春のBL映画祭①
「エゴイスト」
雑誌編集者の浩輔は、専属トレーナーとして雇ったインストラクターの龍太と恋に落ちる。病弱な母との生活に困窮する龍太から、金のために売り専ボーイをしていることを打ち明けられた浩輔は…
日本の映画やドラマでも人気のBLですが、そのほとんどは男と男という葛藤や苦悩がほとんどない、ライト&スウィートなキラキラもの。ファンタジーBLも悪くないけど、ゲイの人たちがどのように出会って愛し合って、社会と向き合っているのかを描くリアルなBLを、腐女子はもっと観るべきだと思います。この映画は、BL映画というよりゲイ映画。リアルだけど生々しくはなく、人気俳優を起用した甘美で哀切なラブストーリーになってるので、腐にもゲイにも口当たりがいい作品に仕上がってます。
生活のために男娼をしているピュアな貧乏青年を、パトロンのように支援し庇護する裕福な大人の男…という設定は、ちょっと「藍宇」を。死んだ恋人の母親を献身的に支えようとする主人公…という後半は、ちょっと「追憶と、踊りながら」を。大好きなBL名作を思い出させる映画でしたが、うう~ん、何だろう。藍宇と追憶のように、この映画も甘い痛みや優しい悲しみで男同士の愛を描こうとしていたとは思うのだけど、私は感動よりも動揺してしまいました。浩輔がどう見ても、龍太にたかられているようにしか見えなくて…
龍太ってすごくさりげなく言葉巧みに、自分の困窮を浩輔に訴えるんですよ。母に食べさせたいからと浩輔に高級弁当を買わせるシーンから、ん?と思ったんだけど、恋人関係になってからも遠慮しつつ、でもちゃっかりいろんなものを浩輔に買ってもらってる龍太に、私は警戒心を抱かずにはいられませんでした。浩輔、だまされてるのでは?と。男女間ではよくある話ですからね~。若いイケメンと恋愛できるんだから、まあ浩輔にとっては必要経費なんだろうけど、本当に愛し合ってる関係にしては引っかかる格差でした。驚いたのは、売り専を辞めさせるため浩輔が、月々お手当を与えて龍太を自分専属の恋人にするところ。そんな愛人契約を龍太は了承して、ますますラブラブになる二人なのですが、きっちり手当を受け取る龍太に、これは恋愛ではなく援助交際だよな~と、決して美しくない幸せに私の胸はザワつかずにはいられませんでした。
龍太がおっさんゲイをたらしこむ汚い男だったら、浩輔もあそこまでのめりこむことはなかったんでしょうね。龍太の無邪気で優しくて弱いところが悪賢さや狡猾さよりも怖い、おっさんを虜にする魔性でもありました。いろんな男を相手に体を売る龍太ですが、嫌悪とか絶望とかいった悲壮さは微塵もなく、本当に相手のことが好きみたいにセックスしてるんですよ。まさにプロの男娼。スポーツインストラクターよりも、男娼のほうが龍太の天職なのではないかと思うほどに。それにしても。体を壊すほどに働いてた龍太、何でそこまで?母ちゃん元気そうだったし、借金でもあったの?
