「最後の決闘裁判」
14世紀末のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは、留守中に妻のマルグリットが友人のジャック・ル・グリに強姦されたことを知り、ル・グリを厳罰に処すよう国王に訴えるが…
大好きなマット・デーモンが、オスカー候補にもなったヒット作「オデッセイ」に続いてリドリー・スコット監督の作品に主演。共演者は旬の人気俳優アダム・ドライバーと、マットの大親友ベン・アフレック。ベンとは懐かしの「グッド・ウィル・ハンティング」以来の共同脚本も担当、しかもフランスを舞台にした時代劇!ということで、とても楽しみにしていました。時代劇といっても、もちろんマットとスコット監督なので、美しく格調高いコスチュームプレイになるはずがなく、スコット監督の「グラディエーター」同様に骨太で男くさい血なまぐさい内容と映像で成り立っていました。目を背けたくなる戦争シーンの荒々しさ野蛮さ。ラストのマットVSアダムの決闘シーンは、まさに血肉が裂け骨が砕ける残虐さで、しかも延々と続くので、よほどのドSドMでないかぎりもうヤメテー!と叫びたくなります。気の弱い人はご用心!
ひとつの真実が3人の目を通して描かれる、というユニークな構成になっています。3人とも虚偽はしていないのですが、愛憎や虚栄心、プライドなど人間の俗な業が絡み合って、見事なまでに言い分や主張が食い違うのが面白くも怖かったです。正しいのは自分!という頑強で頑迷な自信や思い込みと、自分にとって都合のいい解釈が真実の形を変えてしまう事態は、現代社会の身近な生活の中でもよくあること。男にとっては情熱的な恋、合意のセックスだけど、女からしたら忌まわしいストーカーとレイプ。夫は家族のために粉骨砕身働いてるつもり。妻にしてみればそれは仕事優先で家庭をかえりみてないだけ。夫は子づくりに励み妻も抱かれて悦んでると信じてるけど、妻にとっては夫がやってるのはただもう苦痛な受胎目的の交尾。いずれにせよ、悪意は全然ないけどデリカシーのかけらもない、女性の心身や社会的立場を尊重しない男たちがおぞましかったです。ヒロインが味わった理不尽な苦痛や屈辱は、現代女性にも通じる女性差別、女性蔑視そのもの。女子向けの映画ではないかもしれないけど、若い女性にもぜひ観てもらって、あらためて女性の権利や自由について考えてみてもらいたいです。
ジャン役のマット・デーモン、ほんま好きフランス人に見えない、時代劇が似合わない、けど顔がいいだけスタイルがいいだけな俳優には絶対に演じられない役を熱演し、今までにないほど圧倒してくれました。ジャン自身の語りの中では、無骨で不器用だけど誇り高いサムライのような漢(おとこ)、マルグリットの語りでは横暴で無神経で見栄っ張り男。いいマット、悪いマット両方を楽しめました。悪いマットはなかなか強烈で、ほとんど精神的DVな亭主関白ぶりが怖い。もし見たら、うちの旦那とカブる…とゾっとする奥さまがた多いかも。どこからどう見てもいい人なマットが、フェミニストが見たら憤激するに違いないクソ亭主役を演じてるところが衝撃的、かつ新鮮でした。
ほんと非道いクソ亭主っぷりでしたが、素朴で明るく爽やか、温かみのある風貌のマットなので、陰険陰湿な感じは全然しません。何だか笑えたのは、子づくりシーン。愛も快楽もない、一心不乱に激しく腰を動かし続ける、ただの種付け行為に励むマットが滑稽で可愛かったです。あとマットって、ほんと若々しい!50過ぎに見えん。肌がつやつやとかメタボじゃないからといった類の若さではなく、雰囲気に加齢臭がないというか。剛健なゴリゴリしさも、パワーにあふれていて衰え知らず。カッコいいだけの役や見た目の若さに固執しない、役者魂もナチュラルなマットが好きです。
ジャック・ル・グリ役のアダム・ドライバーも、売れっ子スターになっても守りに入らないチャレンジングな役者!
この作品のアダム、今まででいちばんイケメンに見えました。女たちから熱い視線を向けられる美男子役もなかなか板についてました。ぬおお~っとデカい威圧感ある巨体、鋭い厳しい目つきが怖いです。マッチョな肉体美も披露。レイプシーンでの迫真の鬼畜っぷりもホラーでした。無残すぎる最期の姿もインパクト強烈です。悪人ではないけど、複雑な人格と深い闇を抱えている難しい役。演技派ぶってる日本の俳優にも挑戦してほしいものです。ジェイソン・ボーンVSカイロ・レンのガチンコ肉弾戦が、壮絶でないわけがない!マットもアダムもデカくてゴツくて屈強そうなので、決闘には迫力が。日本の某事務所タレントがアクションしたりチャンバラしてるのとは大違いなダイナミックさと生々しさです。
マルグリット役のジョディ・カマーは、初めて知ったのですがTVで有名な女優さん?地味な美人。なかなかの熱演で、マットやアダムといった大物スターを脇役にしているみたいな存在感でした。マットと久々に共演したベン・アフレックが、イケズで軽薄な貴族役を好演。私生活では仲良しのマットを、愚弄したり陥れたりするベンが楽しそうでした。主役だと苦手だけど、脇役だといい味を出すベンです。マルグリットの父役が、リンリー警部ことナサニエル・パーカーだった!
↑ マットの新作「スティルウォーター」近日日本公開決定(^^♪
↑ アダムは「ハウス・オブ・グッチ」でリドリー・スコット監督作に連続出演。監督のお気に入りになったようです
14世紀末のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは、留守中に妻のマルグリットが友人のジャック・ル・グリに強姦されたことを知り、ル・グリを厳罰に処すよう国王に訴えるが…
大好きなマット・デーモンが、オスカー候補にもなったヒット作「オデッセイ」に続いてリドリー・スコット監督の作品に主演。共演者は旬の人気俳優アダム・ドライバーと、マットの大親友ベン・アフレック。ベンとは懐かしの「グッド・ウィル・ハンティング」以来の共同脚本も担当、しかもフランスを舞台にした時代劇!ということで、とても楽しみにしていました。時代劇といっても、もちろんマットとスコット監督なので、美しく格調高いコスチュームプレイになるはずがなく、スコット監督の「グラディエーター」同様に骨太で男くさい血なまぐさい内容と映像で成り立っていました。目を背けたくなる戦争シーンの荒々しさ野蛮さ。ラストのマットVSアダムの決闘シーンは、まさに血肉が裂け骨が砕ける残虐さで、しかも延々と続くので、よほどのドSドMでないかぎりもうヤメテー!と叫びたくなります。気の弱い人はご用心!
ひとつの真実が3人の目を通して描かれる、というユニークな構成になっています。3人とも虚偽はしていないのですが、愛憎や虚栄心、プライドなど人間の俗な業が絡み合って、見事なまでに言い分や主張が食い違うのが面白くも怖かったです。正しいのは自分!という頑強で頑迷な自信や思い込みと、自分にとって都合のいい解釈が真実の形を変えてしまう事態は、現代社会の身近な生活の中でもよくあること。男にとっては情熱的な恋、合意のセックスだけど、女からしたら忌まわしいストーカーとレイプ。夫は家族のために粉骨砕身働いてるつもり。妻にしてみればそれは仕事優先で家庭をかえりみてないだけ。夫は子づくりに励み妻も抱かれて悦んでると信じてるけど、妻にとっては夫がやってるのはただもう苦痛な受胎目的の交尾。いずれにせよ、悪意は全然ないけどデリカシーのかけらもない、女性の心身や社会的立場を尊重しない男たちがおぞましかったです。ヒロインが味わった理不尽な苦痛や屈辱は、現代女性にも通じる女性差別、女性蔑視そのもの。女子向けの映画ではないかもしれないけど、若い女性にもぜひ観てもらって、あらためて女性の権利や自由について考えてみてもらいたいです。
ジャン役のマット・デーモン、ほんま好きフランス人に見えない、時代劇が似合わない、けど顔がいいだけスタイルがいいだけな俳優には絶対に演じられない役を熱演し、今までにないほど圧倒してくれました。ジャン自身の語りの中では、無骨で不器用だけど誇り高いサムライのような漢(おとこ)、マルグリットの語りでは横暴で無神経で見栄っ張り男。いいマット、悪いマット両方を楽しめました。悪いマットはなかなか強烈で、ほとんど精神的DVな亭主関白ぶりが怖い。もし見たら、うちの旦那とカブる…とゾっとする奥さまがた多いかも。どこからどう見てもいい人なマットが、フェミニストが見たら憤激するに違いないクソ亭主役を演じてるところが衝撃的、かつ新鮮でした。
ほんと非道いクソ亭主っぷりでしたが、素朴で明るく爽やか、温かみのある風貌のマットなので、陰険陰湿な感じは全然しません。何だか笑えたのは、子づくりシーン。愛も快楽もない、一心不乱に激しく腰を動かし続ける、ただの種付け行為に励むマットが滑稽で可愛かったです。あとマットって、ほんと若々しい!50過ぎに見えん。肌がつやつやとかメタボじゃないからといった類の若さではなく、雰囲気に加齢臭がないというか。剛健なゴリゴリしさも、パワーにあふれていて衰え知らず。カッコいいだけの役や見た目の若さに固執しない、役者魂もナチュラルなマットが好きです。
ジャック・ル・グリ役のアダム・ドライバーも、売れっ子スターになっても守りに入らないチャレンジングな役者!
この作品のアダム、今まででいちばんイケメンに見えました。女たちから熱い視線を向けられる美男子役もなかなか板についてました。ぬおお~っとデカい威圧感ある巨体、鋭い厳しい目つきが怖いです。マッチョな肉体美も披露。レイプシーンでの迫真の鬼畜っぷりもホラーでした。無残すぎる最期の姿もインパクト強烈です。悪人ではないけど、複雑な人格と深い闇を抱えている難しい役。演技派ぶってる日本の俳優にも挑戦してほしいものです。ジェイソン・ボーンVSカイロ・レンのガチンコ肉弾戦が、壮絶でないわけがない!マットもアダムもデカくてゴツくて屈強そうなので、決闘には迫力が。日本の某事務所タレントがアクションしたりチャンバラしてるのとは大違いなダイナミックさと生々しさです。
マルグリット役のジョディ・カマーは、初めて知ったのですがTVで有名な女優さん?地味な美人。なかなかの熱演で、マットやアダムといった大物スターを脇役にしているみたいな存在感でした。マットと久々に共演したベン・アフレックが、イケズで軽薄な貴族役を好演。私生活では仲良しのマットを、愚弄したり陥れたりするベンが楽しそうでした。主役だと苦手だけど、脇役だといい味を出すベンです。マルグリットの父役が、リンリー警部ことナサニエル・パーカーだった!
↑ マットの新作「スティルウォーター」近日日本公開決定(^^♪
↑ アダムは「ハウス・オブ・グッチ」でリドリー・スコット監督作に連続出演。監督のお気に入りになったようです