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増村保造監督『華岡青洲の妻』その1

2017-02-02 09:33:00 | ノンジャンル
 増村保造監督の’67年作品『華岡青洲の妻』をWOWOWシネマで見ました。
 「カエは8歳の時、初めてお杉(高峰秀子)を見た。乳母のタミと一緒に、華岡家の裏の薬草畑だった。ところがお杉の夫、華岡ナオミチ(伊藤雄之助)は風采かまわぬ貧乏医者で、よく紀州白浜から那智へ下り、カエの家を訪れてきた。カエの祖父は暇を持て余し、ナオミチのホラ話を好んで聞いたが、カエには、この男があの美しいお杉の夫とはどうしても思えなかった」のナレーション(杉村春子)。
 「大地主の箱入り娘です。今、16歳」とカエの祖父。「皮膚病を治した。大阪で南蛮渡来の薬を使った」と自慢話をするナオミチ。
 その祖父が死に、葬式に参列したお杉を親族の席から凝視するカエ(若尾文子)は、お杉と目が合うと、目をふせる。
 「3年後の晩秋」。ナオミチはカエを息子の嫁にもらいたいと言ってくる。「息子は今京都で勉強し、3年後には戻って来る。医者の妻は健やかで気丈でなければならないが、150石の大庄屋の娘さんなら、その条件に合う」とナオミチ。「突然のお越しなので、よく考えてお答えしたい」とカエの父。「大きな屋敷で住むか、人の役に立つ貧しき家で輝くか、よく考えてほしい」とナオミチ。
 「カエも21歳になった」。カエ「小さな家でのんびり暮らしたい。それにお杉に嫁と呼ばれたい」。
 白無垢の姿で籠に乗るカエ。ナオミチは祖父の代に翻訳した医学書を代々継いできたと言う。「雲平が生まれんとすると、それまで晴れていた空が一気に荒天と化し、実際に生まれたら、また元の青空に戻った」とナオミチは言い、祖父の医者としての意思と父の執念が、今の雲平を形作っていると語り、いずれは医学に革命を起こす大天才だとも語る。
 病院の待合室。ライ病でひどい顔になっている女性と目が合うカエ。患者の体を押さえつけてナオミチは外科手術を行おうとするが、患者は泣き叫び暴れ回る。
 カエが奥の部屋に行くと、そこではお杉たちが機織りをしていた。機織りの仕方を習うカエ。
 カエが率先して働いてくれて、満足だと語るナオミチ。
 「お母さんのように美しくなりたい」とお杉に言うカエ。
 薬草畑。「このなすびは何に?」とカエが尋ねると、お杉は「それには毒があり、笑いが止まらなくなって死ぬ」と答える。「初めてお姉さんを見た時、この白い花が咲いていた」と言うカエ。「あなたは本当の娘よりもかわいい」とお杉。
 「また3年が経った春」。「雨がよく降るなあ」と弟子に足を揉ませるナオミチ。「兄さんが戻ってきた」と聞き、身支度をするカエ。雲平(市川雷蔵)はカエを紹介されると「よう」と声をかける。「湯をわかせ」と言われて台所に急いだカエだったが、お杉に先を越される。弟のヨウヘイに「大きくなったな」と言う雲平。
 「外科の医者になるには、内科についても精通していなければならない。漢方を研究すれば、大半の病気は治せるようになる。あの伝説的なカジャのように」と雲平。「2千年前の手術の名人だ」とナオミチ。「患者を薬で眠らせて手術する。技術はオランダ式の方が南蛮式よりも進んでいる。サラシと違ってこれは伸び縮みする布だ」「私が作ります」とカエと雲平の妹のお勝(渡辺美佐子)。
 不吉な笛の音。「今夜は一人で寝てね」とお杉はカエに言い、雲平と談笑する。恨めしそうに見るカエ。「京からの旅で疲れたでしょう。今日は一人でゆっくり休んで」と雲平に言うお杉。
 翌日、「今夜は雲平さんのところへ」と言い、カエに枕を持たせるお杉。自室にいた雲平はカエに「お入り」と言い、カエが横になると、背中の方に並んで横になり、「乳を揉んだら痛いか?」と聞く。「痛い」と答えるカエ。雲平はカエの下半身に手を伸ばす。
 髪の乱れを直し、「おはようございます」とお杉に言うカエ。ぬか袋をカエが作っていると、お杉は「今までは私のを使ってたのに」と言う。「私のを作りたいんです」とカエ。
 雨の薬草畑。カエがいると、雲平が現れ、2人で花を摘む。
 カエは帰宅すると、マンダラケを干す。「花には毒があるから、よく拭くように」と言うお杉。
 米次郎が戻って来て、実験用の猫をたくさん連れて来る。
 猫の口を開け、無理やり薬を飲ませる雲平。
 「かなり死んだな。量が多すぎた」と猫の死体を埋めるのを見る雲平。カエはつわりで苦しみだす。
 「雨がよう降る。米の値段は倍だ。飢え死にも相当でてるらしい」とナオミチ。「はやり病も広がっている」と友人。「人参を食べないと、骨が腐って、骨瘤となる。食べ物が偏っている。助けるには骨を切るしかない」とナオミチ。
 手術をする雲平。
 「大和、河内、大阪からも来る人がいるが、金を払っていく人は少ない。甘がゆが食べられるだけでも感謝するように」とお杉。カエが「私も同じものに」と言うと、お杉は「あんたと雲平は別。生まれて来るのは華岡家のもの」と言う。(明日へ続きます……)