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ジャ・ジャンクー監督『長江哀歌(エレジー)』

2009-10-02 18:24:00 | ノンジャンル
 蓮實重彦氏の文章を読んで、万田邦敏監督の'08年作品「接吻」を昨日見直しました。確かに一つ一つのショットがすごく凝っていて、移動しながらのズームなどのショットなど色んなショットの連鎖でできていて、改めてスゴイと思いました。DVDに焼いて保存しておこうと思います。

 さて、スカパー260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、ジャ・ジャンクー監督の'06年作品「長江哀歌(エレジー)」を見ました。
 楽し気に時間をつぶす船の乗客の中で一人静かに川辺の風景を見るサンミン。彼は船を降りて妻がいる住所にバイクで連れて行ってもらうとそこはダムの底でした。宿に着き、主人にタバコを渡すと「タバコ」の字幕が現れます。宿の主人に聞いて妻の叔父に会いに行きますが、彼女はしばらく帰って来ないのでここで待てと言われます。彼女の連れている娘に16年ぶりに会いたいのだと言い、土産の酒を差し出すと「酒」の字幕が。サンミンはダムに沈むビルを解体する仕事につき、妻を金で買ったが妻が田舎に帰ってしまったという話を仲間のマークにして、二人は親友になります。場面は変わって工場長と従業員の団交の場。そこへ2年会ってない夫を探す妻がやってきますが、彼は出張でいません。彼の残した荷物の中に茶があり、「茶」の字幕。仕事がないかと16才の娘に路上で聞かれる妻。遺跡の発掘現場にいた夫の旧友に会いに行き、二人で夫の帰りを待ちます。翌朝やっと帰ってきた夫に妻は好きな人ができたので離婚をしてほしいと告げ去ります。「飴」の字幕。部下に飴を配る、家の解体業者。サンミンは解体中の事故で親友のマークを失います。やがて妻が帰ってきますが、娘は他所に働きに出していると妻は言います。妻に見せてもらった娘の写真は、路上で仕事を求めていた16才の娘の写真です。妻の雇用主に妻を連れて帰りたいと言うと、雇用主は妻の兄へ貸した金を返してからだと言いますが、サンミンは一年待ってくれと言い、炭鉱での危険な仕事をする決心をして町を去るのでした。
 「一瞬の夢」と同じように8ミリまたは16ミリで撮った映像のブローアップと思われる独特の粗い質感の画面が魅力的で、流れる時間もゆったりとした独特のものでした。歌がふんだんに盛り込まれ、またロケットがふいに飛び立ったり、室内でカメラがパンすると京劇の演者たちが座っていたり、空に綱渡りの男がいたりと、不思議な映像も挿入されていて面白さを堪能しました。映画好きの方にはオススメです。