まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

黒いテレキネシス

2017-03-31 | イギリス、アイルランド映画
 懐かしの60s70s映画②
 「恐怖の魔力 メドゥーサ・タッチ」
 作家のモーラーが瀕死の状態で発見された殺人未遂事件を、ロンドンで研修中だったパリの警視ブリュネルが捜査する。モーラーのカウンセリングを担当していた精神科医ゾンフェルドから、モーラーには恐ろしい念力があり、事件前に起きた旅客機墜落事故も、モーラーの起こしたものだとブリュネルは告げられるが…
 日本では劇場未公開ながら、カルト的なファンが多いと言われている隠れた名作です。「オーメン」とか松本洋子先生の怖い漫画が好きな人なら、すごく楽しめると思います。

 主人公のモーラーが、幼い頃から自分を虐げる者や邪魔をする者、不快な者を、念力で次々と無残に抹殺していくのですが、どんどん制御不可能になって、飛行機墜落や大聖堂破壊、さらに宇宙ステーション事故など、災厄がエスカレートしていくのが恐ろしくも笑えた。念力で人が死ぬシーンの演出やムード、音楽など、かなりオーメンっぽいです。オーメンほどショッキングに残虐でもおどろおどろしくもないのですが、この映画の惨劇もかなり非道いです。特にインパクトがあったのは、少年のモーラーが両親を念力で殺すシーン。無人の車に激突され、ぎゃー!!と高い断崖から海へ落ちていく男女…あんな死に方、絶対イヤ~!と戦慄しつつ、両親の恐怖顔と落下する姿が何か笑えて仕方なかったです。

 恐ろしい念力のせいで、重苦しく孤独な暗闇人生を送っていたモーラー。自分に関わりのある者のみならず、ぜんぜん関係ない人たちまでに災いをもたらしてしまう彼は、まさに悪魔のような男でした。コントロールできなくなり、植物人間になっても念力だけは大暴れな展開が、怖くて面白かったです。でもあの念力、うまく使うことができれば素晴らしい力です。あの魔力を得たら、私なんか私利私欲まみれでガンガン悪用しちゃうことでしょう。そして、ろくな末路を迎えないんだろうな。人を呪わば穴二つですもんね。モーラーのように、死んでほしいと呪ってしまうほどの憎悪や怒りを、私は抱いたことがないけど…

 この映画、今はTVでは放送できないシーンがあります。高層ビルに突っ込んで爆破する旅客機…まるで9.11のテロを予言したような、不吉で衝撃的なシーンです。あと、ロンドンの大聖堂が祭典中に崩壊して、阿鼻叫喚のパニック地獄絵図とかも、現代社会最大の脅威、恐怖のひとつであるテロへの警鐘みたいでゾっとしました。
 モーラー役はリチャード・バートン、ブリュエル警視役はリノ・ヴァンチュラ。今は亡き英仏のシブい名優二人が、静かなる熱演。

 リチャード・バートンは、暗い!重い!カルマ感ハンパないです。睨まれたらホントに呪い殺されそうな鋭い目つきが怖い!でも、インテリダンディな熟年で、悲劇しか似合わない風情に惹かれます。リノ・ヴァンチュラは、刑事役かマフィア役のどっちかしかできなさそうなコワモテ風貌。ナヨっちい軽薄な男が多い中、そのどしっとした力強さ沈着さがカッコいいです。台詞はすべて英語。フランス俳優が英語で演技って、私すごく好きなんですよね~。美貌の女医ゾンフェルド役が、オーメンで悪魔の子ダミアンの母役だったリー・レミックだったのが、なかなか粋なキャスティングでした。モーラーを殺そうとした犯人の正体も、意外で驚かされます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

皆殺しの島!

2017-03-29 | 日本のドラマ(単発)
 追悼・渡瀬恒彦③
 テレビ朝日の2夜連続スペシャルドラマ「そして誰もいなくなった」を観ました~。
 アガサ・クリスティのあまりにも有名な原作は、過去に何度も映像化されてますが、日本では初なんだそうです。豪華キャストをそろえて大々的に宣伝してたので、つい過大な期待をしてしまいました。観終わって、いや、かなり早い段階でトホホなドラマでした
 ちょっと前の「オリエント急行殺人事件」日本版もだけど、アガサ・クリスティの推理小説を日本で映像化するのは、ちょっと無理があります。やっぱアガサ・クリスティは英国、そして20・30年代が舞台だからこそ魅力的なんですよね~。現代の日本、しかも孤島を舞台にした連続殺人、かなり強引な設定でした。携帯電話やインターネットが使えなくなるようにするのが、そんな理由で!?ありえん!でしたし。そもそも、会ったこともない人物からの招待に応じて、絶海の孤島になんかフツーの現代日本人、ましてや著名人ならノコノコ行ったりしないですよね~。いっそのこと、原作に合わせて戦前とかにすればよかったのに。そうすると、衣装とかセットに金がかかるので、無理やり現代の話にするしかなかったのでしょうけど。そういう点もですが、キャスト以外はスゴい安~く仕上げた感がアリアリなのが、最大のトホホかもしれません。海上シーンとか殺人の舞台となる館の外観とか、明らかにCGで予算ケチったな~と苦笑。

 設定にはまだ目をつぶるとして、登場人物の絡みとか謎の解明とか、まるで名探偵コナンか金田一少年みたいなノリ、雰囲気には、正直ガッカリ。とても大人が楽しめる内容ではなかったです。原作もそうなのかもしれないけど、映画やドラマとなると戦前の英国上流社会の人々のやりとりとかファッションが、それを補って余りある見所になるんですよね~。横溝正史の金田一耕介が日本だからこそ成り立ち、独特の魅力を放つのと同じですね。
 2夜連続で計4時間以上割いたせいで、無駄に冗漫で緩慢な、カルピス原液に水を入れ過ぎたような薄い軽いドラマになってしまってたけど、最大の(唯一の?)売りである豪華キャストの顔合わせは、なかなか興味深かったです。豪華といっても、今をときめくスターとか、滅多にTVドラマには出ない映画スターが、というレア感は皆無。2時間ドラマやテレ朝の連ドラでお馴染みの面々が集まった、といった感じです。その中では何といっても、大好きな向井理&渡瀬恒彦の共演!二人が出てなかったら、たぶん私、このドラマ観なかったかも