龍太の死後は、龍太の母を支援しようとする浩輔。よほど愛に飢えてたのでしょうか。押しつけがましく物狂おしくもあって、何か怖かったです。浩輔の龍太、そして龍太の母を想う気持ちは、確かに強くて真摯だったんだろうけど、それ以上に幸せになりたい、孤独はいや、という自分本位さを浩輔からは感じられました。まさに悲しくてイタいエゴイストでした。龍太の母も息子そっくりで、戸惑いつつもちゃっかり浩輔の援助を受けるとか、あの息子にしてこの母ありでした。
浩輔役の鈴木亮平、龍太役の宮沢氷魚が、期待以上のBL演技!二人の好演を心から讃えたいです。
鈴木亮平の、いかにもなわざとらしさとか、作りものっぽさとかのない、さりげない表情や言動でのオネエっぷりが見事でした。すごくホンモノを観察、研究したんでしょうね。最近のBL映画やドラマって、オネエっぽい主人公なんてほぼほぼいないじゃないですか。鈴木さんのキャマっぽさが何か懐かしくも新鮮でした。ゴツくて男らしい風貌とギャップがある、女性的な優しさやプライドや執着などが軽やかかつ悲痛で、やはり卓越した演技力とチャレンジ精神を備えた俳優だとあらためて思いました。ハイセンスすぎるファッションも、ゲイゲイしく着こなしてます。龍太との初エッチの後、高揚感と多幸感から独りで踊るシーンで着てたガウンが強烈だった。
龍太役は「レジェンド&バタフライ」で明智光秀を演じてた、最近売れっ子みたいな宮沢氷魚。ザ・ブームの宮沢和史の息子さんなんですね。言われてみると、何となく似てますね。たまに筒井道隆にも似て見えた。美男とかイケメンではないけど、笑顔が優しく無邪気で可愛かった。大柄な鈴木亮平より背が高い?!でもデカ男感は全然なくて、ひょろっとスマートな長身がカッコよかったです。鈴木亮平とのラブシーンだけでなく、売り専の客相手のセックスシーンもあり。浩輔と、そして客相手とのセックスではタチな龍太。どう見てもネコっぽい氷魚くんが年上の男たちを抱くシーンが、なかなかのギャップ萌えでしたわ。エッチしてる時も氷魚くんの笑顔や声が、演技とは思えぬほどスウィート&メロウ。
亮平も氷魚も、よく脱いで絡んでラブシーン頑張ってました。最近の邦画、人気俳優の出演作では稀有な男同士の性愛シーンでした。でも、衝撃的とか大胆とかエロいとかいった感じはまったくなくて、あくまでソフトタッチ。お尻ぐらいは見せてほしかったかも。前は見えなくていいけど、ケツ出しは重要!浩輔の豪華マンションで愛を交わすのですが、あんな明るい場所でヤるとか、全部丸見え過ぎてわしは無理(笑)。
「エゴイスト」
雑誌編集者の浩輔は、専属トレーナーとして雇ったインストラクターの龍太と恋に落ちる。病弱な母との生活に困窮する龍太から、金のために売り専ボーイをしていることを打ち明けられた浩輔は…
日本の映画やドラマでも人気のBLですが、そのほとんどは男と男という葛藤や苦悩がほとんどない、ライト&スウィートなキラキラもの。ファンタジーBLも悪くないけど、ゲイの人たちがどのように出会って愛し合って、社会と向き合っているのかを描くリアルなBLを、腐女子はもっと観るべきだと思います。この映画は、BL映画というよりゲイ映画。リアルだけど生々しくはなく、人気俳優を起用した甘美で哀切なラブストーリーになってるので、腐にもゲイにも口当たりがいい作品に仕上がってます。
生活のために男娼をしているピュアな貧乏青年を、パトロンのように支援し庇護する裕福な大人の男…という設定は、ちょっと「藍宇」を。死んだ恋人の母親を献身的に支えようとする主人公…という後半は、ちょっと「追憶と、踊りながら」を。大好きなBL名作を思い出させる映画でしたが、うう~ん、何だろう。藍宇と追憶のように、この映画も甘い痛みや優しい悲しみで男同士の愛を描こうとしていたとは思うのだけど、私は感動よりも動揺してしまいました。浩輔がどう見ても、龍太にたかられているようにしか見えなくて…
龍太ってすごくさりげなく言葉巧みに、自分の困窮を浩輔に訴えるんですよ。母に食べさせたいからと浩輔に高級弁当を買わせるシーンから、ん?と思ったんだけど、恋人関係になってからも遠慮しつつ、でもちゃっかりいろんなものを浩輔に買ってもらってる龍太に、私は警戒心を抱かずにはいられませんでした。浩輔、だまされてるのでは?と。男女間ではよくある話ですからね~。若いイケメンと恋愛できるんだから、まあ浩輔にとっては必要経費なんだろうけど、本当に愛し合ってる関係にしては引っかかる格差でした。驚いたのは、売り専を辞めさせるため浩輔が、月々お手当を与えて龍太を自分専属の恋人にするところ。そんな愛人契約を龍太は了承して、ますますラブラブになる二人なのですが、きっちり手当を受け取る龍太に、これは恋愛ではなく援助交際だよな~と、決して美しくない幸せに私の胸はザワつかずにはいられませんでした。
龍太がおっさんゲイをたらしこむ汚い男だったら、浩輔もあそこまでのめりこむことはなかったんでしょうね。龍太の無邪気で優しくて弱いところが悪賢さや狡猾さよりも怖い、おっさんを虜にする魔性でもありました。いろんな男を相手に体を売る龍太ですが、嫌悪とか絶望とかいった悲壮さは微塵もなく、本当に相手のことが好きみたいにセックスしてるんですよ。まさにプロの男娼。スポーツインストラクターよりも、男娼のほうが龍太の天職なのではないかと思うほどに。それにしても。体を壊すほどに働いてた龍太、何でそこまで?母ちゃん元気そうだったし、借金でもあったの?
龍太の死後は、龍太の母を支援しようとする浩輔。よほど愛に飢えてたのでしょうか。押しつけがましく物狂おしくもあって、何か怖かったです。浩輔の龍太、そして龍太の母を想う気持ちは、確かに強くて真摯だったんだろうけど、それ以上に幸せになりたい、孤独はいや、という自分本位さを浩輔からは感じられました。まさに悲しくてイタいエゴイストでした。龍太の母も息子そっくりで、戸惑いつつもちゃっかり浩輔の援助を受けるとか、あの息子にしてこの母ありでした。
浩輔役の鈴木亮平、龍太役の宮沢氷魚が、期待以上のBL演技!二人の好演を心から讃えたいです。
鈴木亮平の、いかにもなわざとらしさとか、作りものっぽさとかのない、さりげない表情や言動でのオネエっぷりが見事でした。すごくホンモノを観察、研究したんでしょうね。最近のBL映画やドラマって、オネエっぽい主人公なんてほぼほぼいないじゃないですか。鈴木さんのキャマっぽさが何か懐かしくも新鮮でした。ゴツくて男らしい風貌とギャップがある、女性的な優しさやプライドや執着などが軽やかかつ悲痛で、やはり卓越した演技力とチャレンジ精神を備えた俳優だとあらためて思いました。ハイセンスすぎるファッションも、ゲイゲイしく着こなしてます。龍太との初エッチの後、高揚感と多幸感から独りで踊るシーンで着てたガウンが強烈だった。
龍太役は「レジェンド&バタフライ」で明智光秀を演じてた、最近売れっ子みたいな宮沢氷魚。ザ・ブームの宮沢和史の息子さんなんですね。言われてみると、何となく似てますね。たまに筒井道隆にも似て見えた。美男とかイケメンではないけど、笑顔が優しく無邪気で可愛かった。大柄な鈴木亮平より背が高い?!でもデカ男感は全然なくて、ひょろっとスマートな長身がカッコよかったです。鈴木亮平とのラブシーンだけでなく、売り専の客相手のセックスシーンもあり。浩輔と、そして客相手とのセックスではタチな龍太。どう見てもネコっぽい氷魚くんが年上の男たちを抱くシーンが、なかなかのギャップ萌えでしたわ。エッチしてる時も氷魚くんの笑顔や声が、演技とは思えぬほどスウィート&メロウ。
亮平も氷魚も、よく脱いで絡んでラブシーン頑張ってました。最近の邦画、人気俳優の出演作では稀有な男同士の性愛シーンでした。でも、衝撃的とか大胆とかエロいとかいった感じはまったくなくて、あくまでソフトタッチ。お尻ぐらいは見せてほしかったかも。前は見えなくていいけど、ケツ出しは重要!浩輔の豪華マンションで愛を交わすのですが、あんな明るい場所でヤるとか、全部丸見え過ぎてわしは無理(笑)。