このニュースが出た当時から読んでた。
日本に限らず、言葉通り、聞いてる方が赤面してしまうような、恥ずかしい言動をする政治家はどこにでもいる。
けど、こういう、上田という、人権人道大使などという肩書きを背負た男が、国連の委員会にやってきて、マイクを通して「黙れ!」というような言葉を発したのは、恥を通り越してしもてる。
せめて、こういう立場には、英語が使いこなせる人間を当てるべき。
単語を知ってるだけやなくて、英語人の世界での禁句や御法度を理解してへんかったら、こういうとんでもない失敗を犯してしまう。
シャラップって、よう映画とかマンガとかでは耳にしたり目にしたりする。
それは、過激でおもろいから使われるのであって、普段の生活では滅多に使われへん単語。
そもそもシャラップちゃうし……。
そう聞こえるかもしれんけど(特に米語では)、シャット アップのTとAが重なって、日本語でいうダに近い発音になってるだけやし。
そやし、英語人の耳には、ラという発音がそもそもけったいなふうに聞こえるんやけど、もちろん理解は可能。
けど、この単語、家族や、よほど親しい人との会話の中とかで、ふざけ合うてる時とか、もちろんめちゃ腹立ててる時とかに言うんやけど、
その時もやっぱり、よほどの覚悟をしてたり、これはほんまに口にしてええかどうか、ちょっと躊躇うたりしながら言うもんで、
公共の場で、ましてやマイクを通して言う単語では絶対に無い、非常識そのものの言葉。
stupidという、愚かな、ばかなっていう意味の単語がある。
これをわたしは、関西人のノリで、アホやなあ(関西の場合これはかなり軽うて親しみがこもってたりする)と言いとうて、ピアノの生徒を教えてる最中に使たことがある。
するとその言われた子が、涙ぐみながらこう言うた。
「ボクはstupidなんかじゃない!こんなひどい単語、ボクは親にも言われたことがない!」
仰天して謝り、後で旦那に尋ねたところ、その単語は今後一切、他人(特に生徒)には使わんように、と叱られた。
もちろん、夫婦喧嘩の時はオッケーやと。
けど、かなりグサッとくるから、多用せんようにと。
ファック ユーかて同じ。
映画とかでよう耳にするからいうて、それを海外に来て、普通に使たり中指立てていちびってたら、やっぱりアホかと思われてしまう。
使いどころやタイミング、それから言う時のニュアンスの違いとかもようわからんままに、軽々しく使たらあかん言葉があるってこと。
一般の人やったらまだええよ。
世間も許してくれる。
けど、この上田っちゅう男は許されへん。
クビにならへんかったら許さへん。
英語がどうのこうのという以前に、人権人道大使に全くふさわしくない。
上田人権人道大使に見る、世界に恥ずかしい「人権外交」
伊藤 和子 | 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
2013年6月5日
日本政府が任命した上田「人権人道大使」の、国連拷問禁止委員会での態度が話題になっている。
5月21日、22日に開催された、国連拷問禁止委員会は先日、「慰安婦問題」に関する厳しい勧告をしたことが、日本でも大きく報道された。
日本への勧告が出された5月31日は、私もジュネーブ出張中だったので、委員の方々のお話を聞く機会があった。
この委員会は、「慰安婦」問題以外にも、日本の冤罪を生み出してきた取調べ、虚偽自白、起訴前拘禁のあり方などについても、大変厳しい勧告を出した。
日本はいつも、刑事裁判のあり方、特に冤罪を生み出す取調べや拘禁がひどい、として、国際機関から改善の勧告を受けているが、
全くこれを是正せず、この審議でも、いつものとおりのらりくらりだったという(日本はいつも、条約機関の審査でこんな感じだ。世界的にも呆れられていて、恥ずかしい)。
傍聴した小池振一郎弁護士によると、そんななか、アフリカ・モーリシャスの委員から、
日本の被疑者取調べに弁護士人の立ち合いがないこと、非常に有罪率が高いこと等について指摘があり、
「自白に頼り過ぎではないか、これは中世の名残である」との発言があったという。
この時、日本政府側のトップとして参加していたのが、上田人権人道大使だったが、非常に敏感に反応したという。
小池弁護士によれば、上田大使は、
「先ほど、『中世だ』という発言があったが、日本は世界一の人権先進国だ」と開き直った。
びっくりしたが、大使はあわてて、「人権先進国の一つだ」と言い直した。
これに対する会場の、声を押し殺して苦笑する雰囲気を見て感じたのか、なんと、大使は、
「なぜ笑うんだ。笑うな。シャラップ!シャラップ!」と叫んだ。
というのだ。
この大使、昨年10月の、人権理事会による日本の人権審査の際も出てきて、そもそも外交官なのに英語があまりにも苦手な様子で驚いたことがあるが、
最近の人権条約の審査では、日本語で通していたらしい。
ところが、唯一発したのが、「シャラップ」という、あり得ない暴言だった。
海外でこのような言葉を使うのは、あまりにも侮蔑的で失礼なことであり、『事件』と言ってもよい。
外交官なのに、どうしてこのように、他人に対するリスペクトがないのだろう。
この話、参加していなかった人たちの間でも、瞬く間に駆け巡り、ジュネーブでは大変な悪評となっていた。
ヨーロッパ在住の人は、日本の大使が「シャラップ」と言ったと聞いて、あまりのことに凍り付いていた。
推察するに、「アフリカの委員には言われたくない」という、人種差別的な感情が表に出て、そのような発言になったのではないかと思うと、あまりにも恥ずかしいことである。
ところで、冤罪事件・布川事件で、最近再審無罪となった櫻井昌司さんが、この拷問禁止委員会の審査を傍聴していて、やはり大使の発言に苦笑していたらしく、
「あれは、委員と言うよりは、自分に向かって言ったんだと思いますよ」と言っていた。
しかし、国の責任で、まさに討議されている、前近代的な自白依存の刑事司法制度の犠牲者として、長年投獄され、冤罪の被害にあった櫻井さんに会えば、
まず真摯に謝罪するのが、本来の「人権人道大使」のあるべき姿であるはずで、「シャラップ」はないだろう。
多分、日本の人権に興味がないから、櫻井さんのことなど知らなかったのかもしれないが。
日本の、国連での人権条約審査に出ていれば、国際人権スタンダードから日本があまりにかけ離れており、
人権条約機関の委員があきれ果て、いつも厳しい勧告を出す場面を、繰り返し見てきているであろう。
しかし、そのギャップを痛感するどころか馬耳東風、「世界一の人権先進国」という認識にも驚かされる。
日本が、国際人権条約機関から是正を求められている人権状況は、2009年時点で以下の通り。
http://hrn.or.jp/activity/product/report/-/
国連が是正を求める日本の人権状況- 勧告の一覧
http://hrn.or.jp/activity/kokuren-ga-zesei-wo-motomeru-nihon.pdf
繰り返し繰り返し勧告されていることに、まったく改善がないことがわかる。
いつのまにか、人権諸課題では、韓国のほうが国際機関の勧告をきちんと受け入れているので、韓国がアジアの人権先進国になり、日本は追い抜かれている。
この表、2009年以降アップデートできていないが、ほとんど前進はない。
2009年時点にこの表を作成した際は、「民主党政権で何か変わるか」と思ったが、遅々として進まなかった。
そして自民党政権下では、むしろ後退の心配がつきまとう。
このような深刻な、勧告の不遵守を、真摯に反省すべきなのだが、開き直って自信満々、という態度が、国連の人権審査では目に余る。
実は、4月30日には、国連「社会権規約」に関する日本の審査があり、私たちの団体のメンバーも発言したのだが、この際も同じく、上田人権人道大使が出てきた。
この時も、上田氏の発言があまりにもひどい傲慢なもので、日本は何も悪くないと開き直り、委員とまともな対話が出来なかったようだ。
朝鮮学校の無償化、慰安婦問題について質問をした、韓国の女性の委員に対する対応はとりわけ高圧的で、喧嘩腰だったそうだ。
参加された市民団体の方には、あまりにも辛すぎて、精神的に耐えがたい苦痛を受けて、心を傷つけたまま帰国された女性たちもいたと聞いた。
参加した人たちは、「あの場にいることが耐えがたく、上田大使から、自分も人権侵害を受けた気分だった」という。
このような人が、「人権人道大使」と名乗り、人権意識や人権感覚のなさを露呈し、委員にすら差別的な言動をする、というのは、日本の恥を世界に晒しているに等しい。
日本のためにも、このような人には早くやめてほしい、と多くの人に言われた。
とはいえ、大使一人が悪者、と言うわけでもない。
従軍慰安婦問題に関する橋下発言、猪瀬知事の人種差別発言、安倍首相の歴史認識、と、日本の人権感覚に世界は眉を顰めているなかで、
こうした事態が起き、日本政府や、政治に責任ある立場の人間の人権意識に、国際社会は極めて厳しい視線を注いでいる。
特に、戦時性奴隷制、歴史認識に関する一連の事実の否定、または「必要だった」という発言は、
国際社会が最も深刻と受け止める、人権侵害(ユス・コーゲンス・ノームと言われる、国際慣習法の根幹部分に違反する、いかなることがあっても人道上許されない人権侵害)に対する責任回避・責任免責と受け止められ、世界は神経をとがらせている。
ところが、安倍政権は、自分たちは人権・民主主義外交をやっている、等と宣言し、人権とは縁遠いキャラクターの「人権人道大使」を任命している。
最近では、国際的な批判を恐れて、本音を押し隠し、歴史認識については黙りこんでいる。
こういう、心にもない『人権」の政治利用・しかも外交への利用は、人権を真面目に考えて行動する者への冒涜だと思う。
人権を真面目にやる気がないのなら、いっそ「人権外交やってます」などと、心にもない恥ずかしいことは、もう言うのをやめて、
「人権人道大使」なるポストも廃止して、正直に「対中封じ込め外交」と、本音と建て前を一致させ、旗色鮮明にしたほうがいい。
そのほうがはるかにすっきりするし、国際的にも、日本と言う国が等身大にわかって、わかりやすいのではないか(怒)。
伊藤 和子
弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。
米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む、日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、
事務局長として、国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。
同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために、日々活動している。
ミモザの森法律事務所(東京)代表。