 元ボクサーの人気小説家役のムカイリー、やっぱカッコいいですねメタボ無縁なスラっとした長身が、相変わらず素敵。若手が次々と台頭し、今では結構な芸歴もあり、もう中堅俳優にカテゴライズされてもいい年頃となってるムカイリーですが、老化劣化がほとんどなく今でも若々しく爽やか。見た目同様、演技にも変化があまりないけど

 でも、ムカイリーはそれでいいんです!もう無茶な無謀な挑戦はせず、カッコカワイイおじさん路線でいいよ!役者として成長するため、彼なりにいろいろチャレンジしてるみたいだけど、方向性が誤ってる。舌でいろんなものナメて推理するフンドシ探偵役とか、見事にスベってキャリアの汚点になってしまったし。同じリスクを犯すなら、もっと他に方法はあったはず。

 今回のムカイリーは、すぐに殺される脇役なので、演技的な欠点などは目立たない上に、主役級俳優になってからは遠ざかっていた、頭がいいことをひけらかすヤな感じのイケメン、という彼に最も似合ってる役だったので、まるで地でやってるような自然さでしたムカイリーの、人をバカにした冷たい嘲笑が好き!

 ムカイリーファンにとって嬉しかったのは、ほとんど2時間ドラマの被害者な役、演技が何だか新鮮だったこと。真っ先に殺されちゃうんですよ。毒入りドリンクを飲んでウゲゲゲ~!と苦しみ、バタリ倒れて死亡するムカイリーの死に顔、死体っぷりは、連ドラや映画では決して見ることができない貴重な姿です。
 2時間ドラマやテレ朝の連ドラでは、事件を解決してる側の人たちが、容疑者、無残な死体になるのが面白かったです。みんな楽しそうに殺され、屍と化してます。チャラチャラしいCMタレントではなく、せっかく良い俳優たちを配してたので、もっと濃ゆい演技合戦が見たかったかも。被害者たちが犯した罪の描写不足が、ドラマを名探偵コナン、金田一少年にしていた要因かも。

 渡瀬恒彦は、このドラマが遺作となってしまいましたつねぴー、病身になってからは声も不明瞭になってたけど、このドラマでも痛ましかった…鬼気迫るというより、無理して頑張ってる感じがして。ネタバレになるけど、最も美味しい役は当然のように彼に与えられてました。脇役に回れば、やはり大物感があるつねぴーでした。本当に素晴らしい、不世出の役者さんでした。あらためて、ご冥福をお祈りいたします…
 みんな好演してた被害者役の俳優陣と違って、刑事役の沢村一樹は酷かった!彼だけバラエティ番組のコントでした。彼がすべてをブチ壊しにしてました。演技もだけど、あんなキャラ設定にした脚本が凶悪です。

 ↑あまり仕事を選ばず、ガンガン働いてるムカイリーは、wowwowのドラマで斎藤工とW主演。この二人の顔合わせ、あんまりスゴいとは思えない、ビミョーな今さら感がなきにしもあらず。ドラマの内容も、つまらなそう…だけど、観ます♪

 
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

殺しのグルメ三都物語

2017-03-27 | 北米映画 60s~70s
 春なのに~ため息またひとつ~♪
 卒業だけが理由じゃないんですよね…私、やっちまっただよ…やらかしちゃっただよ
 職場でふと気づく。え!免許証がない!?落とした覚えは全くない。でも、ない。どこにもない。愕然としてると、後輩がいちおう警察に問い合わせてみれば?と助言。ダメ元で電話してみると、あらら!届出ありますとの返答。ほっとしたと同時に、いまだに落とした心当りがないのですっきりしない…
 翌日、再びありえない失態!今日は午後から出勤♪と呑気に出勤すると、あの~今日は松さん、朝からだったんだんですけど…と後輩が気まずそうに。どうせ勘違いしてたんだろうから!と、上司も苦笑いで携帯連絡しなかった、と。ああ~昨日の今日で、これはイタい!恥ずかしさで、穴があったら入れたい、じゃない、入りたい!
 動揺がいまだに鎮まらない私。暖かくなって気が緩んだだけ?それとも…ああ…アレですか?もうすぐ自分が誰なのかも分からなくなる、その兆候なのでしょうか?単なる間抜けとして嗤われるのならいいのだけど、気の毒な人として同情されるのは辛いわ~。生きていく自信喪失な春です♪

 懐かしの60s70s映画①
 「料理長殿、ご用心」
 人気パティシエのナターシャは、バッキンガム宮殿での晩餐を共に作ったシェフのルイと一夜を共にするが、翌朝ルイはキッチンのオーブンの中で他殺死体で発見される。ナターシャは、復縁を求めてロンドンにやって来た元夫ロバートを疑うが…
 私が子どもの頃、淀川長治さんの日曜洋画激情でよく放送されてた作品。久々に観ましたが、いま観ても楽しい映画でした。
 次々と起こる連続殺人事件、狙われたヒロイン、犯人の意外な正体と犯行の動機…いちおうミステリー、サスペンスの形はとってるのですが、基本的にはコメディです。オーブンに焼死体とか、水槽に溺死体とか、肉搾機でミンチにされるとか、かなり猟奇的な殺人が起こるのですが、ヒロインも容疑者たちもノーテンキで楽しそうなんです。ぜんぜん緊迫感とか緊張感がありません。かなりユル~いノリ。小粋な台詞とか、今の殺伐としたり品がない映画と違って、ゆったりとリッチな演出とムードが返って新鮮。70年代の空気感、ファッションも独特。当たり前だけど、ネットとかスマホとか出てきません。それでも別に不自由なく生活できてたんですよね。便利すぎる現代の弊害を、あらためて痛感。
 殺人の舞台となる、ロンドン、ローマ、パリのロケも、目に楽しいです。それぞれの都市で刑事の尋問を受けるヒロインですが、冷徹なイギリス、女好きのイタリア、気取ったフランス、刑事のキャラがお国柄をあらわしていて笑えます。

