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平山夢明『異常快楽殺人』

2010-02-20 15:00:00 | ノンジャンル
 平山夢明さんの'94年作品「異常快楽殺人」を読みました。連続殺人を犯した男たちに関するノンフィクションです。
 主に取り上げられているのは、被害者や埋葬された死体の肉体を加工して皿やカップ、服を作るといった性癖を持ち、映画「悪魔のいけにえ」のモデルともなったエドワード・ゲイン、400人を越える子供を殺し、その肉を食ったと自供したアルバート・フィッシュ、360人以上の殺害と人肉食いを告白し、獄中から自分の事件に関する捜査に協力、映画「羊たちの沈黙」のレクター博士のモデルにもなったヘンリー・リー・ルーカス、ベトナムでの従軍経験が連続殺人者としての才能を開花させ、人肉食いもしたアーサー・シャウクロス、53人の婦女子を殺害し死体を切り刻み人肉食いもしたアンドレイ・チカチロ、多重人格障害で33人の少年を殺したジョン・ウェイン・ゲーシー、17人の男性を殺し、その間主に人肉で食を賄っていたジェフリー・ダーマーです。
 その犯罪の異常さは目を覆うものですが、彼らが幼少時に受けていた虐待もハンパなものではなく、ヘンリー・リー・ルーカスに至っては、実の母親にナタで頭を割られ、頭皮が半分剥げ、頭蓋骨に亀裂が走ったままの状態で雪の中に40時間以上も放置されていたという、生存できたのが不思議なくらいの暴力の受け方で、こうした暴力を受けていれば異常な性格になるのも致し方ないであろうというようなものでした。また不思議に思ったのは、何人かは結婚状態を続けていながら犯行を行っていることでした。最後に、この本の具体的な描写の綿密さは参考文献の多さからも見て取れ、洋書が24册、和書が74册を数えるというのもスゴイと思いました。人の心の深みを見ることのできる稀書です。グロテスクな描写に耐えられる方にはオススメです。