続殺人の大西克己を彷彿とさせます。どっちの犯罪も、相当の才覚と胆力が必要。シャルルがその能力と魅力をまっとうな道で発揮してたら、きっと尊敬される人物として成功した人生を歩めたはず。悪って、やはり先天的なものもあるのでしょうか。蛇は蛇の道しか歩めないように。
 シャルル役は、大好きなフランス俳優タハール・ラヒム。希代の殺人鬼をセクシーに好演。彼ももう40歳になったけど、いい感じに熟しつつ、かつ青年っぽい若々しさも失っておらず、今回もカッコカワいかった理想的な40歳ですね~。

 男の色気も増して、ますますいい男になったタハール。浅黒い肌がエキゾティックで、英語から不意に変わるフランス語が耳に甘くて素敵。狂気に憑かれたような熱演ではなく、すごく淡々と日常のルーティーンみたいに詐欺も殺人もやってるところが出色。タハールって、どんな役でも社会の底辺臭がして、悲しげで薄幸そうなところが何だか愛おしいんですよね~。ニヒルで洗練された物腰と、ねっとりとした暗い目つきは、まさに美しく危険な蛇のようでした。上半身裸になるシーンが多いのですが、マッチョな肉体美ではないけどガッチリムッチリしたカラダは私好みです。モニク役のジェナ・コールマンは、小柄で小動物的な美人。タハールと彼女の70年代のファッションがおしゃれ!それにしても。愛と恐怖でシャルルに従ったみたいなモニクでしたが、ぜんぜん同情できませんでした。情状酌量の余地まったくなし。ほんとなら二人そろって死刑なのに、神も仏もない結末に唖然
 もう一人の主人公、外交官のクニッペンバーグ役は、これまた大好きなイギリス俳優ビリー・ハウル。

 ビリーって決してイケメンでも男前でもないはずなのに、そう見えてしまう不思議な俳優。この作品ではいつもよりちょっと恰幅がよくなっていて、それがいい感じに作用してカッコよくなってました。長身でスーツが似合います。知的なエリート役もハマります。オランダ人役なのに、やはりイギリス人っぽい。優しい温かい人柄ながら、事件捜査にのめり込んで仕事も夫婦関係も顧みなくなってしまう執着心が、正義感とか責任感を通り越して異常、そんな複雑な役を誠実に熱演してたビリーへの評価、私の中でまた上昇しました。タハールとはほとんどW主演なのですが、二人はいっさい顔を合わせません。直接対決シーンで演技の火花を散らしてほしかったので残念。

 危険なバックパック旅行だけでなく、東南アジアの底辺、闇に沈んでしまい、そこから脱け出せなくなる話もよく聞いたり読んだりしてたので、その怖さも描かれていたことも興味深かったです。気をつけないと、薬漬けにされてダルマ女にされてしまう!危険と同じぐらい、魅力もいっぱいあるアジア。タイにも行ってみたいな~。
 シャルルみたいな殺人鬼役、日本の俳優も挑戦してみればいいのにな~。魅力的な役だと思うけど。キムタクとか若い時にやっとけばよかったのに。今なら意外と似合いそうなのが櫻井翔かな。人当たりはいいけど上辺だけ、実は悪賢くて冷たいところがピッタリ。向井理もよさげ。

↑ 笑ったら超可愛いタハール。ジョディ・フォスターやベネディクト・カンバーバッチと共演し、ゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた新作「モーリタニアン 黒塗りの記録」近日日本公開!

 ↑ ビリーって雰囲気が何だかすごく美しいというか、別にカッコつけてなくてもオシャレな服を着てなくても、洗練されてる感じがします
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一世一代の証言!