 真犯人の正体と殺人の動機は、かなり意外なのですが(ちょっとドンデン返しもあり)、あの人があんな手の込んだ犯行、できるかな~?!オーブンや水槽に死体放り込むだけでも、相当な体力が要るけど…巧みな伏線とか小道具とか駆使したトリッキーなミステリを期待すると、ガクっとなります。あくまで喜劇なのです。
 ヒロインのナターシャ役は、70年代に人気だった美女ジャクリーン・ビセット。

 美人!モテモテなのも納得の美しさです。イギリスとフランスのハーフである彼女、ヨーロッパ的な濡れたようなしっとりとした美女なのですが、ナターシャのキャラはかなりサバサバ男っぽいので、美人は何しても得ね!な反感などは覚えません。彼女のファッションが、かなり独特。お葬式でのマニッシュなスーツとか、カッコいいけど一般人はマネできません。
 容疑者の一人である元夫ロバート役 ジョージ・シーガル(「バージニア・ウルフなんかこわくない」での好演が忘れがたい)は、いかにもアメリカンな陽気なおじさん。ノーテンキに傍若無人で拝金主義、という彼のデフォルメされたアメリカンキャラが、ちょっとアメリカへの皮肉っぽくて笑えます。
 最も目立っていたのは、大富豪の料理評論家マックス役のロバート・モーリー。すごい存在感です。百貫デブな見た目もですが、すごい毒舌が強烈。よく今まで誰にも殺されなかったな~と呆れるほどですが、すごくウィットに富んでいて笑えるんですよ。相当の教養と知性がないと、あの毒舌は無理です。人もなげな傲慢不遜さだけど、アメリカの成金と違って上品で洗練されてる紳士なところが、さすがイギリス人。マックスを快演して美味しいとこ独り占めだったロバート・モーリーは、30年代のハリウッド映画「マリー・アントワネットの生涯」のルイ16世!息の長いキャリアだったんですね~。
 フランスの名優たちが出演してるのが、フランス映画ファンには嬉しい映画。ロンドンで殺されるルイ役のジャン・ピエール・カッセルは、エキセントリックな息子ヴァンサン・カッセルと比べると、優しそうで落ち着いた大人の男って感じ。そういえばジャクリーン・ビセットとは、「オリエント急行殺人事件」で共演してましたね。パリで殺されるシェフ役は、「ニュー・シネマ・パラダイス」も忘れがたいフィリップ・ノワレ。美男じゃないけど、ダンディでキザな仕草が似合う素敵おじさま。あっちこっちに出没する怪しいシェフ役は、パトリス・ルコント監督の作品でお馴染みのジャン・ロシュフォール。怪しいけど絶対犯人じゃない、というサスペンスものではお約束なキャラを、ちょこまかと珍演。3人ともコミカルで、いい味だしてます。
 ゴージャスな料理の数々もエンターテイメントですが、あんまし美味しそうじゃない…私はやっぱ、高級料理よりも庶民的なごはんのほうがいいです。ナターシャが作る爆弾ケーキが笑えます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

極道聖地巡礼じゃけえの!

2017-03-24 | 日本映画
 追悼・渡瀬恒彦②
 「仁義なき戦い」
 敗戦直後の広島・呉。復員兵の広能は、やくざ同士の乱闘に巻き込まれ刑務所送りとなったことで極道となり、壮絶な抗争に身を投じるが…
 国内外の映画に多大な影響を与えた、やくざ映画の金字塔。今あらためて観ると、内容、演出、演技、すべてにおいて圧倒されるほどに粗削りでパワフル。いろんな規制に縛られ、TVドラマと何ら変わらぬ無難で凡庸な邦画に物足りなさを感じてる人には、うってつけのトンデモっぷりです。とにかく、半世紀前に近い古い映画なのに、斬新で自由な作風に驚かされ惹きこまれます。
 抗争に明け暮れる血の気の多い野郎どもが、狂いっぱなしでアナーキーで怖い、けど笑えます。ヤクザって、たいていはカッコよく美化して描かれがちですが、この映画のヤー公どもはみんな自分勝手で欲望まみれで、腐ってるゲス&クズばかり。悪い意味で、その人間くささに共感してしまいます。ベタベタしい任侠やウソくさいカッコよさとか排除し、面白くしようと色んなものをゴチャ混ぜにもしてないところが好きです。
 それにしても。この映画の極道たち、もうメチャクチャ、ハチャメチャすぎて、笑いを狙ってるとしか思えません。みんな死にもの狂い、大真面目にやってるのがこれまた笑えるんですよね~。ハイテンションにイカレてるところが、岡田あーみんの漫画を思い出させてます。あーみん、70年代の東映やくざ映画の影響を受けてますね絶対。

 血しぶき、血まみれな殺し合いシーンのヴァイオレンス描写も、強烈で壮絶。そして、この映画といえばあの、日本人なら誰でも耳にしたことがある有名なテーマ曲。誰かが殺されると、“昭和29年 ○○ 死亡”の字幕、チャララ~チャララ~♪が、ファンにはたまらんお約束です。
 外道の話だけど、権力を握るための血なまぐさい陰謀や暗殺、裏切りや駆け引きは、どこか英国の王室ドラマに通じるものがあって、悪名高いヘンリー8世やリチャード3世が、親分や若頭とカブります。
 今は亡き名優たちが、おとこ盛りの魅力と役者魂を炸裂させてます。彼らに圧倒、魅了された後は、いい年して漫画なコスプレ演技で演技派、個性派気取りな今の俳優に、あらためてウンザリ。まず主人公の広能役、菅原文太の朴訥で熱い男気に痺れた!

 文太兄さん、見るからにヤバいその筋の人なんだけど、周囲と違いズルくも冷酷にもなれない、お人よしで不器用なところが可愛かった。人はいいけど、暴れっぷりは最強最狂。彼のみは、理想のカッコいいヤクザです。
 野心家の坂井役、松方弘樹も名演。ワタシ世代だと松方氏って、遠山の金さんなど時代劇、もしくはたけしの元気が出るTVのおじさん、というイメージなのですが、かつては東映映画でバリバリ暴れてたんですよね~。雑草、野良犬的な他のヤーさんたちに比べると、リッチな雰囲気があるのが独特。グラサン、スーツもこれぞ羽振りのいいヤーさんって感じで、イカしてました。
 そして何といっても、若き日の渡瀬恒彦!

