まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ミャンマー祈りの旅⑦ 金魂!

2017-10-29 | 旅行、トレッキング
 消えたパスポート。明日は日本大使館じゃ~。もうどうにでもなれ!と投げやりな気持ちになってベッドに倒れ込んだ瞬間、ハタと思い出す。そーいやパスポート、この宿に着いてすぐにフロントに預けんかったっけ?!はっと身を起こすと部屋を飛び出し、転がるように階下のフロントへ。怪訝そうに微笑みかけるボーイさんに、パスポート預けてませんでしたっけ?と切迫した声で尋ねてみると、はい、ありますよ、とあっさりパスポートを私に差し出すではないか。ああ良かった!と大安堵し、何度もボーイさんにお礼を言って部屋に戻りました。でも、だんだん落ち着いて冷静になって考えてみると、何で私がチャイティーヨーへ行くと知った時点で、パスポートを返してくれなかったのだろう?いやいや、それ以前に、海外でホテルに滞在する際に、パスポートって預けるもんだったっけ?疑問と不安がグルグルしましたが、とりあえずパスポートは手元に戻った。もう二度と離さないから、と思わずパスポートを抱きしめる私なのでした。
 翌早朝5時。バスターミナルに行くためのタクシーが、宿まで迎えに来てるはず。身支度してロビーに下りると、真っ暗な中ソファであのボーイさんが寝てた!ビツクリ!ボーイさんは私に気づくとおもむろに起きて、行ってらっしゃいと笑顔で挨拶。宿の前に出ると、ちょうど一台のタクシーがやってきました。運ちゃんはこれまた愛想のいいおじさん。まだ夜が明けきれぬ車道を、かなりのスピードでタクシーは走行。運ちゃんはカタコトの英語で、イスラム国やスーチーさんの話を機嫌よくしておりました。
 ヤンゴンのダウンタウンからかなり離れ、タクシーはやがて真っ暗な広い木立の中へ。あまりの暗さ、ひと気のなさに、何ここ怖い…と口に出した私に、運ちゃんはココはミャンマーの軍用地ダヨ!とにこやかに返答。暗い木立を抜けると、やがてバスターミナルに到着。たくさんの人やバス、タクシーで朝早くから混雑した空気。運ちゃんは、私が乗るバスまで連れていってくれました。バスはまだ誰も乗客がおらず、私が一番乗り。出発までちょっと時間があったので、にぎやかなターミナルを軽く散策。出発前の慌ただしく活気に満ちた光景。まだ年端のゆかぬ少年たちが、バスの窓拭きをしてたり。いい匂いを漂わせる屋台を発見し、座ってミャンマーの国民食であるモヒンガーを注文。一杯500Kの安さ。さっぱり風味のあったかい素麺?みたいな感じ。美味しかったです。

 6時過ぎに再びバスに乗ると、何人か他の乗客も乗ってました。私の前の席に座った女性が、いきなり紙袋にゲーゲー嘔吐。まさかもうバス酔い?!まだ動いてもないのに。6時半になると、ようやくバスが発車。バスの中は冷房ガンガンで寒い!上着もってきて正解でした。
 ヤンゴン中心地を離れ、バスは一路チャイティーヨーの玄関口であるキンプン・ベース・キャンプへと向かいます。バスの中では、ミャンマーの歌謡曲?が延々と大音量で流れてました。のどかな田園風景が続いたかと思うと、人や車が行き交うにぎやかな場所になったりと、窓外の風景も日本では見られない異国情緒いっぱい。バスが停まると、品物が入った笠を頭上に掲げた売り子さんたちが、すかさず近寄ってきたり。

 11時頃、バスはキンプンに到着。ここですぐに帰りのバスチケットを買いました。そしてまたすぐに、チャイティーヨー行きのトラックに乗り換え。このトラックこそ、ミャンマー旅行のハイライトのひとつ。いろんなミャンマー旅行記を読んで、心くすぐられずにはいられませんでした。
 トラックが、これまた味わい深くて。屋根がなく、荷台にギュウギュウ詰めに座らされた乗客は、まるで家畜な気分に。映画でよく見る、強制収容所に連行されるシーンに近い、とでも言いましょうか。でも乗客たちはみんなワクワクと明るく浮かれていて、楽しい雰囲気。見たところ、ミャンマー人がほとんどだったような。

