「離婚しない女」
北海道の根室。私設気象予報士の啓一は、地元の有力者である山川に気に入られる。やがて啓一は山川の妻美代子と、汽車の中で出会った人妻由子の二人を同時に愛し始めるが…
倍賞千恵子、美津子姉妹のレアな共演作。明るく優しい庶民的な姉、奔放で妖艶な都会派の妹、というイメージをガラリと変えた配役と演技が、当時話題になったらしいです。特に美代子役の千恵子さんのイメチェンは、かなり衝撃的かつ新鮮でした。千恵子さんといえば、寅さんの妹さくらさん。あの下町の質素な良妻賢母さくらさんが、ブルジョアの有閑マダムなファッションと髪型、権高で冷ややかな口調、あられもない姿で年下の男の心と体を狂おしく貪る痴態、イカレた錯乱惑乱。いったいどうしちゃったの?と目がテンになってしまう変貌ぶりでした。ラブシーンもかなり大胆で、舌が激しく絡むディープキスや、濡れ場では何と!がっつりポロンはしてないけど、乳首が見える露出!聞くところによると、松竹や山田洋二監督の猛反対を押し切って、この映画に出演したのだとか。
寅さんファンにはショッキングでしょう。でも、私は彼女の女優魂をあっぱれだと思いました。さくらさんみたいな役ばかりじゃ物足りないというフラストレーションや、もっとチャレンジしがいのある役をやってみたいという意欲を抱くのは、本物の女優なら当然のこと。さくらさんとは180度違う、アンニュイで退廃的な、破滅的な情熱に身を滅ぼすヒロインなんて、女優なら一度は演じてみたいものではないでしょうか。リスクを恐れず大胆に生々しく演じた千恵子さんに拍手。彼女がこういう役を演じたのは、これが最初で最後みたいなのが残念。おんな盛りの美しさや円熟の演技を、もっと違う映画でも活かしてほしかった。
由子役の美津子さんは、華やかな美女!数々の作品で濃厚濃密な色香を振りまいた彼女が、この作品では優しく悲しく耐える女。姉ほどではないけど、恋に戸惑い一途に踏み込めず悩むという、こちらも彼女らしからぬ役と演技でした。でもやはり女ざかりの色香はあふれんばかりで、艶やかな美しさも際立ってました。まさに全身おんな!だけど、どこか豪快でカラっとしてる姐御な風情がカッコいい。笑顔が可愛い。彼女といえばのハスキーな声も好き。きれいさも可愛さもどこか薄ぼんやりした個性のない、ナヨナヨクニャクニャした今の女優にはないドスの効いた美貌と個性が素敵です。姉と比べるとラブシーンは抑え気味、露出も少なかったけど、多くの名優たちとエロい濡れ場を演じてきた百戦錬磨な美津子さんなので、愛撫され恍惚の表情や喘ぎ声などはさすがの色っぽさでした。
倍賞姉妹が一緒のシーンはあまりなく、終盤の雪の中での対決がハイライト。激しく罵り合うとか髪の毛掴んだりビンタしたりなキャットファイト、みたいな面白い物騒さは全然ありません。ヒロイン二人のキャラ、やりとり、めんどくさい三角関係は、どこかフランス映画っぽかったです。
熟女二人に愛され、二人の間を忙しく行ったり来たりする啓一役、今は亡き萩原健一もチャーミングでした。いったいどっちが好きやねん?はっきりせえや!な煮え切らない啓一にイライラ、でもショーケン可愛い!犬みたいな愛嬌があって憎めない。可愛いし、いい男、いい役者!演技が上手いとか下手とかじゃない、キムタクと同じでショーケンだって何やってもショーケンなんだけど、男の色気やラブシーンのエロさ、どこか破綻した危うさ悲しさなど、まったくリスクなど犯さないキムタクのつまんなさと違い、役も演技も人生もリスクそのものだったショーケンの魅力は、今も色褪せていません。当時36歳!嵐の連中より年下!キムタクより一回り以上下!いかに最近のドラマや映画が幼稚化してるか、またまた痛感してしまいました。倍賞姉妹もだけど、昭和の女優男優ってほんと大人です。
ショーケン、ちょっと笑えるシーンも多くて。自室での独り天気予報とか、飛行機で隣席の幼女にわけのわからんことを話しかけたり、雪の中で裸になったり、え?は?何言ってんの何やってんの?なヤバい人、でもユーモラスでもあって可愛かったです。連城三紀彦の小説の映画化なのですが、意味不明で狂ってて不可解すぎる男女の恋愛に戸惑うばかりでした。私もいい年なのに、いまだにオトナの愛って解からない山川役の夏八木勲の存在感と怪演もインパクトあり。終盤に山川のヨットの上で繰り広げられる修羅場がイカレてて笑えます。あと、舞台となった北海道の豪雪。北海道、素敵なところだけど絶対住めないと思った。あんな雪の中で運転とかできん!
