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石井隆監督『黒の天使vol.1』その2

2017-03-04 05:35:00 | ノンジャンル
 遅ればせながら、米アカデミー授賞式をWOWOWプライムで見ました。ちまたでは反トランプのリベラル派集会であったことが話題になっているようですが、個人的な感想では、個人の受賞の前に、その賞の過去の受賞者たちの様子が流れるなど、過去の映画へのオマージュに満ちたものとなっていたことに好感を抱きました。この1年で亡くなった映画人として、ジョージ・ケネディ、エマニュエル・リヴァ、ジョン・ハート、デビー・レイノルズらとともに、アッバス・キアロスタミやラウール・クタールの名前も挙げられていて、一部で『アメリカの夜』の音楽が使われていたこともうれしく感じました。それから特別賞としてフレデリック・ワイズマンの名が挙げられていたことも記しておきたいと思います。

 さて、昨日の続きです。
 野木「14年間何もなかったのに、なんで急に」縄で縛られた一光「殺しは二十歳になってからという遺言だった」「そんな体で俺らのリンチに耐えられるかな?」「防弾チョッキを着てるなんて、それでも男か?」「春日、自由にしてやれ。(防弾チョッキを指し)これも着させてやれ。よし、行っていいぞ」。野木、一光を拳銃で4発撃つ。「行かせろ」。防弾チョッキを脱ぎ、扉に向かうが、どの扉も閉まっていて、あせる一光。ひやかし笑いをする野木の部下たち。「俺を倒せば出ていっていいぞ」。野木、一光を押し倒し、「他人とは思えねえ。俺のおやじも長岡の鉄砲玉に使われて死んだ」。
 リンチを受ける夢を見るマヤ。「裏切り者!」。暗転。
 電話。「一光は中央病院にいる」。
 マヤ、男を絞殺し、拳銃を奪う。病院で眠る人々。女のよがり声。マヤは次々に男たちを射殺する。
 一光「なんで私をこんなところに?」野木「お前を守るためだ。何で女を殺らなかった?」マヤ「一光を昔逃がした女がいたわよね」野木「いずれ俺を殺しに来る。今度は殺す」。野木ら、去り、恩田が残る。マヤ「父は野木を嫌って、あなたをかわいがってた。(中略)マヤって女、先代がかわいがってた組織のヒットマンを野木が捕まえて、リンチして、シャブ漬けにして、自分のものにして、バーを一軒与えた。私にも生きてれば一光と同じ年の娘がいる。不憫だけど殺してくれる? 2人とも。あなたとずっと前に会った気がする」「いいえ、先代の葬式が初めて」。(中略)
 「てめえのおかげで。何が天使だ」と暴れる一光。暴行されるマヤ。一光「生きてたくないよ」と吐く。
マヤの胸で泣く一光。手にはお守り。暗転。
 マヤ「2人でどこか遠くへ行こうか? どこにする?」。一光、横たわり、タバコを吸い、「森の熊さん」を鼻歌で歌ってる。(中略)
 ピアノを弾く一光。ピアノを離れても、音楽は続く。「遅いなあ。あっ、ヤクザだ」。入ってきた恩田はカウンターの上にあったビンをラッパ飲みし、そこへマヤが買い物から帰ってくる。拳銃をマヤの頭に当て「どこに隠れた? 俺の天使は? あの子のおかげで14年ぶりに無風の町に風が吹き、おかげで俺の計画も早く成就する。あこがれの女をついに手に入れた。この俺がなぜゴキブリどものドブさらいをしてきたと思う? 俺はドンに生まれついてきたんだ。この町のすみずみまで知ってる。野木の本当の目的は? 一光の本当の親は?(中略)」。
「被害者の母を見て、目が凍りついた。彼女はまだ若かった。望まれないで生まれて来た子。レイプされた娘のために。あいつを手に入れて野木を倒せば」一光、現れ、「全部嘘だ。私の母は私をかばって死んだ」と言って、恩田を射殺する。「待って」とマヤ。
 エスカレーターに乗った野木「まだ使えねえのか?」部下「女にしかできない殺しもありますからね」「自分から用事があると電話してきたのに」。エスカレーターの前に一光が現れ、部下らを射殺。吹き抜けから飛び降りてからも、次々と射殺。逃げる野木を追う一光。エレベーターに逃げ込んだ部下らは待ち伏せていたマヤに射殺される。
 千秋、野木の部下に電話するが、部下がもう死んでいるため、つながらない。
「千秋―!どこで待ってるんだ?」「野木!」パン、パンと拳銃の発射音が電話を通して千秋の耳に届く。
 千秋が部屋を出ると、エレベーターに死体の山を見つけて驚く。
 一光、屋上へ。「出て来い、野木!」。階段を上って来る足音。野木、一光の肩を射抜く。「お前が来なければ風は吹かずに、若い者たちも死なずに済んだ。出てけ、ここは俺の町だ。いやならお前も死ね」。マヤ、野木を射殺。千秋は野木に駆け寄り、野木の死体を抱いて泣く。一光「なぜ産んだ? こんな世の中に」。千秋、野木の拳銃を手にして、一光に向ける。マヤ「撃っちゃだめ! この子は…違う。違う」。一光の盾となり、千秋に撃たれるマヤ。一光は千秋を射殺し、映画は終わる。

 光と影が印象的な映画で、撃ち合いの場面は人が次々と踊り跳ねるのを見ているようでした。葉月さんの存在感が目立った作品だったと思います。