「君のいないサマーデイズ」
人気者リュドが交通事故で瀕死の重体となるが、仲間のマリーやマックス、ヴァンサンらは例年より早く帰ってくることにしてバカンスに出かける。表面的には楽しく過ごしながらも、それぞれ問題や悩みを抱えている彼らはいつしか…
「唇を閉ざせ」も高く評価された、俳優ギョーム・カネ(以後、カネやん)の監督作。日本でも一世を風靡した「男女7人夏物語」みたいな、コメディタッチの恋愛群像劇です。
最初は、ちょっと登場人物が多すぎるなあ、話が散漫に中途半端になるかも?と心配でしたが、どのキャラも偏りなくダラダラしたエピソードや動きを重ねたりせず、ちょっとした台詞やシーンで彼らの人柄や現状をユニークかつ解かりやすく描けていて、なかなか手際のいい演出と脚本だったように思えました。
フランス人って、クールでドライな個人主義ゆえに必要以上に他人や家族の心や生活に立ち入らない、のかと思ってたのですが、この映画の仲良しグループは喜びも悲しみも分け合い、かなり緊密でベタベタしていたので驚きました。晴れた日だけでなく雨の日も友だち!という厚い固い友情って、憧れる半面ちょっと重いかも。友情だけでなく、恋人や夫婦の愛情も絡んできて、ああ人間関係ってめんどい、けど、それを避けて生きれば苦しみや痛みを味わわずにすむと同時に、歓びや幸せも知ることができなくなるんだなあと、しみじみ自分の希薄な人間関係を省みてしまいました。でも、愛する家族や友だちにも見せない見せたくない部分を保つための距離も、大切で必要だと思う…嘘や秘密があると、愛情や友情は成り立たないのでしょうか?本当の自分を晒してたら愛や友情を失うかもしれないという不安は、彼らを信用してない証拠であり、自分が傷つきたくないだけという単なる自己愛なのでしょうか。
まだ蒼い少年少女ではなく、酸いも甘いも噛み分けた熟年男女でもなく、地に足つけなきゃいけないのに何となくフラフラしてるアラフォー男女の実態は、日本もフランスも同じなんだなあとイタい共感も。いちばん好き勝手やってる年代ですよね。その自由さと不安定さが、笑いとセンチメンタリズムに包まれて描かれていたのがよかったです。
かなり笑えるシーンや台詞が多く、ドタバタにならない程度のハイテンションさと、オゲレツに堕さないセンスある下ネタがクスップっとさせてくれました。脚本も秀逸なのですが、俳優陣の個性と演技こそこの映画の魅力といえるでしょう。フランス映画ファンにとっては、なかなか豪華なキャストです。「唇を閉ざせ」もそうでしたが、カネやんって若いのに人望も人脈もあるんですね。才能があるだけでなく、人格者でもあるんだろうな。そうじゃないと、こんなに人気俳優は集まらないと思うし。カネやんだからスケジュール調整して、安いギャラで出てくれてるに違いありません。
マリー役は、カネやんの実生活でのパートナーでもあるマリオン・コティアール。今やオスカー女優のマリ子、彼女のフランス語を聞いたのは久しぶりな感じ。ちょっとビッチだけどサバサバしたオトナの女な役で、すごくカッコよかったです。癖のある役が多かったせいか、いつになくナチュラルな感じの風貌にも好感。初めてマリ子が可愛く見えた。青いパーカがシンプルかつオシャレだった。あれ欲しい。
この映画を観たのは、もちろんブノワ・マジメル目当てさ♪
ブノワファンの皆さん、この映画はガチで必見ですよ!だってだって、最近おやぢ化が深刻に進行中だったブノワが、久々にカッコカワイいイケメンにカムバックしてるんですから!クールだけどキュートな童顔、メタボだった体もガッチリムッチリしたゴリマッチョに。厚い胸板と太い二の腕を誇示する汗だくの筋トレシーンがセクシーです。
↑ゴツカワなブノワのサービス無駄脱ぎに眼福♪
見た目もイケてたブノワですが、役がこれまたやってくれてるんですよ。妻子がありながら、男、しかもオッサンに片想いしてる男前整体師ヴァンサン役のブノワ、腐心をズキュンバキュンする演技に萌えまくり。
↑おっさんを押し倒し…ではなく、残念ながら整体の仕事中のシーン
