まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

オスカーラプソディ

2019-02-25 | 映画雑記
 アカデミー賞生中継を、今年もまったり観ることができました~(^^♪
 日本ではWOWWOWで観るしかないので仕方がないのですが…レッドカーペットの中継、ほんとに必要?去年もだったったけど、レポーターが大物にはスルーされまくりで、全然インタビューできないんですよ。石田じゅんいちの娘が、耳障りなキーキー声でミーハーに騒いでるだけで、これ誰得?視聴者へのイヤガラセ?な無駄な電波の垂れ流し。インタビューできないなら、やって来るスターをじっくり映してくれたらいいのに、それもせずに是枝監督&細田監督とスタジオとのトークが延々と続くだけ。日本人のノミネートは嬉しいけど華やかなハリウッドスターが見たい私は、ストレスが募るだけの内容でした。来年からは、もうセレモニー本番から観始めることにします。

 ↑ アダム・ドライバー、ブラッドリー・クーパー、ジェームズ・マカヴォイ いい男たちが続々と登場(^^♪
 で、いろいろスッタモンダがありましたが、つつがなく始まったオスカー授賞式。オープニングは本物のクイーンが登場し、掴みはOKなライヴで大盛り上がり。今年は司会者なし。長々と日本人には笑えないジョークトークしてるだけで時間の無駄な司会者なしだと、スムーズに進行する式典。残念だったのは、プレゼンターがやけに地味になってたこと。今をときめく人気スターとか超大物スターはほとんど登場せず、かなりビミョーなメンツばかり。アメリカでは名の知れた人かもだけど、日本人には誰?な人も多かった。
 今年も大好きなスターの姿には大興奮!中でも陛下ことチャドウィック・ボーズマンは、今年も目を惹く素敵なファッション!
  
 陛下、素敵~いい男ですね~殿下のみならず、最近はオスカーでもブラックビューティが華やかですね。候補者や出席者の中で特に気になったのは、やっぱファッションが奇抜だったり奇妙だったりする人たち。女優では、「女王陛下のお気に入り」で壮絶にバトルしたエマ・ストーンとレイチェル・ワイズ。絵馬石、魚?蛇?のウロコみたいなドレス。あれって、おしゃれなの?!レイチェル・ワイズは、カープファン?!な真っ赤。彼女の旦那であるダニエル・クレイグ、久々に見たけど爺さんになったな~。でも背筋ピシっ、筋肉でタキシードがピチピチで、お金もってそうな小粋でダンディーな爺さん。ジェニファー・ロペス、年齢に逆らいすぎな美魔女ぶりが不気味!候補者でもないのに、気合い入れすぎなファッションもKYすぎる。結婚式で花嫁より華やかな服を着て出席する非常識な女みたいでした。プレゼンターのジェームズ・マカヴォイ、相変わらず小さい!でも可愛い!トークもおちゃめでした。

 目玉のひとつだったのが、レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーの生デュエット。ブラパ、カッコよかった今年もブラパママがいた!レオママと並ぶ目立ちすぎママキャラです。以前はキワモノだったガガも、すっかりキャラ変しちゃいましたね。目立つといえばやはりこの人、スパイク・リー監督。大物監督というより、大物お笑い芸人なファッションと言動。脚色賞を受賞し、ステージに上がってサミュエル・L・ジャクソンに飛びつくスパイク監督が可愛かったです。2度目の助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリの奥さんのファッションもスゴかったわ~。

 後半になると、続々と主要部門の発表。注目されていた主演男優賞は、2度目を狙うクリスチャン・ベールVS初ノミネートのラミ・マレックの一騎打ち。多くの人が願った通り、ラミちゃん勝利

 自信があったのか、わりと落ち着いて見えたラミ。でも本当に嬉しそうでした。また新たなるスターの誕生ですね。私が最も気になってたのが、今年も主演女優賞。プレゼンターは、「スリー・ビルボード」のコンビ復活が嬉しいフランシス・マクドーマンド&サム・ロックウェル。

 名女優のグレン・クローズがついに、というのが大方の予想。私もグレンおばさま好きなので、そう願ってました。でも、こないだ観たばかりの「女王陛下のお気に入り」のオリヴィア・コールマンが強烈すぎたので、あの演技を超える演技なんてあるのかと思ってもいました。受賞の発表、蓋を開けてみれば…何と!オリヴィア・コールマン!ここで起きた!番狂わせ!

