ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

人里離れて過ごした6日間の旅・その2

2013年09月07日 | 家族とわたし
9月3日(火曜日・曇りと雨)

初日の晩、湖畔の家の主寝室の、同じベッドで寝てみた我々ふたり。
やっぱり、普段から別々の部屋で寝てる我々には、かなり寝苦しいことを痛感。
寝相をひんぱんに変える旦那と、音に敏感なわたし。
お互いに、夜中にパッと起きてしまうクセがあって、そういう時に、寝てる相方の邪魔をしとうないからと、めちゃくちゃ気を遣う。
こりゃもう、別々の部屋で寝ようと、二日目の夜は、玄関からみると反対側の、続き部屋になってるふたつの寝室を使て寝た。
三日目の晩は、ルーとイライザが来て、訝る彼らに主寝室を使てもらい、彼らがまた去ってからは、わたしが主寝室、旦那が別の部屋から居間にベッドを持ち込んで寝た。

夫婦が別々のベッドで寝るというのは、傍目からはおかしいかもしれんけど、特に更年期を迎えた夫婦にとっては、この別々というのは絶対にお勧め。


この白樺の木は、去年、正体不明の小さな動物にさんざっぱらかじられて、今年来たらこんなになってしもてた。


そして今年はこの木(洗濯物を干すためのロープがくくりつけられてある)が被害を受けてる。


こんなふうに、ガンガンかじって穴蔵をつくり、そこに寝泊まりする。


洗濯バサミ、危うし!


今夜もまた薪かなあ……。


珍しいキノコまたまた発見。


普段の生活から離れた場所で過ごす旅の最後にふさわしい、とんでもなくヒマで、静かで、我々以外人っ子一人おらん、骨の中までゆっくりした時間を過ごさせてもらった。


9月4日(水曜日・夜明けは晴れたけどやっぱり曇り)

湖の前での立ち瞑想も今朝で終わり。


今朝の湖面には、霧が立ちこめてた。


テディベア島も霧の中。


もうお別れや。


旦那も降りてきて、


やっとやっとの日の出。


と思たら……雲さ~ん!


昨日からずっと、泳ごか泳がんとこかと迷てた旦那。
さすがの彼も、この気温の中では、太陽の温かな光無しでは泳げん、とあきらめた。

モントリオールとニュージャージー、どちらも渋滞することにかけては負けへん町。
なので、朝晩、どちらの渋滞も避けられるよう、帰宅のスケジュールを考えた。

まずはモントリオール渋滞回避作戦。
山のふもとの町のカフェで、朝ご飯を食べよう!




コーヒーマシーンが稼働中!


上の小さい窓から、緑の生コーヒー豆が見える。


お~、出てきた出てきた!


コーヒー豆のことやったらなんでも聞いてや~と、苦手な英語(ケベックはフランス語が主流)でていねいに説明してくれた職人さん。
20年、ここで豆を煎ってはるらしい。
途中で豆をちょいと出し、香りを嗅ぎ、それで出来具合を確かめるのやそうな。


渋滞無ぁ~し!


かなり細い山道でも、速度表示が80~90km/時やったりするカナダ。


やっとフランス語の標示に慣れてきた頃に、いっつも帰る……いやはや。


13年以上も暮らしてると、USAという表示をみるとホッとしたりする。


めっちゃ広い川。


この橋を渡ると、国境がいよいよ近づいてくる。


どこから見てもええ感じの橋。


さらに、NEW YORKという表示を見ると、日常に戻るぞ、という気分になる。


ずっと遠くに(鉄塔のむこうに)、大きな風車がたくさんあって、ゆったりと回ってた。


ザ・田園!


とんでもなく長い真っ直ぐな道。


そろそろ国境。その前にお土産どうでっかぁ~?のド派手なお店。


必ず寄ってフレンチワインを買う免税店。


これまたガッラガラ!


雲三昧。
  





休み休み10時間運転して帰る。
途中、体の凝りを取るために立ち寄った、ハイキングコースの入り口。
  





最後に寄ったドライブインで。どんだけ爽やかに晴れとんねんっ!!


よくよく見たら、トラックムカデ?!



家に戻ると、カリフォルニアに出張に出かけた次男くんはおらず、引っ越し途中の長男くんと、留守番役を引き受けてくれたまなつちゃんが出迎えてくれた。
居間には、長男くんの、新しいアパートに持ち込む荷物でいっぱい。
ショーティは、やっと帰ってきたかとばかりに、ちょいと拗ねた声で鳴く。

山から汲んできたお水が無くなった頃には、頭の回転も少しは戻ってるかなあ……。
コメント (6)
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人里離れて過ごした6日間の旅・その1

2013年09月07日 | 家族とわたし
8月30日(金曜日・アメリカ側晴れ/カナダ側曇り後雨)
ギリギりまで迷たカナダ行き。
やっぱり行くことにして、生徒にごめんなさいを言うた。
もともとこの週は、夏休み最後の、勤労感謝の日を挟んだ連休になるので、夏の〆の旅行に出かける家族が多い。
そしてこの、勤労感謝の日(レイバーデイ)が終わると、学校の新年度が始まる。
長い長い夏休みを終えて、大人も子どもも皆、ちょいと緊張気味になる。

カナダの、日常とはちょっと隔たりのある山のてっぺんの湖畔はだから、新しい年を前にしての、最後の息抜きになる。
いやもう、充分息抜きしてたやんか、と言われそうやけど、まあそれはそれ、他の世界と完全に遮断された空間で、時間を過ごさせてもらうことにした。

もう秋か?という毎日が続いてたのに、空には夏が弾けてた。


そろそろカナダと国境に近づいてくると、両側の景色が絵はがきの世界に。




カナダの入国管理局が、めちゃ空き!これは記録かも。



今回、検査官の質問がすごかった。
持ち込んだらあかんもんをガンガン聞いてきた。
肉類などの生もの、銃器、マスタードガス……いや、そんなもん持ってへんし、持ってても言わへんし……。
でもって、わたしはパスポートを提示せんでもよくて、グリーンカード一枚で入れてもろた。

モントリオールはいつものごとく渋滞に次ぐ渋滞。




ほんで、なぜかそういう時にハンドルを握ってるのはわたし……。
結局、別にどこにもゆっくり寄ってへんのに、10時間近くかかってしもた。

途中で大雨が降ってきて、洗車終了!




近くのスーパー(名前がIGA?!)で、とりあえず二日分の食材を手に入れ、湖に到着。

湿気が湖畔特有の香りをぎゅっと抱きしめていて、小屋の中はなつかしい匂いが充満してた。






まずは水温チェック。


けっこうあったかい。
泳ごか。
ぐわぁ~ん……水着忘れた。
誰も見てへん、旦那のTシャツ借りて、パンツでジャブン!


今年の水の量はかなり多い。
雨がぎょうさん降ったんかなあ。

骨付豚の香草焼きとサラダ、ほんでもってベイクドポテト。
去年のクリスマスのプレゼントにもろた赤ワインで、無事に着けたお祝いをした。

昨日はろくすっぽ寝てないので、今日はこれでおしまい。


8月31日(土曜日・曇り)

湖畔の家では、音が息を潜めてる。
冷蔵庫が己を冷やすために働いている時と、水を湖から吸い上げるポンプの音が、ここでの物音。
静けさがここまで濃いと、普段は聞こえない自分の呼吸や軽い耳鳴りの音、それから、林の雨のしずくが地面に落ちる音が聞こえる。

思いっきりの曇り
分厚い雲の下でも、湖はやっぱり美しい。


あちこちで魚が跳ねる音が聞こえる。


スタンディングメディテーションを湖に向かってしてたら、背後から、「朝ごはんできたよ~」という旦那の声。
なんという幸せ、なんという贅沢。
これだけでも、ここまで来た甲斐があるというもんです、はい。

夜中にも雨が降った。
朝ご飯の後は日記を書いて、




地面はもうフカフカ。


うまそ~なキノコ。


さて、ここでの生活に欠かせへんお水。
水道の蛇口から出てくるのは湖のお水やから、直接飲んだり生で食べる野菜は洗えへん。
なので、ちょっと離れたとこにある、公共の、山の清水が流れ出てるとこまで行って汲み置きする。
こんなふうに、別の容器に水を汲み、地元の葡萄を洗う。


子どもの頃に遊んだおままごとみたいに。

お茶碗は洗い桶と濯ぎ桶に分けて、チョロチョロの水でていねいに洗う。


では、散歩がてら、お水汲みに出発。




空の容器を両手に、


どんどん歩く。


さらに歩く。


容器をひとまず置いて、ご近所散策。
新しい工事関係のビジネスを始めたらしい、元スーパーマーケットのオーナー。


その隣には、クレープとカフェのお店が。


毎週金曜日の夜に、ビンゴゲームの会場になる、お年寄りのための集会所。




もうあんまり見られようになった公衆電話と一時停止サイン。


今日の朝10時から、カヌーしたり音楽聞いたり、ホットドッグ食べたりするパーティありますよ~。というお知らせらしい……旦那のフランス語読解力を信じたら。


やたらとデカい、ここは行き止まりで、どっちにも行けるでサイン。写真を撮ってたら、近所の人らに笑われた。


郵便と新聞の受け取り場所。


元教会か?と、近づいてよくよく見てみると、まだまだ現役。失礼しました。


ジプシーモスと呼ばれる大きな蛾の巣。木を殺してしまうらしい。


くねくねダンスする道。


我らがシルバーレイク小径への入り口。


表札さえもかっちょいい。


紅葉が始まってる。


山にはいつも、ただここで咲く、静かで可憐な花がいっぱい。


水泥棒!


いえいえ、これは公共のいただきものです。


今年はやっぱり相当雨が降ったみたい。水量がいつもの3倍はある。


このおいしさ、冷たさというたら……。


男は黙って水を運ぶ。


紅葉開始。


木の根っこと共存する茸。


湖畔のベンチに座ってしばらくボォ~ッと。






湿地の美。




ルーとイライザと犬のバートが、モントリオールからやって来た。いっぺんに賑やかになる。

師匠が送ってくれはった、お楽しみ小包から、御薄茶と茶筅と千菓子、ほんでもって両口屋のおちこちを、皆で楽しむ。


カナダ人もアメリカ人も、誰もが「う、うまい、これ」と言う。

足長クモもやってきて、おちこちを食らふ。


旦那も挑戦。上手にできました。




イライザとわたしが座式瞑想を1時間やってるうちに、男たちはボート遊び。


その向こうでは、ちっちゃな女の子がジェットスキーの練習中。


さあ泳ごう!


正統派犬かき。


先に上がってご主人様を見つめる。


ルーのおとうさんテリーが見つけてきた木の根っこ。


どこにでもギターを持ち運ぶ男。


遠くまで泳いでいくイライザをじぃっと見つめるバート。


ざ・けったいなキノコ!


おやつのビスケット。ボクの大好物やねん!


今日は長男くんが、今まで暮らしてたアパートから荷物を出し、新しいアパートの入室可能日までの間、倉庫に預けるために、運転し慣れてない車であちこち走ってるはず。
無事に済みますように。


9月1日(日曜日・晴れったぁ~!)

もちろん朝一番の水遊び!




これがボクちんのタオル。


晴れの日の湖。






野生のブルーベリー。


バートお気に入りの穴(もちろんバート作)。


チップモンクを追いかけたいバート。


やっと会えたルーンの夫婦。この湖の主。


家の入り口で見っけた茸。





泳いで、本読んで、ルーたちが持ってきてくれた野菜パイを食べ、また本を読み、散歩に出かける。

近所の、手作りの小屋で、馬と鶏とうずらと七面鳥を飼ってる人がいると、イライザが教えてくれた。
産みたての卵を、1週間に2回、売ってくれるらしい。






めっちゃきれいな馬さんたち。


食事中やったけど、バートを見つけて見学に来る。


初めての森の中に。


ちびっこい蛙くん。もう少しで踏んでしまうとこやった。




森から出たところにある家の庭は、まだ森の中みたい。


産みたて卵の販売は、電柱の卵ボードが下がってる時だけやそうで、今日はお休み……残念!


泳いで、本を読んで、ワインを飲みながら政治や芸術の話をして、男たちが作ってくれた夕飯をいただく。


今夜でイライザたちとはお別れ。
また、旦那とふたりっきりになる。
し~ん……。

お互いに、夜中に何度も目が覚めてしまうので、やっぱり同じベッドで寝るのはしんどい。
なので、わたしが主賓室のベッドを独占させてもらい、旦那は一人用のベッドを居間に持ち込み、とりあえず隣同士で寝ることにした。

夜中に大雨が降る。
雨粒が屋根に当たると、葉っぱが濡れていく音とは対象的な、パタパタと乾いた優しい音がする。
やっぱり夜中に目が覚めて、次から次へと、考えても仕方が無いことが、自分を指名してくれとばかりに「はい、はい」と手を上げている。


9月2日(月曜日・勤労感謝の日・曇り)

朝一番の湖へのおはようを言いに行ったら、ルーンくんがツツゥ~っと泳いでた。


昨晩の大雨を降らした雲が、別の分厚い雲に追いやられ、透明で巨大な風の刷毛が、湖面に模様を作る。


ルーが置いてってくれたラジオで、天気予報を聞こうとスィッチをつけたら、福島第一の海洋汚染についてのニュースが流れてきた。
田中委員長が、
今日一日曇り時々雨、という予報なので、雨が降る前に長い長い散歩に出かける。

またまた発見!けったいな茸。


お食事中。


ザ・アザミ!


人の庭でくつろぐバンビちゃんたち。


あざやか~!


こちらもお食事中。


紅葉が日一日と進んでく。


すずらんの実。


あと二日分のお水汲みをして戻る。

天気予報の前のニュースで、福島の海水汚染のニュースが流れてきた。今や世界中が知ってる、地球規模の汚染犯罪。
昼から山の麓の町まで降りて、インターネットが使える場所を見つけてみよかどうしよか……。

せっかくの休暇なので、たまには外食しようと、やっぱり町まで降りた。
必ず行くフレンチカフェで、キノコとほうれん草のキッシュをいただく。


このコーヒー豆煎り器が、店の入り口にデンと構えてる。


隣の教会が今日はにぎやか。




ラテン音楽バクレツ♪






スキーリフトが並ぶ山も霧で霞んでる。


いつも利用させてもろてたネットカフェが消えてた。
あちこち探して入った店で、慌ててメールの確認だけをする。
そのために、お腹いっぱいやのに、このフライドポテトの上にチーズとソースをぶっかけた(名前忘れた)、次男くんの好物を注文する。


たまたまその短い時間の中で確認できた数件のメールの中に、ひどい中傷のコメントがあって、胸の奥にざわざわとした不快感が広がった。
目の動きや息づかいで、旦那はなにかあったことに気づき、わたしに漢方を処方してくれたのやけど、
そのコメントに対する負の感情がなかなか取り払えず、なんとも残念な思いでいっぱいになった。

夕方また、強い雨と雷が鳴り、そして虹が出た。


すぐに雲に隠れて、


湖の上にも夕焼け雲が映ってた。


眺めるものは自然だけ。


雨が上がると気温がぐっと下がったので、薪ストーブに火を焼べる旦那。


パチパチといういい音をたてながら、どんどん勢いを増す炎。


わたしのいやな気分も一緒に燃えてしまえ!
コメント (2)
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