誰よりも男らしく頼りになる男なヴァンサンの、中年おやぢマックスへの切ない告白、やるせない視線、ときめいてる表情…ひえ~ブノワ、あんたやっぱ役者やのお。こんなにまで恋に可愛く揺れてるブノワ、初めて見た。相手がおっさんだという滑稽さや悲しさも、なにげない仕草や顔つきにもよく表れてて、悲喜こもごもなブノワの巧演を楽しめます。あんな夫、いたら嬉しい、けど困るよなあ。片想いがみんなにバレて場が凍りつくシーンは、かなりイタタ!で、可哀想なブノワに胸キュンキュンです。
↑おっさんへの秘めた想いに瞳ウルウル&胸ドキドキしてるブノワ、可愛すぎる
マックス役は、「唇を閉ざせ」でセザール賞を受賞し、最近では「最強のふたり」が大ヒットしたフランソワ・クリュゼ。神経質に難しい顔しながら、アタフタジタバタ動き回る彼の存在が、やはり最も目立ってて笑えます。ヴァンサンに告られて大困惑、でも表に出さないようフツーに振る舞おうとするけど、それが異様に不自然なところが珍妙。無意識にLOVEモーションを送ってしまうヴァンサン、それやめろよ!いい加減にしろ!と怒るマックス、その繰り返しはまるでコントみたいです。特に、サッカーの練習シーンとボート座礁シーンのブノワ&クリュゼおじさんのやりとりには大笑い。海で水着が脱げてしまいケツ丸出しで引き上げられるなど、日本の名優と呼ばれる人にはできないクリュゼおじさんのトンマな演技に拍手。「唇を閉ざせ」でも感じたけど、カネやんはクリュゼおじさんが大好きなんだなあ。ヴァンサンは、もしかしたらカネやん自身とカブる役なのかも?それにしても。アラフォー男女の仲間内では、クリュゼおじさんだけ熟年で世代が違ってたけど。いったいどーいう仲間なんだろうか。
その他、リュド役は「アーティスト」でフランス男優初のオスカー受賞となったジャン・デュジャルダン。ほとんどが病院での悲惨な重体姿で出番は少ないので、彼のファンには物足りないかも。「唇を閉ざせ」でも印象的だったジル・ルルーシュが、濃ゆくてゴツいチャラ男を好演してます。
あと、この映画ちょっと長い…2時間半もあるので、いくら面白くても集中力のない私には少しキツかったです。
人気者リュドが交通事故で瀕死の重体となるが、仲間のマリーやマックス、ヴァンサンらは例年より早く帰ってくることにしてバカンスに出かける。表面的には楽しく過ごしながらも、それぞれ問題や悩みを抱えている彼らはいつしか…
「唇を閉ざせ」も高く評価された、俳優ギョーム・カネ(以後、カネやん)の監督作。日本でも一世を風靡した「男女7人夏物語」みたいな、コメディタッチの恋愛群像劇です。
最初は、ちょっと登場人物が多すぎるなあ、話が散漫に中途半端になるかも?と心配でしたが、どのキャラも偏りなくダラダラしたエピソードや動きを重ねたりせず、ちょっとした台詞やシーンで彼らの人柄や現状をユニークかつ解かりやすく描けていて、なかなか手際のいい演出と脚本だったように思えました。
フランス人って、クールでドライな個人主義ゆえに必要以上に他人や家族の心や生活に立ち入らない、のかと思ってたのですが、この映画の仲良しグループは喜びも悲しみも分け合い、かなり緊密でベタベタしていたので驚きました。晴れた日だけでなく雨の日も友だち!という厚い固い友情って、憧れる半面ちょっと重いかも。友情だけでなく、恋人や夫婦の愛情も絡んできて、ああ人間関係ってめんどい、けど、それを避けて生きれば苦しみや痛みを味わわずにすむと同時に、歓びや幸せも知ることができなくなるんだなあと、しみじみ自分の希薄な人間関係を省みてしまいました。でも、愛する家族や友だちにも見せない見せたくない部分を保つための距離も、大切で必要だと思う…嘘や秘密があると、愛情や友情は成り立たないのでしょうか?本当の自分を晒してたら愛や友情を失うかもしれないという不安は、彼らを信用してない証拠であり、自分が傷つきたくないだけという単なる自己愛なのでしょうか。
まだ蒼い少年少女ではなく、酸いも甘いも噛み分けた熟年男女でもなく、地に足つけなきゃいけないのに何となくフラフラしてるアラフォー男女の実態は、日本もフランスも同じなんだなあとイタい共感も。いちばん好き勝手やってる年代ですよね。その自由さと不安定さが、笑いとセンチメンタリズムに包まれて描かれていたのがよかったです。
