まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ヘイ、ジュード

2014-03-31 | イギリス、アイルランド映画
 お松の英国大女優映画祭②
 「日陰のふたり」
 19世紀末のイギリス。勤勉な青年ジュードは、奔放な妻と別れた後、美しく成長したいとこのスーと再会し、恋に落ちる。貧困の中、愛を貫こうとする二人の前に、ジュードの幼い息子が現れて…
 「テス」そして、この「日蔭者ヂュード」。因習と貧困の中で苦悩し、暗く過酷な運命に翻弄される主人公…英国の文豪トマス・ハーディ、その厭世的で陰鬱な作風にあんまりハマると、マジで生きるのがイヤになってしまう危険性あり。
 この映画の主人公ジュードも、テス同様、清らかな魂を持つゆえに、イバラの道をまっしぐら。容赦なく襲いかかる厳しく汚い現実の前では、優しさや美しい心など、何の役にも立たないというミもフタもない真理に、ズズ~ンと凹んでしまいます。
 それにしても…ジュードの、あまりにも優柔不断&おひとよしな性格と、融通がきかなすぎな生き方、イライラする~!何をやっても、誰と関わっても、結果は不幸と悲劇。全身から発散される強烈な負のオーラ、近寄ると感染しそうで怖い。まさに、疫病神に愛された男!トマス・ハーディは、テスに過酷な運命を与え悲惨な最期を迎えさせたように、ジュードにも地獄の悲劇を用意しています。ある意味、テスより残酷かも。ひどい!非道すぎる~!生まれてきたことが呪わしくなる、まさにメガトン級の悲劇!まさに、神も仏もあったもんじゃありません。

 ↑この子どもがあああああ~!!欝気のある人は、ぜったい観ないでください!
 気高く清い心…そんなものを持ち合わせていない自分は、ひょっとしたら幸福なのかもしれない、とジュードを見ていてシミジミ思ってしまいました。それも何だか悲しいっちゃあ悲しいけど…美しく清冽な映像で、この怒涛のザ・不幸物語を、じめじめと重苦しく描かなかった、マイケル・ウィンターボトム監督の瑞々しい感性が素晴らしいです。
 ジュード役のクリストファー・エクルストンは、イケメンではないけど朴訥な風貌と悲しい優しさにあふれる演技が秀逸です。そして、やはり何といっても…ジュードの恋人スーを演じた、若き日のケイト・ウィンスレット!

 おケイさん、その存在感ときたら!得意の時代劇、令嬢役よりも、断然庶民の娘役の方が似合います。その気が強そうで逞しい容貌は、因習に逆らう気丈なヒロインにピッタリ。そして、その役者魂には並々ならぬものが。オールヌードなどは、当たり前。大股開きの血まみれ出産シーンには、度肝を抜かれます。松嶋7子とか竹内U子とか、日本の大女優(笑)と同業者といっては、失礼にあたる。きれいなだけ、可愛いだけじゃない、観る人に強烈な忘れがたいインパクトやショック、感動を与え残せる演技ができてこそ、真の女優といえましょう。オスカーも受賞し、今や押しも押されぬ大女優となったおケイさんこそ、まさにtrue actress!
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悪夢のチャイコフスキー

2014-03-30 | イギリス、アイルランド映画
 すっかり春めいてきましたね~
 でも私、春があまり好きじゃないんです。生暖かさが苦手…おっさんのパンツのユルんだゴムみたな精神状態になるし、肌が荒れるし、生活に何らかの変化を強いられるし、鬱々しい季節です。春を待たない枯れた木みたいな人間だからでしょうか…
 大好きな映画で、心を活性化したいです。春も観たい作品、いっぱいあります。基本ミーハーなので、男前やイケメンが出ていることが最重要条件。私にとって彼らは、疲れた時に食べたくなる甘いケーキみたいな存在。好きな男前やイケメンなら、演技が少々アレでも全然OK、むしろ中途半端に演技が上手い男優より、カッコいい可愛い大根のほうに好感を抱けます。
 イケメン男優が甘いケーキなら、超絶演技派女優は強い酒みたいなものでしょうか。強烈な酒も、たまに飲みたくなりますよね~。くわ~!きっつ~!い酒みたいな女優といえば、やっぱ演技の本場イギリスの女優です。
 東男に京女じゃないけど、映画ファンの間では男優はイギリス、女優はフランス、とよく言われます。でも私、英国の女優も大好きなんです。うっとり魅了されるのは美しいフランス女優ですが、うげげげ~?!ひえー!とドン引き的に圧倒されるのは、恐れ知らずのイギリス女優。激烈な高級酒みたいな超一流の英国大女優たちに、春の宵はクラクラ酔ってみたいと思います♪

 お松の英国大女優映画祭①
 「恋人たちの曲 悲愴」
 19世紀のロシア。天才的な若き音楽家チャイコフスキーは、恋人アントンとの仲を引き裂かれ、ニーナという情熱的な女性と結婚する。しかし、同性愛者のチャイコフスキーは精神的に追い詰められ、結婚もすぐに破綻。パトロンとなった裕福な未亡人フォン・メッセ夫人とのプラトニックな愛に安らぎを覚えるチャイコフスキーだったが、嫉妬したアントンに過去の関係を暴露されて…
 ロマンチックなタイトルに騙されてはいけません。内容は、どっひゃあぁ~!!と腰を抜かすこと請け合いな、凄まじいドロドロ☆スキャンダラス物語なのですから♪
 チャイコフスキーが実は同性愛者で、彼に絡む男女が繰り広げる壮絶悶絶な人間関係が、超アナーキーに描かれていて圧巻。きれいごとは皆無、とにかく激情激烈に醜悪なキャラクターたちにドン引きまくりです。怒涛の勢いで破滅と狂気へと堕ちていく彼らの狂態は、ヤバすぎ怖すぎ。そのトンデモさは日本の昼ドラみたいに、ひょっとしたら笑いを狙ってるのかしらん?とさえ思えるほど。

 ここまで徹底して、愛と情熱のイヤらしく醜い部分を描いた映画はなかなかありません。登場人物たちは、チャイコフスキーはじめ、みんな異常世界の住人なのですが、最狂キャラは何といってもチャイコフスキーの妻ニーナ。ホモ夫をつなぎとめようとなりふり構わぬ姿、正気を失ってズタズタボロボロになり、ついには精神病院送りになって狂い死…普通の女優なら尻ごみするだろう、よーやるよ!な超汚れ役を、2度のオスカーに輝く英国の大女優グレンダ・ジャクソンが、おぞましくもあるド迫力の大怪演!すごい女優じゃ~こんな演技を目の当たりにしたら、日本アカデミー賞な女優の演技なんて、まさに学芸会レベルにしか思えんようになる!

