まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ドミ公のイケメンミッション

2020-05-31 | イギリス、アイルランド映画
 「コードネーム:ストラットン」
 イギリス海軍特殊舟艇部隊の隊員ストラットンは、生物兵器を用いて大規模なテロを起こそうとしている謎の組織を追跡。ロシアの元諜報員バロフスキーが暗躍していることを突きとめるが…
 今年のGWは、ずっと未見だったトム・クルーズのミッションインポッシブルシリーズ「ローグ・ネイション」と「フォールアウト」を観ました。公開延期になった007の最新作も待ち遠しい。スパイアクション映画、大好きです。スカっと楽しく現実逃避できるので、暗く息苦しい気持ちになりがちな今にぴったり。この映画の主人公は厳密に言えばスパイではなく、実在するイギリス海軍の特殊舟艇部隊(SBS)の隊員ですが、世界各国に飛び回ってテロリストを追跡したり、罠を仕掛ける工作をしたり、派手な銃撃戦やカーチェイス、爆破など、MIや007と同じ系列の映画です。

 SBSって初めて知りました。海とか河川を主戦場にしてる部隊なのでしょうか?水上以外でも活動してたけど、007でおなじみのMI6とか、イギリスにはいろんな諜報組織や部隊があるのですね。任務がカブったりしないのでしょうか。MIや007に比べると、全体的にかなり地味な印象を受けましたが、ほとんどSFな近未来的武器やアイテムが出てくるMIや007よりも、比較的現実味があるとも言えます。それにしても。MIや007、ワイスピとか人気アクション映画では、必ずといっていいほど戦いの舞台となってメチャクチャにされてしまうロンドン。市民にとってはほんといい迷惑。命がいくつあっても足りない街です。

 でも、相変わらず美しく趣深い街でもあります。今回もおなじみの風景が、アクションの背景として巧く映し出されていて、ロンドン行きたいな~と思わずにいられませんでした。今回は船舶の往来とかヨット住居とか、テムズ川周辺の様子がよく撮られていました。ボートチェイスもエキサイティングでした。こんな場所があるのか~な興味深い発見も。大昔にロンドンに初めて行った時は、テムズ川やタワーブリッジなどろくに見なかった。次にもし行けたら、テムズ川遊覧したいです。

 主人公のストラットンは、イケメンで屈強で度胸があって頭脳明晰でカッコいいのですが、人柄や言動が真面目で地味なのが惜しい反面、中途半端にコミカルだったり必要以上にシリアスだったりしない、人間とは思えないほどの超人的能力の持ち主でもない、フツーっぽいところには好感。友人が死んだりカノジョに捨てられたりしてションボリな様子が可愛かった。ストラットンのキャラは薄口ですが、演じた俳優は濃ゆい。大好きなドミニク・クーパーに今回もジュンときました~
 
 あいや~!ドミ公、やっぱええわ~どストライク男ですわ。40過ぎてちょっとシブくなってきて、ますます男前に。若々しくて色っぽい。俊敏で軽やかな身のこなし、ワイルドだけどどこか優雅でもあって、SBSの戦闘服も男くさくかつナチュラルに着こなして、何してもサマになる男。日本の俳優がアクションなんかやったって、イタくて滑稽なアクションもどきになるだけですが。ドミ公みたいに華も演技力もある俳優なら、もっとメジャーな大物スターになっててもおかしくないのになあ。ドミ公の色気を活かした役ではなく、色っぽいシーンもなかったのが残念。ドミ公が脱がない映画って珍しい。ちなみにストラットン役は当初、ヘンリー・カヴィルが演じる予定だったとか。

 バロフスキー役のトーマス・クレッチマンも男前。しばらく見ないうちに爺さんになったけど。それにしても彼、以前からナチスの軍人役と東欧のテロリスト役がオハコな俳優でしたが、最近ではもうそれ専門になってるような。ハリポタのトム・フェルトンがチームの一員役。彼も性悪なエリート役専門で食っていけそう。チームの女性メンバー役、中国系の女優ジェンマ・チェンが美人。彼女、私生活ではドミ公の今カノなんだとかいろんな女優との熱愛が絶えないモテ男ドミ公、アラフォーになっても先っぽが乾かない男です。

 ↑イケてるドミ公の画像、集めてみました~。ドミ公は最近、TVドラマ出演が多い。バリバリに主演の映画が観たい~
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男色殺人鬼!恐怖のボーイハント

