


14世紀末のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは、留守中に妻のマルグリットが友人のジャック・ル・グリに強姦されたことを知り、ル・グリを厳罰に処すよう国王に訴えるが…
大好きなマット・デーモン



ひとつの真実が3人の目を通して描かれる、というユニークな構成になっています。3人とも虚偽はしていないのですが、愛憎や虚栄心、プライドなど人間の俗な業が絡み合って、見事なまでに言い分や主張が食い違うのが面白くも怖かったです。正しいのは自分!という頑強で頑迷な自信や思い込みと、自分にとって都合のいい解釈が真実の形を変えてしまう事態は、現代社会の身近な生活の中でもよくあること。男にとっては情熱的な恋、合意のセックスだけど、女からしたら忌まわしいストーカーとレイプ。夫は家族のために粉骨砕身働いてるつもり。妻にしてみればそれは仕事優先で家庭をかえりみてないだけ。夫は子づくりに励み妻も抱かれて悦んでると信じてるけど、妻にとっては夫がやってるのはただもう苦痛な受胎目的の交尾。いずれにせよ、悪意は全然ないけどデリカシーのかけらもない、女性の心身や社会的立場を尊重しない男たちがおぞましかったです。ヒロインが味わった理不尽な苦痛や屈辱は、現代女性にも通じる女性差別、女性蔑視そのもの。女子向けの映画ではないかもしれないけど、若い女性にもぜひ観てもらって、あらためて女性の権利や自由について考えてみてもらいたいです。

ジャン役のマット・デーモン、ほんま好き


ほんと非道いクソ亭主っぷりでしたが、素朴で明るく爽やか、温かみのある風貌のマットなので、陰険陰湿な感じは全然しません。何だか笑えたのは、子づくりシーン。愛も快楽もない、一心不乱に激しく腰を動かし続ける、ただの種付け行為に励むマットが滑稽で可愛かったです。あとマットって、ほんと若々しい!50過ぎに見えん。肌がつやつやとかメタボじゃないからといった類の若さではなく、雰囲気に加齢臭がないというか。剛健なゴリゴリしさも、パワーにあふれていて衰え知らず。カッコいいだけの役や見た目の若さに固執しない、役者魂もナチュラルなマットが好きです。
ジャック・ル・グリ役のアダム・ドライバーも、売れっ子スターになっても守りに入らないチャレンジングな役者!

この作品のアダム、今まででいちばんイケメンに見えました。女たちから熱い視線を向けられる美男子役もなかなか板についてました。ぬおお~っとデカい威圧感ある巨体、鋭い厳しい目つきが怖いです。マッチョな肉体美も披露。レイプシーンでの迫真の鬼畜っぷりもホラーでした。無残すぎる最期の姿もインパクト強烈です。悪人ではないけど、複雑な人格と深い闇を抱えている難しい役。演技派ぶってる日本の俳優にも挑戦してほしいものです。ジェイソン・ボーンVSカイロ・レンのガチンコ肉弾戦が、壮絶でないわけがない!マットもアダムもデカくてゴツくて屈強そうなので、決闘には迫力が。日本の某事務所タレントがアクションしたりチャンバラしてるのとは大違いなダイナミックさと生々しさです。
マルグリット役のジョディ・カマーは、初めて知ったのですがTVで有名な女優さん?地味な美人。なかなかの熱演で、マットやアダムといった大物スターを脇役にしているみたいな存在感でした。マットと久々に共演したベン・アフレックが、イケズで軽薄な貴族役を好演。私生活では仲良しのマットを、愚弄したり陥れたりするベンが楽しそうでした。主役だと苦手だけど、脇役だといい味を出すベンです。マルグリットの父役が、リンリー警部ことナサニエル・パーカーだった!

↑ マットの新作「スティルウォーター」近日日本公開決定(^^♪


↑ アダムは「ハウス・オブ・グッチ」でリドリー・スコット監督作に連続出演。監督のお気に入りになったようです