 トラックは、信じられないような猛スピードで、ゴーっと山道を上って行きます。急カーブでもスピード緩めず、お、落ちる!なスリル。小さい子どももお年寄りも乗客はキャッキャと大喜び。山道は凸凹でアップダウンが激しく、まさにジェットコースタートラック!スピード違反?乗員オーバー?そんなの関係ねぇ!(死語)なワイルドさ。でも、これも日本では決して味わえない異国ならではの楽しみ。私もスリルを満喫しました。ジェットコースターが苦手な人、車酔いする人は、かなりキツいかも…
 30分ほどして、トラックは山頂に到着。チャイティーヨー、通称ゴールデンロック、はミャンマーでも1、2を争う人気観光地。ミャンマー人にとっては、生涯に一度は巡礼すべきとされている聖地なんだとか。

 トラックを降りて、屋台や土産物店が並ぶ道をてくてく歩き続けると、階段にたどり着きました。ここで靴を脱ぎ、裸足で進まねばなりません。階段を昇ると、外国人は関所?みたいな部屋に入り、入場料を払って通行証みたいなものをもらいます。ゴールデンロックがある場所まで、真っ白な大理石みたいな地面。太陽の光を受けて、まるで鉄板状態。あ、熱っ!あちち!足の裏が焦げそうな熱さを我慢しながら歩くと、いよいよ目前にゴールデンロックが現れました。

 ああ、何て大きな金タマ…もちろん卑猥さなど微塵もなく、神々しく光り輝いております。落ちそうで落ちないその不思議な姿に、神秘の力を感じます。聞けば、岩の上にある小さな仏塔に、仏陀の髪の毛が収められているとか。

 このゴールデンロック、女人禁制!女性は近くに行って触れないのです。警備員が厳重に金タマを守っています。男性は金粉をもらって、金タマに擦りつけて御利益を授かることができます。田島ヨーコ先生とかなら激怒しそうな時代錯誤、男尊女卑なしきたりですが、私は別に何とも思いません。むしろ、古式ゆかしい伝統として守り続けてほしい。相撲の土俵とか神の島とか、何でもかんでも女も女も!と騒ぎ立ててズカズカ入り込もうとするのが、正しい男女同権とは思えないので…
 閑話休題。陽光にきらめくゴールデンロックを心ゆくまで礼拝。広場では参拝客が、木陰でのんびりと憩っています。にぎやかな舞踊のショーとかもやってました。面白いグッズや衣服が売っているお土産店もたくさんありました。私も美味しそうなアイスクリーム(300K)を買って、木陰でひと休み。
 キンプンに戻るため、トラック乗り場に戻ると、男女が大声で大げんかをしてるではありませんが。何を言ってるのかはもちろん分かりませんが、ものすごい形相で罵り合ってる。今にも刃傷沙汰になりそうな不穏さ。おじさんのほうは、奥さんと子どもと一緒。おばさんのほうは、小さな男の子連れ。かなり長い間、しつこく言い争ってました。概して穏やかでにこやかなミャンマー人も、やっぱ仏心を失うこともあるのですね。
 再びジェットコースタートラックでキンプンに戻り、バスの発車まで時間があったので、お土産店が並ぶ通りをブラブラ。狭い道を、大型バスが無理やり入ってきて、ありえない方法で方向転換!店にぶつかる~!のに、ギリでセーフ。すげ~。

 バスが来るまで、近くの食堂で入って待つことに。ミャンマービールを注文して、乾いた喉を潤します。目の前のテーブルでは、店員の男の子がテーブルに足をのっけて煙草吸いながらTVを観てます。これも日本ではありえない光景ですね。目の前をハエがブンブン、てのも日本ではなかなか体験できなません。
 ヤンゴンに戻るバスの中では、爆睡!途中、バスがトイレ休憩?で停車。そのまま寝てようと思ったら、運転手が降りて何か食べてきたら!と降車を半強制。仕方ないので、食堂内のトイレへ。き、汚な!すぎて使用せず。食堂では、若い男の子の店員が超親切で、お腹減ってませんか?何か飲み物もってきましょうか?と優しく尋ねてきます。注文したミルクティは、甘くて美味しかったです。私が日本人だと知ると、アリガト!と笑顔。
 19時過ぎに、バスはヤンゴンに到着。客引きのタクシー運ちゃんが、すわ!と群がってきます。15000Kふっかけてくる運ちゃんに、9000Kまで値引きさせて、交渉成立。この運ちゃんもめっちゃフレンドリーなおじさんで、安全なミネラルウォーターの宣伝や、日本やアウンサンスーチーさんの話をしてました。ダウンタウンでタクシーを降りると、ミネラルウォーターのペットボトルをくれました。
 夕食は、にぎやかなバーベキューストリートにある、日本人がオーナーだと地球の歩き方に書いてあったコーサンというお店に入りました。ここの店員も若い男の子で、結構イケメンでしたが、日本語どころか英語も全然ダメで困った。メニューにあった美味しそうな料理を注文。牛肉のチャーハン?美味しかったけど、量が多く臭みが強かった。
 宿へ戻る途中にあったユニクロみたいな服屋さんに入って、寝間着用に安いけど可愛いミャンマーっぽい柄のTシャツを2枚買って、宿に戻ってシャワーを浴びて、ベッドに転がって日誌ノートを広げたりしてるうちにウトウト、いつしか眠りについていたのでした。
 to be continued


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車上生活の迷惑老婆!