 ニーナがブチ込まれる精神病院が、まるで妖怪館みたいで超怖いんです。ニーナのおっかさんもトンでもないキャラで、気の狂った娘に売春まがいのことをさせて金儲けしたり。もう何なんだコイツら!異常世界がこれでもか!と…ぜんぜん退屈しません♪
 モーホーだったチャイコフスキーですが。こんな赤裸々な恐ろしい描き方されて、チャイコフスキーは草葉の陰で怒ってるのではないでしょうか(笑)。生きてたら確実に、ダチョウ倶楽部も真っ青な訴えてやる!ものですよ。同性愛映画としては、あまり琴線に触れるものではなかったのが残念。BLは甘美&耽美じゃなきゃ!まあ、醜悪な人間の欲望と狂気を生々しく描いてるのに、BL部分だけキレイに胸キュンに♪なんて要望は、あまりにも腐的な身勝手さでしょうけど(笑)。チャイコフスキー役のリチャード・チェンバレンが、あまり私のタイプではなかったのも、萌えない敗因でした。リチャード・チェンバレンって、むかし日本で大ヒットしたTVドラマ「将軍」の主役の人ですよね?いまリメイクするとしたら、チャイコフスキー役はマイケル・ファスベンダーがいいかも♪
 タイトルや作曲家は知らなくても、聞いたことは絶対ある曲ってのは、チャイコフスキー作品にも多いですよね。クラッシク音楽門外漢な私でも、さすがに“白鳥の湖”と“悲愴”は知ってたし。
 「恋する女たち」「肉体の悪魔」etc.ケン・ラッセル監督の作品は、どれも狂った悪夢の変態ミュージカルみたいで、いったんのぞきこむと、引きずりこまれてしまうパワーで漲っています。何か岡田あーみんの漫画っぽいかも(笑)。ちなみにラッセル監督は、数年前に亡くなってたと知り驚悲。
 
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場末の狂犬

2014-03-28 | 日本映画
 うひょ~!!カープ、中日に逆転勝利!!開幕戦を白星で飾り、幸先のいいスタート
 職場のTVで観てた頃は、マエケン打たれてたし、満塁チャンスもダメになってたし、あ~やっぱダメかなあとガッカリしてたのですが、まさかまさかのドンデン返し!菊池、ほんとデキる子!カープって、ほんとハラハラさせてくれますわ。だから好き。
 最初だけ調子よく飛ばして、だんだん尻すぼみ…なパターンは、もう過去のこと!ついにAクラスに昇った去年の勢いが止まらない!な快進撃、続きますように!そして、今年こそ優勝!頑張れカープ!
 あ~ズムスタに観戦に行きたいのお~!大瀬良くんに会いたい…

 「東京プレイボーイクラブ」
 血の気の多い勝利は、暴力事件を起こして地元を追われ、東京でさびれた風俗店を経営している旧友の成吉のもとに転がりこむ。居酒屋で因縁をつけてきた若いチンピラをボコボコにした勝利だったが、相手はヤクザの弟だったため、事態は面倒なことになり…
 「S 最後の警官」でビビビときたイケメン、SATの上野隊員こと淵上泰史出演作をさっそくチェキってみました~♪

 成吉が経営するさびれたキャバクラ?“東京プレイボーイクラブ”の従業員、貴弘役の淵上くん。あ~いるいる、こんな無駄にイケメンな客引き。見た目は良いのに頭が悪すぎて、まっとうに生きられない。優しすぎて度胸もないので、悪人にもなれない。そんなハンパな底辺青年を、滑稽に可愛らしく演じてた淵上くんでした。喋り方や表情や思考回路が、まさに薄らバカな貴弘。淵上くん、地なのでは?と思わせるほど堂に入ってた。大根だったSと違って、なかなかの珍演でした。無駄にイケメンなアホってのが、いい感じなんですよね。ダメっぷりが何か可愛くて、ほっとけない魅力が。こーいう男をヒモにしてる女性って、結構多いんじゃないでしょうか。別にDVしないしアル中でもないし借金もないし、しがない客引きとはいえ働いてるし、可愛いイケメンだし、ペット感覚でヒモにしていいかな、と思わせる淵上くんでした。浮気相手が妊娠して、動揺しつつ責任とろうとする貴弘の優しさも胸キュンでした。その方法も、いかにもダメ&バカ男って感じで笑えました。

 淵上くん、上半身裸のサービス脱ぎもあり!でも、かなりほっそりしてて、眼福の肉体美って感じではなかったのが残念。前半は、まるで準主役級の出番の多さでしたが、中盤になってまったく出てこなくなります。
 主役の勝利役は、NPSの香椎隊長こと大森南朋。調べたら、淵上くんはナオさんと同じ事務所みたいです。ナオさんとは、BOSSのCMにも一緒に出てたらしい。典型的なバーターですね。

 ナオさんも、相変わらずカッコカワいい!美男とかイケメンではないけど、男の哀愁と色気がハンパない。あのくたびれ感がいいんですよねえ。くたびれてるけど、ショゲた中年おやぢではなく、内に暗いマグマみたいな熱さを秘めてる風情が素敵。ノータイのスーツで歩く姿が、くずれてるけどだらしなくはなく、これまたサマになってるんですよ。ふだんは寡黙でおとなしいけど、いったんカっとなったら狂犬と化す二重人格っぽい勝利を、ニヒルに激情的に演じてたナオさんです。でも、怒鳴ったり暴れたりする姿が、あまり怖くなかったんですよねえ。もうちょっとヤバい狂気的な雰囲気が身についたら、緒形拳的ポジションの名優になれそうなナオさんです。