2020-05-27 | 北米映画 00~07
 「ジェフリー・ダーマー」
 チョコレート工場で働く同性愛者の青年ジェフリーは、言葉巧みに若い男たちを自室に連れ込んでは彼らに睡眠薬入りの飲み物を飲ませ、犯した後に残虐な方法で殺害していた…
 全米を震撼とさせたミルウォーキーの食人鬼、ジェフリー・ダーマーの口にするのもおぞましい事件を描いた作品。こんなこと現実に起きただなんて信じられない、信じたくない。ヘタなホラー映画など足元にも及ばぬ狂気と猟奇です。でも商魂たくましいアメリカの映画業界にとっては、まさに最高のネタ。当然のように映画化されました。事件が事件だけに、どんなに気持ち悪い狂ったサイコホラー映画が作られたのか?凶悪犯罪者の生い立ちや心理には興味あるけど、血がドバドバなホラーは苦手だし…でも怖いものみたさが勝って鑑賞。さぞかし血まみれ血みどろなシーン満載でゲロゲロ(死語)なんだろうな~と思いきや…

 実際にジェフリー・ダーマーがやった猟奇的な行為(あまりにも忌まわしすぎるので、ここでは書きませんが)の再現シーンなどはほとんどありませんでした。ホッとしたような、ちょっと肩透かしを食らったような。残虐なホラーが好きな人が観たら、確実にガッカリします。ジェフリーの猟奇殺人鬼としての異常性や狂気よりも、同性愛者としての孤独や飢えをクローズアップした内容になっていました。といっても甘く切ないBLではありません。劇中のゲイのリアルな性衝動や性行為の描写には、夢見がちな腐は確実に眉をひそめることでしょう。ホラーでもなくBLでもなくゲイ映画、と言えるでしょうか。

 ジェフリーの男狩りが、とにかく卑劣で大胆!ハッテンバの店での常習的な昏睡強姦とか、なかなかバレなかったのがホント不思議で怖かった。街でジェフリーにナンパされた男たちも、みんな簡単にホイホイついていくし、警戒心なさすぎ!確かにジェフリー、見た目が可愛いしシャイで物静かで優しく、どこか寂しそうな風情なので、ついほだされて油断しちゃうのも解かるけれども。実際のジェフリー・ダーマーも、人当たりのいいハンサムな男だったとか。もし彼がキモい見た目と雰囲気の男だったら、被害者はもっと少なかったことでしょう。彼が白人だったことも殺人を容易にし、発覚を遅らせた要因。有色人種の被害者や目撃者に冷ややかで、どう見ても怪しいジェフリーには寛大に接したり信用したりする警察官。アメリカの深刻な人種差別が、はからずも大量殺人の手助けをしてしまったのですね。何で気づかない?!何で調べない?!な警察の怠慢に絶句。猟奇殺人と同じぐらい、警察の失態も事実とは信じがたいです。
 ジェフリー・ダーマー役は、何と!若き日のジェレミー・レナー!当時30歳ぐらい。わ、若い!そして、か、可愛い!

 私が初めてジェレミーを知って好きになった「S.W.A.T」の前年の主演作。ジェレミーってシブいけど、すごい童顔ですよね。高校生のシーンも違和感なし!あまりにも可愛いので、卑劣なことや残虐なことをしているのに全然キモくないんですよね~。だいたい寂しそうな顔してるのですが、たまに見せる笑顔の無垢さとキュートさときたら。サイコキラーのゲイ役でも、寡黙で男らしいところは今のジェレミーと同じ。フツーに女にも男にもモテそうなジェレミー、ターゲットへの内気で朴訥なアプローチに胸キュン。殺人シーンや男色シーンなどは、若き日にやらかした黒歴史とまでは言えない程度だったのがちょっと残念。脱ぎっぷりも悪くはなかったけど、ケツぐらいは気前よく出してほしかったかも。とにかくジェレミーのファンは必見!

