わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の真贋 1

2010-09-13 21:12:05 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
「一流の焼き物」には、常に本物と偽物(贋作)の問題が、存在します。

贋作の問題は、個人的問題として、片付けられる事(個人的に損失をこうむる事)が多いですが、

場合に拠っては、社会問題になる事も、有ります。

1) 本物、本物の偽物、偽物の本物、嘘、偽

 ① 嘘(うそ)は、口でつく嘘で、直ぐに「バレ」易い行為です。口に虚(きょ)と書きます。

 ② 偽(いつわり)は、容易には、「バレ」難い行為です。しかし何時かは、「バレ」ます。

 ③ 「本物」は、当然、本人が作った物(真作)で、作品そのものが、素晴らしい物、更に、独創性を

   有している物です。

    (勿論、独創性の無い物で、商品価値の無い、本物は有りますが、ここでは、除外して考えます。)

 ④ 「本物の偽物」は、本人が余分に作った作品(スペアー品)で、出来が悪い等の理由で、表に

    出なかった作品です。それが、後日、なんらかの理由で、表に出てきた作品です。

 ⑤ 「偽物の本物」は、本物を型に取り、その型を元に、作った作品です。

    勿論、作者本人が、型を作った物であれば、それは本物に成りますが、後世に他の人が、型を作り

    本物と同じ物を、作るのは、偽物と成ります。この様な作品を、「偽物の本物」と言うそうです。

 ⑥ 「本当の偽物」は、他人が、本物に似せて作った物や、偽の銘(サイン)のある作品です。

 ⑦  作品の中には、実際には、手を出さずに、指導のみで、作らせた物も多いです。

    又、磁器の様に、分業によって製作された、作品も有ります。

    これらに、個人の銘を入れた場合、これを贋作とは、言いません。

2) 贋作(がんさく)とは

   本物を模倣した作品が、利益を目的に、市場に流通する様に成ると、その作品は、贋作と成ります。

   たとえ、それを作った人が、贋作と認識しなくても、市場に流通するならば、贋作と成ります。

   一般に、贋作とは呼ば無い、作品が有ります。

  ① レプリカ: 本物のレプリカは、しっかりした存在価値が、有ります。

    即ち、国宝級の美術品や、貴重な資料などは、常に展示する事は出来ません。

    そこで、本物そっくりな物を作り、博物館や美術館などに、展示する事に成ります。

    又、絵画などの写真、印刷、コピー、模造品などを、販売する事は、普通に行われています。

    これらは、はっきり言えば、偽物ですが、本物では無い事を、承知で見たり、買ったりしています。

   ② 修復、復元: 美術品や工芸品は、時代と共に、劣化し壊れてきます。

     又、土器などは、完全な形で、発掘される事は、稀です。

     この様な場合、修復や、復元をする事も、普通に行われています。

     後から、他人の手が入ったからと言って、その物が、厳密には、本物で無い事は確かですが、

     これを贋作とは言いません。

   ③ 人造品、合成品、模造品: 天然の物ではない、人造や合成品は、場合に拠っては、天然品

     以上の、良いところを、持っている場合も、多いです。これらを、偽物とは呼びません。

    ) 例えば、釉に使用する、各種の灰も、合成品の方が、成分が安定しています。

    ) 研磨や研削に使う、「ダイヤモンドやすり」等も、超高圧装置で作った、人造ダイヤが、

       使われています。

3) 一流の美術品には、本物の10倍以上の、贋作があるといわれています。

   例えば、北大路魯山人は、数万点の作品を作ったと、言われていますので、その偽物は数十万点も

   ある勘定に成ります。

   逆に、贋作の少ない作家は、一流ではないと、言われる程です。

以下次回に続きます。

焼き物の真贋

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