2017-10-27 | イギリス、アイルランド映画
 「ミス・シェパードをお手本に」
 新居に越した劇作家のアランは、長年車上生活をしている老女、ミス・シェパードと出会う。住民に煙たがられながらも、自由に我が道を行くミス・シェパードに辟易しつつ、いつしかアランは彼女の生活を支えるように。ミス・シェパードには誰にも言えない過去があった…
 高齢化と迷惑住人、という身近で深刻な社会問題について、いろいろ考えさせられました。ミス・シェパードもアランの老母も、悪い意味で元気すぎます。足腰がきかなくなった、ボケ始めた、でもなかなか死なない、死ねないんですよ。医療の発達と福祉の充実のおかげで、本来ならとっくに来てるはずのお迎えが来ない。ミス・シェパードも、昔なら行き倒れ、野垂れ死にして無縁仏になるはずが、周囲の人や社会の気遣いや手厚いケアのおかげで、長寿をまっとうしちゃうし。でもそれって、お年よりにとっては極楽なのか、それとも生き地獄なのか。ミス・シェパードの尊厳を失うほどの老醜や、社会への迷惑を見ていて、長生きなんてちっとも幸せなことじゃない、とあらためてゾっとしました。心身ともに苦痛なだけでなく、周囲にとって忌むべき存在となってまで長く生きたくない。けど、多くの人間にとっては避けられない人生の終着。どーすりゃいいんだろ、と怖くて夜も眠れなくなります。

 ヒロインのミス・シェパードですが。彼女のどこをお手本にすればいいのでしょうか。こうはなりたくない!なってはいけない!な、むしろ反面教師にしたいような、常識もモラルも通用しない迷惑老人っぷりでした。勝手に強引に他人の家の前、庭に入り込んで車上生活。ゴミや糞尿も撒き散らす不潔さ、言動の憎々しさ頑なさ、厚かましさには、老人だからと許せないものがありました。周囲の親切や小心さにつけこむ狡賢さにも腹立ったわ~。自由に生きる=他人に迷惑をかける、じゃダメだと思うのです。精神的に疾患がある、という設定だったので納得。そして、ミス・シェパードの図々しさ同様、アランを筆頭とする近隣住人の寛容さにも呆れた。イギリス人って、あんなに人が善いの?!ボケた実母は施設に入れて、ミス・シェパードはそばで面倒をみるアランに違和感を覚えましたが、作品のネタとしてミス・シェパードを必要としていた部分もあったのでしょうか。作家はやっぱ、業が深くないとできない職業なんですね。
 ミス・シェパード役は、英国の至宝的名女優のマギー・スミス。もともと舞台で好評を博した役を、そのまま映画版で再演したとか。実に憎々しい意地悪ばあさんっぷりなのですが、周囲が従ってしまうのも理解できるような凛とした威厳が、単なる老女優ではないことを証明しています。40そこそこで引退する某人気歌手を、多くの人は潔いとかカッコいいとか賞賛してるけど、私は高齢になっても映画やTV、舞台で活躍し続けているマギー・スミスのほうが、偉大で尊敬に値すると思います。ミス・シェパードに負けず、元気に仕事を続けてほしいものです。

 ゲイであるアランが新居に次々と引っ張り込む若い男たちの一人として、大好きなドミニク・クーパーがカメオ出演してます。超チョイ役ですが、やっぱ色男!ドミ公、ゲイにもモテそうだもんね。70年代の髪型、ファッションも似合って、何しても絵になる男です
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何となく繰り返してる

2017-10-24 | 日本映画
 「裏切りの街」
  働かず彼女のアパートでヒモ生活を送る裕一は、出会い系サイトで主婦の智子と出会う。満たされない虚無な日々の中、二人は何となく会い続けるが…
 携帯用のdTVで好評を博したという池松壮亮主演のドラマ。編集されて劇場でも公開され、私はDVDでその映画版を観ました。壮亮くん主演の「愛の渦」と同じ三浦大輔監督作品。

