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どうで死ぬ身の一踊り

2006-04-20 16:12:46 | ノンジャンル
 西村賢太さんの「どうで死ぬ身の一踊り」を読みました。
 前半は、主人公が藤澤清造という、42歳の時、家出の果て、路上で凍死した無名の作家に惚れ込み、彼の墓を探し、また彼が残した書簡、原稿などを集めまくる、という話。そして、後半は同棲している女性との痴話げんかが大半を占めています。
 前半部から何となく感じられていたことですが、この著者の分身というべき主人公の卑劣さに辟易します。自分がほしいものは手段を選ばず手に入れる、一旦手に入れたものは人に見せたがらない、非常に自己中心的な人物であるように感じられます。それに肝心の藤澤清造の著作の内容が全然語られていない。その部分が少しでもこちらに伝わってくれば、主人公が卑劣な人間になっても手に入れたい、という気持ちも理解できるのかもしれませんが、その記述が全然ない。
 そして、後半部分。亭主関白、それに留まらず男尊女卑、そして挙げ句の果てのDV。彼女は彼のDVに耐えられず、2回にわたり実家に帰ります。彼女の父親は彼のことを烈火のごとく怒っています。というのも、娘に再三暴力をふるうだけならまだしも、つき合いだしてすぐ、主人公は実家の父親に会いに行き、土下座して300万もの返す当ても無い借金をしているのです。
 今年度の芥川賞候補だったとのことですが、これが選ばれなくて本当に良かった! 芥川賞選考者にも常識があったということでしょう。あるいは本人を呼んで、じっくり説教してほしかったです。とにかく自分勝手も度を越している。作者も言ってるようにデフォルメされて書かれている部分もあると思いますが、読んでいてこれほど不愉快になった小説は最近ありませんでした。ということで、不愉快になりたい方、オススメです。(そんな人、いないか?)