 ジェフリーの餌食となる男たちを、もうちょっとイケメンぞろいにしてほしかったかも。タイプがいまいち判らんかった。有色人種の若者なら誰でもよかったのかな?電話機やカメラ、TVのリモコンなどが70・80年代って感じでした。刑務所で悲惨な末路を迎えたジェフリー・ダーマーですが。こういう陰惨な殺人事件が起きるといつも想像してしまいます。自分の子どもが猟奇連続殺人事件の被害者になるのと加害者なるのでは、どっちが地獄だろうかと…
 

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大英帝国イケメン連合!PART Ⅲ

2020-05-24 | 映画雑記
 皆さま、御機嫌いかがですか?コロナの緊急事態も解除され始めましたね。まだ不安ですが、早く元の生活を取り戻したいですね!
 それはそうと。わし、市がやってるオンライン英会話なるものを始めました!先生がイギリス出身の若い男性。わし英語ぜんぜん喋れんけど楽しく学んでいます(^^♪それにしても、イギリス英語ってやっぱいいですね~。イギリス英語を聞いてると、最近映画やドラマでよく見る若手英国男優のことを思い出します。そこで、いま日本の映画ファンにも注目されてる、あるいは知る人ぞ知る若手イギリス俳優たちをピックアップしてみました(^^♪

  ジャック・ロウデン Jack Lowden

 1990年イギリス・エセックス生まれ、現在30歳。
 初めて彼を知ったのは、クリストファー・ノーラン監督の大ヒット作「ダンケルク」。パイロット役の彼を見て、そのカッコカワイさにmyイケメンレーダーがビビビ!以来すごく気になる俳優に。TVドラマ「戦争と平和」の彼も可愛かった!「否定と肯定」「最悪の選択」「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」「ファイティング・ファミリー」と、派手さはないけどコンスタントに出演作を重ねています。元はバレエダンサーを目指していたとか。弟さんは有名なバレエダンサーらしいです。上品で賢そうな童顔と185センチのスタイル抜群な長身が魅力。新作はトム・ハーディ主演の“Capone”で、捜査官役を演じてます。

  エドワード・ホルクロフト Edward Holcroft 

 1987年イギリス・ロンドン生まれ、現在33歳。
 英国映画&ドラマの若きバイプレイヤー。あ!ここにも出てる!と、その遭遇率の高さに驚かされる売れっ子。「キングスマン」シリーズが今のところ最も有名な出演作でしょうか。ドラマ「ロンドン・スパイ」でのBLラブシーンも秀逸でした。「ウルフ・ホール」「ガンパウダー」「ザ・イングリッシュゲーム」など時代劇も多い。彼も長身で体格がいいので、現代劇でのスーツだろうが時代劇でのコスチュームだろうが、何を着ても似合う!そろそろ主演作を観たい!ちなみにパパは州知事さんだとか。

  ニコラス・ガリツィン Nicholas Galitzine

 1994年イギリス・ロンドン生まれ、現在26歳。
 「ぼくたちのチーム」でのどこか翳りのあるラグビー高校生役の彼、その美青年ぶりには瞠目させられました。役者になる前は実際にもラグビー選手を目指していたとか。美しい顔と大柄でたくましい体が魅力的。ヴァイオリニスト役の「ハートビート」でも、ワイルド&セクシーな美青年ぶり。ミュージカル版シンデレラでは、王子さま役に抜擢されました。今後の彼の躍進が楽しみ。

  ビリー・ハウル Billy Howle

 1989年イギリス・ストロークオントレント生まれ、現在31歳。
 今ひそかに私が最も注目してる英国若手俳優が、実は彼なのです。彼を初めて見たのは「ダンケルク」のはずなのですが、ぜんぜん覚えてないベロニカとの記憶」でもそんなに印象に残らなかったけど、「アウトロー・キング スコットランドの英雄」でのイケズな王子役は主役以上の存在感と好演で、がぜん要注目な英国若手俳優に。アガサ・クリスティの「検察側の証人」や、リチャード・ギア主演の「マザーファーザーサン」など、TVドラマでも活躍。最近では「追想」“The Seagull”2作品でシアーシャ・ローナンの相手役に抜擢されたり、プラダのモデルに起用されたり。イケメン、美男ではないけど、年齢を重ねるごとに味わい深さが増す役者になりそう。

  トム・カラン Tom Cullen

 1985年イギリス・ウェールズ生まれ、現在35歳。
 上品な美青年ではなく野性的な男前が好みな人には彼!アンドリュー・ヘイ監督の「WEEKEND ウィークエンド」でゲイ役を好演。端正な顔と濃厚な♂フェロモン。ゲイ受けもよさそうな風貌ですよね。TVドラマ「ガンパウダー」でもワイルドでした。大人気ドラマ「ダウントン・アビー」にも出演。