北海道の根室。私設気象予報士の啓一は、地元の有力者である山川に気に入られる。やがて啓一は山川の妻美代子と、汽車の中で出会った人妻由子の二人を同時に愛し始めるが…
倍賞千恵子、美津子姉妹のレアな共演作。明るく優しい庶民的な姉、奔放で妖艶な都会派の妹、というイメージをガラリと変えた配役と演技が、当時話題になったらしいです。特に美代子役の千恵子さんのイメチェンは、かなり衝撃的かつ新鮮でした。千恵子さんといえば、寅さんの妹さくらさん。あの下町の質素な良妻賢母さくらさんが、ブルジョアの有閑マダムなファッションと髪型、権高で冷ややかな口調、あられもない姿で年下の男の心と体を狂おしく貪る痴態、イカレた錯乱惑乱。いったいどうしちゃったの?と目がテンになってしまう変貌ぶりでした。ラブシーンもかなり大胆で、舌が激しく絡むディープキスや、濡れ場では何と!がっつりポロンはしてないけど、乳首が見える露出!聞くところによると、松竹や山田洋二監督の猛反対を押し切って、この映画に出演したのだとか。
寅さんファンにはショッキングでしょう。でも、私は彼女の女優魂をあっぱれだと思いました。さくらさんみたいな役ばかりじゃ物足りないというフラストレーションや、もっとチャレンジしがいのある役をやってみたいという意欲を抱くのは、本物の女優なら当然のこと。さくらさんとは180度違う、アンニュイで退廃的な、破滅的な情熱に身を滅ぼすヒロインなんて、女優なら一度は演じてみたいものではないでしょうか。リスクを恐れず大胆に生々しく演じた千恵子さんに拍手。彼女がこういう役を演じたのは、これが最初で最後みたいなのが残念。おんな盛りの美しさや円熟の演技を、もっと違う映画でも活かしてほしかった。
由子役の美津子さんは、華やかな美女!数々の作品で濃厚濃密な色香を振りまいた彼女が、この作品では優しく悲しく耐える女。姉ほどではないけど、恋に戸惑い一途に踏み込めず悩むという、こちらも彼女らしからぬ役と演技でした。でもやはり女ざかりの色香はあふれんばかりで、艶やかな美しさも際立ってました。まさに全身おんな!だけど、どこか豪快でカラっとしてる姐御な風情がカッコいい。笑顔が可愛い。彼女といえばのハスキーな声も好き。きれいさも可愛さもどこか薄ぼんやりした個性のない、ナヨナヨクニャクニャした今の女優にはないドスの効いた美貌と個性が素敵です。姉と比べるとラブシーンは抑え気味、露出も少なかったけど、多くの名優たちとエロい濡れ場を演じてきた百戦錬磨な美津子さんなので、愛撫され恍惚の表情や喘ぎ声などはさすがの色っぽさでした。
倍賞姉妹が一緒のシーンはあまりなく、終盤の雪の中での対決がハイライト。激しく罵り合うとか髪の毛掴んだりビンタしたりなキャットファイト、みたいな面白い物騒さは全然ありません。ヒロイン二人のキャラ、やりとり、めんどくさい三角関係は、どこかフランス映画っぽかったです。
熟女二人に愛され、二人の間を忙しく行ったり来たりする啓一役、今は亡き萩原健一もチャーミングでした。いったいどっちが好きやねん?はっきりせえや!な煮え切らない啓一にイライラ、でもショーケン可愛い!犬みたいな愛嬌があって憎めない。可愛いし、いい男、いい役者!演技が上手いとか下手とかじゃない、キムタクと同じでショーケンだって何やってもショーケンなんだけど、男の色気やラブシーンのエロさ、どこか破綻した危うさ悲しさなど、まったくリスクなど犯さないキムタクのつまんなさと違い、役も演技も人生もリスクそのものだったショーケンの魅力は、今も色褪せていません。当時36歳!嵐の連中より年下!キムタクより一回り以上下!いかに最近のドラマや映画が幼稚化してるか、またまた痛感してしまいました。倍賞姉妹もだけど、昭和の女優男優ってほんと大人です。
ショーケン、ちょっと笑えるシーンも多くて。自室での独り天気予報とか、飛行機で隣席の幼女にわけのわからんことを話しかけたり、雪の中で裸になったり、え?は?何言ってんの何やってんの?なヤバい人、でもユーモラスでもあって可愛かったです。連城三紀彦の小説の映画化なのですが、意味不明で狂ってて不可解すぎる男女の恋愛に戸惑うばかりでした。私もいい年なのに、いまだにオトナの愛って解からない山川役の夏八木勲の存在感と怪演もインパクトあり。終盤に山川のヨットの上で繰り広げられる修羅場がイカレてて笑えます。あと、舞台となった北海道の豪雪。北海道、素敵なところだけど絶対住めないと思った。あんな雪の中で運転とかできん!