 ご本人がいちばんビツクリなリアクション。隣の絵馬石が歓喜のキス。男前のヨルゴス・ランティモス監督も嬉しそう。女王陛下、最多ノミネートなのにまさかの無冠で終わりそうな展開だったけど、土壇場でデカいのキター!!GG賞同様、ユーモアたっぷりにスピーチするオリヴィアさんに好感。グレンおばさま、無念!残念!これはもう名誉賞送りですね~。御気の毒、だけど、女王陛下を観た人なら納得の受賞かも。
 
 監督賞は、下馬評通りにアルフォンソ・キュアロン監督が2度目の受賞。プレゼンターが同郷メキシコの親友ギレルモ・デル・トロ監督ってのが、何だかヤラセを疑ってしまうほどのデキすぎ人選。キュアロン監督も俳優してもいいほどの男前ですよね~。メキシコといえば、プレゼンターで登場したディエゴ・ルナも、相変わらず可愛かった。ほぼ毎年出席してるガエル・ガルシア・ベルナル、今年は不在で残念。どうせなら、ガエルっち&ルナちんのコンビでプレゼンターしてほしかったです。
 いよいよラスト、作品賞。「ROMA」か「グリーンブック」か?プレゼンターは、日本ではすっかり過去の人、でもハリウッドでは今でも大女優扱いされてるみたいなジュリア・ロバーツ。彼女が発表したのは「グリーンブック」!ステージに上がった関係者の中には、去年「シェイプ・オブ・ウォーター」受賞で歓喜の輪の中にいたオクタヴィア・スペンサーの姿が今年も。近年のオスカー絡み作品には必ずといっていいほど出演してるオクタヴィアさん、ナニゲに幸運のマスコット的存在になってますね。最終的にはネット配信の外国語映画ではなくアメリカ製の劇場映画を選んだのは、ハリウッドの意地というか矜持でしょうか。

 あらためて、受賞結果。
 
 作品賞 「グリーンブック」
 監督賞 アルフォンソ・キュアロン
 主演男優賞 ラミ・マレック
 主演女優賞 オリヴィア・コールマン
 助演男優賞 マハーシャラ・アリ
 助演女優賞 レジーナ・キング
 外国語映画賞 「ROMA ローマ」

 受賞者の皆さん、おめでと!偏らず分配された感じでしょうか。今年も楽しいオスカーでした。ブラック、メキシコ、女性、のパワーが顕著な年でしたね。来年も観られるかな、ひょっとしたらこれが最後…って、お約束の繰り言は置いといて、観たい映画いっぱい!「グリーンブック」はもちろん、「ビール・ストリートの恋人たち」「ブラック・クランズマン」「COLD WAR あの歌、2つの心」etc.今年もLet's enjoy cinema life together!
 
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詩を書くバス運転手

2019-02-24 | 北米映画 15~21
 明日はオスカーの授賞式!昼から出勤なので、それまでまったり観る予定です(^^♪
 何だか最近、ゴタゴタ続きのオスカーですが、今年もいろいろ問題が噴出して穏やかでない話題ばかり。映画ファンの期待や喜びに水を差す大人の事情、深刻化が懸念されます。
 で、毎年ほぼ当たらないMYオスカー予想発表!
 
 作品賞 「ブラック・クランズマン」
 監督賞 スパイク・リー
 主演男優賞 ラミ・マレック
 主演女優賞 グレン・クローズ
 助演男優賞 リチャード・E・グラント
 助演女優賞 レジーナ・キング
 外国語映画賞 「COLD WAR あの歌、2つの心」
 
 こんなん出ましたけどぉ~?
 当たらないのは、予想というより希望だからですね作品賞、世間では、とりわけ日本では、大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」の受賞を願う人が多いようですが、あの内容で作品賞はないやろ~。でもまあ、「タイタニック」とか「恋に落ちたシェイクスピア」とかも獲ってるし、ありえないハプニングでもないでしょうか。主演男優賞は、クリスチャン・ベールに2個目をあげるより、ラミちゃんにあげるほうが新鮮で歓迎できますけれども。
 主演女優賞は、名女優のグレン・クローズがついに栄冠となりそう。彼女ほどのキャリアを誇る大女優が、好演したとはいえキワモノポップ歌手の映画デビュー演技に負けるなんてことになったら、可哀想すぎる!今日観ることができた「女王陛下のお気に入り」のオリヴィア・コールマン、かなり強烈な怪演でしたが、彼女なら今後まだ何度もチャンスありそうなので、今年はグレンおばさまに譲ってあげてほしいわ。
 助演男優賞は、こないだ獲ったばかりのマハーシャラ・アリより、英国のベテランバイプレイヤーのE・グラント氏に花をもたせてあげたい。大絶賛されてる「ローマ」よりも、「ブラック・クランズマン」と「COLD WAR」のほうが面白そうなので、蓋を開ければローマ惨敗な大番狂わせを期待してます
 オスカーにノミネートされてる映画の日本公開ラッシュで、映画ファンには忙しい春になりそうですね皆さまの要チェキ映画、おすすめ映画は?

 「パターソン」
 ニュージャージー州のパターソン。バス運転手のパターソンは、愛する妻とペットのブルドッグと穏やかに暮らしながら、ノートに詩を書き綴っていたが…
 スターウォーズシリーズのカイロ・レン役で一躍メジャー級のスターになり、今年はスパイク・リー監督の新作「ブラック・クランズマン」で初めてオスカー候補となるなど、まさにアゲアゲな最旬の男優と言ってもいいアダム・ドライバーですが、以前からインディーズ系の王子として意識高い系映画ファンの間では人気が高く、この名匠ジム・ジャームッシュ監督作品での彼も高く評価されました。

 地味だけど独特な風貌と雰囲気の持ち主であるアダム・ドライバー。イケメンなのかそうでないのか不思議な顔してます。ほぼ無表情で、優しそうだけど不気味でもある。ヌオオ~っとした巨体も、ちょっと怖い。手のひらと靴のデカさ、ほとんど巨人です。おとなしくて無害そうだけど、寡黙で無表情なので何を考えてるのかわからない、ひょっとしたらヤバい人なのかもしれない?実は殺人鬼だったなんて展開になるのでは、という静かな不穏さをずっと漂わせ、イヤな期待を抱かせてくれました。期待が外れて、安堵したようなガッカリしたようなたまに見せる笑顔が、すごく可愛かった!

 つかみどころのないミステリアスなアダム・ドライバーの個性が、詩人という役によく合ってました。奥さんとの親密なシーンの彼の、静かだけど優しく甘い演技も素敵でした。常に受け身で、ほとんど奥さんの言いなりなパターソンが可愛かったです。尻に敷かれた気弱で小心な夫では決してなく、理解と包容力があるいい旦那さんなパターソンですが、無邪気すぎる奥さんの言動に怒りもイライラもせず、いつも静かに受け流す様子は、何となく暖簾に腕押し、糠に釘な感じで、私が奥さんだったら不安になるかも。

 でも、心を開かない、心を許してない、な薄情さ、深刻さではなく、奥さんのことはすごく愛してるけど、愛で動揺したり壊れたりしない自分だけの世界がある、みたいなところが詩人なのかな、とも。詩人として世に認められたい!という野心も自己顕示欲も全然ない、無欲で淡々としてるところも。私には詩心がまったくないので、パターソンの詩がすぐれているのかそうでないのかは判りません。頭の中に詩的なフレーズが浮かんでくる人の感受性や語彙力が羨ましいです。

 パターソンの奥さんも、チャーミングなキャラでした。美人で可愛くて無邪気。料理やギターやデザインなど、あれこれ挑戦したがる気質にはちょっとイラっとしましたが、お金の無駄づかい、浪費も苦笑で許せる程度なところも可愛かった。バス運転手の夫のわずかな稼ぎで、のんきで楽しそうな専業主婦生活、いいご身分だな!パートでもしろよ!と思わないでもなかったが夫婦が二人そろって大らか(大ざっぱ?)で、細かいことを気にしない浮世離れした性格、やりとりが微笑ましかったです。愛する人のことばかりで心も生活もいっぱいいっぱいにしないって、恋愛や結婚生活を続ける上では大事なことですよね。奥さん役のイラン人女優ゴルシフテ・ファラハニは、「Altamira」ではピエール・ニネに恋される人妻役でした。エキゾティックな中東美女!