  ベン・ハーディ Ben Hardy

 1991年イギリス・ドーセット生まれ、現在29歳
 「X-MEN: アポカリプス」で映画デビュー、「オンリー・ザ・ブレイブ」「メアリーの総て」などを経て、大ヒット作「ボヘミアン・ラプソディー」でクイーンのメンバーであるロジャー・テイラーの役に抜擢された彼、もうすぐ30歳とは思えぬキュートな童顔、そして脱いだらスゴすぎるマッチョ!イギリス俳優には珍しい肉体派です。「6アンダーグラウンド」ではアクションにも挑戦。ちなみに同じイギリス人で同姓のトム・ハーディとは、兄弟でも親戚でもないみたいです。


 ↑ 英国俳優といえば今はやっぱこの二人、キット&リチャマ。BLカップルみたいなツーショットが萌えますね~。GOT後に再共演したマーベル映画「エターナルズ」公開が待ち遠しい!
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スコットランドはイギリスにあらず

2020-05-19 | 北米映画 15~21
 「アウトロー・キング スコットランドの英雄」
 14世紀初頭、イギリスに侵攻され服従を強いられたスコットランド。仲間とともに蜂起したロバート・ブルースはスコットランドの王となり、イギリスから独立するための戦いに身を投じるが…
 中世イギリスの宮廷内権力争いや内乱を描いた映画やドラマは数多く観てきたけど、スコットランドの王室や政治情勢にはあまりなじみがありません。有名なメアリー・スチュアートの悲劇ぐらいしか思い浮かばない。この映画の主人公、ロバート・ブルースのことも恥ずかしながら存じ上げませんでした。ロバートが苦難の末にイギリスに勝利する物語なのですが、それにしてもイギリス、とことん悪者として描かれてました。その冷酷で残虐な支配者っぷり、イギリス人が観たら不愉快になるのでは。それとも、大英帝国に反旗を翻す者どもは容赦なく叩き潰す!な描写にはもう慣れっこになってる?この映画でも暴虐のかぎりを尽くしていてました。本当に非道いことをしてたんですね~。私のような無知な外国人が観たら、イギリス人は悪魔としか思えなくなるような映画、時代劇にせよ現代劇にせよ多いですよね~。

 これでもか!とスコットランド人を虐げるイギリス人。その方法がとにかく残酷!首つりした状態で、まだ生きてるうちに腹を裂いて内臓をエグリ出し!とかウゲゲゲ野蛮すぎてホラーです。エドワード1世とその息子である皇太子が、血も涙もない悪党。何をするにも、気に食わないから!言うことを聞かないから!自分の地位を守りたいから!という感情的で私的な理由なので、スコットランド人はもとよりイギリスの国民も可哀想。皇太子なんか、親父に愛されない認められないというフラストレーションのはけ口にしてるようだったし、人間的すぎる凡庸な人間が権力を握ったら怖いと思いました。

 イギリス側の横暴や暴虐のインパクトが強いせいか、主人公のロバート・ブルースの影がちょっと薄かったような。すごい辛酸をなめてるのに、そんな感じがあまりしない恬淡さ。これはおそらく、演じてたクリス・パインの個性によるところでしょう。偉業を成した中世の王さまらしいカリスマ性とか神秘性、重厚な風格とかは全然なかったけど、今まで見た中では最も男前でした。ワイルドな風貌、荒々しい演技も新鮮。初の時代劇に気合が入ったのか、まさかの全裸セックスシーン&全裸行水シーンにも挑戦。お尻もアソコも堂々と披露してました。ハリウッドの人気男優には珍しい頑張りは称賛に値します。

 勇猛果敢なシーンもカッコよかったけど、笑顔がとにかく優しいクリス・パイン。絶対いい人ですよ彼。だだやっぱ、ハリウッドのスマートなイケメンっぽさが拭いきれてなかったのが、ちょっと残念でした。白いセーターを着てるオシャレなセレブに見えたり。これは「キング」のティモシー・シャラメも同じでした。自国のロイヤルな貴人をアメリカ人のハリウッドスターが演じることについて、イギリス人やスコットランド人はどう思ってるのか気になります。

 ロバートの家臣役で、アーロン・テイラー・ジョンソンも出演。彼もイケメン。戦場シーンではまるで鬼滅の刃の伊之助みたいな猪突猛進キャラで笑えた。ロバートの妻役は、今年「ストーリー・オブ・ライフ わたしの若草物語」でオスカーにノミネートされるなど、最近躍進著しい気鋭の若手英国女優フローレンス・ピュー。ぶりっことは無縁なふてぶてしいまでの逞しさに好感。夫婦の営みシーンでは、彼女も堂々の脱ぎっぷり。健康的で瑞々しいおっぱいでした。

 イケズな皇太子役の俳優が、なかなかの好演&けっこうイケメン。誰?と調べてみたら、「ベロニカとの記憶」で主人公の若い頃を演じてた俳優と同一人物と知り驚きました。ベロニカではイケてなかったのに、今回の彼は別人のようにイケてました。ビリー・ハウル、わりと売れっこでいろんな映画に出てるみたい。今後が楽しみな役者です。
 ラストの英国軍VSロバート軍の激突バトルシーンは、これまた血みどろ血しぶきのホラーで、気の弱い人は観ないほうがいいかも。お話以上に、スコットランドの荒涼とした美しい風景に魅了されました。天気がいつも悪い陰鬱な空や空気感も、どこか透明感があって趣深いです。中世のイギリス、スコットランドの衣装も好き。華美ではなくシンプルなのが返って美しい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノーサイドBL

2020-05-12 | イギリス、アイルランド映画
 「ぼくたちのチーム」
 両親が海外で暮らすことになり、ラグビーの名門校である男子校の寄宿舎に放り込まれたオタク少年のネッドは、周囲と馴染めず浮いた存在となっていた。そんな中、ラグビーのスター選手であるコナーが転入し、ネッドのルームメイトとなる。互いに打ち解けずにいたが、やがて二人は音楽を通して親しくなる。しかし、偶然ネッドはコナーの秘密を知ってしまい…
 イギリス(この映画はアイルランドでしたが)!男子寮!腐なら聞いただけでパブロフの犬のようにヨダレが出そうになる設定。BL映画の金字塔、「モーリス」「アナザー・カントリー」みたいな美しく格調高いBL映画を期待してしまいましたが、ぜんぜん違ってました。そもそもBL映画ではありませんでした。男同士のキスやセックスなど性愛シーン、劇的で耽美な関係が大好きな腐が観たら、かなりガッカリするかもしれません。BLではなく、愉快で爽やかなフィールグッド友情物語です。

 それにしても。近年はLGBTの社会的権利は認められ、昔ほど奇異で特殊な人々扱いはされなくなっている…ように見えて、差別偏見がまだまだ根深いというのが実情です。この映画では、そんなゲイの切実な生きづらさが明るく描かれています。この映画でゲイを嫌悪し見下す人々も、基本的にはみんな善人、ただ心が狭いだけなんです。無神経で狭量な善人のほうが、悪人よりも怖いです。だって、前者のほうが実際に関わることが多いから。

 ゲイだけではなく、心身が弱い人や周囲に迎合しない人たちを排斥したり攻撃したりする人たち。なぜ自分たちのほうが彼らより正しくすぐれていると信じることができるのでしょうか。何の根拠もない自信、信念はただもう無知蒙昧。歪んだ価値観も大勢が賛同すると正義になる。それを振りかざして生徒を服従させたり扇動したりするラグビー部のコーチ、ゲイやオタクを自分たちの下に見て安心感や優越感を得てるようなラグビー部員たちは、何だかユダヤ人を虐げ迫害したナチスを思い出させ、私の心肝を寒からしめました。

 コーチのパスカルやラグビー部員たちの、“男らしさ”至上主義、体育会価値観が滑稽で怖かったです。男らしくない奴、スポーツができない奴は虫けら扱い。それを許す学園のヒエラルキー。ラグビー部員が頂点で、ネッドのような冴えないオタクは底辺。自分たちは選ばれし特別な存在!というラグビー部員たちの言動や思考回路。プロ野球選手など有名アスリートにも、そういう人が多そう。勉強しないしチヤホヤされるし狭い世界だけで生きてるから、そういう風になってしまうんでしょうね。才能は豊かでも心は貧しいって悲しい。

 ひ弱そうでオタクなネッドのほうが、パスカルやラグビー部員たちよりよっぽど男らしかったです。群れずに自分らしさを貫いてたところがカッコよかった。コナーへの友情も温かく誠実。男らしさって、マッチョな見た目や振る舞いではなく、優しさと誇り高さだとネッドを見ていて思いました。ネッドとコナーの友情をよしとしないパスカルやラグビー部員たちに引き裂かれそうになり、すれ違いや裏切りに壊れそうになりながらも、それらを乗り越えてより深まる二人の友情が感動的でした。やっぱ恋に落ちるのかな?と思わせつつ、そうはならなかったのも私には爽快でした。二人がキスしたりセックスしたり、ドロドロしい関係になるのは似合わない、想像できないししたくないから。

 ネッド役のフィオン・オシェイはイケメンではないけど、賢そうでオシャレな感じの文系ルックス。髪の色がカッコよかった!あれ地色なの?コナー役のニコラス・ガリツィンはスゴいイケメン、ていうか美男子!ワイルドで陰りがあって繊細で、BL漫画に出てきそうなキャラと見た目でした。パスカル役のモー・ダンフォードが、ちょっとクリス・プラットっぽくてイケてました。ゲイの教師シェリー役のアンドリュー・スコットは、シャーロックのジム・モリアーティですね!イギリス映画、ドラマでよく見かけるバイプレイヤーで、ゲイであることをカミングアウトしてます。シェリーみたいな先生と私も学生時代に出会いたかったな~。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マザコン美男奮闘記

2020-05-08 | フランス、ベルギー映画
 久々の更新!皆さま、息災にお過ごしのことでしょうか。なかなか見えてこないコロナパニックの終わり。不安と不満は募るばかりですね。コロナが日々あぶり出す、政治家や有名人の欺瞞、偽善、独善、そして彼らと庶民との格差。日本がこんなにも弱者や貧乏人に冷たい国だったなんて。そんなに自覚してなかったけど、私がいかにワーキングプアかもあらためて気づかされました。生活に困ってない、コロナになってもすぐに検査や入院ができる権力者や芸能人が何を言おうと心に響かない。自分が気持ちいいだけ、ありがたく思え的な上から目線の励まし、応援メッセージとか、本当にやめてほしい。黙ってお金を医療機関に寄付するだけにしてほしい。河井案里夫妻がボーナスを満額受け取ることを許すような政治を、いったいどうやって信じればいいのでしょうか。

 とまあ、コロナのせいで私の心もますます暗く狭くなってしまってるようですこんな時にこそ、佳い映画やドラマをたくさん観たいのだけど…今は映画やドラマそっちのけで、アニメ「鬼滅の刃」にハマっちゃってます老いも若きも周囲がこぞって観てるので、私もいつの間にか乗せられて、今じゃすっかりaddicted!アニメにハマるなんて生まれて初めてかも。皆さま、コロナはもちろん、メンタルの健康にも気をつけて過ごしましょう。明けない夜はないと信じたい。でも夜明けはいつ?教えて富岡義勇!

 「母との約束、250通の手紙」
 シングルマザーのニナは息子のロマンを溺愛し、将来彼が高名な人物となると信じていた。プレッシャーに苦しみながらも、そんな母の期待に応えるためロマンは作家を志す。第二次世界大戦が勃発、フランス軍に入隊してパイロットとなったロマンを、ニナは手紙で激励し続ける。やがてロマンは作家デビューするが…
 フランスの高名な作家ロマン・ガリの自伝「夜明けの約束」の映画化。愛しのボーギャルソン、ピエール・ニネの新作をようやく観ることができました~。ニネっち、やっぱ類まれな俳優ですね~。日本の同世代の男優たちが雀ならニネっちは孔雀。それぐらい容姿も演技もレベルが違い過ぎます。今回のニネっち、これまで以上に美しく可愛く、ドラマティックで凄絶でした。その美貌と入魂の演技には、ただただ魅了され圧倒されるばかりでした。

 明るく優しく知的でエレガント。若さと才気でキラキラ、絶望や狂気でボロボロ、まるで万華鏡の演技。チャーミングで印象的なシーンばかりでしたが、いろんな女の子とのエッチシーン連打やママとタンゴを踊るシーン、ロンドンでの決闘シーン、アフリカの戦地で熱病に犯され死の床から復活して全裸で屋外に飛び出すシーン、が特に好きです。どのシーンも日本の俳優には無理な難易度の高さです。キュートで優雅でエロくて狂気的なめくるめく演技と、まるで彼のプロモーション映画のようなファッション七変化に、ニネっちファンは満悦間違いなし。彼のファンではない人、彼が苦手な人には苦痛かもしれないほどに、ニネニネな映画となってます。