 壮亮くん、またまたどよよ~ん虚無な若者役でした。今の日本でそういう役が適格かつ魅力的に演じられる若い男優は、壮亮くんしかいません。壮亮くんって、70、80年代のATG映画男優の雰囲気があるんですよね~。昭和の倦怠とか退廃や鬱屈、そして危険な激情を内に秘めてる演技と見た目。やはり同世代のみんな同じ顔に見えるイケメンなだけ俳優、CM俳優とは一線を画しています。ゆえに、三浦監督をはじめ気鋭の演出家たちからのラブコールが絶えないのでしょうけど、いつも同じような感じ、という役やイメージの画一化が気になります。

 今回の壮亮くんも、ハンパない色気と翳り。けだるげ~なアンニュイさは、もう人生を知り尽くし疲れ果てた熟年男みたいです。とても20代の若者とは思えません。無精ひげがこれほど似合う20代、なかなかいません。でも、顔は童顔で可愛い!無駄な肉などないしなやかな体も、若者にしかないものです。
 壮亮くんといえば、濡れ場王子。これも彼を他の同世代男優の中で別格の存在にしてる魅力です。この作品、元はドラマとはいえ地上波のテレビでは放送できませんよ。壮亮くん、交接に自慰にケツ出しにと、今回も頑張っておりました。セックスシーンでの、挿入前の手の動きや音、イく時の表情と声が生々しかった。壮亮ファンは必見の性なる演技です、が。そろそろそういうのじゃない壮亮くんにも会いたいんだよな~。似たようなどよよ~ん虚無男ではなく、凛々しく明るい壮亮が見たい。今でもMYベスト壮亮は、大河ドラマ「義経」の彼だもんね。おぼこい顔の少年ながら、凛とした威厳がある彼に一目ぼれ。壮亮くんにはちょっと原点回帰を希望!

 壮亮くんの魅力、演技の果敢さには感嘆ですが、彼主演じゃなかったら私、15分ぐらいで途中リタイアしてたかも。内容にも、裕一も智子もその他のキャラにも、1ミリも共感できなかったです。裕一みたいな彼氏、ぜったい無理!いくら壮亮みたいないい男でも無理!みんな不潔で不実で怠け者で欺瞞に満ちていて、こんな人間関係イヤだな~と不愉快に。みんなやることなすこと、卑怯で自分勝手で薄汚い。真面目に誠実に思いやりを心がけて生きてる者からしたら、腐臭ただよう生ゴミのような人たちでした。

 心が弱く、下半身が元気すぎる、という不均衡が彼らの病巣なのでしょうか。男も女も、老いも若きも、そんなにヤりたいもんなの?そういうのを気持ち悪いと思ってしまう、淡泊で潔癖な私のほうが病んでるのかしらん?こういう映画を観ると、めんどくさくて汚らしい人間関係よりも、静かで清い孤独のほうがいいとつくづく思ってしまいます。

 智子役は、壮亮くんとは「シェル・コレクター」でも共演してた寺島しのぶ。はっきり言ってブスな彼女ですが、女優魂はピカイチですよね~。演技だけなら、韓国のチョン・ドヨンに匹敵するのでは。脱いで濡れることができる寺島さんのような女優、今の邦画では希少、貴重です。

 でもこの作品、主演の壮亮くんと寺島さんよりも、智子の夫役の平田満のほうがインパクトあり。善い人なんだけど、何か引っかかる言動ばかりする、いるよねこんな人~な“イヤな善人”役の平田さん、そのさりげなくも粘質的な演技が素晴らしいです。智子の妹役の佐藤仁美も、イヤな感じがリアルな巧演でした。
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中年パパラッチの正念場

2017-10-22 | 日本映画
 「SCOOP!」
 かつては将来を嘱望されていたカメラマンだったが、今は有名人のスキャンダルを追うパパラッチで食いつないでいる都城は、新人編集者の野火の教育係を押し付けられる。反発し合いながらも、いつしか二人は次々とスクープをモノにするようになり…
 結婚を機に人気が凋落、今やキムタクと並ぶ“かつてはトップスター、今でもそのつもりのイタいおじさん”と成り果ててしまった福山雅治。深刻なファン離れは結婚のせいではなく、やはり加齢によって魅力や輝きが褪せたせいではないでしょうか。ならば、若い頃とは違う年相応の魅力を発揮できる仕事をすればいいのであって、それによって新たなファンも開拓できるのではないかと思うのですが、言うはやすしなんでしょうね~。いろんな大人の事情とかもあって、そう簡単にはイメチェンもできないのでしょうか。一度は頂点に立った人ほど、方向転換へのチャレンジが難しいんだろうな~。
 桜坂ならぬ下り坂な福山さんですが、この映画の彼は腐っても福山雅治というか、やっぱいい男でした。ワタシ的には、若い頃のイケメン福山よりも、この映画のちょっと崩れた中年福山のほうが好きかも。中年といっても、一般人のおっさんとは同じ人間とは思えぬほどカッコいいですが。

