わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の焼き物 (茶碗4)

2010-09-29 21:57:37 | 国宝の焼き物
国宝 「玳玻天目茶碗」 (たいひてんもく)

 ① 別名、玳玻盞(たいひさん)とも呼ばれ、室町時代初期に、記録が有り、天目の中で、建盞と並んで

   室町時代から、賞美されている茶碗です。

 ② 盞とは、辞書で引くと、杯(さかずき)事で、「建盞」は中国の、建窯で焼かれた、天目茶碗の

   事です。この名は、釉調が、海亀の一種の、玳瑁(たいまい)の甲羅、即ち、鼈甲(べっこう)

   に似ているので、付いた名です。 一名鼈盞(べっさん)とも、言われています。

  ③ 中国、江西省吉安県の、永和鎮の吉州窯で、南宋から元の時代にかけて、盛んに量産された物で、

    吉安天目 又は吉州天目とも、言われています。

 1) 玳玻天目の特色

  ) 釉は、黒飴釉を掛けた上に、ワラ白釉(失透性のワラ灰釉)を、斑(まだら)に、振り掛けた物で、

     鼈甲のような、釉調をして、大変美しい物です。

  ) 両釉の二重掛けで、陶器の装飾紋様を、表現しています。

    即ち、全体に、黒釉を塗ります。次に、剪紙細工(きりがみざいく)で、紙を種々の 、文様の

    型に切り抜き、見込みの、黒釉の上に、型紙を貼り付けます。その上から、藁白釉を掛け、

    紙の部分を除き、施釉する事により、紋様を浮き立たせる、玳玻天目特有の、技法を使ています。

    梅花、唐 花、鸞(らん・尾長鳥)、竜、吉 祥文字(富貴長命、金玉満堂、福寿康寧等)など

    があります。
 
2) 国宝「玳玻天目茶碗」

  ① 外側の釉が、黄斑に発色し、見込みには綺麗に、型抜き紋様の、蓮花を組み合わせています。

    中央に1個、中段に5個、外側に9個の、同じ紋様が、紫褐色で、表現されています。

    高台は低く、有るか無いかと、言った程度で、上げ底風に、成っています。

    素地は白く、釉は、高台際まで、掛かっています。 口縁には、銀覆輪が、掛けられています。
 
   ②  大きさ  高さ 6.2cm  口径 11.6cm 高台径 3.5cm

    13世紀、中国、江西省吉安市永和鎮にあった、吉州窯で、生産された物です。

  ③ 松江藩、第7代藩主 松平 不昧(まつだいら、ふまい)公の、愛蔵品でしたが、

    後に、萬野記念文化財団の、美術館収蔵に成りますが、平成16年2月末に閉館になり、

    現在は,京都、相国寺、承天閣美術館に収蔵されています。

3) 重要文化財の、玳玻天目茶碗(文字天目)

  国宝以外にも、優れた玳玻天目茶碗は、何点かあります。

  文字天目茶碗 : 高さ 6.6cm、 口径 22.5cm、 高台径:3.3cm

 この茶碗は、大振りで、平碗形をしています。

   内面に、菱形の切紙文が、三個配されています。 菱形文の中には、樹木と鹿とみえる、文様が

   置かれています。

   三代将軍家光の長女、千代姫が、二代光友に嫁した時、持参したとの、伝承があります。

以下次回に続きます。

 国宝 玳玻天目茶碗 (たいひてんもく)
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