かなり笑えるシーンや台詞が多く、ドタバタにならない程度のハイテンションさと、オゲレツに堕さないセンスある下ネタがクスップっとさせてくれました。脚本も秀逸なのですが、俳優陣の個性と演技こそこの映画の魅力といえるでしょう。フランス映画ファンにとっては、なかなか豪華なキャストです。「唇を閉ざせ」もそうでしたが、カネやんって若いのに人望も人脈もあるんですね。才能があるだけでなく、人格者でもあるんだろうな。そうじゃないと、こんなに人気俳優は集まらないと思うし。カネやんだからスケジュール調整して、安いギャラで出てくれてるに違いありません。
マリー役は、カネやんの実生活でのパートナーでもあるマリオン・コティアール。今やオスカー女優のマリ子、彼女のフランス語を聞いたのは久しぶりな感じ。ちょっとビッチだけどサバサバしたオトナの女な役で、すごくカッコよかったです。癖のある役が多かったせいか、いつになくナチュラルな感じの風貌にも好感。初めてマリ子が可愛く見えた。青いパーカがシンプルかつオシャレだった。あれ欲しい。
この映画を観たのは、もちろんブノワ・マジメル目当てさ♪
ブノワファンの皆さん、この映画はガチで必見ですよ!だってだって、最近おやぢ化が深刻に進行中だったブノワが、久々にカッコカワイいイケメンにカムバックしてるんですから!クールだけどキュートな童顔、メタボだった体もガッチリムッチリしたゴリマッチョに。厚い胸板と太い二の腕を誇示する汗だくの筋トレシーンがセクシーです。
↑ゴツカワなブノワのサービス無駄脱ぎに眼福♪
見た目もイケてたブノワですが、役がこれまたやってくれてるんですよ。妻子がありながら、男、しかもオッサンに片想いしてる男前整体師ヴァンサン役のブノワ、腐心をズキュンバキュンする演技に萌えまくり。
↑おっさんを押し倒し…ではなく、残念ながら整体の仕事中のシーン
誰よりも男らしく頼りになる男なヴァンサンの、中年おやぢマックスへの切ない告白、やるせない視線、ときめいてる表情…ひえ~ブノワ、あんたやっぱ役者やのお。こんなにまで恋に可愛く揺れてるブノワ、初めて見た。相手がおっさんだという滑稽さや悲しさも、なにげない仕草や顔つきにもよく表れてて、悲喜こもごもなブノワの巧演を楽しめます。あんな夫、いたら嬉しい、けど困るよなあ。片想いがみんなにバレて場が凍りつくシーンは、かなりイタタ!で、可哀想なブノワに胸キュンキュンです。
↑おっさんへの秘めた想いに瞳ウルウル&胸ドキドキしてるブノワ、可愛すぎる
マックス役は、「唇を閉ざせ」でセザール賞を受賞し、最近では「最強のふたり」が大ヒットしたフランソワ・クリュゼ。神経質に難しい顔しながら、アタフタジタバタ動き回る彼の存在が、やはり最も目立ってて笑えます。ヴァンサンに告られて大困惑、でも表に出さないようフツーに振る舞おうとするけど、それが異様に不自然なところが珍妙。無意識にLOVEモーションを送ってしまうヴァンサン、それやめろよ!いい加減にしろ!と怒るマックス、その繰り返しはまるでコントみたいです。特に、サッカーの練習シーンとボート座礁シーンのブノワ&クリュゼおじさんのやりとりには大笑い。海で水着が脱げてしまいケツ丸出しで引き上げられるなど、日本の名優と呼ばれる人にはできないクリュゼおじさんのトンマな演技に拍手。「唇を閉ざせ」でも感じたけど、カネやんはクリュゼおじさんが大好きなんだなあ。ヴァンサンは、もしかしたらカネやん自身とカブる役なのかも?それにしても。アラフォー男女の仲間内では、クリュゼおじさんだけ熟年で世代が違ってたけど。いったいどーいう仲間なんだろうか。
その他、リュド役は「アーティスト」でフランス男優初のオスカー受賞となったジャン・デュジャルダン。ほとんどが病院での悲惨な重体姿で出番は少ないので、彼のファンには物足りないかも。「唇を閉ざせ」でも印象的だったジル・ルルーシュが、濃ゆくてゴツいチャラ男を好演してます。
あと、この映画ちょっと長い…2時間半もあるので、いくら面白くても集中力のない私には少しキツかったです。