 高い演技力もニネっちの魅力ですが、私は彼の飾らない優雅さが好きなんですよ。どんな役、どんな服を着ても、いや全裸でも洗練されてるんすよね~。ロンドンでの粋なスーツ姿、フランス軍の軍服でのパイロット姿など、絵になりすぎなほどカッコいいけど、コスプレ感はなく自然に着こなしてました。とにかく気取りとか全然なくて、常に温かく優しいニネっちが好きです。演技も見た目も大したことない多くの凡百な俳優のほうが、傲慢でナルシストで鼻につきます。

 そんな優しく賢いニネっちにピッタリな、今回のママ命なウルトラマザコン役。ママは絶対的な神のような存在、彼女の望むまま言われるまま私欲や自我を捨てて血のにじむ努力や忍耐を自分に課して生きるロマン・ガリ役のニネっちが、痛々しくも愛おしい。とにかくけなげにママの期待に応えようと奮闘するロマン、悲壮なんだけど度が過ぎるともう滑稽で笑えた。そう、この映画ってかなり笑えるシーンが多くて意外でした。悲劇的な物語かと思いきや、喜劇の部分も色濃かった。ママに振り回されてオロオロアタフタ、テンパリすぎるニネっちはかなりコミカルでもあって、元々はコメディが得意な彼の面目躍如ともいえる珍妙さツボでした。

 ロマンの少年時代も、激烈かつ滑稽なエピソード満載で、ませた女の子に恋して彼女の言いなりになるロマンや他の男子たちは、ガキんちょでも恋に命をかけるなんてさすがフランス人!(役はポーランド人でしたが)と感嘆しました。カタツムリを生きたまま殻ごとバリバリ食べるのは、かなりゲロゲロ(死語)でしたが。ガキんちょロマン役の子役が可愛かった!世渡りのための処世術というか、母子そろってはったりやごまかしが上手で、詐欺の才能があるところも笑えました。

 ママ役はシャルロット・ゲンズブール。フレンチロリータだった彼女も、こんな役をやる年齢になったのですね~。隔世の念を禁じ得ませんが、おばさんって感じは希薄。若々しいとかアンチアイジングって感じではなく、いい感じに枯れてきているナチュラルさ。風情がカッコいい。煙草が似合う。過剰な愛情と期待を息子に押し付け、脅迫まがいのプレッシャーをかけまくるトンデモない毒母で、はじめはロマンが可哀想!とドン引きしたりムカついたりしてたのですが、だんだんと特異な形の応援、激励、後押しに思えてきました。

 怨念に近い信念で息子を大成させる猛母を激演してるシャルロットもまた、エキセントリックすぎて笑えるんですよね~。彼女もニネっち同様、笑いは確実に狙ってました。まだ少年の息子がエロいメイドとエッチしてる現場に遭遇してキエー!!と激怒して大暴れとか、かなり笑えました。ニネっちとタンゴを踊るシーンでは、とてもママには見えず年の差がある恋人同士にしか見えなかったです。

 母と息子の愛憎ドラマというより、数奇な運命を生きた男の波乱万丈な冒険物語、みたいな映画でした。ロマンをダイヤの原石と信じて疑うことがなかったママはすごい慧眼の持ち主でしたが、ロマンが才能と強運に恵まれた肉体的精神的にもタフな男だったのは、彼女にとっては本当に幸福なことでした。もしもロマンが凡庸な息子だったら、あんな過信は滑稽な狂気になるでしょうし。艱難辛苦だけど幸せな人生を送ったママと違って、自分を殺してママのためだけに生きたロマンの生涯は不幸でした。でも、夜空を一瞬だけ華やかに彩って消える美しい花火のような人生は、私には羨ましいかぎりです。

↑ ニネっちのお気に画像、集めてみましたわいな~。私生活では恋人がご懐妊!もう生まれたのかな?素敵なパパになりそう。わしもニネっちの子ども産みたい!大やけどを負うイケメン消防士役の“Sauver ou périr”が、日本で次に公開される主演作になりそう。親友フランソワ・シヴィル主演作“Deux moi”に友情出演、“Lisa Redler”ではセクシーなラブシーンもあるみたい。どれも待ち遠しい!

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする