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スティーヴン・キング『リーシーの物語』

2016-09-16 07:19:00 | ノンジャンル
 スティーヴン・キングの’06年作品『リーシーの物語』を読みました。
 白石朗さんによる「訳者あとがき」から引用させていただくと、「夫スコットが病死して2年……メイン州キャッスルロックの広壮な屋敷にひとり住むリーシー・ランドンは、ようやく遺品整理の仕事に手をつけはじめます。夫は21歳の若さでデビューし、世界幻想文学大賞を受賞した3作目のホラーで大ブレイク、全米図書賞やピュッリッツァー賞の受賞歴もあり、文学性と娯楽性をともにそなえた作品で人気を博したベストセラー作家でした。一般読者はもとよりアカデミズムの世界からも熱い視線をそそがれていたため、死のほぼ直後から遺稿を調べたいという大学の文学部関係者からの申し出がリーシーのもとに殺到します。しかし、最愛の伴侶の死から容易には立ちなおれないリーシーは、この2年間、そうした申し出をことごとく断っていました。
 重い腰をあげてスコットの仕事場の整理にとりかかり、そこで18年前の出来ごとを------テネシー州の大学図書館の起工式に出席したスコットが狙撃されて、生死の境をさまよった事件を-----思い起こして恐怖を新たにしたリーシーに、別の恐怖が襲ってきました。スコットの遺稿類に妄執をいだく“ストーカー脅迫者”があらわれたのです。原稿類をしかるべき大学に引きわたさなければ実力行使も辞さないというストーカーの不気味な言葉。この回想と脅迫事件をきっかけに、リーシーは25年にわたる結婚生活のあいだに“紫のカーテン”でみずから封印していた記憶-----忌まわしい記憶と極上の記憶-----をたどる旅にいやおうなく出発させられます。それは、最愛の夫であり、ひとことでは語りつくせぬ過去を背負った作家でもあったスコット・ランドンが残した“ブール”をたどる、想像を絶する恐怖と怪異に満ちた時空を超える旅でした……。」
 スティーヴン・キングは「自作のベストを教えてください」との質問に対して、「『リーシーの物語』だ。これはとても特別な本だ。これまでに自分が書いた本のなかでも唯一これに関してだけは書評を読みたくない。人は、自分の愛している人に対して卑劣なことをするやつがいたら、そいつを憎むだろう。それと同じことだ。わたしはこの本を愛しているのだ」と答えているので、あえてキングに憎まれるのを承知で書けば、この小説は文体において、とても読みにくく、私は前巻の228ページのところで、先を読むことを断念しました。ちなみに前巻は470ページ、後巻は478ページの小説ですので、最初の4分の1ということになります。
これには訳者の白石さんの影響がかなりあると思います。文が日本語としてこなれていないと言うか、とにかく読みにくい日本語になっているのです。これはポール・オースターの作品で一度経験したことで、一度目に『シティ・オブ・グラス』として読んだ時は少しも面白い小説だと思わなかったのに、二度目に『ガラスの街』として柴田元幸さんの訳で読んだら、とても面白かったことがありました。これまで白石さんはキングを何冊も訳していて、その時はつまらなかったことは少しもなかったのに、今回はどうしたものなのでしょうか。確かに複文、重文は多いようにも思えたのですが……。ということで、不完全燃焼に終わった読書体験でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/