 当時29歳!若い!カッコいい!けど、激ヤバ!まさに狂犬!目つきとか、尋常じゃないほどカタギの人ではないです。チョイ役に近く、出番も少ないのですが、インパクトは激烈。凶暴凶悪な役なのに、誰よりも男前、色男。真の男前には危険なにおいが付きものだし、危険が似合わない男は魅力に欠ける。当時の渡瀬恒彦は、その危険さが男のフェロモンとなって観る者を酔わせます。
 その他、梅宮辰夫、田中邦衛、川谷拓三など、CMやドラマで馴染みがある彼らとは別人のような極道っぷりも見ものです。脇役の中で最も美味しい役なのは、親分役の金子信雄ではないでしょうか。ズルい!セコい!諸悪の根源である醜悪な爺を、イヤらしくもオチャメに好演してます。金子さんといえば、いつもほろ酔いで料理番組の司会やってたのが懐かしい。とにかく、仁義なき軍団のようなギラギラ&ギンギンした俳優が、今いないのが残念です。当時の渡瀬恒彦が、嵐より年下という事実だけでも、今の邦画やTVドラマに何だか絶望に近いトホホさを感じさせます。
 文太兄さんも松方さんも、川谷さんも金子さんも、そしてつねぴーも、君はいない~♪by ZARD …今頃は天国で、仁義なき酒を酌み交わしてることでしょうか。もうすぐ梅宮のたっつあんも田中邦衛も仲間入りしそうで悲しい…

 この映画の影の主役は、極道たちが迸らせる荒々しい広島弁ではないでしょうか。おかげで広島弁=怖い、というイメージが定着してます。私、生まれも育ちもこの映画の舞台となった某市なのですが、聞いたことない広島弁も多々あった。私が小さい頃には、確かにいかにもその筋の人なコワモテな兄さんたちが街を闊歩してましたが、今は絶滅してしまったかのように見なくなりました。この映画といい、大ヒットしたアニメ「この世界の片隅で」といい、地味な田舎町だと思ってたmy hometownって意外とスゴいかもと、ちょっと郷土愛が深まりました。やくざの無法地帯な抗争や戦争の爆撃が、ここであったんだな~と、日々の暮らしの中では全く実感できずにいる私です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どチンピラ

2017-03-16 | 日本映画
 渡瀬恒彦が、とうとう逝ってしまいました…
 つねぴー、大好きでした…覚悟はしていましたが、こんなに早くお亡くなりになるとは…今は安らかにお眠りくださいと、悲しみをこらえて祈るしかないです

 追悼・渡瀬恒彦①
 「鉄砲玉の美学」
 露店でウサギを売るしがないチンピラの清は、組から鉄砲玉に抜擢される。拳銃と100万円を与えられ、意気揚々と敵地に向かう清だったが、なかなか役目を果たせないまま時が過ぎて…
 任侠映画で名を馳せていた中島貞夫監督が、自由な発想と手法を求めてATGで撮った、1973年の異色のやくざ映画。今ではカルト的な人気がある作品だそうです。確かに、ちょっと他にないような粗削りで斬新な内容、演出でした。ぶっとんだ狂いっぷりが、何だか岡田あーみんの漫画みたいで笑えた。今の邦画では不可能な台詞、描写のオンパレードで、唖然となりつつも怒涛の勢いに楽しく最後まで流されてしまいました。

 清役の渡瀬恒彦、超カッコよかった!当時29歳のつねぴー、当たり前ですが、わ、若い!晩年は2時間ドラマなどで優しそうな好々爺になってたつねぴーですが、70年代ヤクザ映画で大暴れしてた頃の彼は、晩年の彼とは別人のような激烈さ、そして色気が濃密な男前!
 若きつねぴー、めっちゃハイテンション!イカレポンチすぎて怖いです。イカレてるんだけど、すごく可愛い!大物になるんじゃー!と大はしゃぎ、浮かれまくってタガが外れて大暴走。張り切ってはみたものの、カッコいい極道になれず、滑稽でみじめな野良犬のまま自滅してしまうつねぴーが、悲しくも愛しい映画です。

 つねぴーの狂気的おバカ演技が、とにかく強烈。喋りかた、わめきかたが、何だか吉本新喜劇の吉田裕みたいで笑えます。ギャーギャー大騒ぎ、大暴れしてるつねぴーは怖くて笑えましたが、天真爛漫すぎる笑顔や無邪気な言動は愛嬌いっぱいでキュンキュンします。清みたいに、ピュアすぎて社会の常識や規範に従えず、ヤクザになってしまう人って多いのかもしれません。

 関わったらひどい目に合うとは判っていても、ついほっとけず心ほだされてしまう清の、クズだけどゲスではない不思議な優しさ、哀しさ。こういう男を演じて魅力発揮するつねぴーは、やはり稀有な俳優と言えましょう。
 インパクト強烈な演技、シーンてんこもりですが、特に私が好きなのは、やくざになる前の調理師だった頃の清が、便所の個室で卑猥な落書きしながらシコシコし始めるシーン。つねぴーの表情と手の動きときたら!ヤバ、思い出し笑い!

 若いけど男の色気がハンパないつねぴー。女たちとの情交シーンは、どれもエロかったです。スーツ姿とかだとスラっとして見えるけど、脱いだらムチムチがっちりした裸、浅黒い肌がセクシー。鬼の形相で朝まで女をガンガン攻め立てるつねぴー、裸のまま女にハイハイさせて馬乗りになるつねぴー、風呂場で女に全身をすらせるつねぴーetc.女と同じ目に遭いたい♪と思ってしまいました。
 あと、音楽も耳に残ります。頭脳警察というロックバンドの『ふざけんじゃねえよ~!!♪』というフレーズが、観終わった後しばらく脳内をグルグルとリピートしてしまいます。サントラ、欲しいかも♪
 
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夫には内緒で…

2017-03-12 | 北米映画 15~21
 「マリアンヌ」
 第二次世界大戦下のモロッコ。カナダ人工作員のマックスは、フランス人工作員のマリアンヌと組んでナチスドイツの要人暗殺計画を遂行する。恋に落ちたマックスとマリアンヌは、結婚し生まれた娘とロンドン郊外で幸せに暮らしていたが、ある日マックスは上官からマリアンヌに関する恐ろしい秘密を知らされて…
 久々に見たブラッド・ピット。彼ももう53歳、いろいろあり過ぎた私生活の心労で、すっかり所帯窶れしてしまってるのかな、と思いきや、この映画のブラピ、すごく若く見えてビツクリ。同世代のジョニー・デップやトム・クルーズとか、強引な若作りと加齢劣化が無残にせめぎ合う風貌になってるけど、ブラピは驚異的にきれい。あまりにも若々しいので、イヂった?それとも映像加工処理?!疑惑を抱かずにはいられませんでした。でもやっぱ、ブラピはいい男ですね~。美男子なブラピに会えるのが、この映画最大の売りでしょうか。

 ブラピといえば、若かりし頃は殊更エキセントリックな役を選び、小汚い風体をすることで、美貌崩し、イケメン隠しに躍起になってましたよね。もったいない!天邪鬼すぎる!と思いつつ、美しくない者は解からない苦悩、屈折があるんだろうな~とも。そんなブラピですが、ごくたま~に素の美男ぶりも見せてくれます。この新作もその貴重な一本でした。ちょっと不気味なほど年齢不詳顔だったけど、さすがにもうイケメンとは形容しがたく、顔はきれいでも雰囲気とか体つきは、年齢相応におじさんになってるかも。

 この映画でもブラピ、すごく優しそうなところが素敵です。実際の彼も、大スターなのに人柄よさそうですよね~。女の趣味がおかしい、それ以外は完璧な男かも。マリアンヌや生まれた赤ちゃんへのスウィートさには、こんな旦那さん、パパほしい~!と思わずにはいられませんでした。ヒゲがないと、童顔で可愛い。奇矯な役や演技より、ジェントルな時の彼のほうが魅力的です。女優と濃密に絡むブラピも、滅多に見られないので貴重です。ブラピ、珍しく?ラブシーン頑張ってました。砂漠でのカーセックスや、寝室での夫婦の営みでは、お尻出して激しく腰を振ってた!まさか御年53のブラピのケツが見られるとは。予期せぬ嬉しいおまけでしたおちり、デカくて肉厚で、わし好みでした♪

 マリアンヌにフェ○されてエロい顔したり、キムタクなら絶対やらないような大人のシーンも頑張ってたブラピですが。何だろう、エロくはないんですよね~。若い頃から、ブラピってセクシーだけどエロくはなかった。濡れたような潤いがなく、何となく乾いてる感じがする。おじさんになって、ますますカサカサ化してたような。でも、シックスパックなバキバキ筋肉質だった若い頃よりも、ちょっと崩れて脂がのったムチムチした今の体のほうが、私は好きかも。ブラピのフランス語が聞けたのも嬉しかった。お上手に聞こえたけど、フランス人からしたらどうなんでしょうか。

 いろいろ頑張ってたブラピですが、何かすべてにおいてぎこちないというか、表情が固まってたり乏しかったりしてたような。マックス役、彼にはちょっと若すぎるかも。どう考えても、マックスはアラフォー男ですし。30半ばのカナダ人、ライアン・ゴズリングが最適だったかも?
 マリアンヌ役は、ハリウッドで美味しい役いただきまくってるマリオン・コティアール。美しさもスターのオーラも今が盛り、もはや大女優の風格さえ漂うマリ子です。ハリウッド女優にはない高雅な色香、ミステリアスさが、さすがフランス女優。彼女のレトロでエレガント、かつ斬新なファッションも目に楽しかった。マリ子、華やかな美人ですが、小顔からはみ出さんばかりの大きな瞳、唇がたまに怖い。エマ・ストーンに似てる?今はマリ子とか絵馬石みたいな派手な漫画顔がトレンドなのでしょうか。

 お話じたいは、そんなに面白くなかったのが残念。ラブロマンスとスパイサスペンス、どっちもたっぷり無理やり詰め込もうとして、大事な部分があふれてこぼれてしまった、みたいな感じ。マリアンヌには、もうちょっと怪しい言動してほしかったかも。砂漠やロンドン爆撃シーンなど、わざと合成っぽくしてた映像がまさに映画的で、さすがは数々のユニークな作品を撮ってきたロバート・ゼメキス監督です。でもゼメキス監督、恋愛映画やサスペンス映画など、奇抜な映像よりも物語のほうが重要な映画には向いてないかも。過去の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「永遠に美しく…」みたいな、SFテイストのコメディこそ、監督が最も手腕を発揮できるジャンルなのでは。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悲劇の9日間女王

2017-03-08 | イギリス、アイルランド映画
 「レディ・ジェーン 愛と運命のふたり」
 16世紀のイギリス。権力を握るジョン・ダドリーは、病弱な国王エドワード6世の後継者として王族のジェーン・グレイに目をつけ、彼女に自分の息子ギルフォードとの政略結婚を強いる。はじめは反発し合っていたが、しだいにジェーンとギルフォードは深く愛し合うように。エドワード6世亡き後、ダドリーの目論見通りジェーンは女王の座に就くが…
 大学生の時に訪れた憧れの街ロンドン。有名な美術館ナショナル・ギャラリーで見た恐ろしくも美しい名画「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は、私に強い衝撃と深い感銘を与えました。以来ずっと、在位わずか9日という悲劇の女王は、私の胸に焼き付いていました。念願かなって、ジェーン・グレイをヒロインにしたこの映画を鑑賞。英国美青年ブーム真っただ中の1986年に制作された作品です。

 ↑「レディ・ジェーン・グレイの処刑」すごいインパクトでした…この絵に再会すべく、もう一度ロンドンに行きたい
 高貴な身分に生まれながら、母親から拷問されるわ、政略結婚させられるわ、無理やり女王にされて挙句は処刑とか、もう波乱万丈どころじゃない有為転変、しかもたった17年の短すぎる激動の人生は悲劇以外のなにものでもないのですが、この映画のジェーンはナショナルギャラリーの絵画から受けるイメージとは違い、か弱くはかない乙女ではありませんでした。これはもう、ジェーンを演じたヘレナ・ボナム・カーターの個性によるものでしょう。当時18歳、「眺めのいい部屋」に先立つ初主演作です。

 パートナーだったティム・バートン監督作品で、すっかり怪女優になってしまったヘレボナさんですが、若かりし頃の彼女はコスチュームプレイの姫君と讃えられたほど、英国時代劇御用達女優だったんですよね~。実際にも貴族の出で、親族にイギリス首相もいたというやんごとなきプロフィールも、ハリウッド女優にはないヘレボナさんの武器でした。

 お嬢さまを気取ってるアメリカのセレブ女とは違う、モノホンの令嬢であるヘレボナさんですが、たおやかで上品というステレオタイプなお嬢さまではないところが、ヘレボナさんの魅力ではないでしょうか。とにかく彼女、気が強そう!そのへんのスケバン(死語)もたじろがせるだろう鋭い眼光。楚々とした風情でも慎ましいキャラでもなく、どこかふてぶてしく天衣無縫。小柄で華奢な見た目は可憐な少女だけど、中身は男なんじゃないかと思うほどタフで凛々しい。それでいて、隠せない育ちの良さ。そんなヘレボナさんが演じてるので、悲劇の女王ジェーン・グレイも可哀想な犠牲者で終わっておらず、過酷な運命に怯まなかった気丈なヒロインに見えました。

 それにしても…権力争いの果てに非業の死を遂げた人はあまたいますが、このジェーン・グレイも本当にあったこととは信じがたいほど悲惨。彼女のたどった運命は、王族などより平凡な庶民、いや、賤のあばら屋に生まれたほうがマシ、とさえ思わるほど無情さ、非道さです。でもでも、夢見がちな凡下の身としては、ジェーンの美しい悲劇に憧れたりもしちゃうんですよね~。庶民凡人には、どんなに長生きしても決して味わえない、ギュっと歓びとか充足感が凝縮した濃ゆい太い人生。ぱっと夜空に華やかに咲いて、ぱっと消え散る花火みたいな人生。憧れれつつ、やっぱ死刑はイヤだ!とも思います

 ジェーン・グレイだけでなく、その夫となったギルフォードも権力闘争の犠牲者。でも、二人が束の間ながら愛と情熱に満ちた幸せな夫婦になれたのが、せめてもの救い、かつ最大の悲劇でした。ギルフォード役は、「アナザー・カントリー」の美少年っぷりが忘れがたいケイリー・エルウェス。

 美少年が美青年に成長!ギルフォード役のケイリー、そのキラキラっぷりハンパねー!サラサラなブロンド、白い肌、スラっとした長身、まるで少女漫画から抜け出したかのような王子さま!悪辣な陰謀家である父や、理不尽・不平等な社会への不満のせいで、ふてくされ飲んだくれてたダメ男ギルフォードが、ジェーンと反発し合いつつ仲良くなっていく様子はちょっとラブコメ調で可愛く、情熱的でロマンティックな関係になってからの、大胆だけど微笑ましいラブシーンでは、ヘレボナさんもケイリーも一糸まとわぬ姿を披露するなど、若さで溌剌とした初々しく瑞々しい二人がまぶしいです。

 悲運の中にあって、あまりにも純真で無邪気だったジェーンとギルフォードが哀れだけど、汚れた大人になって汚れた人生を歩むことなく、ピュアなまま運命に見苦しく抗わなかった二人の姿に、当時の英国王族はみんな常に権力と破滅は紙一重、という覚悟と誇りをもって王座争いをしていたんだな~と感心するやら戦慄するやら。
 それにしても。子どもたちを断頭台へと送る両親の鬼っぷりときたら!権力のために、そこまでするか?!子どもなど、政治のコマにすぎない。ギルフォードの父ジョン・ダドリーも鬼でしたが、ジェーンの母フランセス(The Tudorsのチャールズ・ブランドンの娘!チャーリー、恐ろしい娘つくったね~…)の毒親っぷりにはゾっとしました。この鬼母、ジェーンを置いて宮廷から脱出するわ、ジェーンが処刑された後もシレっとメアリー女王に仕えてるわ、ほんま地獄に堕ちてほしいクソ女でした。でもあのすべてを犠牲にしても生きる!というサバイバル力は見習いたいです。

 ジェーンとギルフォード以上に哀れだったのは、少年王エドワード6世(The Tudorsのヘンリー8世の息子!)。同じ薄命でも、ジェーンとギルフォードは、愛と情熱を味わえただけ幸せ者。エドワード6世ときたら、苦痛と孤独しかなかった人生でしたし。これは暴虐のかぎりをつくした父王、ヘンリー8世の悪行が祟ったせいとしか思えません。最終的には勝利者となったメアリー1世も、女としてはみじめで悲しかった。メアリー女王の狂信、頑なに信仰を貫くジェーン。「沈黙」もそうでしたが、宗教が重い暗い影となって、人々の人生を左右するところも怖かったです。TVドラマ「Tudors 背徳の王冠」と、有名なエリザベス1世の時代とのちょうど中間の物語で、陰謀渦巻く血塗られた英国王室ドラマのファンは必見の時代劇です。内容だけでなく、コスチュームやお城なども目に楽しい。きらびやかで華やかなフランス王宮ものよりも、質実剛健でシンプルなイギリス王宮のファッションのほうが、私は好きかも。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紳士を夜這い

2017-03-05 | イギリス、アイルランド映画
 「モーリス」
 20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。モーリスは名家の子息クライヴと恋に落ちるが、クライヴは肉体関係を拒絶し女性と結婚。傷つき自分の性癖に悩むモーリスは、クライヴの家の下男アレックに迫られ…
 80年代に英国美青年ブームを巻き起こしたBL映画の金字塔。初めて観た時はネンネなお子ちゃまだったので、繰り広げられる男同士の恋愛にはただもうお口あんぐりでした。ほとんどSF映画を観てる気分だったというか。久々に観てみると、何も知らなかった頃とは違った感想、発見もあり、しみじみと年月の経過、そして自分の加齢を痛感するのでありました

 英国美青年のBL映画といえば、耽美でスノッブなイメージが強いのですが、この「モーリス」は…こんなにライトでスウィートな映画だったっけ?!リアルで生々しいLGBT映画やドラマを観狎れてしまった目には、まるで上質の少女漫画のように映りました。醜く汚く世知辛い現実から、心だけでも逃避したい腐にとっては、まさにうってつけの甘く優美なファンタジーです。そう、これよ、これなんだよねBLって!と陶酔しちゃいましたわ。

 イギリス、名門校の男子寮、貴族…BLとしての舞台、整いすぎ!もちろん、BLを奏でるのは美青年オンリー。ブサイクは厳禁なんです!オーソドックスかつ理想的なBLの鉄の掟が、完璧に守られている映画なのです。シリアスで切実なんだけど、決して悲劇的ではなく、ドロドロしてない重苦しくない小難しくないところも、日本の腐から絶大な人気と支持を得ている要因でしょうか。男同士の性的シーンも、ほどよくセクシュアル。それも腐には心地よい。激しすぎる生々しすぎるズコバコには、腐はドン引きするだけですから。
 前半は、モーリスとクライヴの友だち以上恋人未満な関係。後半は、モーリスとアレックの身分違いの恋。どっちも大真面目なんだけど、何だろう、決してコメディではないはずなのに、随所にクスっと笑ってしまう(私だけ?)シーンや台詞があるんですよ。まず、モーリスとクライヴの噛み合わない恋愛感情が滑稽。あくまでプラトニック希望(キスまでならOK)、モーリスがちょっとでも純愛を逸脱しそうになると、待ったをかけて逃げる現実的で小心者なクライヴ。彼に振り回され、一喜一憂してオロオロしたりションボリとしたりするモーリスが、可哀想だけど可愛くて。同性愛は病気!と思い悩むモーリスが、知り合いの医者にオチ○チンを診てもらったり、怪しげな催眠治療を受けたり。そのデスパレートさは、かなり珍妙で笑えました。

 当時のイギリスでは、同性愛は犯罪。捕まってブタ箱に入れられたり(ホモ狩りみたいなハニートラップ、怖い!)、致命的なスキャンダルになって破滅したり、ゲイの受難と苦難、生きづらさも興味深く描かれてます。クライヴがチキンになるのも至極当然。決して卑怯者ではありません。その保身には、むしろ共感。堂々とLGBTの権利と自由を叫ぶ現代では、決して成り立たない隠微で甘美なシークレットラヴ。やっぱBLの醍醐味はこれですよね~。秘してこそ花な愛。秘めた想い、抑圧された欲望に悶悶としつつ、友だちづきあいを続けるモーリスとクライヴの精神力の強さも驚異的でした。

 私は前半のモーリス♡クライヴ編よりも、後半のモーリス♡アレック編のほうが好き!アレック、腐心をグワシと掴む攻めキャラ男子なんですよ~。その大胆かつ可愛すぎる行動、台詞にモーリスのみならず、腐もダダ萌えアレックのモーリスに向ける、カッケー紳士だな!という憧れと、こいつとヤりてぇ~!という欲望が混じった、キラキラメラメラしてる瞳がたまりません。

 ↑このシーンが、何でもないようでいて、すごくロマンティックで好き。このハシゴが…
 高慢ちきな上流社会の連中にコキ使われ、名前も覚えてもらえない扱いをされてる下男アレック。モーリスのちょっとした、人間として当たり前の優しさに触れて落ちる彼の恋が、イギリス階級社会の厳しさ、冷たさを教えてくれます。遠くから見つめるだけ、ちょっと言葉を交わすだけでは物足りなくなったアレックが選んだラブモーションは、何と!夜這い!男が男を夜這いって、すごい衝撃的でしたわ!窓から入ってくるアレックに硬直、まさにヘビに睨まれたカエルなモーリスの様子も笑えた。

 男同士の全裸の絡みも、幼心にはショッキングでした。朝ベッドでイチャイチャしてる二人が、すごくエロくて微笑ましい。クリケット中に交わす二人の視線にも胸キュン。でも、同性愛だけでなく身分差という障壁もあって、もちろんラブラブ状態のままではいられません。今度はモーリスがチキン化。逃げるモーリスを一途に待ち続け、追っかけてくるアレックが、切なすぎ可愛すぎ!モーリス、ほんと幸せ者!と、羨望しか感じないハッピーエンドでした。
 モーリス、クライヴ、アレックを演じた英国男優たちの好演も、いまや伝説となってます。

 モーリス役のジェームズ・ウィルビーは、何となくカープの福井優也に似て見えた、のはきっと私だけでしょうねふっくんをスマートに上品に優しくした感じ。クールで気高い紳士の顔と、禁断の恋に狼狽える未熟な若者の顔のギャップを、繊細かつ豊かな表情で熱演してました。クライヴ役のヒュー・グラントは、当たり前ですが、わ、若い!きれい!今はシワクチャですもんね。この後ハリウッドでまさかのラブコメ帝王になったグラント氏ですが、クライヴを演じてる彼にはすでにコメディの才能の萌芽が見てとれます。クライヴもかなり、グラント氏が十八番とする憎めない調子がいいダメ男っぽいですし。モーリスの妹に包帯グルグル巻きにされた姿など、かなり笑えます。
 3人の中で私が最も好きなのは、アレックを演じたルパート・グレイヴス。

 か、可愛い!しかも、めっちゃ男♂だし!私の部屋にも、夜這いに来てほしいわ大胆な脱ぎっぷりもアッパレでした。おちりも可愛かった。ルイ・マル監督の遺作「ダメージ」の彼も可愛かったですよね~。

 BL映画なのに、3人とも全然ゲイゲイしくもキャマキャマしくもない。それも腐の理想にかなってます。ヒュー・グラントなんて、この映画でも女好きにしか見えませんし。ヒュー・グラントはシワクチャになっても映画で活躍してますが、ジェームズ・ウィルビーとルパート・グレイヴスは、主に英国のTVドラマで地道に俳優業を続けてるみたいです。ルパートはバッチさんの「シャーロック」にも出てますね。往年の面影はあるけど、可愛かったアレックはもういない…
 映像も衣装もロケも美しく、BLに興味がなくても「ダウントン・アビー」とか英国ドラマが好きな方なら、ぜったい観るべき映画です。「眺めのいい部屋」など、英国の上流社会もの映画で一世を風靡したジェームズ・アイヴォリー監督は、カリフォルニア生まれのアメリカ人!今でも映画は撮ってるのかな?日本ではちっとも新作が公開されなくなりましたよね~。アイヴォリー監督作の常連だったヘレナ・ボナム・カーターが、チョコっとだけゲスト出演してます。
 それにしても。英国のハイソな人々の優雅でリッチな生活には憧れるけど、食事のたびに正装しなきゃいけないのが大変そう。普段でもキチっとパリっとした服を着てないといけないみたいだし。服装だけは、日本の庶民のほうがいいや!と思わせます
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荒野のイケメン!