 ほっそりしていた福山さんも、むっちり肉付きがよくなって、中年男の色気を漂わせてました。果物って、ピチピチよりも腐りかけのほうが美味しい、みたいな。上半身裸のシーンがあるのですが、むっちりしてて私好みでした。福山さんの売りである、いい男だけどちょっとスケベ、というキャラも活かされてました。下ネタ、セクハラをしまくって楽しそうな福山さん。でもあのエロネタって、福山氏みたいな男前だから許されるんですよね~。汚いおっさんが同じこと言ったりやったりしたら、殴られるか通報されちゃいますから。いちおうカメラマンという肩書もある福山さんなので、都城役はノリノリで演じられたのでは。
 エロキャラは笑えてチャーミングでしたが、エロいシーンはほとんどなし。冒頭、娼婦とカーセックスしたり、野火とのベッドシーンもあったりするのですが、かつてのアイドル的人気スターである福山さんにしては頑張ったほうなんだろうけど、もうちょっと大胆さとチャレンジがあってもよかったのにな~。そこがやっぱ、女性人気をいまだに配慮しなければならない、演技にすべてを賭ける俳優ではない中年アイドルの限界なのかな~と残念に思います。中年男にしては、都城の言動が幼稚で浅薄なのもイタかった。おそらく天衣無縫な飄々とした自由人、みたいに見せたかったのでしょうけど、あの脚本と福山さんの演技力では単なる軽薄な、いつまでも少年のつもりおっさんにしか見えなかったです。どんなに見た目がカッコよくても、あんなおじさん実際にいたら気持ち悪いもんね~…

 福山さんの下ネタ、セクハラが楽しかっただけで、映画の内容はかなり凡庸です。どっかで見たことあるシーン、よくある設定のキャラには新鮮さや衝撃は微塵もありません。同じパパラッチ映画なら、「ナイトクローラー」のほうが1億倍ユニークです。パパラッチの仕方が、ほとんど犯罪だったのも気になった。のぞきや尾行はまだしも、カーチェイスで追っ手に花火攻撃とか、殺人未遂で公務執行妨害、一歩間違えたら大参事ですよ。ダイアナ元妃の事故を思い出しましたが、パパラッチへの非難とか皮肉とか深い含蓄もまったくないところも、とことん薄い軽い映画でした。恋愛展開も、すごい強引で薄っぺら。お互い惹かれ合うプロセスが上手に描かれてないので、え!?何でそうなるの?!と当惑。ぶっちゃけ、恋愛は不必要で余計でした。師匠と弟子のままが良かったのに。ラストも、お涙ちょうだいで興ざめ。
 野火役の二階堂ふみは、宮崎あおいのバッタものにしか見えなくて。野火のキャラに、まったく魅力を感じなかったのが致命的でした。新人類(死語)?みたいな若者でも、おかしなファッションはさておき、ペロペロとキャンディなめながら初出勤とか、いくらマスコミでも非常識すぎると呆れた。編集者役で、吉田羊とか滝藤賢一とか、またあんたたちかよ~な、どこにでも出てくるメンツがここでも。もっと他に男優も女優もいるだろうに、とゲップが出そうになりました。政治家役の斎藤工も、都城の友人役のリリー・フランキーも、働き過ぎ。おなかいっぱい!政治家のゲス不倫やアイドルの泥酔、スポーツ選手の暴力、オウム事件や和歌山毒カレー事件など、実際の醜聞や事件ネタは楽しかったです。
 
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ミャンマー祈りの旅⑥ 金色の極楽浄土

2017-10-15 | 旅行、トレッキング
 暮れなずむヤンゴン、大通りの雑踏を縫うように歩き、ヤンゴンのランドマークであるサクラタワーに到着。
 サクラタワーは、日系企業が多く入居しているオフィスビル。エレベーターで20階にあるティリピサヤ・スカイビストロへ。雑駁な街の空気とは違う、静かで涼しい落ち着いたムードの店内。お客さんも西洋人がほとんどでした。ヤンゴンの中心地が一望できる窓際に座り、ほっと一息つきます。店員さんも感じがよく丁寧。アイスラテを飲みながらぼんやりしていると、いつの間にか夜のとばりが窓外に落ちていました。ちょっと小高い場所で黄金色に輝くシュエダゴォン・パヤーが見えます。夜景の美しさをもうちょっと眺めていたくて、ミャンマービールを注文してしまいました。ビールはそんなに好きじゃない私ですが、ミャンマービールはさっぱりしていて美味しかった!メニューは、ストリートの屋台とかに比べれば高いかもしれませんが、日本のカフェよりは各段に安い。静かだし清潔だし景色はきれいだし、ちょっとひと休みするにはうってつけの場所ではないでしょうか。

 サクラタワーを出ると、人込みはさらに激しくっていました。流されるように歩いてると、ルビーマートという庶民的なローカルスーパーマーケットにたどり着き、入ってみました。外国人らしき人はまったくおらず、どうやら現地の人だけ。危険が伴わなければ、外国人向けではない場所や店で、その国のリアルを垣間見るのも旅の一興。日本でもドラッグストアが好きな私なので、店内にあふれるミャンマーの薬や化粧品に興味しんしん。パッケージが可愛くてミャンマーっぽいので石鹸と、ついでに風邪薬も買ってみました。海外の薬なんで怖くて飲めない~。けど記念に。帰国してすぐ風邪を引き、ルル3錠がなくなってたので、恐る恐る購入したミャンマーの風邪薬を服用してみました。よく効きました 

 ルビーマートの前でタクシーを拾って、ヤンゴン最大の観光地であるシュエダゴォン・パヤーへ向かいました。タクシー代は2500Kでした。良心的?ぼったくり?でも運ちゃんはいい人でした。料金交渉はめんどくさいけど、ヤンゴンのタクシー運ちゃんはみんな人なつっこくて感じがよいひとばかりでした。約10分ほどで、ちょっと郊外にあるシュエダゴォン・パヤーに到着。一般的な入口とされている南参道口から、104段ある階段を上がって(エレベーターもあるらしい)いきます。夜だったせいか、入口はひっそりとひと気は少ない。昼間だと、参道の両側はお店が出ていて賑やかなんだとか。ここでも当然裸足にならねばならず、靴預かり場所があるけど私は持参した袋に入れて入場しました。係り員に8000K払うと、チケットとシールをくれます。境内では検札があるらしいので、シールは胸とかに張っておきます。

 ↑美しい尼さん。観光客にカメラを向けられても、にこやかにポーズ。モデル顔負けの撮られ慣れっぷりでした
 ミャンマー最大の聖地と言われているシュエダゴォン・パヤー。宵闇に光り輝く黄金の塔。神々しく神秘的で、おお~と思わず見とれてしまいます。たくさんの人たちが、静かに穏やかに、または真剣に祈りをささげています。境内にはいろんなスポットがあって、それぞれに興味深い伝説やエピソードがあります。のんびり歩いてると、人の善さそうなおじさんが声をかけてきました。優しい口調と解かりやすい英語のせいで、ついついスルーできずに会話を弾ませてしまう私。よかったら、案内しましょうか?と切り出してきたおじさんに、キター!と警戒信号。ヨースケで懲りてたのでノーサンキューしようと思ったのですが、ガイド料が安かったことと、ぼったくりに対する怒りをくすぶらせていたせいもあって、今度こそ猛抗議、大騒ぎしてやる!と変な奮起をしてしまい、商談成立

 ヨースケも親切でしたが、おじさんも超紳士で懇切丁寧。解かりやすい英語で、境内のスポットをあますことなく案内してくれて、それぞれ詳しく面白く説明してくれます。祈りの作法とかもちゃんと教えてくれて、これだけは独りではどうしようもなかったので、ありがたや~と心底思いました。楽しかったし、勉強になりました。ガイド料に関する不快なトラブルもなし。気持ちよくお別れしました。光輝く貴い仏塔を見上げて、これも仏縁、私がイヤな思いをしても相手が満足ならそれでいいじゃないか、日本に戻ってもそういう風に思えたら、という清らかな感情に心洗われました。

 元来た参道を下りて、再びタクシーを拾ってダウンタウンへ戻りました。ダウンタウンは毎夜のようにお祭り騒ぎで、ここは中国?と錯覚してしまうほどにチャイナなカオス。屋台で売られている食べ物がどれも興味深く、一個350Kの丸い形のコンニャク?羊羹?みたいなお菓子や、一個1000Kのウリみたいなフルーツを買ってしまいました。

 宿の近くには、バーベキューストリートと呼ばれる、ビアホールや串焼き店が立ち並ぶ通りがあって、すごい盛況。ここには西洋人もたくさんいました。私はすっかり人酔いしてしまい、どこの店にも屋台にも立ち寄る気力も勇気も失せてたので、コンビニでサンドイッチとミャンマービールを買って、宿に戻りました。フロントではあの少年みたいなベルボーイくんが、慎ましい笑顔で私を出迎えてくれました。翌日のチャイティーヨーへ向かうバスチケットの手配も、夜遅くにもかかわらず親切にやってくれました。部屋に戻って、サンドイッチとフルーツとコンニャクお菓子の夕食。どれも不味くて、ほとんど食べられずミャンマービールでほっと一息。チャイティーヨーではパスポートが要るので、用意しとかなきゃ♪って、あれ?あれ?キャリーバックにもボストンバッグにも、パスポートがない!!え!いったいどーいうこと!?ほっと一息は束の間、パスポート探しで私は狂乱、室内にすべての荷物をぶちまけても、パスポートは出てこず。これって、チャイティーヨーに行けないどころか、日本に帰れんってこと?!明日は日本大使館?!イヤー!!!
 to be continued
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英VS米 お笑い全面戦争!

