懐かしの80年代映画③
「愛と哀しみの果て」
1913年のデンマーク。裕福な独身女性カレンは、スウェーデンの貴族ブロアと結婚し、英領ケニアへ移住する。農場経営も結婚生活もうまく行かない中、カレンはハンターのデニスと出会い親密となるが…
1986年のアカデミー賞作品賞、監督賞など、7部門で受賞した作品。美貌の男爵夫人がエキゾティックな未開の国で、ハンサムな恋人に支えられながら困難や悲しみに立ち向かう…といったハーレクインな物語を、ふんだんに製作費をかけ、一流の演出と一流の演技で映画化。これで駄作になるわけがなく、事実ドラマティックで優雅な秀作に仕上がってるのですが…感動も感銘も私にはもたらしてくれなかった。なぜ?それはおそらく、ヒロインに魅力と好感を感じられなかったからかも。この映画、実際に当時の英領ケニアで暮らしたデンマーク人女性の体験記を基にしているのですが、典型的な白人の上から目線話なんですよね~。野蛮で無知なアフリカの土民に、文明や教育を施してあげてる立派な私♪みたいな、独善的で自己満足的なヒロインの自慢話みたいな映画でした。アフリカ人にとっては、ありがた迷惑でしかなかったかもしれないのに。でも土民たちはカレンを女神さまのように敬い従うのです。そんな描写も、白人目線すぎてちょっと鼻白んでしまいました。
カレン役のメリル・ストリープは、言わずと知れた現代映画界最高の大女優。ハリウッド業界人や映画ファンからの崇敬を一身に受けてる彼女ですが、アンチも同じぐらい多い。私は大好きですが、ごくたま~に、アンチの意見も理解できる演技に出くわすのも事実。我こそは演技派!な彼女と会うと、クラスに必ずいたウザい優等生を思い出す人、多いのではないでしょうか。正論を自信たっぷりに押し付けてきて、文句を言わせない、文句を言うほうが間違っていると思わせる優等生。メリルおばさまの完璧な演技がまさにそれ。彼女が得意とする外国語訛り英語とか、スゴいな~とは思うけど、何か鼻につくんですよね~。本気モードじゃない、ちょっと力を抜いた遊び心ある時のメリルおばさまのほうが、大女優の余裕を感じられてカッコいいです。
演技の巧さは右に出る者なしなメリルおばさまですが、うっとり見とれてしまうような美人では決してないのが、こういったハーレクインもののヒロインには、ちょっとしっくりこないというか…エレガンスとか優しさよりも、剛毅と誇り高さが増してるヒロインは、確かにメリルおばさま向けなのですが、ヨーロッパの男爵夫人というより、アメリカの女社長って感じがしました。苦労や心労が絶えない役なので、いつもカリカリギスギス。ライオンをムチで追っ払うシーンとか、ライオンよりメリルおばさまの顔のほうが怖かったです。
デニス役のロバート・レッドフォードは、ハンサムで知的でまさに理想の白人アメリカ男性…だったのは60・70年代の昔話で、この作品ではいかんせんおじいさんすぎる顔、シワクチャ。全体的に男の艶はなく、カサカサ乾いてる感じ。おばさんとおじいさんのラブシーンとか、誰得?なイタさ。大物スターの競演は、ハーレイクイン映画に必要なロマンティックさや情熱的な雰囲気、といったケミストリーを生み出すことに失敗してたように思われました。ブロア役のデンマーク俳優、クラウス・マリア・ブランダウアーが、貴族らしい優雅で生活力のないダメ夫を好演しています。
アフリカロケや、当時を再現したセット、衣装など、さすがハリウッドの威信をかけたような大作だけあって、目に楽しく見応えたっぷりです。映画館で観れば、きっとアフリカの雄大で神秘的な自然の美しさにもっと魅了されたことでしょう。この作品でオスカーを受賞した故シドニー・ポラック監督ですが、個人的にはこの映画よりも「トッツイー」のほうが好きです。
「愛と哀しみの果て」
1913年のデンマーク。裕福な独身女性カレンは、スウェーデンの貴族ブロアと結婚し、英領ケニアへ移住する。農場経営も結婚生活もうまく行かない中、カレンはハンターのデニスと出会い親密となるが…
1986年のアカデミー賞作品賞、監督賞など、7部門で受賞した作品。美貌の男爵夫人がエキゾティックな未開の国で、ハンサムな恋人に支えられながら困難や悲しみに立ち向かう…といったハーレクインな物語を、ふんだんに製作費をかけ、一流の演出と一流の演技で映画化。これで駄作になるわけがなく、事実ドラマティックで優雅な秀作に仕上がってるのですが…感動も感銘も私にはもたらしてくれなかった。なぜ?それはおそらく、ヒロインに魅力と好感を感じられなかったからかも。この映画、実際に当時の英領ケニアで暮らしたデンマーク人女性の体験記を基にしているのですが、典型的な白人の上から目線話なんですよね~。野蛮で無知なアフリカの土民に、文明や教育を施してあげてる立派な私♪みたいな、独善的で自己満足的なヒロインの自慢話みたいな映画でした。アフリカ人にとっては、ありがた迷惑でしかなかったかもしれないのに。でも土民たちはカレンを女神さまのように敬い従うのです。そんな描写も、白人目線すぎてちょっと鼻白んでしまいました。
カレン役のメリル・ストリープは、言わずと知れた現代映画界最高の大女優。ハリウッド業界人や映画ファンからの崇敬を一身に受けてる彼女ですが、アンチも同じぐらい多い。私は大好きですが、ごくたま~に、アンチの意見も理解できる演技に出くわすのも事実。我こそは演技派!な彼女と会うと、クラスに必ずいたウザい優等生を思い出す人、多いのではないでしょうか。正論を自信たっぷりに押し付けてきて、文句を言わせない、文句を言うほうが間違っていると思わせる優等生。メリルおばさまの完璧な演技がまさにそれ。彼女が得意とする外国語訛り英語とか、スゴいな~とは思うけど、何か鼻につくんですよね~。本気モードじゃない、ちょっと力を抜いた遊び心ある時のメリルおばさまのほうが、大女優の余裕を感じられてカッコいいです。
演技の巧さは右に出る者なしなメリルおばさまですが、うっとり見とれてしまうような美人では決してないのが、こういったハーレクインもののヒロインには、ちょっとしっくりこないというか…エレガンスとか優しさよりも、剛毅と誇り高さが増してるヒロインは、確かにメリルおばさま向けなのですが、ヨーロッパの男爵夫人というより、アメリカの女社長って感じがしました。苦労や心労が絶えない役なので、いつもカリカリギスギス。ライオンをムチで追っ払うシーンとか、ライオンよりメリルおばさまの顔のほうが怖かったです。
デニス役のロバート・レッドフォードは、ハンサムで知的でまさに理想の白人アメリカ男性…だったのは60・70年代の昔話で、この作品ではいかんせんおじいさんすぎる顔、シワクチャ。全体的に男の艶はなく、カサカサ乾いてる感じ。おばさんとおじいさんのラブシーンとか、誰得?なイタさ。大物スターの競演は、ハーレイクイン映画に必要なロマンティックさや情熱的な雰囲気、といったケミストリーを生み出すことに失敗してたように思われました。ブロア役のデンマーク俳優、クラウス・マリア・ブランダウアーが、貴族らしい優雅で生活力のないダメ夫を好演しています。
アフリカロケや、当時を再現したセット、衣装など、さすがハリウッドの威信をかけたような大作だけあって、目に楽しく見応えたっぷりです。映画館で観れば、きっとアフリカの雄大で神秘的な自然の美しさにもっと魅了されたことでしょう。この作品でオスカーを受賞した故シドニー・ポラック監督ですが、個人的にはこの映画よりも「トッツイー」のほうが好きです。