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川上未映子『りぼんにお願い』

2013-11-21 09:49:00 | ノンジャンル
 鈴木則文監督の'68年作品『兄弟仁義 逆縁の盃』をスカパーの東映チャンネルで見ました。幼い頃に別れた母を慕う渡世人に北島三郎、公害を垂れ流し漁民を危機に陥れている化学会社の手先を働くやくざの岩井を金子信雄、その子分を天津敏、水質研究所で唯一研究を続ける男を遠藤辰雄、漁民の味方をするやくざの組の2代目の代貸で、岩井に義理で頼まれた若山富三郎に殺されるのが大木実、その後を継いで代貸になるのが菅原文太、漁民で夫を失い、家族のために身を売る女性を桜町弘子が演じていましたが、北島三郎さんの貫禄が周囲に負けているのが目につく映画でした。
 また石井輝男監督の'75年作品『実録三億円事件 時効成立』をスカパーの東映チャンネルで見ました。元三億円寺年捜査本部キャップ警視・平塚八兵衛氏がインタビューで、犯人は単独犯で、この映画で描かれているような犯人であれば必ず逮捕していた、と冒頭で述べて始まるこの映画では、犯人(岡田裕介)が愛人(小川真由実)の協力を得て三億円を奪い、犯人が競馬関係者(田中邦衛)の知己を得て他人の名義を借りてその金で種牡馬を買いますが、刑事(金子信雄)が犯人を拘束した後、その種牡馬は病気で死んでしまい、結局犯人は逮捕されずに拘置状を出るという内容で、小川真由実と金子信雄の熱演ぶりが楽しめました。

 さて、川上未映子さんの'13年作品『りぼんにお願い』を読みました。『Hanako WEST』と『Hanako』に川上さんが連載したエッセイを集めてできた本です。
 「あとがき」から引用させてもらうと、「もともとHanako WESTで始まった連載が休刊をきっかけにHanakoへ移り、それから何年たったのかなあ? あっというまだったような気がするし、すごく時間が経ったような気もする。でも、生きてることの実感って、いつもいつでも、こうだよね。(改行)Hanakoでの連載は――もちろん男性読者も数多くいらっしゃるのだけれど、でもなぜなのか、同世代、それからもうちょっと年下の女の子たちにむけて、『なあなあ、今日こんなことあってん』とか『これちょっとどう思う?』というような気持ちで書いてきたので、ふだんずうっと家にいるわたしは、女ともだちとおしゃべりしにでかけにゆく、というような、そういう楽しさがありました。(改行)女の子をめぐる状況――というとなんだかちょっと大げさだけど、でもそうとしか言いようのない空間があるのもまた事実。うれしかったり楽しかったりすることも多いけど、でも、女の子であることで常に感じていなければならないしんどさや悔しさ、やるせなさもやっぱり多くて(男の子も男の子で色々たいへんなんだろうけど)、生きている限りはいたずらに解決なんてしないんだろうけど、でも、自分について、あるいは、女の子とその楽しさや生きづらさについて考えてみるというのは、何も考えてみないよりは、とても意味があることだと思う。(改行)その考えっていうのは、誰かのためにあるものじゃなくて自分のためにあるものなのだけれど、でも、そういったひとりひとりの『ちいさな異議申し立て』や『うれしさを表現する』ことがつづいていけば、そういうのが知らないうちに女の子たちの『あたりまえ』になっていって、何かが、ちょっとずつ変わってゆくのかもしれない。たとえばショートカットが、スカートが、就労が、女の子にとってのあたりまえになっていったように、そして、結婚も、出産も、家事も育児も、かならずしも女の子の宿命ではなくなっていったように(まだまだしんどいけど)、日常の小さなことがいつか大きな変化につながってゆくのかも、そう思うと、楽しくなってくる。(後略)」
 実際、川上さんは「自分の人生に対して肯定的な考えを持っていない」という意味のことを書いている一方で、読んでいて楽しい「おめかしは気分にのって」や「て、天使のエプロンて」という楽しいエッセイも書いてくれています。人生を先へ一歩踏み出す小さな勇気をくれる、そんなエッセイになっているのではないでしょうか? 人生に疲れ気味の方にはお勧めの本です。なお、「おめかしは気分にのって」と」「て、天使のエプロンて」は、私のサイト(Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto))の「Favorite Novels」の「川上未映子」の場所に転載させていただきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto