台湾映画祭⑦

「軍中楽園」
1969年の台湾。対立する中国との最前線である金門島に配属されたルオ・バオタイは、泳げないことを知られ特約茶屋を管理する831部隊に転属となる。そこは“軍中楽園”と呼ばれる、兵士のための娼館だった…
戦時中の日本軍による韓国人慰安婦問題は、今なお根深い禍根となっていますが、台湾では90年代まで軍が営む慰安所があったと知り、軽からぬ衝撃を受けました。中国とわずか2kmぐらいしか離れてない小島、金門島にある831部隊の軍人と慰安婦の生活や交流、悲恋を活き活きと、かつ情感たっぷり描いた映画です。エロティックなシーンはほとんどないので、そういうのを期待して観るとガッカリするのでご注意を。それにしても。つい最近まで本当にあったこととは、にわかには信じられない金門島の実態でした。まず、冒頭の軍の訓練シーンがハードすぎてドン引き。けが人どころか死人も続出したのでは。今はさすがにあそこまではやってないよなあ。厳しい訓練も、いつ敵が攻めてくるかわからない最前線での軍隊と、平和な日本の自衛隊とでは、熱量や深刻度に差があるのでしょうね。岸辺での訓練中、いきなり空爆のように中国からのプロパガンダちらし弾が降って来るとか、怖すぎる。中国からの台湾否定放送が聞こえてくると、それをかき消すように台湾愛国放送を流したりするのも、戦争なんて所詮ひとごと、身近に感じることがない日本人からしたら異様。


中国本土にいる家族との生き別れとかも、朝鮮半島もだけど悲劇すぎる。戦争で負けた日本が、隣国と同じような分断に悲しまずにすんだのは、やはり国民性の違いもあるのでしょうか。慰安婦たちも、いろいろワケアリで金門島にやって来たみたいでしたが、刑務所での刑期を短くするために、という理由には驚きました。私なら長くても刑務所にいたほうがいい!慰安婦なんて、女性の権利侵害、人権蹂躙もはなはだしいおぞましさですが、この映画の慰安婦たちは、無理やりさせられてるって感じがほとんどなく、全体的にあっけらかんと明るくたくましい女性たちだったので、見ていて重苦しくて陰惨な気分にはならなかったけど、それってどうなんでしょう?軍人相手の慰安婦なんて、間違いなく生き地獄なのにそうは描かなかったのは、やはり都合のいい男性目線だったからでしょうか。


軍の訓練も慰安婦のセックスワークも命がけの過酷さですが、島での彼らの生活はさほど厳格な感じではなく、けっこうユルいのが意外でもありました。台湾の風土や気候が何となく人々を開放的に、大雑把にするのでしょうか。軍人も慰安婦も、みんなほとんど半裸で暮らしてるし。トロピカルな風景は素朴で美しいけど、台湾の夏、とにかく暑さと湿気が過酷そうで、私は暮らせない!映画では出てこなかったけど、あのあまり衛生的ではなく無防備な環境では、きっと怖い動物や虫、病気に悩まされたことだろうな~と怖気が。


軍人、慰安婦を演じた役者さんたちはみんな個性的、彼らの好演・熱演も印象的です。主人公のルオ・バオタイ役は、ちょっと前に観た「我、邪で邪を制す」や「この心亡き者」に比べると若っ!なイーサン・ルアン。当時32歳だけど、20代に見えました。ルーキー軍人役に違和感なし。スラ~っとした長身はモデルみたいで、軍人役にしてはスタイルが良すぎかなとも思ったけど、しなやかに引き締まった細マッチョの裸体を惜しげもなく披露。ラストのラブシーンでは、お尻も見せてくれてます。顔は決してイケメンではなく、たま~に川谷拓三に見えたり
現在の彼のほうが、シブくなってて好きかも。真面目で優しい青年だけど、結局は女性のことを尊べない男のひとりだったんだな、と苦々しくも悲しくもなる青年を、若々しく真摯に演じてたイーサンです。


ルオ・バオタイの友人で、壮絶ないじめに遭うホアシン役は、これまた最近観た「疫起 パンデミック」などの、私が好きな台湾男前のひとりであるワン・ポーチエ。彼もイケメンとか美男子ではないのだけど、いい男に見える不思議な俳優。陰湿で残酷ないじめを受ける姿が痛々しかったです。恋人の慰安婦と島から脱走したホアシンが、あの後どうなったのか、生死が気になります。それにしても。台湾といい韓国といい、兵役がある国の若者は本当に大変。私なら確実に精神も体もコワレてしまうでしょう。私だけでなく、ダミアンやジミーが戦争に行かなくてもいい日本に生まれて、神さまに感謝。どうか、日本で徴兵制が復活しませんように。私が台湾に滞在中、有事が起きませんように!


1969年の台湾。対立する中国との最前線である金門島に配属されたルオ・バオタイは、泳げないことを知られ特約茶屋を管理する831部隊に転属となる。そこは“軍中楽園”と呼ばれる、兵士のための娼館だった…
戦時中の日本軍による韓国人慰安婦問題は、今なお根深い禍根となっていますが、台湾では90年代まで軍が営む慰安所があったと知り、軽からぬ衝撃を受けました。中国とわずか2kmぐらいしか離れてない小島、金門島にある831部隊の軍人と慰安婦の生活や交流、悲恋を活き活きと、かつ情感たっぷり描いた映画です。エロティックなシーンはほとんどないので、そういうのを期待して観るとガッカリするのでご注意を。それにしても。つい最近まで本当にあったこととは、にわかには信じられない金門島の実態でした。まず、冒頭の軍の訓練シーンがハードすぎてドン引き。けが人どころか死人も続出したのでは。今はさすがにあそこまではやってないよなあ。厳しい訓練も、いつ敵が攻めてくるかわからない最前線での軍隊と、平和な日本の自衛隊とでは、熱量や深刻度に差があるのでしょうね。岸辺での訓練中、いきなり空爆のように中国からのプロパガンダちらし弾が降って来るとか、怖すぎる。中国からの台湾否定放送が聞こえてくると、それをかき消すように台湾愛国放送を流したりするのも、戦争なんて所詮ひとごと、身近に感じることがない日本人からしたら異様。


中国本土にいる家族との生き別れとかも、朝鮮半島もだけど悲劇すぎる。戦争で負けた日本が、隣国と同じような分断に悲しまずにすんだのは、やはり国民性の違いもあるのでしょうか。慰安婦たちも、いろいろワケアリで金門島にやって来たみたいでしたが、刑務所での刑期を短くするために、という理由には驚きました。私なら長くても刑務所にいたほうがいい!慰安婦なんて、女性の権利侵害、人権蹂躙もはなはだしいおぞましさですが、この映画の慰安婦たちは、無理やりさせられてるって感じがほとんどなく、全体的にあっけらかんと明るくたくましい女性たちだったので、見ていて重苦しくて陰惨な気分にはならなかったけど、それってどうなんでしょう?軍人相手の慰安婦なんて、間違いなく生き地獄なのにそうは描かなかったのは、やはり都合のいい男性目線だったからでしょうか。


軍の訓練も慰安婦のセックスワークも命がけの過酷さですが、島での彼らの生活はさほど厳格な感じではなく、けっこうユルいのが意外でもありました。台湾の風土や気候が何となく人々を開放的に、大雑把にするのでしょうか。軍人も慰安婦も、みんなほとんど半裸で暮らしてるし。トロピカルな風景は素朴で美しいけど、台湾の夏、とにかく暑さと湿気が過酷そうで、私は暮らせない!映画では出てこなかったけど、あのあまり衛生的ではなく無防備な環境では、きっと怖い動物や虫、病気に悩まされたことだろうな~と怖気が。


軍人、慰安婦を演じた役者さんたちはみんな個性的、彼らの好演・熱演も印象的です。主人公のルオ・バオタイ役は、ちょっと前に観た「我、邪で邪を制す」や「この心亡き者」に比べると若っ!なイーサン・ルアン。当時32歳だけど、20代に見えました。ルーキー軍人役に違和感なし。スラ~っとした長身はモデルみたいで、軍人役にしてはスタイルが良すぎかなとも思ったけど、しなやかに引き締まった細マッチョの裸体を惜しげもなく披露。ラストのラブシーンでは、お尻も見せてくれてます。顔は決してイケメンではなく、たま~に川谷拓三に見えたり



ルオ・バオタイの友人で、壮絶ないじめに遭うホアシン役は、これまた最近観た「疫起 パンデミック」などの、私が好きな台湾男前のひとりであるワン・ポーチエ。彼もイケメンとか美男子ではないのだけど、いい男に見える不思議な俳優。陰湿で残酷ないじめを受ける姿が痛々しかったです。恋人の慰安婦と島から脱走したホアシンが、あの後どうなったのか、生死が気になります。それにしても。台湾といい韓国といい、兵役がある国の若者は本当に大変。私なら確実に精神も体もコワレてしまうでしょう。私だけでなく、ダミアンやジミーが戦争に行かなくてもいい日本に生まれて、神さまに感謝。どうか、日本で徴兵制が復活しませんように。私が台湾に滞在中、有事が起きませんように!