2017-03-03 | 北米映画 15~21
 「マグニフィセント・セブン」
 悪徳実業家ボーグに支配された町ローズ・クリーク。夫を殺されたエマはボーグ一味を倒すため、賞金稼ぎのサム・チザムやギャンブラーのファラデーらを雇うが…、
 日本公開の暁には真っ先に観ようと息巻いてたのに、気づけば上映終了間近に慌てて劇場に向いました~。
 日本が誇る巨匠、黒澤明監督の「七人の侍」のリメイク「荒野の七人」のリメイク?リメイクのリメイク?どちらの作品も観てないので比較できないのですが、この映画もすごく面白かったです。西部劇はあまり心惹かれるジャンルではないけど、いい男たちが大暴れする姿はやっぱ胸躍りますよね~。この映画、豪華キャストも話題になりましたが、出演者の中で私が特に楽しみにしてたのは、クリス・プラットとイ・ビョンホンです。私の新アメリカの恋人と、私の韓流初恋男を、まさか同じ画面で見る日が来ようとはハンバーガーとビビンバを同時に食べた気分だわ。
 まず、クリス・プラット

 胡散臭いけど陽気でスゴ腕のガンマン、ファラデー役のクリプラ。ちょっと前までは、主人公の親友役とか同僚役とかが定位置だった彼も、立て続けに大作の主役に起用され大ヒット連発、今や押しも押されぬハリウッドきってのスターに。とはいえ、見た目も仕事選びも高飛車なところがなく、オスカー狙う!的な勘違い演技派志向もないところが、クリプラのいいところ。今回も、いつものクリプラで安心。ライトでコミカルな役と演技が、やはり彼にはいちばん似合いますよね。明るく人が善く、女好きで腕っぷしが強いタフガイなクリプラ、まさに私の理想のアメリカンいい男。幼き私をときめかせたジェフ・ブリッジスを彷彿とさせます。ジェフブリのようなセクシーさが加われば無双!

 コミカルなだけでなく、ハードで悲壮なクリプラのカッコよさにも、胸ズキュンバキュンされました♪ かつてはイケポチャ(イケてるぽっちゃり)俳優だったけど、スターになってからは体を絞ってマッチョな肉体美も備えたクリプラですが、この映画ではちょっとだけリバウンド?デブではないけど、かなり恰幅がよくなってた。背も高いので、仲間たちがみんな小さく見えてしまった。デカくても威圧感ゼロなところが、クリプラらしくて好き。
 そして、イ・ビョンホン

 ハリウッドでも活躍中のビョン吉。真田広之にちょっと仕事譲ってあげてほしくなるほど、大作で大物俳優たちと共演が続いてますが、やっぱハンパなハリウッド俳優なんかより男前デカいアメリカ人に囲まれると、まるで子供のような小ささですが、忍者のようなシャープで俊敏な身のこなしに瞠目!アクションは誰よりもキレッキレでした。男の色気も7人中随一。

 その小回りの効いた動き、銃弾を使わずナイフや素手で敵を倒すエコさなど、ダンプカーの中に混じった小型のハイブリット車みたいだったビョン吉。イーサン・ホーク扮するグッドナイトとの、ちょっとBLっぽい関係にも萌え~。クリス・プラットとはあまり絡まなかったのが残念。ハリウッドではミステリアスでエキセントリックな殺し屋、みたいな役が定着してしまってるみたいなビョン吉。もうちょっとフツーのアジア人な役もやらせてあげてほしいなあ。

 主役のサム・チザム役は、自身の監督作「フェンス」で今年オスカー候補となった名優デンゼル・ワシントン。さすがの貫禄!クリプラやビョン吉など、彼の前ではまさに小童です。ストイックで義侠心あるキャラは、まさにデンゼルさんの十八番。絶対に勝つオーラびんびんで、悪党どもがみんな雑魚に見えて仕方なかった。悪のボス役のピーター・サースガートは、いい役者だけどデンゼルさんに太刀打ちできる気配は微塵もなく、戦う前からすでに敗北してました

 伝説的なガンマン、グッドナイト役のイーサン・ホークが、すっかりお爺さんになっててビツクリ!老けメイク?!「トレーニングデイ」でも共演してた年上のデンゼル・ワシントンのほうが若く見えた。ラテン系のマヌエル・ガルシア・ルルフォもいい味だしてました。
 ラストの壮絶なバトルでは、みんな死なないでー!せめてクリプラとビョン吉だけは生き残って!とハラハラさせられました。でも、何でみんなあんな自殺に近い戦いに身を投じたのでしょう。何の義理もないし、莫大な報奨金がもらえるわけでもないのに。特にファラデーとか、キャラ的にもすんなり参加しそうにないはずなのに。まるで桃太郎(サム・チザム)のお供になって鬼退治、みたいな6人だった。キビ団子がなかったけど…

 ↑もうすぐ「パッセンジャー」が日本公開のクリス・プラット。さらに「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の続編も待機中!クリプラファンには嬉しい年になりそうですね(^^♪

 ↑そろそろまた男汁ダダ漏れなビョン吉に会いたいハリウッドだけでなく、本国でも精力的に仕事してるビョン吉さん。カン・ドンウォン共演の「マスター」では久々の悪役。オーストラリアロケの「シングルライダー」の彼も素敵そうです
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする