わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の焼き物 (茶碗1)

2010-09-26 22:06:33 | 国宝の焼き物
茶の湯に用いられる茶碗で、国宝に指定されている物は、以下の作品です。

 ① 曜変天目茶碗 3点    中国南宋時代  静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院蔵

 ② 油滴天目茶碗       中国南宋時代  大阪市立東洋陶磁美術館蔵

 ③ 玻玳天目茶碗        南宋時代    相国寺承天閣美術館(萬野美術館、旧蔵)

 ④ 井戸茶碗  銘喜左衛門  李朝時代    大徳寺蔵

 ⑤ 志野茶碗  銘卯花墻    桃山時代    三井文庫蔵

 ⑥ 楽焼茶碗  銘不二山   江戸時代     サンリツ服部美術館蔵

1) 天目茶碗とは

  ① 鎌倉時代に、中国に渡った禅僧たちが、天目山にある、有名な禅寺から、持ち帰った事から、

    天目の語源とされています。

    この地方は、古来茶の名産地として、知られた所で、抹茶の流行した宋代には、抹茶用の茶碗

    として、建窯で作られました。従来の青磁に代り、天目山の禅僧達の間で、盛んに使われていた

    様です。この天目山から、茶人の間で、天目茶碗と呼ばれています。

  ② 天目の名は現在の、中国福建省建陽市にあった、建窯の茶碗、すなわち建盞(けんさん)だけに、

    限られていましたが、後に、他窯の茶碗にも、使われる様になります。

  ③ 天目茶碗の特徴は、天目形(なり)と言われ、口径、高さ、底径とも、小振りで、口辺に段が

    付いており、いわゆる鼈甲(スッポン)口になっています。これは、中の抹茶の保温の為です。

  ④ 小さな割に、重量も有ります。腰回りが、肉厚の事と、釉が厚く掛かっている為です。

  ⑤ 釉は、鉄分を多く含み、無地の黒、茶、焦げ茶色など、やや地味な色が多く、これを烏盞(うさん)

    と言います。

2) 曜変天目茶碗の特徴
   
   曜変天目は天目茶碗の一種で、宋時代(12〜13世紀)の、建窯 で焼かれ、唐物茶碗の「筆頭」に、

   格付けされています。 尚、「曜変」は「耀変」と書かれる事もあります。
 
   ① 曜変とは、窯の中の偶然の変化、つまり窯変(ようへん)で、釉面に種々の美しい自然の文様が

     現れる事で、茶人はこれを、曜変、油滴、禾目(のぎめ)などと呼んで、特に賞美しています。

   ② 曜変は、内部の漆黒の釉面に、結晶による大小様々の斑紋が、群をなして一面に現れ、 

    その周りが、瑠璃色の美しい光彩を、放っています。 この斑紋(結晶)が、妖しく青く光り

    輝いて、見る者を魅了します。 この茶碗の内側に、光を当てると、その角度によって変化自在、

    七色の虹の輝きとなって、跳ね返ってきます。

   ③ 虹の様な光彩は、曜変独特の、神秘な魅力をなすもので、その成因は、釉上の極微の薄い膜に

     よるものと言れています。

    釉の主成分である鉄のほか、マンガン、チタン、銅、タングステンなどが、結晶作用を起して

    出来た物とされています。

3) 曜変天目茶碗の由来

以下次回に続きます。

 国宝の茶碗

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