2017-10-12 | 北米映画 80s~90s
 「ワンダとダイヤと優しい奴ら」
 ロンドンで銀行強盗が発生し、巨額のダイヤモンドが盗まれる。犯行グループの紅一点でアメリカ人のワンダは、愛人のオットーと共謀しリーダーのジョージが逮捕されるよう警察に密告、さらにはオットーをも出し抜いてダイヤを独り占めしようと目論む。しかし捕まったジョージは、ダイヤのありかについてはだんまりを決め込んでしまう。手がかりを掴むためワンダはジョージの弁護士アーチーに近づく。セクシーで陽気なワンダに、アーチーは恋をするように。オットーは嫉妬に燃え、ワンダの誘惑作戦を妨害し始めるが…

 いちばん好きなコメディ映画は?と問われたら、真っ先にこの映画が思い浮かびます(「殺したい女」とちょっと悩むが)。この映画の笑いって、私のツボを突きまくりなんですよ。アメリカのパワフルでノーテンキな笑いと、イギリスのシニカルで毒のある笑いが絶妙に巧妙にブレンドされた、最高のカルチャーギャップ映画なのです。同じ言語なのに、こんなにも文化や価値観が違うのだ!と、その埋められない隔たりを嗤うコメディなのです。

 とにかくこの映画、終始ドタバタしているのですが、ドタバタがすごく洗練されているのが驚異。伏線や小道具の使い方が、なるほど~!そうくるか!な巧みさで、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。英米のカルチャーギャップを、愉快に浮き彫りにする台詞もお見事。とにかく相手をディスるディスる!ディスかましまくりバトルも、北の将軍さまとトランプ大統領のそれとは違い、ハイセンスでハイレベル。文化的で思慮深いけど傲慢で退屈なイギリス人VS強くて大らかだけど無教養で欲深いアメリカ人、という小粋にデフォルメされた対立構図が笑えます。お互いそんな風に相手を見下し、かつコンプレックスも抱いてるのか~と、興味深く両国のお国柄を学べます。
 脚本もですが、この映画はキャストも秀逸かつ強烈です。まずはヒロイン、魅惑のアメリカン女泥棒ワンダ役のジャーミー・リー・カーティスが、超チャーミング!

 悪賢さとセクシーさ、そして優しさで男たちを手玉にとり、ひとり勝ちを狙うワンダは、まるでルパン3世の峰不二子です。でも、ぜんぜん悪女って感じはしません。美人ではないけど、颯爽と小気味よいコメディエンヌぶりは、痛快すぎて好感しか抱けません。インテリトークと外国語を耳元で囁かれると、欲情して悶絶するというワンダの弱点も笑えます。彼女の変装やファッション七変化も目に楽しいです。大胆すぎるけどイヤらしくない、ヘルシーなセクシーさも素敵。スタイル抜群で、そのパーフェクトボディには同性でさえ惚れ惚れ。
 そして何と言っても、映画史上最凶のアホ男オットーを怪演したケヴィン・クライン!圧巻のオバカ演技です。
 
 ハイテンションでクレイジー、凶暴な野獣だけど超絶アホ、ワンダを追っかけまわして事態をどんどん悪化させるオットーを、ブロードウェイ出身でシリアスな名優というイメージのクライン氏が演じている、というのがまず意表を突きますが、生粋のコメディアンでもあの演技は無理なのでは。ちょっと他に例がないアホっぷりなのです。一見いい男で、頭がいいつもりなところが珍妙さに拍車をかけてます。ワンダを欲情させるために囁く怪しげなイタリア語も笑えた。彼が繰り返すお約束の数々に爆笑の嵐。すごくカッコいいバカ男役で画面狭しと大暴れ、世紀の大珍演を披露したクライン氏は、何と!この作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞!納得!映画史に残る名演ですから!

 70年代に一世を風靡したという英国の喜劇集団、モンティパイソンのリーダーだったジョン・クリーズがアーチー役。知的でシュールな風刺で人気だったというモンティパイソンの作品、観たくなってきました。そしてこの映画のスゴいところは、タブー知らずな容赦なき障がい者虐待、老人虐待、動物虐待ネタ。まさに人でなしな鬼畜映画でもあります。こんなん日本じゃ絶対ムリ!非道い!けど、つい笑ってしまうブラックさ、毒がたまりません。
 ちなみに後年、続編ではないけど同じキャストが再結集し「危険な動物たち」が製作されました。ワンダほどには高く評価されず、ヒットもしなかったみたいですが、未見なので観たいです。
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血に飢えた伯爵夫人

2017-10-10 | フランス、ベルギー映画
 皆さまお久しぶりです!やっとシャバに出られました~。長かった~。2、3日で退院できると思ってたから。ひょっとしたら生きてここから出られないのでは?と、病室で毎日怯えていました。
 早く帰りたいな~と不安な日々でしたが、のんびりまったりした入院生活を満喫。仕事せずに怠惰に過ごすって、ほんと至福じゃ~。ぼっちなので、家族さえ見舞いに来ない(身寄りがない可哀想な人と思われてたかも)静かで平和な毎日でした。目が悪いくせに、ヒマなことをいいことに読書や似顔絵を心行くまで楽しめました。
 このたび生まれて初めて手術をしたのですが、もう2度とゴメンじゃわ~。手術も全身麻酔も経験がある老父母は、ぜんぜん平気!何の苦痛もないと言ってたから、すっかり安心して油断してました。終わった直後、麻酔から覚めたら聞いてないよ~な地獄の苦痛。嘔気と目の痛みで、ずっとうなされてました。美人ナースに無理やり座薬を挿入され、すごく恥ずかしかった!けど、おかげで気分の悪さも痛みも引いて楽になりました。
 今も痛くはないけどずごい違和感が目にあり、もうちょっとだけ家で安静が必要みたいです。皆さまも、くれぐれも目はお大事になさってください!

 「Daughters of Darkness」
 新婚旅行中のステファンとヴァレリーが滞在するホテルに、若い女秘書を伴った伯爵夫人エリザベスが現れる。彼女は永遠の命と美貌を保つため、人間の生き血を求めて旅を続ける吸血鬼だった…

 1971年にフランスで制作された怪奇映画です。今の映画にはない70年代独特のサイケでデカタンなムードと、エロティックなシーン満載な珍作でした。
 若い男女が美しい女吸血鬼に魅入られるという話は、古くから映画や小説、少女漫画でもおなじみのものですが、この映画の吸血鬼は美熟女のレズビアン!なのが珍奇で面白かったです。エリザベスのステファンとヴァレリーへのアプローチや、女秘書との絡みも妖しすぎて笑えましたが、意味不明で意味深なキャラやシーンが結構ツボでした。ステファンは実は暴力や死体に興奮するド変態サド男だったり、ステファンのイギリスに住んでる母親がなぜか女装したおっさんだったり(ステファンがヴァレリーにせっつかれても、なかなか実家に結婚報告をしようとしない、何とか回避してたのは、これが理由?)。レズにSMに女装と、かなり倒錯した色情怪奇変態映画でした。冒頭から寝台車での夫婦の営みシーンなど、無駄に強引に全裸やセックスシーンが多く、ちょっと懐かしの日活ロマンポルノみたいな味わいも。うっかりお子さんと一緒に観ないよう気をつけて(笑)。
 吸血鬼映画というと、「トワイライト」シリーズや「ヴァン・ヘルシング」みたいに、変身とか飛んだりとか特殊能力を面白おかしく描くのが常套ですが、この映画のエリザベスは特にそんな能力は発揮せず、見た目は妖しい美熟女なだけです。支配下に置いたステファンとヴァレリーを操って、殺人や死体遺棄をさせる冷酷な女王さまぶりの陰惨さ凄絶さは、架空のモンスター話よりも怖い実録おんなの事件簿っぽかったです。

 エリザベス役は、アラン・レネ監督やルイス・ブニュエル監督作品などで知られるフランス女優のデルフィーヌ・セイリグ。妖気あふれる貴婦人な女吸血鬼を、楽しそうに演じてます。彼女のゴージャスだったりマニッシュだったりするファッションも見どころ。エリザベスの壮絶?滑稽?な最期も強烈です。
 ステファンとヴァレリーを演じてた無名の男優と女優が、見た目も演技も魅力薄だったのが残念。特にステファンは、若い頃のミスター・ビーンみたいだった。もっとイケメンにやってほしかった、いや、イケメンじゃないとダメな役でしょ。リメイクされるとしたら、エリザベスはニコール・キッドマン、ステファンはテオ・ジェームズがいいかも♪
コメント (12)
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