国宝の土偶の話を、続けます。
3) 中空土偶 愛称 茅空(かっくう)
この土偶は中が中空になっている為「中空土偶」と呼ばれ、平成19年6月8日、北海道初の国宝に
指定されました。 昭和50年、北海道旧南茅部町(現・函館市)著保内野(ちょぼないの)遺跡で
尾札部の主婦、「小板アエ」さんが、農作業中に、畑から人型の、焼き物を、偶然発見しました。
① 縄文時代後期を、代表する優品として、また土偶造形の、到達点を示すものとして、極めて
貴重な作品です。
この土偶は、約3200年前の、制作と、推定され、大きさは、
高さ41.5cm、幅20.1cm、重さ1.745kgで、中空土偶としては、国内最大です。
愛称は「芽空」(かっくう)と、呼ばれています。
両手は失われていますが、当時の衣装と、思われる文様が、くっきりと刻まれ、全面に漆で彩色
されていた様です。
② 2004年(平成16年)12月、「平成の大合併」により、函館市と南茅部町が合併しました。
函館市は、著保内野遺跡の、内容把握を目的とした、再調査を2006年(平成18年)に実施します
この調査により、遺跡の一帯から、ヒスイの勾玉や、漆片などが、発見された為、この遺跡が
縄文時代後期(約3200年前)の、集団墓であり、土偶はその一角に、埋納されていた事が、確認
されました。
③ 調査結果を受けて、2007年(平成19年)、北海道内初の、国宝に指定されます。
・ 中空土偶の特徴
) 中空土偶としては、国内で最大の大きさであり、頭の飾りと、両腕が失われている他は
ほぼ完全な形である事。
) 文様構成に、特徴が有る事。
三角、菱形、丸など、様々な細かな文様が、組み合わされていて、当時の芸術性の高さを
知る事ができます。
) 技術的に、優れている事。
中が空洞の、土偶は、作るのが難しく、土偶の内外の、空気の温度差が、有ると割れて
仕舞い易いです。
) 頭部まで一続きで、成形しようとすると、頭の重みで、傾いた土偶に成ってしまう為、
頭部は別に作り、後から、身体の部分に接着して、焼た様です。
(首飾りの様に見える部分は、接着した首の補強の意味も、兼ねていると考えられます)。
) 薄作りである事
薄ければ薄いほど、作るのが難しいのは、勿論で、それなりの技術を、必要とします。
4) 縄文の女神(八頭身土偶): 平成24年9月6日指定。
山形県舟形町西ノ前遺跡出土の「土偶」です。
縄文時代中期(約4,500年前)、高さ45cm、重さ3.155キログラムで、完全に復元
された土偶の中では最大の大きさです。(この記事は 2014-6-26 追加)
以上で、国宝の「土偶」の話を、終わります。
次回は国宝の「埴輪」について、述べます。
追記 : 「仮面の女神」の愛称をもつこの土偶が、平成26年8月21日に国宝に指定されました。
1) 長野県茅野市湖東の中ッ原遺跡から出土した、全身がほぼ完存する大形土偶です。
茅野市蔵 尖石 ( とがりいし ) 縄文考古館に収蔵されています。
尚、茅野市では、「縄文のビーナス」 に続く2つ目の国宝となります。
2) 高さ34cm、重量は2.7Kgで、顔に仮面を付けた姿を思わせる形であることから、一般に
仮面土偶と呼ばれるタイプの中空土偶です。
顔面は逆三角形の仮面が付けられ、眉毛は細い粘土紐でV字形に描かれてます。
鼻の穴や口は、小さな穴で表現されています。体には渦巻きや同心円、襷(たすき)を掛けた
様な文様が描かれ、足には文様は無く、良く磨かれています。
3) 今から約4000年前の縄文時代後期前半(紀元前2000~前1000年頃)に作られました。
「仮面の女神」と似た土偶は、長野県辰野町新町遺跡や山梨県韮崎市後田遺跡で出土して
います。但し、20cm程の大きさですので、この土偶がいかに大きいかが解かります。
3) 中空土偶 愛称 茅空(かっくう)
この土偶は中が中空になっている為「中空土偶」と呼ばれ、平成19年6月8日、北海道初の国宝に
指定されました。 昭和50年、北海道旧南茅部町(現・函館市)著保内野(ちょぼないの)遺跡で
尾札部の主婦、「小板アエ」さんが、農作業中に、畑から人型の、焼き物を、偶然発見しました。
① 縄文時代後期を、代表する優品として、また土偶造形の、到達点を示すものとして、極めて
貴重な作品です。
この土偶は、約3200年前の、制作と、推定され、大きさは、
高さ41.5cm、幅20.1cm、重さ1.745kgで、中空土偶としては、国内最大です。
愛称は「芽空」(かっくう)と、呼ばれています。
両手は失われていますが、当時の衣装と、思われる文様が、くっきりと刻まれ、全面に漆で彩色
されていた様です。
② 2004年(平成16年)12月、「平成の大合併」により、函館市と南茅部町が合併しました。
函館市は、著保内野遺跡の、内容把握を目的とした、再調査を2006年(平成18年)に実施します
この調査により、遺跡の一帯から、ヒスイの勾玉や、漆片などが、発見された為、この遺跡が
縄文時代後期(約3200年前)の、集団墓であり、土偶はその一角に、埋納されていた事が、確認
されました。
③ 調査結果を受けて、2007年(平成19年)、北海道内初の、国宝に指定されます。
・ 中空土偶の特徴
) 中空土偶としては、国内で最大の大きさであり、頭の飾りと、両腕が失われている他は
ほぼ完全な形である事。
) 文様構成に、特徴が有る事。
三角、菱形、丸など、様々な細かな文様が、組み合わされていて、当時の芸術性の高さを
知る事ができます。
) 技術的に、優れている事。
中が空洞の、土偶は、作るのが難しく、土偶の内外の、空気の温度差が、有ると割れて
仕舞い易いです。
) 頭部まで一続きで、成形しようとすると、頭の重みで、傾いた土偶に成ってしまう為、
頭部は別に作り、後から、身体の部分に接着して、焼た様です。
(首飾りの様に見える部分は、接着した首の補強の意味も、兼ねていると考えられます)。
) 薄作りである事
薄ければ薄いほど、作るのが難しいのは、勿論で、それなりの技術を、必要とします。
4) 縄文の女神(八頭身土偶): 平成24年9月6日指定。
山形県舟形町西ノ前遺跡出土の「土偶」です。
縄文時代中期(約4,500年前)、高さ45cm、重さ3.155キログラムで、完全に復元
された土偶の中では最大の大きさです。(この記事は 2014-6-26 追加)
以上で、国宝の「土偶」の話を、終わります。
次回は国宝の「埴輪」について、述べます。
追記 : 「仮面の女神」の愛称をもつこの土偶が、平成26年8月21日に国宝に指定されました。
1) 長野県茅野市湖東の中ッ原遺跡から出土した、全身がほぼ完存する大形土偶です。
茅野市蔵 尖石 ( とがりいし ) 縄文考古館に収蔵されています。
尚、茅野市では、「縄文のビーナス」 に続く2つ目の国宝となります。
2) 高さ34cm、重量は2.7Kgで、顔に仮面を付けた姿を思わせる形であることから、一般に
仮面土偶と呼ばれるタイプの中空土偶です。
顔面は逆三角形の仮面が付けられ、眉毛は細い粘土紐でV字形に描かれてます。
鼻の穴や口は、小さな穴で表現されています。体には渦巻きや同心円、襷(たすき)を掛けた
様な文様が描かれ、足には文様は無く、良く磨かれています。
3) 今から約4000年前の縄文時代後期前半(紀元前2000~前1000年頃)に作られました。
「仮面の女神」と似た土偶は、長野県辰野町新町遺跡や山梨県韮崎市後田遺跡で出土して
います。但し、20cm程の大きさですので、この土偶がいかに大きいかが解かります。