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岸本佐知子編訳『変愛小説集』

2010-02-18 18:29:00 | ノンジャンル
 昨日書き忘れましたが、オリンピックでのカーリングの選手には一人一人ピンマイクがついているのが見えました。だからあれだけ個人の声が拾えているのですね。それもカーリングの楽しみの一つです。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、岸本佐知子さん編訳の'08年に刊行された短編集「変愛小説集」を読みました。
 アリ・スミス著「五月」は、木に恋をした私の独白。
 レイ・ヴクサヴィッチ著「僕らが天王星に着くころ」は、皮膚が宇宙服に変わり天王星へ向かって浮上する流行病にかかった夫婦の話。
 レイ・ヴクサヴィッチ著「セーター」は、誕生日プレゼントとして彼女が編んでくれたセーターを悪戦苦闘して着ているうちに、机の下にもぐった彼女が消えてしまうという話。
 ジュリア・スラヴィン著「まる呑み」は、一目惚れした芝刈りの青年にキスをして呑み込んでしまい、数カ月の間体の中で生きる彼と共存する話。
 ジェームズ・ソルター著「最後の夜」は、末期ガンの妻を安楽死させるために注射した夫が愛人と夜を明かした後、死ななかった妻に浮気の現場を見られる話。
 イアン・フレージャー著「お母さん攻略法」は、母と交際する指南書。
 A・M・ホームズ著「リアル・ドール」は、妹に虐待されているバービー人形と僕が付き合った話。
 モーリン・F・マクヒュー著「獣」は、父と一緒に雨宿りしていた13歳のわたしが、見たこともない獣を一瞬目にした話。
 スコット・スナイダー著「ブルー・ヨーデル」は、フィアンセが乗って逃げた飛行船をひたすら追う男の話。
 ニコルソン・ベイカー著「柿右衛門の器」は、牛の骨粉を混ぜて作る陶器を愛していた女性が、自分の死後、自分の骨で陶器を作ってもらう話。
 ジュディ・バトニーツ著「母たちの島」は、男が皆戦争で出て行った後、敵の兵隊たちが上陸し、その子供として生まれてきたわたしたちが、母たちが敵の兵隊たちと愛しあってできたのが自分たちなのか、単に強姦されてできたのが自分たちなのか判断に迷いますが、ある日流れ着いた異国の兵隊に対し、わたしたちが自分の欲望から寝て妊娠してしまうことになる話です。
 圧倒的に面白かったのは、「まる呑み」と「リアル・ドール」でした。どちらもあり得ない設定ですが、描写が生々しく笑ってしまうほどでした。ブラックジョークの好きな方にはオススメです。