 パターソンが出会う日本人役で、キョンキョンの元夫こと永瀬正敏がチョコっと出演してます。パターソン夫妻のこじんまりとした、慎ましいけど生活感の薄い家が素敵でした。ペットのブルドッグの可愛さと名演も特筆に値します。ドラマティックなことは何も起こらない、淡々とした展開・内容なので、そういう映画が苦手な人はきっと睡魔に襲われます。かくいう私も何度か

 ↑メジャー大作でガッポリ稼ぎ、名監督の秀作で高い評価を得る、というアダム・ドライバーの仕事ぶりは、まさに俳優としては理想形ですよね~
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帰って来た魔女乳母

2019-02-19 | 北米映画 15~21
 「メリー・ポピンズ リターンズ」
 世界大恐慌時代のロンドン。妻を亡くし3人の子どもと暮らすマイケルは、抵当に入れていた家を銀行に奪われそうになり途方に暮れる。そんな中、マイケルと姉ジェーンの乳母だった魔法使いのメリー・ポピンズが空から再び現れ…
 今年初の劇場鑑賞映画。1964年の名作のリメイクではなく、半世紀を経ての続編。小さい頃にTVで観た前作は、オスカーを受賞したジュリー・アンドリュースの名演と有名な歌、そしてアニメとの合成は印象に残っているものの、内容はうら覚え。設定や人間関係などは、ほとんど予備知識なしで観ました。メリー・ポピンズが帰還したこの新作も、とっても目と耳に楽しいミュージカル映画でした。

 前作に比べると、かなり華美でド派手でダイナミックになってました。まるで夜のショーパブみたいなノリは、同じロブ・マーシャル監督の「シカゴ」を彷彿とさせ、お子さま向けミュージカルはさすがにちょっと…という大人の映画ファンも満足できるのではないでしょうか。ファンタジックシーンの驚異的なCG、ビッグベンやロンドンの街並みを再現したセット、カラフルな衣装など、金かけてるな~と驚嘆。まさに他国の追随を許さぬハリウッド、ディズニーの威信をまざまざと感じさせられました。

 ふんだんに盛り込まれた愉快で独創的な歌や踊り、ファタジックシーンの中でも、私が特に好きなのはバスタブから海中、男たちが踊り狂う夜のロンドン、そしてラストの風船で空、です。夜のロンドンでの男たちのダンス、そしてジャンプ台を使っての自転車のアクロバットなどは、かなりイマドキな演出。
 お話も、ヘンにハートウォーミングじゃなかったのが良かったです。お涙ちょうだいな感動押し売り、ベタベタしい情愛が苦手なので、深刻で湿っぽい家族関係や家族トラブルではなく、家が差し押さえられそうになる程度(まあ、これはこれで大問題ですが)のピンチでドタバタ騒いでるだけ、な話で安堵。マイケルと子どもたちとの親子関係も良好で、子どもたちもみんな賢くて良い子たちばかりなので、メリーいなくても大丈夫だったのでは

 メリーも基本的には、子どもたちにファンタジー体験させるだけで、あーしろこーしろと厳しく躾たりはせず、マイケルにも子育てについて差し出がましい口出しをするわけでもなく、サラリとみんなの自力行動や自力解決を促すスタンスが、これまた理想的なイマドキ保育でした。安易に魔法を使って助けたりしないのも、依頼心ではなく独立心を養わせるためのメリーの教育方針だったのでしょうか。

 バンクス家が再び明るさを取り戻す手助けをするメリーですが。バンクス家はまだ幸せなほうですよ。金に困ってるとは思えぬ恵まれた衣食住でしたし。今度は北朝鮮とかイラクとかアフリカとかの、もっともっと不幸な子どもたちのもとへ飛来してあげてほしい!
 新メリー・ポピンズ役を、「プラダを着た悪魔」以来頭角が著しいエミリー・ブラントが快演。顔だけでなく、柔和で優しそうなジュリー・アンドリューズに比べて性格もめちゃくちゃキツそうなので、とても前作のメリーと同一人物とは思えぬ今作のメリーでしたが、エミリーのクール&シニカルなメリーもなかなかチャーミングでした。メリーを優しいというよりカッコよく演じています。暴風吹きすさぶ曇り空から現れる彼女、まさにダークヒロイン。バックに明るい青空より轟く雷のほうが似合いそうな感じ。あまりにも気が強そう、頭が良さそうなので、常に何か企んでるような、何か腹にイチモツありげな風情でした子どもたちを養育しているというより、彼らを威風堂々と従えてる女王さまって感じでもあった。

 ↑ちょっと悪女っぽい表情が多いのも、新メリー・ポピンズの特徴?
 メリーの相棒?な街灯の点灯夫ジャック役は、ブロードウェイのスターであるリン・マニュエル・ミランダ。所狭しと歌って踊って八面六臂の大活躍!メリーよりも出番も見せ場も多かったような印象。圧巻の歌声は、独特なハスキーアニメ声。ちょっとバイキンマンの声似?顔は特濃になった国分太一?それにしてもジャック、謎すぎるキャラ。彼も魔法使いなの?謎といえば、ほとんど怪奇現象とも言えるファンタジックな魔法を使っても、は?何のこと?と何事もなかったかのようにしらばっくれるメリーに、昔はマイケル姉弟も、今回は子どもたちも、大してツッコミ入れることなくスルーしちゃってる設定。

 マイケル役は、大好きなベン・ウィショー。ベン子さんが、やもめの子持ち役!明るくノーテンキな周囲と違い、ひとりだけ暗くて深刻そうなベン子さん、相変わらず不幸オーラがハンパないです。思ってたより出番も多く、準主役といってもいい扱いなのが嬉しかったです。ラストの風船で空に浮かび歌うベン子さん、舞台で鍛えた美声を披露!ジェーンとジャックがいい感じになるのですが、マイケルにも新しい恋、ベン子さんさんなのでイケメンとの、なんて驚きの展開にしてほしかったかもそれもまたイマドキで、きっと話題と共感を呼んだのでは。
 
 マイケルが勤務する銀行の悪どい頭取役でコリン・ファース、メリーのいとこ役でメリル・ストリープ、といった大物スターがゲスト出演。ファース氏は、高級スーツが世界一似合う男!ハリウッド俳優とはやっぱ全然違うザ・ブリティッシュな魅力です。ラスト、ひとりだけ風船で空を飛べなくてしょんぼり、な姿が可哀想でした。メリルおばさまの、元気に大はしゃぎな妖婆っぷりも強烈。コリン・ファースの伯父で元頭取の爺さん役で、前作のメリー・ポピンズに出てたディック・ヴァン・ダイクも登場。御年90歳!お元気そうで何よりですが、歌って踊るシーンは明らかに顔と体が別人な合成で笑えた。パっとサイデリア~♪のCMの小林亜聖を思い出しました。風船売りの婆さん役で、ジェシカおばさんことアンジェラ・ランズベリーも顔を出してます。

 ↑ ベン子さんの新作は、ディケンズ原作の「デヴィッド・コパフィールド」。主人公のデヴィッド役はデヴ・パテルで、ベン子さんは悪い使用人ユライヤ役!楽しみ!
 
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アンナチュラルな美熟女!

2019-02-13 | 北米映画 80s~90s
 寒いけど、春の近づく足音もそこかしこで聞こえてくる今日この頃ですね。私の家の庭も、花はまだ少ないけど葉っぱは元気で蕾もたくさんつき、春の訪れを待っています。玄関や寝室では、ボケや水栽培のヒヤシンスが可愛く花開いてくれて、心あたためてくてます。
 
 でも、ほんとは春が苦手なんです。毎年あたたかくなると体がダルくなるし肌も荒れるし、今年こそ花粉症になったらどうしようという恐怖にも襲われるし、心身ともにダメージシーズン。先日も、早朝に突然謎の腹痛で死ぬかと思ったし…皆さまも、季節の変わり目なのでくれぐれも体調管理にご留意あそばして!

 「永遠に美しく…」
 落ち目の女優マデリーンは、旧友のヘレンから婚約者の美容外科医アーネストを奪って結婚する。ショックと恨みでヘレンは激太りし、精神病院送りとなる。数年後、アーネストはマデリーンとの破綻した結婚生活に疲弊し、葬儀社の死体修復人に落ちぶれアル中に。容色の衰えに悩み、美と若さに固執するマデリーンの前に、美しく変貌したヘレンが現れ…

 ロバート・ゼメキス監督の作品の中では、大ヒットした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズよりも、オスカーを受賞した「フォレスト・ガンプ」よりも、この映画がいちばん好きです。とにかく明るくノーテンキでパワフルで強欲なアメリカ人!この映画のマデリーンとヘレンも自分のことしか考えておらず、他人の我慢や犠牲は当たり前、自分の利益追及や欲望を満たすためには手段選ばずな冷酷さ残忍さで暴走するイカレ女どもなのですが、暗さや湿っぽさが全然なく、その恐れ知らず疲れ知らずなバイタリティは痛快爽快でさえあります。トランプ大統領もだけど、とんでもなさに裏表がなく明快でノーテンキなおかげで、何か憎めない、笑ってしまう。それこそアメリカ人の美質でしょうか。

 げに恐ろしきは女の虚栄とプライド、そして執念。若さと美への執着、私のほうが上!というマウンティングにデスパレートな女の醜悪さ、愚かさが滑稽に描かれてます。真面目に描くと気持ち悪いけど、コメディだと良い素材になりますね。マデリーンもヘレンも中途半端に善い人、可哀想な女ではなく、徹底して性悪なところが返って爽やかで好感。特にマデリーンの底意地の悪いビッチぶりが最高。アーネストへの仕打ちとか、ほとんど精神的DVです。あの威風堂々なまでに人もなげな態度、非道すぎて笑えます。階段での言い争いシーンには爆笑。マデリーンのアーネストへの罵詈雑言、インポだのフニャチンだのとバカにしまくってる時の表情とか、すごい破壊力です。キレたアーネストに突き飛ばされて階段ゴロゴロ転落、ベチャっとありえないポーズで倒れてるマデリーンの悲惨な姿とかも、腹が痛くなるほど笑えたわ~。ラストの階段ゴロゴロ&バラバラも、コーヒー飲んでる時に思い出すと吹いちゃうので注意してます。

 今の高度なCGに慣れてる目には稚拙に映るけれども、首が伸びたり腹に穴が開いたりと、当時の特殊技術や特殊メイクが懐かしくもユニークで目に楽しかったです。下ネタや大人の醜い事情満載な内容が、オコチャマ向けファンタジーが苦手な映画ファンのお口にも合います。
 3大スターの楽しそうな怪演、珍演も大きな見どころとなってます。マデリーン役のメリル・ストリープは、世界一の大女優なのにノリが良すぎる。こんな下品で性悪な年増ビッチ役、吉永小百合には絶対ムリですし。ラスト近くにはゾンビと化してましたし、オスカー受賞やノミネートの演技同様、悪ふざけを楽しんでいるかのようなバカ演技にも、大女優の風格と余裕が感じられます。数あるメリルおばさまの作品の中でも、私はこの映画が1、2を争うほど好きです。

 ヘレン役のゴールディ・ホーンも、ノリノリで大暴れ。まさに妖怪。不老不死の薬で美しく変身した姿のスタイルのよさは、当時の年齢を考えると驚異的。アーネスト役のブルース・ウィリスも、「ダイ・ハード」シリーズの彼とは別人のようなヘボさと情けなさで、怪女二人に虐げられてメソメソイジイジな姿が可哀想で可愛いです。3人の中ではいちばん年下なのに、そうは見えないおっさんな風貌も微笑ましいです。不老不死の薬を女ふたりに売る謎の美女リスル役のイザベラ・ロッセリーニは、ママのイングリッド・バーグマンに顔も声もそっくり。バーグマンを濃ゆく退廃的にした、腐りかけの果物みたいな臭気ある面妖さが独特。リスルの正体や薬の秘密など、明かされなかった謎が気になる。
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禁じられた婚前交渉!

2019-02-04 | 北米映画 60s~70s
 「草原の輝き」
 1928年のアメリカ、カンザス。高校生のディーニーとバッドは深く愛し合っていたが、信仰心や道徳観に一線を越えることを阻まれ苦悩していた。いつしかディーニーは精神のバランスを崩し…
 草の輝くとき 花美しく咲くとき 
 ふたたび それは帰らずとも 嘆くなかれ
 その奥に秘められし 力を見出すべし
 ワーズワースの有名な詩をモチーフにした、美しくも哀切な青春映画…かと思いきや。トンデモな病みイカレ映画でした結婚するまで清らかな関係のままでいる、という貞操観念を守るカップルって今でもいるにはいるのでしょうけど、この映画のディーニーとバッドはいくら何でも異常です。ヤりたいヤリたいヤリたい!で若い心と体は悶々としてるのに、ヤっちゃダメ!ヤったら死ぬ!みたいな我慢と苦悩が、ほとんど偏執的で狂ってるとしか思えないんですよ。真剣に深く愛し合ってるんだし、ヤっちゃっても罪にはならないのでは?婚前交渉って、そんなにいけないことなの?むしろ、結婚前にお試ししたほうが、結ばれた後に性生活の不一致で深刻な事態に、なんてことにならずにすむのでは。そんな考え方、軽すぎるのでしょうか。とにかく私なんからしたら、ディーニーとバッドは必要以上に恋愛や人間関係、人生を重くしてる、周囲にも迷惑なめんどくさいカップルです。

 セックスにカジュアルなイメージのアメリカ人だけど、異様なまでに性に厳格な人々も多いみたいですね。私のような無宗教の日本人からしたら、キリスト教の影響って救いどころか恐ろしい呪縛としか思えません。信仰に篤すぎる人って、ほんとヤバすぎる。何でそんなに他人も自分も苦しめ傷つけるのか、私なんかは理解不可能です。信仰心と思春期の不安定な情緒のダブルパンチで、どんどんコワレていくディーニーの狂態に戦慄。もうセックスしてスッキリしようよ~と心底思った。ヤリすぎもよくないけど、異常な禁欲、抑圧は心身にはさらに毒です。何でもほどほどが健全!
 ディーニーのイカレっぷりは、ほとんどホラーです。悪いものに憑かれたようで、エクソシストも真っ青。A、BまでいってもCができず、あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ~♪でもやっぱ、ダメよダメダメ!な錯乱の繰り返しとか、バスルームでの精神分裂など、やっぱ彼女とは深入りしないほうがいいかもとゾっとする、ヘヴィなメンヘラっぷりです。場所選ばずの狂乱狂態、入水自殺未遂、精神病院送り…怒涛の勢いで進行するディーニーの病み青春に圧倒されます。

 ディーニーに翻弄され周章狼狽、寸止めを食らいまくるバッドが哀れ。脳みそまでチ◯コなはずの年頃で、あの我慢、忍耐は超人的。ディーニーはあんなだし、家族もあんなだし、フツーならグレるか鬱病になりますよ。他の女の子との浮気とか大学中退とか、ごく当たり前な弱さです。すべてにおいて恵まれた少年なのに、周りの連中のせいで不幸になるなんて理不尽!ディーニーは母親、バッドは父親。二人のイビツな溺愛は、ほとんど精神的虐待。独善的で支配的な愛を押し付けてくる毒親って、古今東西の家庭問題です。

 ディーニー役を大熱演し、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたナタリー・ウッド。美人!だけど、高校生役には無理があったような。大人っぽすぎる、色っぽすぎる。身悶え演技、ヒステリー演技は鬼気迫る迫力です。バッド役は、これが映画デビューのウォーレン・ビーティ。数々の秀作・問題作の主演&監督、数々の魅力的な女優や歌手と浮名を流した、ハリウッドきっての実力者で遊び人だった彼ですが、若い映画ファンにとっては“アカデミー賞で誤発表をした爺さん”ですね当たり前ですが、わ、若い!彼も高校生には見えないし、エッチを我慢する生真面目で繊細な童貞にも見えません。イケメンだけど、眠そうな目やぽってりした唇など、どこかユル~い感じが悩める少年役にはミスキャストな感じが。もうちょっとストイックで思いつめた風情が魅力の美青年がよかったかも、と思いつつ、厳しい試練を受け入れ乗り越えるバッドは、やはり明るくたくましいアメリカ人らしさが光る俳優が演じるべき役なのかな、とも。
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