 死んだヤクザをバラバラに解体する時の、裸エプロン!姿になるナオさんが、滑稽でキュートでした。ナオさん、いい役者なので、同じ系統っぽい香川照之みたいに出すぎて飽きられないよう気をつけてほしいです。
 き○がいの友人、怖いヤクザ、ダメバカな従業員らに振り回されヒドい目に遭いまくる成吉役の光石研の、アタフタと可哀想すぎて笑える演技は、さすが名バイプレイヤーと感嘆ものです。
 役者たちの演技はなかなか秀逸なんだけど、かんじんのは話が…もうちょっとヒネリとかあってもよかったのでは。ヤクザがセコい小物なせいか、緊迫の絶体絶命感がほとんどなかったし。エグいヴァイオレンスシーンは見慣れてるので、あの程度では何とも思わないです。ちなみに、ヤクザ三兄弟の末っ子役は、三浦友和と山口百恵の次男、三浦貴大。彼もカッコカワイかったです。ガラの悪い台詞まわしとか、意外と上手でした。
 東京プレイボーイクラブがある街の、わびしい場末感…何だかmy home townとカブって、切なくなりました(笑)。
 
 ↑いつか淵上くん主演作にナオ兄貴がゲスト出演、とか実現すればいいですね♪

 
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12年奴隷

2014-03-26 | イギリス、アイルランド映画
 「それでも夜は明ける」
 奴隷制度が廃止される前のアメリカ。ニューヨークで妻子と幸せに暮らしていた自由黒人の音楽家ソロモンは、騙されて拉致され、奴隷としてニューオーリンズに売り飛ばされる。残虐な農場主エップスのもとで、地獄のような奴隷生活を強いられるソロモンだったが…
 今年のアカデミー賞で作品賞を受賞した話題作を、やっと観ることができました。「SHAME シェイム」のスティーヴ・マックイーン監督作品。
 覚悟はしてましたが…こ、これほどとはひ、ひどい、非道すぎる~!としか言えない内容に、観てる間も観終わってからも、鬱々しい気分が容赦なく私を飲み込んでました。とにかく、ほんま非道いんですよ~!こんなことが、本当にあっただなんて。アメリカ、怖い国!!奴隷制度の非情さ残酷さは、これまで様々な映画やドラマ、本などで見聞きしてきたけど、これほど悲痛悲憤なしで観られぬ映画はありません。アメリカ人にとって、決して拭えない忘れてはならない歴史の暗部、恥部…日本人もまた、日本が過去に犯した恐ろしい過ちについて、あらためて考えさせられる映画でもあります。
 ムチ打ちにリンチに首つり、性的虐待etc.奴隷たちが受けるあまりにも非道な仕打ちが、これでもかー!!と言わんばかりに残酷でリアルに描かれていて、もう耐えられない!カンベンしてくださいっ!と、目を覆い耳を塞ぎたくなりました。もう家畜以下な扱い。家畜のほうが、もっと大事にされてた。家畜には、精神的な虐待はないですし。肉体的な酷使や暴力同様、人間的な感情を無視され踏みにじられる屈辱も、おぞましくて戦慄。人間って、こんなことができちゃうんだ…と暗澹となります。今でこそ赦されざる過ちですが、当時の人々にとってはあれが当たり前だったんだよなあ。それが恐ろしい。あの時代に生まれなくてよかった、と心底思いました。私が奴隷だったら、2日ともたないだろうし。かといって、白人に生まれてたら確実に社会通念に従って、当り前のように奴隷を酷使し虐げてたでしょうし。それも本当に想像しただけでゾっとします。

 自由黒人として幸せに暮らしてたソロモンが、いきなり拉致られて奴隷として売り飛ばされるのですが…北朝鮮の拉致被害者を思い出してしまいました。突然自由を剥奪されて、わけのわからないまま知らない土地で強制労働、誰も助けてくれないなんて、気が遠くなるよな絶望。どんな目に遭っても生き抜こうとするソロモンの、気丈さと賢さに感嘆。家畜以下の扱いを受けながらも、人間としての誇りを失わないソロモン、カッコよすぎです。私なら、もう自分から人間放棄するでしょうし…ソロモンの賢さと誇りが、サバイバルするための両刃の剣になってたのが、スリリングで興味深かったです。あんまし頭がよくてプライドが高いと、無能で卑しい奴らに憎まれて目の敵にされるし。でもバカで卑屈すぎると、本当に犬死してしまう。ソロモンの聡明さとプライドが、吉と出たり凶と出たりな地獄の繰り返しでした。

 ソロモンにしても、奴隷に堕ちる前は、同じ黒人の地獄もよそ事のように生きてたんですよね?同じ地獄に堕ちて初めて、地獄の痛みや苦しみを知ることができるんだなあ。世界中で起きてる理不尽な悲劇に、声高に怒ったり悲しんだりしても、安穏で無傷な環境の中だとしょせん他人事。本当の苦痛や苦しみなど理解できるはずもないのでしょうか。ともあれ、今の自分たちの平和と幸福は、誰かの犠牲の上で成り立っている…ということは、常に自覚せねばなりません。
 お涙ちょうだい的な甘さなど皆無、心が病んでしまいそうなほどの苛烈なシーン、緊迫したムードで張りつめてる映画なので、温かい感動とかを期待してる人は、ぜったい観ないほうがいいです。でも、俳優たちの鬼気迫る熱演は見応え十分。シビアすぎる内容のわりには、なかなか男前度が高い作品でもあります。
 ソロモン役のキウェテル・イジョフォーは、まさに入魂の演技!全身全霊の演技もさることながら、男前ぶりも印象的。情味と知性があって魅力的です。この作品で大注目されましたが、以前から「ラブ・アクチュアリー」や「堕天使のパスポート」など、地味にいい仕事してますよね。
 奴隷を虐げるエップス役のマイケル・ファスベンダーが、こ、怖い~!非道い~!そして、カッコいい~

 悪人、というより、もはや狂人なエップスを激演してるファスベン。異常人格っぷりが炸裂すればするほど、壮絶な美男に見えてしまうなんて。まさに悪魔的な魅力!パッツィーへの執着ぶり、奴隷への狂気的な虐待は、ほとんど異常者。凶暴で病的なドSっぷりにドン引きしつつ、あんな男前なら夜だけの奴隷になりたい…なんて、不埒なことを思ってしまったり邪悪も狂気も、ファスベンのような美男だと魅力となります。パッツイを追っかけ回したり、ソロモンにネチネチと絡んだりする姿は滑稽なほど子どもっぽく、むしろ可愛く見えてしまった。あんな役でも、男の魅力と悲哀を漂わせたファスベンは、やはり稀有な役者です。パジャマの上だけ?着てる姿とか、頭に巻いてるターバンとか、何かキュートでした。
 白人どもは、どいつもこいつも憎々しい連中ばかりでしたが、中でも卑劣で最悪~と不快になったのは、ソロモンをイヂメ抜く若い大工(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の怪演も忘れがたいポール・ダノ)と、パッツィーをイビリ抜くエップスの鬼妻ですよ。劣等感と嫉妬って、ここまで人間を醜くするのか~とオゾケをふるいました。
 その他、日本でも人気のベネディクト・カンバーバッチが、心優しい農場主役で前半チョコッと出てます。バッチさん、個性的な顔だとは思いますが、わしのタイプじゃないんだよなあ。彼が演じた、優しいけど生きるためには長いものに巻かれるキャラは、現代にも通じる小さくて悲しい人間像です。

 ラスト近く、カナダ人の流れ者役で登場するブラッド・ピットは、この映画のプロデューサーでもあります。ソロモンにとってまさに救世主的な役なのですが、彼のおかげであっさり地獄から抜け出せる展開に、何か肩すかし。もっと早く出会えたらよかったのにね…ファスベンVSブラピの男前対決、できればファイトクラブっぽい肉弾戦にしてほしかった(笑)。ブラピ、今でも男前ですが、何だかもうおじいさんっぽくなてる?!一世代下のファスベン、さすがにブラピと並ぶと若い!そーいやこの二人、「イングロリアス・バスターズ」「悪の法則」に続いての共演ですね。
 この映画で最も悲痛かつ強烈な演技を披露しているのは、パッツィー役のルピタ・ニョンゴです。ソロモンより悲惨無残。黒人としてだけでなく、女としても痛みや悲しみ、怒りを背負ったパッツィーを見てると、こっちまで苦しくなって疲れ果ててしまう。近年他に例を見ぬほどヘヴィな役でした。アカデミー助演女優賞受賞も納得のインパクトです。
 気分が落ち込んでいたり、心が疲れてる時には観ないほうがいい映画です。精神的ムチ打ちが好きなドMな方には、超オススメです…

 ↑12年奴隷チーム、オスカーおめでと~ブラピは今後、俳優業からプロデューサー業にシフトしそうですね。賢い道だと思う。ニョンゴさんもオスカーおめでと~授賞式のドレス、素敵でした!

 ↑ファスベン、男前~!盟友であるマックイーン監督と初めてタッグを組んだ「HUNGER/ハンガー」も、すごい衝撃作だとか。監督さんよお、ハンストとかセックス中毒とか虐待とか、なんでそんなエグい役ばかりファスベンにやらせるの?!まさにドSな監督とドMな役者の愛のコラボですね♪


 
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ヘイ!ムッシュー・ポリスマン

2014-03-21 | フランス、ベルギー映画
 恐怖のベビーシッター事件!
 いまだ謎だらけの事件ですが…本当に不可解で怖い悲劇ですよね。
 よく知らないネット上で知り合った若い男に、幼い子ども二人を預けるという感覚が、私のような老人には理解不可能です。ペット以下な扱いに、憤りさえ覚えます。働くお母さんたちにとって、育児が困難な時代だとは申せ…もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。
 容疑者の男が、これまた奇怪すぎて怖いですよねえ。事件前にも亡くなった男の子にケガを負わせ、母親とトラブったとか。なのに、正体を偽ってまでして再び男の子を預かって、今度は死なせてしまった。子どもへの執着が、不気味すぎる。もし本当に彼が子どもを死なせてしまったのなら、その動機はいったい…子どもへの愛執が、暴力という歪んだ欲望に嵩じてしまう異常者なのでしょうか。もしそうなら、社会の弱みにつけこんだ卑劣で病的な犯罪者として、厳しく断罪されてほしい。それにつけても…子どもたちは本当に受難な時代に生きてるんだなあ、と暗澹となってしまいます。とにかく、真相解明が急がれます。大切な子どもたちが、安全に幸せに成長できる社会になってほしい、と祈らずにはいられません…

 「ソフィー・マルソーの刑事物語」
 犯罪グループを摘発したパリの刑事マンジャンは、捜査で取り調べたノリアという若い女に惹かれるようになるが…
 80年代に「ラ・ブーム」で日本でもアイドルとなったソフィー・マルソーの主演作に、同じく人気アイドル女優だった薬師丸ひろ子の映画っぽい邦題をつけてビデオスルーとなった作品。モーリス・ピアラ監督特集映画祭では、オリジナルタイトルの「ポリス」で劇場公開されました。
 薬師丸ひろ子のアイドル映画っぽくもないし、フランス映画が得意とするフィルムノワールでもないし、刑事と容疑者の禁断のラブストーリーでもないし、ぶっちゃけ何が描きたかったのかよく分からない内容でした。展開も緩慢で画面も暗く、かなりカッタルい映画です。アイドル、犯罪、禁断と、おいしい要素はそろってたので、もっと分かりやすく面白くできなかったのかな、と惜しい。
 マンジャンの自由奔放すぎるオレ様マル暴刑事っぷりには、こんな刑事さんに捕まったら怖いな~イヤだな~とドン引きします。まあ、凶悪なヤーさんと対峙するには、ヤーさん以上の凶暴さって必要悪なんでしょうね。あんな刑事とはまあ、ぜったい関わらないだろう自分の平凡平穏な人生に安堵です。とにかくフランスの刑事さんも、なかなか荒っぽいことしてます。マスコミにバレたらヤバい系の捜査と取り調べです。
 ノリアも、いまいち魅力の感じられないヒロインでした。謎めいたファムファタールって感じが全然なく、ただのフテくされた嘘つき小娘だったし。マンジャンと彼女が恋に落ちるのも唐突。恋というより、突発的な欲情って感じでした。署内でハアハアし合うケモノっぷりは笑えた。せめてトイレとかで隠れてヤれよ~。
 
 マンジャン役は、ピアラ監督のほとんどの作品に主演してるジェラール・ドパルデュー。今まで見た中で、この映画のドパ氏がいちばんカッコよかったかも。もうじゅうぶんデブってるのですが、まだ張りがあってかろうじて逞しい感じ。迫力ある巨躯が、頼りがいのある男の魅力を放ってます。
 ノリア役は、「ラ・ブーム」直後で人気の絶頂にあったソフィー・マルソー。脱アイドルを図ったのでしょうか?アンニュイでドライなムードは、いかにもフランス女って感じでしたが、さすがにまだ謎のファムファタール役には若すぎたのでは。ふっくら健康的な可愛さが勝って、男たちを翻弄するミステリアスな悪女には見えませんでしたし。髪形とファッションも、何だかおばさんっぽかった。ピアラ監督、ソフィーを魅力的に見せようという意図が全然なかったとしか思えません。ミスキャストで可哀想でしたが、でもやっぱ彼女、可愛いですね~。イザベル・アジャーニにも似てるし。イザベルを健康的に庶民的にした感じ?

 少女娼婦役で、ピアラ監督の秘蔵っ子だったサンドリーヌ・ボネールも顔を出してます。チョイ役だけど、大胆すぎる全裸シーンあり。まったく必然性のない無駄脱ぎで、可哀想!よく引き受けたなあ。若かったから、監督の言いなりだったんだろうなあ。
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S 最後の警官⑥~⑩ 決戦☆イケメン部隊

2014-03-19 | 日本のドラマ(連続)
 向井理主演の「S 最後の警官」第6話から最終話まで観ました♪

☆ネオ麦茶
 バスジャック事件発生!漫画ではバケモノみたいにブサイクでしたが、ドラマでは結構イケメンの犯人です。アメリカで交渉術を学んできたという古橋が、犯人とネゴ。ただのダベリにしか見えない!やっぱ失敗し、犯人は人質を道連れに暴走それにしても。バスジャックとか、ぜったい巻き込まれたくないですよねえ。めっちゃ迷惑で恐怖ですよ。
☆恋する刑事
 クールな男前、速水。まったく女に興味がなさそうな彼に、恋人がいたことが発覚!地味~なアラサー女、しかも数年前の誘拐殺人事件の元容疑者!再び起きた幼児誘拐事件で、またもや容疑者となった恋人を、信じて守り抜く速水さんの男気と純愛に、胸キュンです。

 恋人役は、ファブリーズのCMでもおなじみの平岩紙さん。私、彼女けっこう好きなんですよ。平山浩行とキスシーンもあったり、おいしい役もらいましたね。実際にもカップルって意外と、すごいイケメン&ブス、すごい美女&ブサイク、な組み合わせって多いですよね。見た目じゃない!な恋愛、素敵です。
☆熟年刑事
 誘拐事件の捜査を仕切るベテラン刑事役で、元一世風靡セピアの小木茂光が登場。シブい~。好きなんですよ私、小木さんが。素敵おぢさまの一人です。

☆かわいこちゃん投入
 NPSの新メンバーとして、女スナイパーの林イルマが参入。演じるのは、新垣結衣ちゃん。原作漫画のイルマは小柄で、一日中酔っ払ってるようなヘンな女で笑えるキャラなのですが、新垣結衣ちゃんデカい!し、キャラもクールなハンサムウーマン(死語)っぽい。個人的には、イルマは上野樹里がいいなあ~と思ってたのですが。結衣ちゃんも可愛いです。でも、ほんと彼女デカいですねえ。向井理と身長があまり変わらないじゃん?!実は男って噂もありますよね。
☆男前テロ、再び
 復活するテロリスト、Mこと正木。オダギリジョー、やっぱイケメンですね~。顔が可愛いので、あんまし冷酷に見えません。4月からは連ドラ2本掛け持ちするオダジョー、突然の働き者ぶりに驚かされます。いろんな大人の事情が察せられます。

☆最終決戦
 正木とNPSの死闘。結局また、前と同じパターンで正木の確保失敗。いちごよお~。いくら銃が苦手だからって、あれで撃たないのは職務怠慢でしょ。急所はずせば、確実に確保できたはずなのに。
☆商魂たくましい終わり
 再び消えた正木といい、天城審議官の怪しい微笑といい、もろにto be continued!続きは映画で♪で、ぜんぜん最終回って感じではありませんでした。
★総括
 うう~ん?乱発気味のジジババ向け警察ドラマにウンザリしてたので、派手なドンパチアクション刑事ものは新鮮!と最初は期待してたのですが…ジジババではなく、子ども向けな内容になってしまって、だんだん観るのがキツくなった。朝にやってる戦隊ものなノリは、私にはちょっとしんどかった…

 向井理は、相変わらず良くも悪くもカッコカワイかったです。外国俳優の凄まじい肉体改造を見慣れてるせいか、マッチョなボクサーに変身してるはずのムカイリーが、今ままでとまったく同じにしか見えませんでした。あれが役者として精一杯なら、今後はあまり過度な期待はしないほうがいいのかもしれません。ていうか、ムカイリーはもう爽やかクールなイケメンのままでいいよ!
 共演の男優たちも、みんな男前やイケメン、シブいおじさまの粒ぞろいでした。女っけが薄かったのは高得点。上野隊員役の淵上泰史くんを発見できたのは、大きな収穫でした♪
 ゆづるがウザかった。いちごの姉さんにしか見えなかった。トラウマもちはいちごで、彼を優しく癒し支えるって設定にすればよかったのに。ゆづると家族の出番が無駄に多かったのも減点。
 映画版、でも観に行きます…(小声)

最優秀賞 該当者なし
優秀賞 向井理 
悪くなかったで賞 綾野剛 大森南朋 平山浩行 池内博之 近藤正臣 本田博太郎 菅原大吉 新垣結衣 淵上泰史 オダギリジョー 
???賞 吹石一恵 高嶋政宏
いかがなもので賞 土屋アンナ

 ↑注目のイケメン、淵上泰史くん。カッコカワいいですね~安達ゆみが脱ぐと話題の映画に出演してる彼、大胆な濡れ場とか期待してもいいのでしょうか♪

 さてさて。4月からの連ドラは何を観よっかなあ。相変わらず警察ものが多いですよねえ。小澤征悦が民放ドラマ初主演の「TEAM」と、上野樹里とオダジョーの「アリスの棘」を、とりあえずチェキってみよう…
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美男の盛宴!

2014-03-18 | 中国・台湾・香港映画
 「項羽と劉邦 鴻門の会」
 春秋戦国時代の中国。秦の暴政と戦う軍隊を率いる項羽を裏切り、新たな皇帝となろうと目論む劉邦。企ては破れ、釈明と謝罪のための宴に臨む劉邦だったが…
 香港のダニエル・ウー、中国のリィウ・イエ、台湾のチャン・チェンが、「ブラッド・ブラザーズ 天堂口」に次いで競演した時代劇。
 韓流映画はチョコチョコ観てますが、華流映画とはご無沙汰が続きました。久々に会った華流男子たち…うう~ん、やっぱいいですねえ彼らも。あっさり薄口で地味な韓流男子と比べると、まさに濃ゆい中華料理みたいな味がします。ダニエル・ウーもリィウ・イエもチャン・チェンも、華があって美しい!こんな男たち、そのへん歩いてないよなあな、顔もスタイルも非現実的な美男たちです。
 まず、項羽役の彦ことダニエル・ウー

 彦、相変わらず麗しい~勇猛な武将ながらも、気品があって優しそうな美丈夫ぶり。女にも男にもモテモテなフェロモン&カリスマ!美しく強いけど、それ以上に優しい。 それが彦の魅力です。今回みたいな英雄役でも、ほんと優しそうで人のよさが滲み出てるんですよね。その美貌ゆえに、悪役も結構似合う彦なのですが、彼が演じてきた悪役は、人間的に優しすぎ弱すぎるゆえに道を踏み外してしまった、みたいな悪役ばかりですよね。なので、優しすぎるゆえに冷酷になりきれず破滅する項羽役は、彦に適役だったと思います。美しい男って、ほんと破滅が似合う。不運が男を美しくする。彦もまた、不幸が似合う美男です。カリスマ英雄だけど、ぜったい女に手をつけまくりなんかせず、一人の女を大切に愛する誠実さも、愛妻家な彦ご本人とカブる項羽でした。とにかく、ひたすら美しくカッコいい彦でしたが、演技的には特に目を見張るものはなかったです。台詞も出番も、3人中もっとも少なかったし。バリバリの彦主演!を期待すると、物足りないかもしれません。
 劉邦役は、リィウ・イエ

 実質の主役といっていい劉邦を、ワイルドかつ繊細に熱演してるリィウたんです。清廉高潔な項羽とは真逆な、野望や保身のためには嘘や裏切りなど汚い手も厭わない、粗野で狡猾な、でも愛嬌があって憎めない劉邦は、こんな奴いるいる、こういう奴が出世するんだよな~な、現代社会にも通じるリアリティのあるキャラ。人なつっこい笑顔や調子ぶっこいてる子どもじみた言動など、リィウたん可愛すぎる!カッコいい甲冑よりも、ボロボロ素浪人姿のほうが似合うのも庶民派なリィウらしい。一見フツーっぽいけど、決してフツーじゃない美男なリィウたん。思いつめた横顔など、惚れ惚れする端正さです。舞台調のオーバーな演技がちょっと暑苦しいけど、演技的には突出してる巧さで、主役として君臨しちゃってます。
 項羽と劉邦に仕える韓信役のチャン・チェンも、相変わらずの美男子ぶり。シャープで翳りがある彼もまた、悲劇が似合う男。いちばん可哀想な役で、悲惨なシーンにドM心が萌えます。

 天下を狙う男たちが激突する、血沸き肉踊る熱い戦国ものを期待すると、かなり肩透かしです。戦闘シーンなどはほとんどなく、3人の男の心理的葛藤を、シェイクスピア調に描いてる感じ?3人の男がそんなに絡まないのも、腐的には消化不良。コンプレックスとか嫉妬とか憧憬とか、もっと濃厚な男たちの愛憎ドラマにしてほしかったかも。せっかくゲイ受けも腐女子受けも抜群の3人を使ってるのに、もったいない。

 四捨五入して190cmの長身コンビ。華流イケメンもいいですよねえ。日中関係の悪化に影響されてか、中華映画の日本公開が激減してしまい寂しい…
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エログロ伏魔殿!

2014-03-11 | 韓国映画
 「後宮の秘密」
 王の異母弟ソンウォンは、貴族の娘ファヨンを見初め妻にと望むが、母后の企みでファヨンは恋人のクオニュと引き裂かれ、王の側室となる。兄が変死し王座に就いたソンウォンは、未亡人となったファヨンへの想いを募らせるが…
 ドロッドロのグチャグチャ愛欲&ハチャメチャ暴走ぶりでは「霜花店」に軍配が上がりますが、この映画もエログロ満載ロマンポルノって感じのトンデモ韓流時代劇。大真面目なのか、確信犯的に笑いを狙ってるのか、判断しかねるところがまた韓流らしいです。退廃的で耽美な宮廷陰謀劇がお好きな方には、キャラもストーリーもかなり雑で稚拙なのでトホホかもしれません。でも、今の邦画では絶対に観られないエログロ目当てなら、まあまあ楽しめると思います。
 思ってたほどエロだらけではなく、濡れ場は初盤・中盤・終盤の3回ぐらい。回数は少ないけど、その分時間をかけてネットリ激しくズコバコしまくってますまず、ソンウォンが母后や家臣が監視する中で、王妃と交合するシーン。家臣の懇切丁寧なセックス指南を受けながら、王さまが一心不乱にお励みになる姿が変態ちっくで笑えた。雅な(笑)セックス用語(“玉茎”“龍翻”“虎歩”など)が、下ネタトークで使えそうで参考になりました
 王さまがファヨンとヤる妄想しながら側女を犯す2回目、ついにファヨンと合体するラスト。どれもAVもどきで卑猥です。西洋の運動みたいなセックスと違って、東洋の情交シーンは淫靡な湿り気があって、ほんとイヤらしい。そういうエロさは、もう韓国映画ぐらいでしか見られないかも?
 女をいちばん強くする怖くするのは、男との愛ではなく子どもへの愛なんだなあ、とファヨンと母后の生き様が教えてくれます。特に、子どもを守るために男たちを狡猾に利用、冷酷に切り捨てるファヨンの女の業に戦慄。悦んで破滅していく男たちの、Mすぎる愛がイタいです。
 ファヨン、ソンウォン王、クオニュを演じた俳優たちの、大胆すぎる濡れっぷりに拍手です。特にソンウォン役のキム・ドンウクくん。いったいどうしちゃったの?!と、唖然となる色狂いっぷりです。
 「コーヒープリンス1号店」の、あの可愛いハリムが~ケツ丸出し、局部も見えそうな全裸になって、文字通りズコバコ狂ったようにヤってるんですよ~ショックといえばショックですが、ドンウクくんの果敢な挑戦には心から賛辞を送りたいです。韓流男優って、ドラマで寒イボな純愛してたかと思うと、映画でいきなりトンでもないエロ演技したりするので、油断できない期待がもてます
 ドンウクくん、映画のために増量したのか、ムッチリガッチリ化してて、わし好みの裸体でした狂気の王役なのに、相変わらずアホみたいなキュートなトンマ顔がチョアチョアいろんな体位でハードに、ちっとも気持ちよさそうじゃない苦悶に満ちた痛々しいセックス演技からは、可愛いだけじゃ生き残れない!というドンウクくんの、悲壮な覚悟や気概がヒシヒシと感じられます。それにしても。イく瞬間の表情と声が、リアルすぎて笑えたわ。
 クオニュ役は、「アイルランド」や「チェオクの剣」などの男前、キム・ミンジュン。ドンウクくんほどではないけど、彼もエロスに頑張ってました。日本の俳優も、彼らを見習ってほしいものですね。あと、ファヨンの父役が、「根の深い木」や「栄光のジェイン」などTVドラマでよく見るおじさんでした。
 エロよりも、グロのほうが強烈なインパクトだったかも。嫉妬に狂ったソンウォン王が、宦官になったクオニュのあそこを晒させるシーンとか。うげげげぇ~!宦官のアソコって、あんな風になってるんですねあんなの、はっきり見せる必要ないよ~。あと、ラストのファヨンとソンウォンの濡れ場、凶器がアイスピックじゃないだけで、もろ「氷の微笑」

 珈琲王子のハリム、めっちゃ可愛かったですよねえ。あのハリムが、女とズコバコ悶絶だなんて…ドンウクくんは現在、兵役に就いているのだとか。復帰が待たれます。クテカジアンニョン!
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余命30日の売人

2014-03-06 | 北米映画 08~14
 「ダラス・バイヤーズクラブ」
 電気工のロンは、自堕落な生活の果てにHIV陽性と診断され、余命30日を宣告される。アメリカでは未承認の治療薬をメキシコで入手したことを機に、同じエイズ患者のレイヨンと組み、非合法組織“ダラス・バイヤーズクラブ”を設立し、未許可の新薬を世界各国から集めて会員に提供するロンだったが…
 先日発表されたアカデミー賞で、マシュー・マコノヒーが主演男優賞、ジャレッド・レトが助演男優賞を受賞した話題作を、ようやく観ることができました♪
 とにもかくにも、噂にたがわぬマシュー・マコノヒーの激痩せっぷり!マコといえば、ハリウッド屈指のヘルシーセクシーマッチョ男。そのマコが、今まで振りまいていた魅力をかなぐり捨て消し去って、見るも痛ましい無残な病身に変貌。よくそんな姿になって演技なんかできたなあ、と驚嘆するやら戦慄するやら、とにかく見た目だけでも強烈で圧巻です。文字通り捨て身の演技、役者生命どころかガチで生命を賭けたかのような渾身のパフォーマンスは、まさに役者魂ここに極まり、です。日本のヌルい邦画やドラマのヌルいタレント学芸会を観なれた目には、劇薬に近い衝撃です。

 まさに幽鬼なマコ。ほぼ死人な肉体から、メラメラ怪気炎が揺らめいて、ゴゴゴゴと音が聞こえてきそうな鬼気の迫りかたです。でも…痩せても枯れてもマコというか、やっぱ男前なんですよねえ。イケメンの痕跡は、ちゃんと残ってます。まあ、女にモテモテな色男であるロン役は、ブサイク俳優だとある意味成り立たない設定なので、その点でもマコは適役だったと思います。ふとした表情とか、ノーテンキな笑顔とか、あ!マコだ!とホっとするシーンもあります。テキサス男らしいラフでアホな言動も、マコらしくて可愛かった。陰鬱で悲惨なシリアス一辺倒ではなくて、ちょっとクスっと笑える味わいも醸してたところも、賞賛に値するマコの演技です。

 ロンのキャラが、これまた驚異的なんですよ。生への執着ぶりが、とにかく壮絶!いつ死んでもおかしくない状態なのに、生きるために発揮する底なしのバイタリティ!クスリ求めて三千里、日本や香港まで飛んじゃう元気さは、ほんとに余命いくばくもないの?!エイズって誤診だったのでは、とさえ思ってしまいます。ココロはさておきカラダは健康そのものな私なんか、広島市内に行くことさえしんどいのに。もういつ死んでも別にいいや!なんて思ってる私でも、いざ死を宣告されたら、ロンのようにデスパレートになって運命に抗うのでしょうか?そんな気力もなく、ストンと気落ちしてなすすべもなく死を待つだけ、になりそうですが
 ロンの無軌道すぎる破滅的な生活は、かなり反面教師になります。酒、ドラッグ、そして女。考えなしな放埓は、ほんと身を滅ぼすのです。まあ私は、どれも縁がないので安堵細く長く生きるんだろうなあ、と何か悲しくなってきました決して正義感とか使命感とかに燃えてるわけでなないロン、清廉潔癖な聖人じゃない人間くさいダメ男っぷりにも、共感と好感。あと、マコのカウボーイなシャツがオシャレだった。
 ロンの相棒になるトランセクシャルのレイヨン役、ジャレッド・レトもマコに劣らずディープインパクトです。

 ジャレッドも、素晴らしい肉体美を誇っていたイケメンなのに、そこまでやっちゃうかと怖くなるほどの自分崩しが、悲痛で凄絶。でも、可愛い!病気前は、さぞやいい女だったんだろうな、と想像にかたくないレイヨンを、おちゃめに演じてるジャレッドです。可愛らしい童顔は、やっぱ隠せないですね。明るさと裏腹の、未来のない絶望感がヒシヒシと伝わってくる演技に、胸が締めつけられます。マコとのコンビネーションもいい感じ。ホモ嫌いのロンが、だんだんレイヨンに心ほだされていく過程が泣かせます。皮肉だけど、これこそ男同士の友情って感じ。ロン&レイヨン、二人ともケンカしつつも仲良くずっとコンビ続けてほしいなあ、と願わずにいられない微笑ましさ、切なさでした。ジャレッドのオネエファッションも、奇抜ながらキュートでした。
 それにしても。無知って怖いなあと、あらためて痛感しました。私だって、子どもの頃はエイズ=ホモの病気、と信じて疑ってなかった。無知からくる差別偏見の怖さ、危険さを、あらためて痛感しました。怖いから避ける、というのは理解できるけど、わざわざイヤガラセや暴力に及ぶなんて、人間ってほんと卑しく残酷になれるんだなあ、と暗澹となりました。なので、ロンとレイヨンの不屈さが眩かったです。人間って、ここまで強くもなれるんだなあ、と勇気を与えられました。

 ↑マコちゃんレトちゃん、オスカーおめでと二人ともオスカー獲ったからって気負わず、軽い楽しい映画にも出てください!
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ムシェット 堕少女の懺悔

2014-03-03 | フランス、ベルギー映画
 アカデミー賞が発表されましたね
 受賞したのは…

 作品賞 「それでも夜は明ける」
 監督賞 アルフォンソ・キュアロン
 主演男優賞 マシュー・マコノヒー
 主演女優賞 ケイト・ブランシェット
 助演男優賞 ジャレッド・レト
 助演女優賞 ルピタ・ニョンゴ
 外国語映画賞 「追憶のローマ」

 見事なまでに下馬評通りの結果になりましたね~。番狂わせがないと、何か安堵すると同時に拍子抜けもしますよね。

 マコちゃん、おめでと!あのボンゴなマッチョ色男マコが、まさかのオスカー男優に。役者生命どころか本物の生命すら賭けた「ダラス・バイヤーズクラブ」での渾身の演技、早くこの目にしたいものです。
 レトちゃんもおめでと~早くからただのイケメンではないとは思ってたけど、ついにやってくれましたね。インパクトのある演技も素晴らしいけど、たまには軽いラブコメとかもやってほしいなあ。
 ブランシェットさんは、余裕で2度目の受賞。映画デビューでの受賞となったルピタ・ニョンゴが、すごく新鮮な存在。アルフォンソ・キュアロン監督といえば、ガエルの「天国の口、終わりの楽園。」。いつかガエルとまた組んで、彼にオスカーをもたらしてほしいです。
 授賞式をライヴでご覧になられた方々が浦山Cです。今年も豪華なメンツだったようですね。レオ、ブラパ、ファスベンは、やっぱママ同伴だったのかしらん。出席者の中には、何しに来たの?な、わけのわからない人とかもいたみたいですね。授賞式のダイジェスト、早く観たいです。ナニハトモアレ、受賞者の皆さん、おめ

 ↑ジャレッド・レト、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、ブラッドリー・クーパー、ケヴィン・スペイシー、ルピタ・ニョンゴの、超豪華&おバカ集合写真。ハリウッドの大スターの、ノリがよすぎるところが好き♪

 「悪魔の陽の下に」
 引き続きモーリス・ピアラ監督の作品。88年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞するも、授賞式の客席から大ブーイングが起こり、ピアラ監督が檀上から『俺のことが嫌いな奴は俺も嫌いだー!!』と野次り返したというエピソード付きの問題作です。
 北フランスの田舎町。深い信仰心ゆえに苦悩する神父のドニサンは、悪魔から人の心を見透かせる力を与えられる。恋人を殺した少女ムシェットと出会い、彼女を救おうとするドニサンだったが…
 うう~ん。難解な内容とは聞いてましたが、恐れてた以上のワケワカメさでしたまあ、私の頭が悪い、感性が低いせいなんだろうけど、キリスト教に縁もゆかりもないことも、意味不明と爆睡寸前の原因でありましょう。キリスト教の信者さんたちが観れば、衝撃的で感動的な作品なのでしょうか。
 深淵で複雑な宗教をテーマにした映画を、理解も共感もできない自分に、何だかホっとしたり。解からないほうが、精神的に健全なのかもと思えたりするんです。それにしても…世界にはあまたの宗教がありますが、あまりにも敬虔すぎると返って救われないようにも、私みたいな無知な無神論者には見えてしまう。それにキリスト教って、赦すとか赦さないとか、冷たくて厳しすぎて怖い。だいたい、キリストさまからして、磔にされてるなんて怖すぎます。その点、お釈迦さまとか仏さまは、優しそうで柔らかくて親しみが持てます。
 主人公のドニサン、まさに宗教き○がいの典型です。何であそこまで信仰に憑かれちゃうんだろう。文字通り自らの肉体にムチ打つドMすぎる姿は、もはや滑稽ですらある。常にブツブツわけのわからん独りごとを言ってるのも、かなり狂気的で病的。神さまよりも、精神科医が必要な感じ。

 静かで淡々とした展開と雰囲気は、ハリウッド映画が好きな私などからしたら、ほんとカッタル~い、寝るな寝たら死ぬ!な雪山遭難的なキツさなのですが、哲学的オカルト映画、という特異なジャンルとして、珍味ともいえなくはない映画かも。悪魔も出てきますし、死人が黄泉がえりなんてことも起きますし。悪魔が、フツーのおっさんなのが、ちょっと残念。だってこの悪魔さん、ドニサンとチョメチョメ(死語?)するんだから。ドニサンがまたプロレスラーみたいなデカいモサい男なので、まったくBL的には絵にならず萎え~です。もしドニサンと悪魔が男前、イケメンだったら、さぞやオイシいシーンだっただろうに。
 内容よりも、映像美が印象的でした。どこか陰鬱、だけど透明感ある青っぽい画面と、フランスの田舎の風景が美しかったです。ドニサンが彷徨う草原が、神秘的で夢幻的でした。中世そのままみたいな村も、趣あり。ずっと中世の話かと思ってたら、車が出てきて初めて現代と知り驚いたほどです。
 ドニサン神父役は、ジェラール・ドパルデュー。現在は巨漢バケモノ爺なドパさんですが、この頃はまだガタイのいいレベル。つっても、かなりデブってはきてます。とにかくデカい!殺しても死にそうにない強靭な見た目なのに、繊細な役もハマってしまうところが、彼のスゴいところでしょうか。どんな役でも、何となくトボけた味わいあがるところが好きです。少年の死体を、ライオンキングみたいに高々と持ち上げるシーン、すげー怪力!と笑ってしまった。
 ムシェット役は、「愛の記念に」でピアラ監督に見いだされたサンドリーヌ・ボネール。

 貴族と医者との二股恋愛に悩んでる少女…って、またヤリマン娘の役かよ~。ニヒルだったシュザンヌと違って、ムシェットは男たちにネチネチと絡むなど、女のイヤらしさがあった。被害者顔して男に罪悪感を抱かせるような言動する女って、ほんと怖いわ。思いつめた自暴自棄女ほど、たちの悪いものはない。サンドリーヌ・ボネールは、その見た目も演技も粘着さが薄く、どちらかといえば精神の破綻した哀れな女の子っぽかったので、イヤらしいというよりイタましいムシェットになってました。「愛の記念に」に比べると、美人にもなってます。白いブラウスとコートが、少女らしく清楚で可愛かった。
 そんなに面白いわけではないのに、なぜか観てしまう、観させる不思議な魅力のあるピアラ監督の作品。新作がもう観られないのが、かなり残念です。
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