2021-04-14 | 欧米のドラマ
 NHK BSで放送されたBBCのドラマ「検察側の証人」を観ました~。原作はこれまで何度も映像化されてるアガサ・クリスティーの戯曲です。
 終戦直後のロンドン。富豪の中年女性エミリーが何者かに撲殺される。家政婦の証言やエミリーの遺言書などから、エミリーと親密な関係だった青年レナードが逮捕される。弁護士のメイヒューはレナードの無実を証明しようとするが、レナードの妻ロメインは法廷で夫に不利な証言をし…
 映像化の中では、巨匠ビリー・ワイルダー監督の「情婦」が有名。アガサ・クリスティ―原作の映画やドラマといえば、どちらかといえば明るい楽しい内容や演出のものが多いのですが、このドラマはかなり非アガサ・クリスティー的というか、すごく暗く陰惨な悲劇にアレンジされていました。「情婦」も悲劇的なラストでしたが、名優チャールズ・ロートンが演じた主人公の弁護士はユーモアたっぷりなキャラで、付き添い看護婦とのやりとりとかワイルダー監督らしい軽妙なコメディタッチで、往年のハリウッド映画の香り高い愉快な映画に仕上がってました。でもこのドラマときたら、何でここまで?と首を傾げてしまうほど救いのない話になっちゃってるんですよ。メインキャラ全員が深刻な問題を抱えていて、話が進むにつれてどんどん病的に狂気的になっていくんですよ。もはや事件の真相はどうでもよくなってくるほどに。

 真犯人の狡猾で冷酷な殺人もさることながら、原作にはないメイヒュー夫妻の愛も希望も失われた老夫婦関係が鬱すぎる。ミステリーよりもそっちに重点が置かれているようなドラマかもしれません。心を殺して続ける絶望と苦痛に蝕まれた人生が重すぎる、けど日本の軽い捜査ものドラマに飽き足らない人には見ごたえがあるのではないでしょうか。レナードとロメインの歪んだ愛も、日本のドラマでは描かれない複雑さと怖さで面白いです。
 当時の格差社会の不公平さ、正義のなさも怖い。貧乏なレナードや外国人であるロメインへの社会の扱いが非道すぎる。特に警察、ありえんほどに人権無視。今では考えられないけど、当時は当たり前なことだったんですね。

 裁判と老妻に翻弄されるメイヒューも哀れでしたが、やっぱ最大の被害者は殺されたエミリーです。いくら自分勝手で若い男好きな淫乱ばばあでも、あんな殺され方されていいわけない。女主人への歪んだ愛執からレナードを憎悪する家政婦の、悲惨すぎる末路も後味が苦い。他人を支配したり傷つけたり利用したり、陥れたり呪ったりしたら必ず自分に返ってくるのです。でもやはり、映画やドラマでは黒い欲望と愛憎まみれな業の深い人間のほうが、清く正しい善人よりも面白いです。
 このドラマが楽しみだったのは、私が今いちばん注目してるイギリス俳優、ビリー・ハウルがレナード役だったから(^^♪

 彼、やっぱいい役者ですね!全然イケメンでも美青年でもない、どっちかっつーたらブサイクかもしれない顔なのですが、雰囲気とか佇まいがすごい美しいんですよ。ルックスで売ってない彼みたいな俳優が、長く活躍できるんですよね~。虐げられた社会底辺者の役なのですが、小汚さとかうらぶれた感じは全然なくて、貧しげな服装でもどこか優雅で上品。ぜったい犯人じゃないよ、早く助けてあげて!と心が痛む必死さ哀れさだけど、ロメインや家政婦の供述によるシーンでは冷酷で残忍な悪人の顔も見せる、謎めいた複雑な二面性のある役を好演してたビリー。スラっと背が高くてスーツやタキシードが似合うところも英国男優。それにしても。レナード役って、若い男優なら演じてみたい、挑戦しがいのある魅力的な役なのでは。

 メイヒュー役はイギリスのバイプレイヤー、ハリウッド映画にもよく出てるトビー・ジョーンズ。ちっこいけど見た目と演技で存在感は強烈。見た目だけの俳優など易々と食ってしまう名優です。心身ともに病んでるのに必死すぎる姿が悲壮で怖いです。殺されるエミリー役は、SATCで人気を博した熟女キム・キャットラル。若い男を金で弄ぶ金持ちババア役ですが、あまりイヤらしくなかったのは彼女がサバサバしたアメリカ女性だからでしょうか。

 最も重要な役、「情婦」では大女優マレーネ・ディートリッヒが演じたロメイン役のアンドレア・ライズバラは美人ですが、地味なところが役に巧く活かされてました。犯人が仕掛けたトリックはあまりにも有名。大胆で衝撃的ですが、現代では絶対に通用しませんよね~。証人や情報提供者の素性は徹底的に調べるだろうし、もし同じことすればすぐにバレます。

 ↑ 雰囲気が美しいビリーの新作、タハール・ラヒム共演のNetflixドラマ「ザ・サーペント」楽しみ(^^♪
 

 
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公爵さまと中出しNG婚

2021-02-19 | 欧米のドラマ
 Netflixの人気ドラマ「ブリジャートン家」を観ました~(^^♪全8話。
 19世紀初頭のイギリス。名門ブリジャートン家の長女ダフネは、ふさわしい結婚相手と出会うべく華やかな社交活動に勤しんでいた。そんな中、ダフネの前に裕福な独身の公爵サイモンが現れ…
 イギリスの時代劇が大好きなのですが、このドラマ、かなり従来のものとは毛色が違ってます。いちおう19世紀初頭、摂政時代のイギリスを舞台にしてるみたいなのですが、ほとんどパラレルワールド。史実にとらわれない自由な設定になっていて驚かされます。時代考証を重要視する、意識高い正統派時代劇ファンが観たら、かなり困惑したりバカらしく思えたりするかもしれません。黒人やアジア系など有色人種の王族や貴族が、当たり前のようにいるのです。非イギリス的なのは、人種うんぬんスルー設定だけではなく、ストーリーの進み方とかキャラの言動とか、かなりアメリカのドラマっぽいところ。「高慢と偏見」を「ゴシップガール」風にアレンジ、とても言いましょうか。華やかで軽やかだけど、優雅とか高貴といった感じはないです。

 アメドラっぽいので、まどろっこしさとかかったるさといった、途中リタイアさせる要因が見事なまでになく、次から次へと面白おかしく事態が動くスピーディな展開、ワケアリで個性的な登場人物たち、ロマンティックでシャレオツ(死語?)な会話や恋の駆け引き、華やかでリッチな衣装や貴族生活、そして大胆すぎるラブシーンetc.退屈させない製作者の手腕、出演者の魅力にはただ感服。とにかく面白いのですが、イギリスの時代劇らしさがないのはやはり、イギリス好きにはちょっと残念でもありました。衣装とか、女性は淡く優しいカラフルさでカワイイ、男性はスタイリッシュで目に楽しいけど、実際にはあんな服は着てなかったはず。とにかくイギリスをモデルにした仮想世界、と割り切って観る必要があるドラマです。こんなこと当時のイギリスでありえない!なんて間違い探しや粗探しは、野暮な時間の無駄です。

 それにしても。婚活のために新しいドレスの仕立てやパーティーに明け暮れる貴族たち、まさに命がけな必死さなのが滑稽なのですが、庶民からしたらひたすらバカらしく、もっと有意義なことに時間をお金をかけたらいいのに、なんてイラっともしました。働かずしてあんな生活ができるなんて、ほんと羨ましい、けど無為すぎてもったいない。同じイギリス時代劇でも、血で血を洗う権力争いものは大好きですが、恋愛や結婚のことしか頭にないような話は何だかな~です。こんなことに王族や貴族が血道をあげてる一方で、庶民は塗炭の苦しみにあえいでいる、そんな格差社会の厳しさなどもスルーされています。人種の分け隔てはなくなってたのに、身分差は不変なのです。

 アメドラ、ハーレクイン小説なドラマなので、登場人物のキャラや人生の描写には深い掘り下げなどはないのですが、みんな個性的でチャーミングでした。ヒロインのダフネも、高慢と偏見の女たちほど鼻につかず、優しくて聡明で気高く、それでいてしたたかな策士でもあるところに好感。あんなに賢い彼女なのに、セックスについては無知だったのが不思議。当時の貴族の子女ってみんなあんなだったの?ダフネと恋に落ちる公爵さまのサイモンも、いかにもロマンス小説好きの妄想が生んだ理想の男なのですが、しょーもないことでウジウジしてるのでイラっとしました。

 私がいちばん好きなのは、ダフネの妹エロイーズです。婚活とかバカらしい、男に頼らす自立して生きたい!と願う彼女の言動は、かなり今日的で共感。女たちはみんな男たちに盲従せず、男社会の理不尽さにも耐え忍ばず、声高に自己主張もするところも時代劇っぽくないです。そういったフェミニズムや有色人種への扱いなど、時代に配慮というか忖度した作りになってるのが印象的です。
 出演者はみんな誰?な人たちばかりで有名スター皆無なのですが、すごく魅力的でフレッシュでした。ダフネ&サイモン役のフィービー・ディネヴァーとレジ・ジーン・ペイジが美男美女!どんなツーショットも絵になるカップルでした。フィービーはすごく清楚で柔らかい優しい可愛さだけど、女子女子した媚びやブリッコさは全然なく、凛と颯爽としてるところに好感。彼女も新鮮でしたが、レジは結構センセーショナル!
 
 黒人のイケメン、男前俳優はあまたいますが、ここまでのハイレベルな美男は稀。ぶっちゃけ、私が知ってる黒人俳優の中では、ルックスだけだと最強かも。スタイル完璧すぎ、でもお人形的なものではなく、野性的で生々しい♂のフェロモンも濃厚。これでもか!と色気をまき散らし、必要以上に脱ぎまくってます。神々しいまでの肉体美です。このドラマ最大の見どころは、二人の熱く濃密なラブシーン。結ばれた後は、タガが外れたかのように盛り狂って所かまわずヤリまくり濡れ場なんてもう死語になってるポリコレ時代に、ここまでやるとは!と感嘆感激。特にレジの脱ぎっぷりはお見事。惜しげもなく美尻を出して激動させてますし。大胆だけどイヤらしさはないです。スカっとした運動みたいです。ある事情で子どもを作りたくないサイモンが、絶頂と同時に慌てて外出しするのが、悲壮なはずなのに何か笑えたわ。

 ダフネの兄、ブリジャートン家の嫡男アンソニー役のジョナサン・ヘイリーも、なかなか男前でした。次男と三男はブサイクではないけど、もうちょっとイケメンにしてほしかったかも。3兄弟の恋愛話はかなり陳腐で余計。次男が仲良くなる画家が男色家、という設定も全然活かされてなかったし。女性と人種だけでなく、LGBTにも忖度、ていうか、腐受け狙いなBLエピソードやシーンがほしかった。ダフネを見初めるプロシアの王子さまがカッコカワいかった。サイモンや3兄弟は衣装とっかえひっかえだったのに、王子さまだけいつもどこでも同じ格好なのが可哀想で笑えた。

 エロイーズと親友のペネロピが、見た目もキャラも味があって、二人の友情もいい感じに描かれていました。上流社会の人々を翻弄する謎のゴシップ記者レディ・ホイッスルダウンの声が、名女優のジュリー・アンドリュース!ホイッスルダウンの正体が最終回に明かされるのですが、そんなに意外でもなかったような。
 続編の製作が決定したみたいで、喜ばしいかぎり。楽しみですね(^^♪今度はどんなイケメンが登場することでしょうかレジとフィービーは映画界でも活躍してほしいものです。
 
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ある夜の出来心

2020-12-08 | 欧米のドラマ
 2016年のテレビミニシリーズ「ザ・ナイト・オブ」を観ました~。全8話。
 ニューヨークで家族と暮らすパキスタン系アメリカ人の大学生ナズは、夜の街で出会った若い女性アンドレアと一夜を共にするが、目覚めると彼女の惨殺死体を発見し逃走してしまう。逮捕されたナズの弁護を引き受けたストーンは、独自に事件の調査を開始するが…
 シーズン2とか3とか、やたらと長いテレビシリーズは苦手なのですが、8話ぐらいで完結するミニシリーズは好きです。ミニシリーズは長さがコンパクトなだけでなく、ハイクオリティなドラマが多いような気がします。ダラダラと引っ張らずに、ギュっと凝縮した作りになってるからでしょうか。このドラマも、評判通りの質の高さでした。チャラチャラした軽薄なドラマや、毒にも薬にもならないポリコレドラマばかりな日本では絶対に製作できない、ヘヴィでダークな社会派ドラマです。

 複雑で不可解な司法制度と裁判の進め方、不当な扱いを受けるマイノリティの絶望と荒廃、暴力と悪意に満ちた都会の底辺社会、無秩序な刑務所etc.アメリカの闇と病巣が、静かに冷ややかに描かれています。人間や社会そのまんまのような、いつも陰鬱なニューヨークの天気と空は、観てるほうも気が滅入ります。常に用心してないと人生がおびやかされる危険に満ちた街。そんな場所で生きてると、心も荒んだり病んだりしますよ。このドラマに出てくる人々も、みんな暗い鬱屈を抱えていて思いやりが希薄で、諦めや不信感でがんじがらめになってます。特に黒人たちがみんな、見た目もキャラも極悪、凶悪、卑劣。最近の映画やドラマの中の黒人は、いろんな配慮や忖度もあってか、魅力的で高徳な人物が多いのですが、このドラマでは黒人、怖い!と久々に思った。差別偏見につながる!と怒られなかったのでしょうか。

 誰が犯人なのか?よりも、逆境の中での主人公ナズの成長に重点が置かれています。成長といっても悪い形で、というのが怖くて面白かった。ひとの善い、優しく内気なフツーの青年が殺人容疑者になったことで、絶望や怒り、悲しみや不信感にまみれて無垢な心を奪われ、過酷な環境で生き抜くために強靭になる心身の変貌が驚異的でした。ナズを演じてるのは、近年躍進が著しいパキスタン系イギリス人俳優のリズ・アーメッド。エミー賞受賞も納得の素晴らしい演技でした。

 全然オーバーな熱演などしておらず、どちらかといえば台詞も動きも少ない、感情的に激するシーンもほとんどない、とても静かな演技なのですが、哀れな冤罪被害者がしだいに、ん?何かおかしい…うっすら放ち始める怖いヤバい雰囲気。何を考えてるのかわからない、近くにいるのに遠くにいるような表情。とにかく静かにミステリアスなのです。軟弱そうな青年からコワモテ野郎への変貌もインパクト強烈。そして何より、軟硬どっちの時もすごい美男子!大きな美しい瞳!極小顔!やっぱちょっとピエール・ニネに似てると思った。わりと小柄なのも親近感を抱かせる可愛いさ。

 それにしても。ナズって、魔性の男。彼に関わる人々は、ことごとく悲運、不幸に見舞われるんですよ。ナズには悪意や害意など微塵もないのに。明菜のTANGO NOIRじゃないけど、生きてるだけであなた罪な男~♪刑務所のボス囚人も、そういうナズの得体の知れない魔性に魅せられて、彼を寵愛したのでしょうか。人間って、何かのきっかけで別人になってしまう、いや、もともと覚醒してないだけの秘密の本性が誰にでもあるのでしょうか。刑務所でのナズは、ジャック・オディアール監督の「預言者」の主人公を彷彿とさせます。恐ろしいボスがナズだけには優しく親身で、それがちょっと不器用でホロ苦い片想いっぽいところに、腐はかすかなBLを感知します。

 ストーン弁護士役は、コーエン兄弟監督作品の常連だったジョン・タトゥーロ。クセの強いキャラを、ひょうひょうと好演。ストーンの孤独な日常と皮膚病が、悲痛かつ滑稽だった。アンドレアが遺した猫とのエピソードが、なかなか微笑ましかったです。殺人の真犯人よりも、猫がどうなるかが気になって。強さと引き換えに真人間には戻れなくなったナズのこれからの人生はいったい…という重苦しい余韻を残しながらも、猫のおかげでホっとできたラストも秀逸でした。

 ↑ 聴覚障害のドラマーを演じた新作「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」での熱演も高く評価され、オスカー候補も噂されてるリズ・アーメッド。ノミネートされますように!
 
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