ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

韓国旅行記・その1

2013年06月03日 | 家族とわたし
ただいま~です!
昨日の夜11時半に、無事に家に戻ってまいりました。
ごちゃごちゃ前置き無しで、さっそく旅日記を書き残しとこうと思います。

5月26日
不思議なことに、無くしたカメラと一緒に、iPadに書き込んであった日記も消えてしもてた。
まるで、カメラの中の思い出写真らが、連れてってしもたみたいに……。
そやから、ここに今書いてるのは、思い出せることだけ。
短い間やったけど、よき相棒となってくれたあのカメラが、新しいパートナー(見つけてそのまんま持ってった人)に、大切にしてもらえることを祈るばかりなり。

さて、旅行初日の26日は日曜の朝で、7時に予約したタクシーに乗って空港に行った。
日曜日のその時間の高速はめっちゃ空いてて、ものの15分もせんうちに空港に着いた。
タクシーの運ちゃんは、その会社では珍しく、運転も物腰も柔らか、ええ人やった。
料金は35ドル。
今日はサンフランシスコまで飛ぶだけ。
ほんでもって、サンフランシスコの市内観光をして一泊し、翌朝韓国に向かうという計画。
真横に一直線に飛行機で飛んでも、6時間もかかってまうアメリカ。
いっつも、これぐらい(6時間)の時間が経ったぐらいのとこで、飛行機に乗ってんのがイヤになってくるので、このアイディアはありがたかった。
今回の旅行も、前回のタイ旅行と同じく、親におんぶに抱っこ。
しかもどっちもアジアで、日本をちょっとだけ飛び越えたとこ……ちょいと複雑……。

空港で待ち合わせた父が、予約の都合で、あんたらもファーストクラスやと言う。
えぇ~!!
思いっきり妄想が始まる。
カプセルみたいなとこで、座席がベッドみたいになって、ワインとかが運ばれてきて……etc。
ところがところが、国内線のファーストクラスっちゅうのは、片方に2席ずつのでっかいサイズのフワフワ椅子で、寝ることはできんかった……残念。
けどまあ、メニューで選べる食事とか、あれこれ経験したことのないサービスを受けさしてもろたし、やっぱり6時間乗っても疲れが全然ちゃうかった。
ありがたや~……。

サンフランシスコに到着し、レンタカーを借り、そこからホテルへ直行。
それにしても父は、待つことがとにかく嫌いな人。
レンタカーも前々から予約してあったみたいで、空港内から乗れる電車でレンタカー駅(というのがある)まで行き、そこから借りた車に直行。
立ち止まる、ということが一切無い。
ホテルに着いてチェックインが終ると、ほな、◯◯分後に△△で待ち合わせ、という号令がかかる。
わたしら(というか、旦那の家族)は、その◯◯分というのをきちっと守らなあかんと、長年に渡りしっかり擦り込まれてる。
今回のんは、◯◯分後にホテルの入り口に集合し、土地に詳しい父が自分で運転して、市内をあちこち案内してくれはる、という計画。
わたしは西海岸が初めて。
そやし、めっちゃ興奮して、あっちゃこっちゃ写真を撮りまくった。
ところが母は、そんなわたしの横で、ちっちゃいため息をついては悩まし気な顔してる。
なんでかというと、この旅行のために厳選した4冊の本をキンドルに入れといたのに、それをマンハッタンのアパートに置き忘れてきたから。
旅行の読書は、絶対に欠かせん彼女の楽しみ。
そやからなんとかして、サンフランシスコにいる間に、同じタイプのキンドルを見っけたい。
けども、待ったり予定外の行動するのが大っ嫌いな夫に、なかなかそれを頼みにくい。
けどもけども、横には息子と嫁がいる。
いつもとはちょっと違う状況やし、旅行中やし、ちゅうことで、母はいつもよりも大胆に、携帯でお店を探してた。
運転する父は、これまたいつもよりも信じられへんくらいに親切に、母の言うことを聞いてたのやけど、ちょっとイライラし出した。
その時、実にタイミング良く、旦那が、車が走ってる近くに店を見っけた。
電話して聞いたら「ありまっせ」と言う。
車をUターンして店に到着。
全くおんなじもんとはちゃうかったけど、それでも手に入れられた母は、ニコニコして戻ってきた。
買い物中、旦那とわたしは車のそばで待ちながら、母も30年前やったら、キンドルみたいなたっかいもん、忘れてきたから言うて買い替えたりせんかったやろなあ、などと考える。
仮にもし、わたしが忘れたら、旦那は即、「Just forget it」と一言言うて終るやろ。
彼女は普段、同じアルミホイルを何回も使たり、洋服や日用品も贅沢なもん買うたりせん人やけど、お金持ちになって何十年も経つと、やっぱり少しは変わるんやろな。

ゴールデン・ゲート・ブリッジに近づくと、めちゃくちゃ混み始めた。
そっか、今日はメモリアルデーの連休中やった。
渋滞が続いたけど、父の機嫌はまずまず。
「あそこが橋やで」と指差してくれたとこを見たけど……真っ白でなんも見えへんし……。
「どこ?」
「いやあ、ここまで濃い霧は初めてやなあ」と、ひとり感心してる父。
せやから、見えへんねんて……。

めちゃんこ珍しい上半身だけの真っ赤っかな橋を撮ったのに、そのカメラを無くしてしもたのでここには載せられへん……しくしく。
とにかく、左からビュンビュン吹き荒れる風に流されるのに、すぐに沸き上がってくる?霧に隠れる橋。
人も車も、白いモヤモヤの中で見え隠れする。
橋の測道を歩いてる人らが、めっちゃ寒そうやった。

その後、モービルカーが走る坂道や公園を車中から見学したり、車から降りて散歩しながら町並みを観たりして、3時間の時差ボケを調整する。
ご飯を食べに行った時、せめて食事代だけでも払わせて欲しいと言うてみた。
「いや、今回はあくまでもゲストとしていてもらうから、そういうことは一切無し」と父。
おおきにです!

食事後、レンタルカーを戻し、電車で空港まで行き、翌日の飛行機のチェックインを済ます。
これまた、待ちとうない父の恒例の行動パターン。
けど、もともとファーストクラスって他のクラスよりも優先されてんのに、その中でもさっさと終ってたいっていうこの性格……軍人の厳しい父親と、軍人ちゃうけど厳しかった母親に育てられた父ならでは、なんなんかなあ……。
いや、待ちとうないっていうのはちょっと違うかも。
だって、搭乗開始時間の少なくとも15分以上前には、ゲートのカウンターんとこに居てなかなんみたいやし。
決められた時間を待つのは平気なんやけど、人の後ろで待つってのがイヤなんやろか……。
とにかく、わたしとはまったく違う性格の人であることは確かで、母はもうかれこれ60年以上も、こういうノリに付き合うてはるんやな。
などと、自分はエコノミー席やのに、異様に早い時間にゲート前に集合したいファーストクラスの人に付き合わされながら、あれこれと勝手に考えたのであった。

そして翌朝、こちら時間の27日の朝、10時5分出発の韓国行きの飛行機に乗るべく、サンフランシスコ空港に向かう。

両親の席を見学に行ったら、やっぱりあのカプセルやった。
くぅ~……。
我々の席は、通路を挟んで隣り合わせのエコノミー席。
ユナイテッドの国際便のエコノミー席の狭さはなかなかのもんやった。
けども、無銭旅行をさせてもらうんやから、文句は言いっこ無し!ありがたやありがたや。
と、シートベルトを閉め、12時間近くの時間を過ごすための道具を前の座席のポケットにセットして、いざ出発!と意気込んでたら……、
2階のファーストクラスのお客さんに運ぶ、食事用のコンテナを移動させるエレベーターが故障した、というアナウンスが。
とても優秀な技術者が、只今必死のパッチで修理してますので、多分30分もしたら飛び立てると思います、と言う。
ところがところが……その後何回もアナウンスがあって、結局2時間半遅れで飛行機は飛び立った。

その間に、飛行機から出てもいいですよ、と言われ、ゲート近くのトイレに行ったわたし。
トイレの隣にあった、スパ&マッサージのお店で、気持ち良さそうな旅行用枕を見っけて代金を払てたら、
「まうみ、早よ早よ!飛行機がもう出るらしいで」と、旦那が大慌てで手招きするので、慌てて走って飛行機に戻った。

そして多分、そこで、わたしは相棒のカメラを置き忘れてきてしもたらしい。

地獄の12時間後、もうそろそろ韓国に着くという頃、iPadやマスクや枕をナップザックの中に仕舞いながら中身を点検してる時に、カメラが無いことに気がついた。
おぉ~のぉ~!!
旦那が手書きした紛失届を添乗員に渡し、とにかくなにか情報が入ったら教えて欲しいとお願いした。

カメラ無しの旅行やなんて……アーモンドの入ってないチョコレートみたいやんか……いや、それよりはもうちょっと深刻……。

日にちは時差のかげんで5月28日になってる。
気温はめっちゃ低うて寒い。
マリオットホテルに着き、荷物を置いてまず散歩。
起きてるのか夢の中でいるのか、ぐらいのボケようで、空港からホテルまでのワゴンの中でもホワホワとしたまんま。
ホテル内で、飛行機のアテンダントの人達とまた一緒になり、カメラの紛失届のことを、旦那がもう一度頼んでくれたみたいやけど、やはり落ち込む……相棒を置き忘れてくるやなんて……。
街中の食堂みたいなとこで食べてみるか、それともホテルの中か。
誰も挑戦する気力がなくて、結局ホテルの中のレストランでビビンバを食べる。
部屋でインターネットが使えるようになり、ツィッターやフェイスブック、それからブログをちょっと確認するも、頭がボケ過ぎてあかん……これはもう寝なあかんと断念した。

あ、そや、もしも旦那が、前の相棒やったお古のカメラを持ってきてくれてたら……。
「持ってきてるで」
おっしゃ~!!
ちょっと元気が蘇った、旅行初日の夜。